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遺言の必要性が特に強い場合

遺言の必要性が特に強い場合とは,どのような場合ですか?

遺言の必要性が特に強い場合とは,どのような場合ですか?
 遺言を残す最大のメリットは,相続手続きにおいて,“相続人全員の合意”が必須の遺産分割協議が,不要になるということです。したがって,ほとんどの場合において,遺言者が,ご自分のおかれた家族関係や状況をよく頭に入れて,それにふさわしい形で財産を承継させるように遺言をしておくことが,遺産争いを予防するため,また後に残された者が困らないために,必要なことであると言ってよいと思いますが,下記(1)から(18)のような場合には,遺言をしておく必要性がとりわけ強く認められます。

(1)夫婦の間に子供がいない場合

私たち夫婦の間に子供がいないのですが,遺言を残さずに,一方に相続が起こった場合,非常に大変なことになると聞いたことがあります。それはなぜ起こるのでしょうか?
 例えば,夫婦の間に子供がいなく,夫の両親が既に他界しており,夫が他界した場合には,法定相続となると,夫の財産は,妻が4分の3,夫の兄弟が4分の1の各割合で分けることになります。つまり,遺言がない場合には,奥さんは,血のつながっていない親兄弟と,全員合意が必須の遺産分割協議をしなければなりません。仮に,法定相続人である夫の兄弟に,お金に困っている人がいたら,その兄弟は,「夫所有の自宅を売り払って,その売却代金の4分の1をよこせ!」と主張するかもしれません。このように,遺言がない場合には,非常に深刻な相続トラブルが発生するおそれがあるのです。
 しかし,長年連れ添った妻に財産を全部相続させたいと思う方も多いでしょう。そうするためには,遺言をしておくことが必要不可欠なのです。遺言さえしておけば,兄弟には,遺留分がありませんから,財産を全て愛する妻に残すことができます。 長年連れ添った妻と自分の家族が争うことは絶対に避けたいことでしょう。夫婦の間に子供がいない場合には,遺言は必須のものと考えてください。
遺留分とはなんですか?
 遺留分とは,民法で定められている一定の相続人が最低限相続できる財産のことをいいます。基本的には,亡くなった人の意思を尊重するため,法定相続分よりも遺言書の内容が優先されますが,その例外として,遺留分の制度が定められています。
 例えば,遺留分という制度がない場合,「自分が死んだら,愛人に全財産をあげる」という遺言書を作られてしまうと,残された家族は財産を相続することができなく気の毒になります。したがって,民法では最低限相続できる財産を,遺留分として保証し,被相続人の家族の保護をはかっているのです。遺留分が保証されている相続人は,配偶者,子供,父母です。法定相続人の兄弟は,遺留分を保証されていません。法定相続人と,遺留分権利者は異なりますので,注意しましょう。
 なお,侵害された遺留分を確保するためには,遺言書により財産を相続した人に,「遺留分減殺請求」をする必要があります。先の例で言えば,遺留分減殺請求をしない限り,相続財産は,全て愛人のものになってしまうのです。気をつけなければならないのは,遺留分減殺請求権の時効です。「遺留分減殺請求」の権利は,相続開始,および自分の遺留分が侵害されていることを知った日から1年,あるいはそれを知らなくても相続開始の日から10年を過ぎると,時効で消滅するので注意をしてください。遺留分として請求できるのは,配偶者や子供が法定相続人にいる場合は相続財産の2分の1,法定相続人が親だけの場合は,相続財産の3分の1になります。

