被後見人等の収入に、『年金収入』がある場合、どのように収入の管理をすべきでしょうか?
 後見人は、被後見人が国民年金、厚生年金等、各種年金の受給資格を取得した場合には、受給のための諸手続を行います。支給開始後は、支給される年金は後見人が管理する指定口座に振り込まれます。
 なお、支給時の留意点として、後見人としては、①支給時期に通帳に記帳して入金を確認すること、②振込通知書の内容を確認すること、③年に1度の現況届の提出を確実に行うこと、④障害年金を受給している場合で、障害の程度が変化した場合には改定請求の手続を行うことなどがあります。
被後見人等の収入に、『賃料収入』がある場合、どのように収入の管理をすべきでしょうか?
 被後見人がアパートや駐車場等賃貸物件を所有しており、これらからの賃料収入がある場合には、賃借人から賃料を受領することや、回収未了の賃料を把握し、その回収方法を検討すること等が、後見人の財産管理事務の一部となります。
 もっとも、例えば、被後見人所有の賃貸物件が、比較的規模の大きいマンションで賃借人が多数いるため管理業務が膨大である場合や、商業用テナントビルで賃料回収業務以外にもビル管理に伴う専門的な事務処理が付随するような場合には、それまでの管理方法との比較や、後見人の専門性の有無の程度、及び事務に要する費用と事務効率のバランス等諸事情を検討した上で、場合によっては、一括して不動産管理業者に委託することも、後見人の行う財産管理の方法として考えられます。
被後見人に収入がなく、扶養親族がいない、預貯金や資産がない、就労できないため日常の生活費や医療費、施設費の支払にも事欠くといった場合、どうすべきでしょうか?
 後見人は、被後見人に収入がなく、扶養親族がいない、預貯金や資産がない、就労できないため日常の生活費や医療費、施設費の支払にも事欠くといった場合、被後見人の生活を維持するための方策を検討する必要があります。
 このような場合には、被後見人の生活費を生活保護等の公的扶助制度に頼らざるを得ません。後見人は、市区町村役場の福祉担当の窓口に生活保護の受給要件を問い合わせたり、他に受けられる福祉制度がないかどうかについて相談したりするなどして、被後見人の生活費を手当てする方策を探さなければなりません。
被後見人に収入がなく、あるいは自身の収入だけで生活を維持することが困難で、生活保護等の福祉措置も受けられない場合、どうすべきでしょうか?
 後見人は、被後見人に収入がなく、あるいは自身の収入だけで生活を維持することが困難で、生活保護等の福祉措置も受けられない場合、被後見人の親族から扶養を受けることが可能かどうかを検討します。当事者間の協議が困難な場合は、後見人は家庭裁判所に調停を申し立てるのが相当です。