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9.就任時の手続の流れ

就任時の手続の流れを教えて下さい。
就任時には、下記のような手続になります。
第1 登記事項証明書の取得
 登記事項証明書とは、後見登記等ファイルに記録されている内容を証明する書類です。被後見人・後見人・監督人の住所や氏名、後見人の権限の範囲等を証明するものです。
 つまり、誰が誰の後見人であるのか、後見人にどのような権限があるのかを証明するものですから、金融機関と取引をするときや、施設と入所契約を結ぶときなど、後見活動をする際には欠かせない書類です。
 登記事項証明書を取得するには、申請書を東京法務局の後見登録課または全国の法務局・地方法務局の戸籍課の窓口に提出します。なお、郵送による申請書の受付をしているのは、東京法務局だけです。【注意点】
第2 本人や関係者からの情報収集と挨拶
 審判が確定して後見人としての職務を開始することとなったら、まず、本人に面談して自己紹介し、後見人に選任された旨を伝えましょう。さらに、申立てにかかわった親族や、市町村長申立ての担当者などから、事案に関する情報を提供してもらいます。家庭裁判所で、事件記録の閲覧や謄写を請求することもできます。特に、後見人が後見開始審判の申立人でない場合や、申立ての準備段階から関与していない場合は、確認すべき内容としては、たとえば以下のようなものがあります。
  ① 本人の心身の状態、住所・居所、監護状況、本人の意向
  ② 本人の親族・利害関係人とその意向
  ③ 本人の財産状態
  ④ 申立ての動機・目的

 また、関係者から、これまでの経緯や成年後見制度利用に至った経緯等を聞き取ります。本人が在宅で生活しているのであれば、担当のケアマネジャーや介護サービス事業者等の担当者から、本人についての情報を収集します。
 本人が入院中や施設入所中であれば、担当医師、看護師、相談員、介護職員、ケアマネジャー等から話を聞くことになります。関係者が多い場合には、個別に話を聞くよりも、会議を開いてもらうほうが効率的でしょう。【注意点】

第3 財産状況の調査
1.本人の財産管理権の確保
(1)財産管理権とは
 財産管理権をもつ後見人は、本人から本人の財産を受け取り、預かることになります。また、本人以外の人が本人の財産を管理している場合には、それらの財産の引渡しを受けて、後見人の管理下におく必要があります。
(2)引渡し時には受領証
 引渡しを受ける際には、引渡しを受けた物品を列挙した受領証を2部作成したうえで、1部を引渡しを受けた相手に渡し、もう1部を後見人が保管します(必要に応じ、立会人や成年後見支援センターが保管することもあるでしょう)。
(3)本人の自宅の調査
 本人の自宅を調査することも重要です。例えば、施設に入所している本人から預かった通帳には数十万円の預金しかなかったものの、自宅を調査したところ、整理ダンスの下から高額の現金が出てきたということもあります。自宅の調査を行う場合は、可能であれば本人はもちろん、公正な第三者(監督人等)に立会いを求めましょう(監督人が選任されている場合には、監督人の立会いは必須です。)。ただし、後見人が行うのはあくまでも調査であり、捜索ではありません。嫌がる本人の気持ちを無視して強引に自宅内に立ち入ったりすることはできません。時間をかけて、本人と信頼関係を築きながら、進めていくことになります。
※ 監督人が選任されている場合
 財産の調査および財産目録を作成するにあたって、監督人が選任されているときは、監督人の立会いがなければ、その効力はありません(民法853条2項)。この場合の立会いとは、後見人による調査が適切に行われているか、財産目録が正確に作成されているかを、監督人が資料をもとに確認することを意味しています。したがって、すべての調査に同行したり、一緒に財産目録を作成したりすることを求めているわけではありません。

2.不動産の調査
 登記済権利証や登記識別情報通知の記載を確認します。また、登記事項証明書を取得して所有者等を確認し、現地に赴いて、現況を確認します。固定資産税の納税通知書や固定資産の評価証明書も入手します。

3.預貯金の調査
 預貯金については、後述のように、金融機関へ届出をする際に、あわせて調査を行います。本人の財産は、通帳や証書があるものだけに限りません。本人との間でどのような取引があるのかということを金融機関に照会するところから始めましょう。これにより、申立ての際に財産目録に記載された内容と、実際の財産とが、大きく異なっていることを発見をすることもあります。

4.債務の調査
 不動産や預貯金のようなプラスの財産(積極財産)に限らず、借金などのようなマイナスの財産(消極財産)も調査する必要があります。消極財産については、本人や家族等から聞き取ることができなくても、督促状や預金通帳の支払欄の記載によって確認することができます。不明な自動引落しについては、金融機関に照会し、相手を特定します。電話等で内容を聞き取るとともに、必要な書類は後見人あてに送ってもらうようにしましょう。督促状などで債権者を確認することができた場合には、債権者に通知を出して、負債の内容や返済状況を確認します。悪質な業者にだまされて高額なクレジット契約をしている場合もありますから、どのように対応すればよいのか、迷ったり、わからなかったりする場合には、専門家に積極的に相談しましょう。問題を解決するために、専門家や成年後見支援センター、家庭裁判所等に相談してアドバイスを受けることも、重要な後見活動の1つです。
【注意点】