(2)子どもたちの仲が悪い場合

私の子どもたちは,小さい頃から仲がとても悪く,私が亡くなった後に相続問題を起こさないか心配です。長男には,先祖代々の土地を受け継がせたいのですが,大丈夫でしょうか。
 子どもたちの仲が悪い場合,かなりの確率で相続トラブルが発生すると覚悟したほうがよいでしょう。
 注意したいのは,被相続人と一緒に暮らしていた長男と,その他の兄弟姉妹との関係です。現在の法律では,長男の特権が法的に認められていませんが,長男の発言力が強いケースは多いのです。例えば,長男が,同居して親の世話をしていたのであれば,長男としては,親の相続財産を全て相続できるものと思っていることも多く,相続問題に発展しやすいです。
 「長男には,先祖代々の土地を受け継がせたい」といった具体的に希望がある場合には,その旨を遺言に遺しましょう。また,具体的に希望がなくても,子どもたちの仲が悪い場合には,遺言を遺し,親が相続財産を相続させる者を具体的に指示することで,できるだけ子どもが争わなくていいようにしましょう。
被相続人とは?
 被相続人とは,遺産を遺した人,つまり亡くなった人のことです。被相続人・相続人・受遺者・遺言者・受贈者・遺贈者など法律上の言葉は様々あり,どれも似ていますが,異なる意味となっています。遺言を遺す際には,細心の注意をもって,遺言を遺しましょう。

(3)子どもたちの学歴など社会的身分に差がある場合

私の子どもたちは,兄弟間で,全く違います。長男は東大を出て海外で働いているというのに,次男は,高校で暴力事件を起こし高校を中退になってしまい,今でも自宅におり,まともに働きもしません。たしかに,子どもはどちらも大事ですが,次男では,先祖代々の土地を引き継いでいってもらえそうにないので,長男に引き継いでもらいたいのですが・・・
 子どもたちの学歴など社会的身分に差がある場合,先祖代々受け継いできた土地等は,親としては立派にしているお子さんの方に多くの財産を渡したいと考え,生前に多くの財産を渡すことも珍しくありません。しかし,その一方で,その他の財産をあまり受け取っていない子どもたちからは,不満が出ます。親に愛されてなかったと思い込み,相続人の全員の合意が必須の遺産分割協議を妨害するケースが後を絶ちません。
 また,財産を多く受け取っている子どもの側も,「自分は他の相続人よりも優秀なのだから多く財産を取得できるはずだ」と思っているケースもあります。このような場合には,遺産分割協議が成立しなくなり,お互いに相続財産の引き継ぎができなくなります。
 遺産分割協議が成立しない場合に,相続手続きを行うためには,裁判所等を使った手続き以外に方法はないので,多額の費用が相続人にのしかかってきます。もっとも,遺言を遺しておけば,遺産分割協議は不要であり,相続問題を起こさなくて済みますので,絶対に,遺言を遺しましょう。

(4)再婚をし,先妻の子と後妻がいる場合

私の家族には,先妻との間の子と後妻がおります。私が亡くなった場合には,先妻の子には,申し訳ないが,財産を相続させるつもりはありません。この場合,遺言を遺さないと,どのような問題が生じるのでしょうか?
 まず,先妻との間の子どもは,あなたの子どもでもあるので,法定相続人です。したがって,法定相続人は先妻の子と後妻となります。先妻の子と後妻との間では,とかく感情的になりやすく,遺産争いが起こる確率も非常に高いので,争いの発生を防ぐため,遺言できちんと定めておく必要性が特に強いといえましょう。
 遺言を遺していない場合,先妻の子と後妻で遺産分割が必要になります。仮に,先妻の子が未成年者の場合,相続人ではない先妻と後妻で遺産分割協議をしなければならない可能性も出てきます。こうなってしまうと,遺産分割協議は成立する見込みがなく,相続財産の引継ぎの手続ができなくなります。“遺言を遺しておけばよかったのに”という典型例でもあります。

(5)配偶者に連れ子がいる場合

私の夫には,連れ子がいます。その連れ子とは,苗字が一緒なので養子縁組をしていませんが,私が亡くなった場合,その子には相続権がないと聞いたのですが本当ですか?
 本当です。配偶者の連れ子は子ではないので相続人にはなれません。連れ子に財産を遺すには,生前に養子縁組を行うか,遺言によって遺贈を行う必要があります。連れ子の場合に,よく問題になりやすいのは,夫の連れ子と妻との関係です。妻の連れ子と夫は,夫と妻が婚姻して妻の苗字が変わっても,妻の連れ子は苗字が変わりませんので,養子縁組をして,連れ子の苗字を夫の苗字に変更させることが一般的に行われています。もっとも,夫の連れ子と妻は,苗字が一緒なので,養子縁組をしないまま,長年生活してしまうこともあります。こうして,長年親子同然の生活をしておきながら,親子関係がなく,相続人ではないということもあります。配偶者に連れ子がいる場合には,相続トラブルを起こしやすいので,養子縁組や遺言で対策をしましょう。

