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5.限定承認の手続きの流れ

【限定承認の手続きの流れ】
先日,役所から手紙が届き,その手紙によると,私の伯父が亡くなくなり,私が相続人になったようです。しかし,生前には,伯父と親交もなく,伯父の財産が最終的にプラスになるのか,マイナスになるのかがわかりません。したがって,限定承認の手続きをしたいと考えていますが,どのように手続きすれば良いでしょうか?

限定承認の手続の流れは,下記のとおりとなります。
①相続財産の調査
 限定承認をするかどうかを決めるためには,まず,相続財産としてどのようなプラスの財産やマイナスの財産があるのかということを調査しなければなりません。例えば,不動産であれば登記事項証明書・固定資産の評価証明書,預貯金・株式であれば残高証明書,などを取得します。また,債務の調査のために,CIC・JICC・全銀協等の信用情報機関へ照会することも必要でしょう。さらに,遺品を確認し,また被相続人宛てに送られてくる郵便物などを確認できるなら確認しましょう。
②限定承認の申述《期間制限3ヶ月》
 相続人は,限定承認をしようとするときは,相続人は,自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内に,相続財産の目録を作成して家庭裁判所に提出し,限定承認をする旨を申述しなければなりません。(もっとも,自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に,相続財産の目録を作成することは,時間的に難しいことも多いです。その場合には,自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内に,【相続の承認又は放棄の期間伸長】の申立てを行います。なお,名古屋家庭裁判所の場合には,原則として,申立人側が“平成○年○月○日まで伸長してください”と申立てしても,相続があったことを知った日から6ヶ月後の日まで期間を伸長するという審判が下されるようです。)なお,共同相続人がいる場合,限定承認をするには,その共同相続人全員で申述をしなければならないとされています。また,他の共同相続人が単純承認をしたり又は法定単純承認に該当する行為をしてしまうと,もはや限定承認はできなくなります。そのため,限定承認をする場合には,あらかじめ他の共同相続人が誰なのかを調査しておき,共同相続人全員に連絡して,限定承認をすることに協力してもらうように依頼をしておく必要があります。
③限定承認の受理の審判
 限定承認の申述書を提出した後,家庭裁判所から,照会書が送付されてきたり,申述書の内容等に不明点があるような場合には,裁判所から問い合わせや資料の追完などが求められることもあります。これらの照会に回答するなどした後,裁判所によって限定承認の申述を受理するか否かの判断がなされ,受理するということになれば,申述受理の審判がなされます。申述受理の審判がなされると,家庭裁判所から,限定承認受理について通知書が送られてきます。
④債権者保護手続(官報公告)
 限定承認をした者は,限定承認の申述の受理をされた日から後5日以内に,すべての相続債権者及び受遺者に対し,限定承認をしたこと及び2ヶ月以上の一定の期間内にその請求の申出をすべき旨を公告しなければなりません。なお,限定承認者が2名以上で,相続財産管理人が選任された場合には,選任後10日以内に,すべての相続債権者及び受遺者に対し,限定承認をしたこと及び2ヶ月以上の一定の期間内にその請求の申出をすべき旨を公告しなければなりません。この期間内は,相続人は各債権者に対してその弁済を拒むことができます。それどころか,この期間中に特定の債権者のみに弁済をして,そのため他の債権者に弁済することができなくなった場合は,これによって生じた損害を賠償する責任を負うことになりますから注意が必要です。以下,限定承認をした者及び相続財産管理人を,相続財産管理人等といいます。
⑤財産の換価=原則:競売
 限定承認をした場合,相続財産管理人等は,相続債権者及び受遺者に弁済をするにつき相続財産を売却する必要があるときは,限定承認者は,これを競売の手続きにより換価しなければならないことになります。例えば,不動産・動産・有価証券・その他債権は,金銭ではないため,競売手続によって換価手続を行うことになります。
⑥財産の換価=例外:先買権行使
 限定承認をした場合の換価手続は,相続財産管理人等は,相続債権者及び受遺者に弁済をするにつき相続財産を売却する必要があるときは,原則として,競売手続きによることになります。もっとも,家具等の安価な財産まで競売の手続をすると相続財産の換価・換金は,いっそう困難な場合があります。また,競売手続きをとることで,相続財産の価値を下げることにも繋がりかねません。さらに,居住不動産など相続人が取得したいという相続財産がある場合もあります。そこで,例外的換価方法として,「先買権行使」という方法を実務上使うことがあります。先買権行使とは,相続人が,家庭裁判所が選任した鑑定人の鑑定価格以上の金員を支払って,その競売を止め,相続人が,相続財産の所有権,処分等完全な支配権を取得する方法です。(ただし,この先買権行使には,抵当権の実行等に基づく競売手続き等を停止する等の権限ないし権利はありませんので注意が必要です。)先買権行使を行使するには,まず(ア)家庭裁判所に,「先買権を行使して,特定の遺産の所有権を取得するため」の鑑定人選任の申立をします。その次に,(イ)家庭裁判所が鑑定人を選任し,(ウ)鑑定人による時価価額の鑑定が行われます。また,(エ)相続人は,相続財産管理人に対し,鑑定価格以上の一定の金額で先買権を行使する旨の意思表示をし,(オ)鑑定価格以上の金員を相続財産管理人に交付します。この交付により,財産の換価手続きは終了します。(カ)そして,先買権の目的となった資産が不動産である場合,法定相続分による相続登記を経た後に,【民法第932条ただし書きの価額弁済】を原因として,先買権を行使していない相続人から先買権を行使した相続人に対し,持分移転登記をします。(なお,法定相続人が一人の場合及び,法定相続人全員が法定相続分の割合で先買権を行使した場合には,持分移転登記は不要となります。なぜならば,相続財産管理人に鑑定価格以上の金員を交付することによって換価手続は終了しているからです。)
⑦配当手続<公告期間満了後の弁済>
 公告期間が満了した後は,相続財産管理人等は,相続財産をもって,公告期間内に申出をした相続債権者その他知れている相続債権者に,それぞれその債権額の割合に応じて弁済をしなければなりません。相続財産管理人等は,次のとおり,配当します。弁済の順序は次の通りです。(1)相続財産について優先権を有する相続債権者,(2)優先権を持たない相続債権者,(3)受遺者,(4)申出期間内に申し出なかった債権者,(5)申出期間内に申し出なかった受遺者。なお,相続財産管理人等は,弁済期に至らない債権であっても,それぞれその債権額の割合に応じて弁済をしなければなりません。また,条件付きの債権又は存続期間の不確定な債権は,家庭裁判所が選任した鑑定人の評価に従って弁済をしなければなりません。
⑧残余財産の分配
 配当手続きが終了したら,限定承認者間で残余財産の分配を行います。

お気軽にお問い合わせください。 TEL 050-5891-6050 受付時間 9:30 - 18:30(土・日・祝日も可)

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