第4 各機関への届出
1.行政機関への届出
(1)健康保険にかかわる窓口への届出
 後期高齢者医療の被保険者証または国民健康保険の被保険者証およびこれらの保険料納付書や手続書類等を、後見人あてに送付してもらうように、市町村の窓口で、送付先の変更届けをします。
 本人が被保険者で、住民税の非課税世帯に当たるなどの場合は、限度額適用。標準負担額減額認定証の交付を受けることができます。入院時にこの認定証を医療機関に提示することで、食事代・居住費が減額されるほか、医療機関での窓口負担も一定額までとなります。もし、引継書類の中にこの認定証がなくても、発行要件を満たすかどうかを確認し、満たしていれば申請して発行してもらいましょう。
(2)介護保険にかかわる窓口への届出
 介護保険の被保険者証および保険料納付書や手続書類等を、後見人あてに送付してもらうように、市町村の窓口で、送付先の変更届けをします。被保険者で、住民税非課税世帯の人または生活保護等を受給している人が介護保険負担限度額認定証の交付を受けていれば、介護保険施設やショートステイを利用したときの食費と部屋代の自己負担額が軽減されます。もし、引継書類の中にこの認定証がなくても、発行要件を満たすかどうかを確認し、満たしていれば申請して発行してもらいましょう。
(3)障害福祉にかかわる窓口への届出
 利用している福祉サービス等に関する手続書類等を、後見人あてに送付してもらうように、市町村の窓口で、送付先の変更届けをします。その際に、本人がどのような福祉サービスを受けられるのかについて相談してみましょう。
 日本の福祉政策は申請主義を原則としています。申請主義とは、当事者の申請力あるときに限り、手続を開始するとの原則です。したがって、どのような福祉サービスも原則として申請しなければ利用できないということになっています。福祉サービスについて、本人の受給資格の有無を確認するとともに、現実に受給できるように申請手続を行うことも、後見人の重要な仕事の1つです。
(4)住民税にかかわる窓口への届出
 住民税とは、住所地の自治体に納める2つの地方税(都道府県税および市区町村税)を合算したものをいいます。まず、住民税が非課税となる世帯かどうかを確認しましよう。そして、課税の対象となる場合には、代理人の届出等をして、
納税通知書等が後見人あてに送付されるようにします。
(5)固定資産税・都市計画税にかかわる窓口への届出
 固定資産税と都市計画税は、毎年1月1日現在で、市町村の固定資産課税台帳(土地補充課税台帳、家屋補充課税台帳等)または登記記録(登記簿)等に、所有者として登録されている人に対して課税されます。したがって、本人が土地や建物を所有している場合には課税されていますので、代理人の届出等をして、納税通知書等が後見人あてに送付されるようにします。
(6)公的年金にかかわる窓口への届出
国民年金、厚生年金、共済年金に関する各種通知や手続関係書類が後見人に送付されるように届出をします。具体的には、国民年金および厚生年金については、年金事務所に「年金受給権者通知書等送付先・支払機関・口座名義変更申出害」および「住民基本台帳による住所の更新停止(解除)申出書」を提出します。郵送で提出する場合には、これらの書類を年金事務所から取り寄せ、所定の事項を記入した後、登記事項証明書の原本と一緒に送ります。共済年金も同様の手続が必要になりますので、当該共済組合に問い合わせをして、手続関係書類を送ってもらい、手続をしておきましょう。
(7)恩給にかかわる窓口への届出
恩給とは、恩給法上の公務員が退職または死亡した場合に、本人やその遺族の生活を支えるために支給されるものです。預金通帳等で受給しているかどうかを確認し、受給している場合には届出をする必要があります。具体的には、「代理人設定・変更・終了届」を、登記事項証明書の原本とともに、総務省人事・恩給局に提出することになります。この「代理人設定・変更・終了届」は、総務省のホームページからダウンロードすることもできますし、電話をして郵送で送ってもらうこともできます。