(6)隠し子がいる場合

妻には内緒ですが,私には,隠し子がいます。その隠し子には,大変苦労をかけたので,相続財産をいくらか渡したいと考えておりますが,どういった手続きをしなければならないでしょうか?
 なるほど,それは大変ですね。まず,認知をしていない隠し子は相続人にはなれません。認知をしていない隠し子に財産を遺すには,①認知をせずに遺贈するか,②生前又は遺言で認知し,遺言で財産を相続させましょう。なお,(5)の比較として,養子縁組は遺言によって行えませんのでご注意ください。
 隠し子を認知している場合,隠し子は相続人となりますので,妻と隠し子で遺産分割協議をすることになります。隠し子と妻との間では,とかく感情的になりやすく,遺産争いが起こる確率も非常に高いので,争いの発生を防ぐため,遺言できちんと定めておく必要性が特に強いといえましょう。
 当事務所では,ご家族に内緒で,遺言を遺すこともできます。ぜひご相談ください。

(7)相続人が多い場合

私たち夫婦には子どもがいなく,夫の相続人が,20人を超えるようなのですが,夫が亡くなった場合には,何か問題になるでしょうか?
 相続人が多い相続手続きは手こずります。全員の合意に時間と手間がかかるからです。相続人同士の住所地が日本全国に散らばっていたり,海外にいたり,疎遠だったりすると,遺産分割の話し合いは困難になります。また,相続人が多ければ,話し合いをかき乱すトラブルメーカー(例えば,相続人の配偶者や子どもなど相続人ではない人も口を出してきます。)が出てきたりする確率も高まります。

 相続人が多くなることが予測される場合には,遺言によって財産の分割法を指定し,同時に遺言執行者も指定しておくべきです。遺言を遺しておけば,遺産分割協議不要となるからです。遺言執行者には,司法書士など専門家に依頼をしておき,遺言で指定するのが望ましいといえます。

遺言執行者とは?
 遺言執行者とは,遺言書の内容を具体的に実現する人をいいます。遺言書に書かれている内容・趣旨にそって,相続人の代理人として相続財産を管理し名義変更などの各種の手続を行います。遺言執行者を指定しておくことで,相続人間の紛争を緩和することが期待できます。また,役所や銀行等での相続手続きがスムーズに進ませるために,専門家に遺言作成を依頼する場合には,同時に遺言執行者になってもらうよう依頼しておきましょう。

(8)相続人に失踪者・行方不明者がいる場合

私の兄弟の一人が行方不明になっているのですが,父の相続に際して,何か問題になるでしょうか?
 相続人に失踪者・行方不明者がいる場合には,相続手続きとは別に裁判所での手続きが必要であり,「時間」と「手間」と「費用」がかかります。例えば,裁判所で失踪宣告の手続きを行う場合には,最低でも6ヶ月以上の時間が必要であり,手続費用としては20万円から30万円ほどかかります。行方不明者がいる場合には,行方不明者のために,家庭裁判所に対して不在者財産管理人の選任の申立てをし,選任された不在者財産管理人がその行方不明者に代わって,手続に参加します。ただし,不在者財産管理人が遺産分割の調停や協議を行うためには,家庭裁判所の許可が必要になります。

 上記のような手続きが終了しないと,預貯金の払戻しもできないので,相続人は大変困ります。しかし,遺言を遺すことによって,この「時間」と「手間」と「費用」をかけずに済みます。

 当事務所では,相続人に失踪者・行方不明者がいる場合の手続にも対処可能ですが,そのような手続きではなく,遺言で事前に対策をすることをおすすめいたします。

(9)相続人に未成年者がいる場合

子どもが小さいのに,夫が,末期癌になってしまいました。もし,夫が亡くなった場合には,どのような問題が生じるのでしょうか?
 相続人に未成年者がいる場合には,相続手続きとは別に裁判所での手続きが必要であり,「時間」と「手間」と「費用」がかかります。例えば,共同相続人のなかに,未成年者とその子の親権者がいる場合,(1)未成年者の法定代理人である親権者が,その子に代わって遺産分割手続に参加することになりますが,その親権者も相続人である場合は,子と親権者は 利益相反の関係(親権者が多く取得するという利益が子の取得分が少なくなるという不利益になる関係のこと)にあることから,その親権者はその子のために, 家庭裁判所に対して,特別代理人(親権者に代わって未成年者を代理する人)の選任の申立てをする必要があります。(2)また,親権者を同じくする複数の未成年者が共同相続人の中にいる場合,その親権者がそれぞれの未成年者の法定代理人として遺産分割手続に参加することになりますが,その一人の子と他の子は利益相反の関係にあることから,この場合についても,その親権者は他の子のために,家庭裁判所に対して,特別代理人の選任の申立てをする必要があります。未成年者である相続人が養子の場合,さらに手続きが複雑になります。裁判所での手続費用としては,15万円から25万円が相場のようです。

 このように,相続人に未成年者がいる場合であっても,遺言を遺すことによって,この「時間」と「手間」と「費用」をかけずに済みます。

(10)相続人にお金に困っている人がいる場合

私の息子の一人が,借金グセがありまして,困っています。もし,私が亡くなった場合,相続手続きで問題にはならないでしょうか?
 相続人にお金に困っている人がいる場合には,遺産分割協議の成立の実現可能性が低くなります。

 この場合,借金問題に長けている法律家ですと,遺言はもとより,遺言による手続きにとどまらず,さまざまな方法をとることができます。ぜひ当事務所にご相談ください。

(11)世話をしてもらった人に財産を分けてやりたいとき

長男の嫁には,看病してもらったり,事業を手伝ってもらったりと,なにかとお世話になっているので,財産を残したいと考えていますが,どうすればよいでしょうか?
 例えば,長男死亡後,その妻が亡夫の親の世話をしているような場合には,その嫁にも財産を残してあげたいと思うことが多いと思いますが,嫁は相続人ではないので,遺言で嫁にも財産を遺贈する旨定めておかないと,お嫁さんは何ももらえないことになってしまいます。
 相続人であれば,被相続人の事業を手伝ったり,被相続人の財産の維持や増加に特別の貢献をしたり,被相続人の療養看護に尽くしたりした場合には, “寄与分”という権利が認められ,法定相続分に貢献した分をプラスして受け取ることができます。
 しかし,この寄与分は,相続人にしか認められないので,相続人ではない嫁は寄与分を受け取ることができません。
 長男の嫁でなくても,相続人ではない方(例えば,お孫さん)に,財産を残したい場合には,遺言で遺贈することが必要となります。
寄与分とは?
 「寄与分」とは,被相続人の生前において,被相続人の財産の維持又は増加に貢献した者がいる場合,それを遺産分割において考慮する,というものです。この寄与分というものは,単に同居して親の面倒を見ていたという程度ではなかなか認められず,「特別な寄与」があったと認められなければなりません。
 親の面倒をみることは,子どもであれば当然のことですから,常識的な援助(例えば,親が入院しているときに世話をした等)をしていただけでは認められることは難しいです(大阪家庭裁判所堺支部平成18年3月22日審判)。
 特に,親の「財産」の維持等に貢献したという事情,例えば子の貢献によって財産が増えた,又は余計な出費が減ったといった事情があることが重要です。