2.金融機関への届出

(1)預貯金
 金融機関への届出は、通帳に記載してある本店または支店に赴いてすることになります。ゆうちよ銀行は、最寄りの郵便局の窓口で手続することができます。届出に必要な書類は、金融機関ごとに異なります。後見人が用意するものは、おおむね次の①~⑤のとおりです。① 登記事項証明書②運転免許証など後見人の本人確認書類③今後の取引に使用する印鑑(金融機関によっては、④後見人の印鑑登録証明書、⑤後見人の実印が必要なこともあります。)。
 届出がなされると、これまでの通帳をそのまま使えることもありますし、これまでの通帳に、「A成年後見人B」(A=本人、B=成年後見人)のように記載されることもあります。今後は、この通帳と、届け出た後見人の印鑑で取引をすることになります。後見人あてに各種の案内や手続関係書類を送付してもらうには、送付先の変更届が必要な場合もあります。また、後見人名義のキャッシュカードを作っておくと、後見活動がスムーズになります。ただし、すべての金融機関で作ってくれるわけではないので、確認してください。
(2)貸金庫
 開扉や利用にあたっては、預貯金と同じ手続が必要になります。開扉し、貸金庫に保管されているものを確認する場合には、第三者(監督人がいる場合には、必ず監督人)に立ち会ってもらい、保管されていたものをリストにした確認証を作成しておきましょう。
(3)株式等の有価証券
 届出の手続は、預貯金の場合と同様になります。様式等の場合、預貯金と違い、手許に通帳のようなものがない場合がほとんどですが、証券会社から本人あてに定期的に「取引残高報告書」や「運用報告書」等が送られてくるので、確認のうえ、証券会社で手続をとり、今後は後見人あてに送付してもらうようにします。取引明細や残高証明書を求め、財産目録作成のための資料を整えましょう。

3.保険会社への届出
 本人が契約している生命保険会社、損害保険会社等にもそれぞれ後見人の就任の電話連絡をし、必要な手続関係書類を送ってもらい、手続をとっておきましょう。

4.企業年金への届出
 年金は公的年金に限りません。本人が加入している企業年金があれば、後見人就任の電話連絡をし、必要な手続関係書類を送ってもらい、手続をとるようにしましょう。

5.入所・入院先、福祉サービス事業所への届出
 本人が入所・入院している場合には、本人に面談する際に、関係者に後見人の就任の挨拶をするとともに、請求書・領収書の送付先変更届をしておきます。本人が在宅で生活している場合には、担当のケアマネジャーや関係する福祉サービス事業所へ、後見人就任の挨拶をするとともに、請求書・領収書の送付先変更届をしておきます。

6.債権者への届出
 本人に債務がある場合には、債権者に後見人就任の連絡をするとともに、請求書・領収書の送付先変更届をしておきます。また、借地・借家の場合には、地主・家主や不動産業者に対しても後見人就任の挨拶をするとともに、請求書・領収書の送付先変更届をしておきます。
【注意点】

第5 財産目録・予定収支表の作成
1.財産目録の作成期限
 成年後見人は、審判が確定し、成年後見人に就任したことを知った日から、すみやかに調査を開始し、1カ月以内にその調査を終わらせ、かつ、その財産目録を作成しなければいけません(民法853条1項)。
 保佐人と補助人には、当然に財産管理権があるわけではないので、法律上、財産目録を作成する義務はありません。ただし、財産管理に関する代理権が付与されている場合には、実務上、家庭裁判所や監督人の要請に基づいて、財産目録を作成することになります。
2.後見監督人が選任されている場合
 後見監督人が選任されている場合は、財産の調査およびその目録の作成は、後見監督人の立会いのもとに行うこととなります。後見監督人の立会いがなければ、財産調査・財産目録作成は効力を生じません(民法853条2項)。実務では、後見人が財産を調査し、作成した財産目録を後見監督人がチェックする方法がとられていますが、事前に後見監督人に連絡し、相談しながら手続を進めていくようにしましょう。
3.後見人の権限の制限
 後見人は、財産目録の作成が終了するまでは、急迫の必要がある行為以外の行為を行うことはできません(民法854条)。急迫の必要がある行為とは、被後見人に回復しがたい財産上の不利益をもたらす事態をさけるために、財産目録の作成前でもする必要がある行為を指します。たとえば、未払いの家賃がある場合に契約を解除されないように滞納分を支払う場合や、在宅で暮らしている被後見人の家が老朽化し安全に暮らせないために修繕する場合などです。不動産の売買契約や施設の入所契約など、急いで手続をしたい場合もあるかもしれませんが、そういったことは通常、急迫の必要がある行為とはいえないと思われることから、財産目録を作成した後に手続を進めていくことになります。
【注意点】
第6 後見事務の方針の決定
 後見人の事務は、財産管理と身上監護に分けられ、後見人は本人のよりよい生活を実現するために身上監護を行わなければなりません。後見人は、本人の財産を保管するだけでなく、本人の意思を尊重し、その心身の状況、生活の状況に配慮して、有意義に使うことが求められています。本人の財産を有意義に使うためには、今までに作成した財産目録および収支予定から今後の後見事務の方針を決めておくとよいでしょう。後見事務の方針を決めるにあたっては、まずは本人と面談し、本人の状況を把握し本人が具体的にどのような生活を望んでいるのかを確認しておくことです。できる限り本人の意向に添いつつ、本人保護の観点からも後見人としてどのような支援ができるかについて、生涯にわたってシミュレーションしておくことが大事です。
 しかし、本人の意思や状況によっては方針を変更せざるをえない場合もあるので、その場合は臨機応変に対応することが望まれます。【注意点】

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