(12)内縁の妻がいる場合

私には,内縁の妻がいるのですが,内縁の妻には,相続権がないのでしょうか?
 長年夫婦として連れ添ってきても,婚姻届けを出していない場合には,いわゆる内縁の夫婦となり,内縁の妻は相続人ではないので,相続権はありません。法定相続人がいる場合,法定相続人が,すべての財産を相続しますから,内縁の妻には財産を相続する権利はありません。
 仮に内縁の妻が,被相続人の財産の維持,または増加について特別に寄与した人であっても,寄与分が認められるのは法定相続人のみですから,内縁の妻は寄与分を主張することもできません。そのため,内縁(事実婚)の妻に財産を残すためには,遺言書を作成することによって遺贈をします。被相続人の兄弟姉妹が法定相続人である場合,兄弟姉妹には遺留分がありませんから,すべての財産を内縁の妻に残すことも可能です。
 したがって,内縁の妻に財産を残してあげたい場合には,必ず遺言をしておかなければなりません。

(13)相続させたくない相続人がいる場合

親不孝なドラ息子には,財産を相続させたくありません。どのような手続きをすればよいでしょうか?
 昨今は高齢者に対する虐待も増えています。身体的な虐待ばかりではなく,嫌がらせや暴言などの心理的虐待,介護や世話の放棄,財産を勝手に使い込む経済的虐待などもあるようです。
  「親不孝な息子や面倒を見てくれない娘に財産を一切残したくない」このように考える人もいるでしょう。実際このような相談はよく持ち込まれます。このような相談の場合には,遺言により他の相続人に全財産を相続させると同時に,遺留分をなくすために,“廃除”という制度のご利用をおすすめします。自分の意思で相続人の立場を放棄する“相続放棄”に対して,被相続人の意思に基いて相続の権利を失効させるのが“廃除”です。
  廃除の手続きは,被相続人自身が生前に家庭裁判所に申し立てることによっても行うこともできます。しかし,生前にそんなことを行えば,報復行為に出ないとも限りません。そこで,遺言に廃除の意思と廃除理由を書き,遺言執行者を指定して相続開始後に遺言執行者が家庭裁判所に廃除の申し立てを行う方法もあります。
 ただし,廃除は当然に認められるものではなく,家庭裁判所の審判を要します。裁判例では廃除が認められないケースも少なくありません。したがって,廃除が認められた場合と認められなかった場合を想定した,遺言の作成をしましょう。

(14)事業を経営していたり,農業をしている場合

私は,農業を行っている者でして,私の亡き後,なにか問題は起きないでしょうか?
 個人で事業を経営していたり,農業をしている場合などは,その事業等の資産や土地などを複数の相続人に分割してしまうと,上記事業の継続が困難となりましょう。このような事態を招くことを避け,家業等を特定の者に承継させたい場合には,その旨きちんと遺言をしておかなければなりません。
 いわゆる事業承継問題が起こります。
 例えば,事業が株式会社化されている場合には,①遺留分に注意して,②株式の種類を増やし,③株式の内容を変更し,④株式の相続時の評価を考慮しつつ,⑤遺言によってその株式の分配を決めることになります。
 また,農業をしている方に限らず,農地をお持ちの方の遺言の作成の場合には,農地法を考慮して遺言を作成しなければなりません。
事業承継は,複数の専門家(司法書士・税理士,場合によっては弁護士など)で対処しないと難しいことも多いので,まずは当事務所にご相談ください。

(15)不動産を所有している場合

私の財産は,自宅以外には,ほんの僅かな,預貯金しかありません。私のような場合でも遺言は必要なのでしょうか?
 遺産分割では「分けられない財産」がしばしばトラブルのタネになります。その最たるものは相続財産の約50%を占める不動産です。
 不動産でも自宅は特にトラブルのタネになります。なぜなら,遺産分割しようにも自宅は分けられないからです。遺産分割の方法の一つである代償分割をしようにも,莫大な対価を支払うことになるので,なかなか遺産分割協議が成立しません。したがって,自宅以外に分ける財産がいない場合には,遺言は必須です。
遺産分割方法とは,どのような方法があるのでしょうか?
 遺産がすべて現金や預貯金なら,頭を悩ませずとも相続分どおり簡単に分割することができます。しかし,現実には遺産の多くは宅地であったり,農地であったり,家であったりして,簡単に分割できるモノばかりではありません。そこで相続人全員が納得できるよう,できるだけ公平に遺産を分けるテクニックが必要になってきます。遺産の具体的な分割方法には,主に次の4つがあります。これらの方法をうまく使い分けて遺産分割することになります。

(1)現物分割
・個別の相続財産の取得者を決定し,各共同相続人に遺産を分割する方法を「現物分割」といいます。例えば,不動産がA,B,Cとあるとき,Aは配偶者,Bは長男,Cは次男,というように不動産ごとに決めていく方法です。
・遺産分割の原則的な方法ですが,財産の価額には通常は格差がありますので,この方法だけでは相続分どおりに分割するのは難しいといえます。
・例えば,大きい土地の場合であれば,分筆して分割することも可能です。例えば,相続人が3人で相続分も等しい場合,土地AをA-1,A-2,A-3 に分筆し,各々が取得する場合があります。

(2)換価分割
・不動産を売却して現金で分割する方法を「換価分割」といいます。いずれの相続人も不動産の取得を希望しない場合や,相続税納税資金を捻出する場合になどに利用される方法です。 売却した金銭で分割するため,相続人間で公平に分けることができます。
・換価分割する場合,相続税の他,譲渡所得税の対象となります。
・売却にあたっては,売却時期,売却価格,仲介手数料などの費用負担などについて,相続人全員の合意が必要となり,手間を要します。
・他人に貸している土地や先祖代々の田畑,自宅などは簡単に売却することができない場合もあります。また,売却できたとしても,自分たちの希望した価格で売却できない場合もあります。

(3)代償分割
・相共同相続人のうち,一人または数人が不動産を取得し,他の共同相続人に代償金で補てんする方法を「代償分割」といいます。例えば,長男が親と同居していて,住宅を長男が相続する場合です。長男は住宅を相続する代償として,他の相続人に長男所有の現金や不動産を与えることとなります。
・代償分割のメリットは,不動産を分割することなく,特定の相続人に継がせることができることにあります。 特に,事業を営んでいる場合,営業上その不動産を特定の相続人が継承する必要がある場合などに有効でしょう。
・代償分割は事業用資産などの分割しにくい財産の対処法としてよく用いられますが,代償分割のデメリットは,支払者に相応の資力があることが前提となることです。
・対価の支払いは金銭で支払う方法のほかに,その相続人がもともと保有していた不動産や株券などの現物を交付する形もあります。ただし,この場合は譲渡所得税がかかるので注意が必要です。
・また,代償金を支払うことについては,遺産分割協議書に記載しておく必要があり,記載が無い場合には,贈与税の対象となってしまいます。 また,代償として不動産を与える場合,与えた方は不動産を時価で売却したものと見なされ,不動産譲渡所得の対象となるため注意が必要です。

(4)共有とする分割
・各相続人の持分を定めて,共有で取得する方法です。不動産などを公平に分割するには手軽な方法ですが,共有者全員の合意がなければ売却できないなどの制約があり,のちにトラブルを生む可能性があります。

 以上のように,それぞれの方法には-長一短があります。どれかひとつの方法に限定する必要はありません。財産の性質や個々の事情などを考慮し,上手に組み合わせる必要があり,司法書士等専門家に相談して決めた方がよいでしょう。

相続(≒争族)対策と生命保険の活用

 相続財産が自宅だけといった場合,相続人の間で公平に財産を分け合うには,(1)自宅を売却して金銭にするか,(2)自宅を相続する相続人が,他の兄弟に金銭を支払う,いわゆる「代償分割」による方法を取らなければなりません。

 しかし,例えば長男が自宅に住み続ける意思があった場合,他の兄弟との間でいわゆる「争族問題」が勃発します。兄弟だけならまだしも,兄弟に配偶者がいる場合,配偶者同士は赤の他人なので,なおさらで「争族問題」が深刻化します。

 上記のような場合には,生命保険を利用する手があります。この場合の契約者および被保険者は被相続人として,長男以外の兄弟を保険金受取人とする終身死亡保険に加入もしくは,既に加入しているのであれば受取人の指定の変更を生前もしくは遺言ですればよいのです。

 このようにすれば,長男以外の兄弟は,不動産以外に現金を受け取ることになるので,文句を言わなくなる可能性があります,もっとも,この方法は,法律上,厳密に言えば危険な方法と言えます。なぜならば,生命保険金は死亡保険金受取人固有の財産となるため,相続財産ではなく,遺産分割協議の対象外であるからです。つまり,長男以外の兄弟を保険金受取人とする保険を利用した場合には,未だ,長男以外の兄弟から,相続分を請求される可能性があります。

 それでは,長男以外の兄弟から,相続分を請求させないようにするにはどうすればよいでしょうか。それは,長男を保険金受取人とする保険を利用する方法が考えられます。この場合,保険金を受け取った長男が,自分が自宅を相続する代わりに,他の兄弟に金銭を支払うという,「代償分割」の方法を利用することになります。この方法にすると,長男は自宅,他の兄弟は金銭を受け取ることができ,「争族」を起こりにくくすることができます。 もっとも,保険金の額が高額である等により,いずれが受取人であるにせよ,特別受益に該当する場合もあるので,注意が必要です。

 いずれにせよ,相続財産が自宅だけといった場合,遺言での対策はしておくべきでしょう。

 

(16)子どもの家の購入のために資金を提供した場合

長男には,家の購入のために資金を提供しましたが,長女には,何も財産をあげていません。私の死後,長男と長女が争うことは避けたいのですが,どのようにすべきでしょうか?
 子どもの家の購入のために,被相続人が資金を提供した場合,その提供した資金全額が相続財産とみなされる場合があります。これを“特別受益”といいます。
 特別受益とは,特定の相続人が,被相続人から婚姻,養子縁組のため,もしくは生計の資本として生前贈与や遺贈を受けているときの利益をいいます。 相続人の具体的相続分を算定するには,相続が開始したときに存在する相続財産の価額にその相続人の相続分を乗ずればよいはずですが,特定の相続人が,被相続人から利益を受けているときは,その利益分を遺産分割の際に計算に入れて修正を行うことが公平といえます。
 特別受益が認められる場合には,その受益分を相続分算定にあたって考慮して計算することになりますが,この受益分の考慮を「特別受益の持戻し」といいます。
 もっとも,この場合であっても,被相続人が遺言で特別受益の持戻しを希望しない意思を表明している場合には,持戻しを行わないことになります。兄弟のうちで収入の低い子どもに対してのみ親が不動産購入の援助をしたために,後々,相続で問題になります。遺言で対策をおすすめいたします

(17)相続人毎に承継させたい財産を指定したい場合

私は,子どもが3人いるのですが,その一人に障害のある子がいます。その子に,相続財産を多く分けてあげたいのですが,何か気をつけなければならないことはありますか?
 各相続人毎に承継させたい財産を指定したい場合(例えば,不動産は,お金や預貯金と違い,事実上皆で分けることが困難な場合が多いでしょうから,これを誰に相続させるか決めておかれるとよいでしょう。),あるいは,身体に障害のある子に多くあげたいとか,遺言者が特に世話になっている親孝行の子に多く相続させたいとか,可愛いくてたまらない孫に遺贈したいとかのように,遺言者のそれぞれの家族関係の状況に応じて,財産承継をさせたい場合には,遺言をしておく必要があります。
 遺言を遺す際には,遺留分や特別受益の持ち戻しなどを考慮して作成する必要性がありますので,司法書士等専門家にご相談ください。

(18)相続人が全くいない場合

私には,身寄りのものが誰もいなく,相続人はおりません。しかし,私の財産を,私の死後,有効に活用してくれる団体に寄付したいと考えているのですが,どうすればよいでしょうか?
 相続人がいない場合には,特別な事情がない限り,遺産は国庫に帰属します。したがって,このような場合に,特別世話になった人に遺贈したいとか,お寺や教会,社会福祉関係の団体,自然保護団体,あるいは,ご自分が有意義と感じる各種の研究機関等に寄付したいなどと思われる場合には,その旨の遺言をしておく必要があります。
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