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【要件事実】連帯債務・保証債務の「連帯して」の意味

1.訴訟物

 保証契約に基づき,保証債務の履行を請求する場合,訴訟物は,「保証契約に基づく保証債務履行請求権」と記載します。

 それでは,連帯保証契約に基づき,保証債務の履行を請求する場合,訴訟物は「“連帯”保証契約に基づく保証債務履行請求権」と記載するのでしょうか。

 たしかに,「保証契約」と「連帯保証契約」は別個の契約類型と考えれば,「連帯」という要素が訴訟物の特定に必要となります。しかし,通説は,「保証契約」と「連帯保証契約」は、別個の契約類型ではなく,連帯保証契約は,「保証契約」に「連帯」の特約が付されたにすぎないものと考えることとなるので,連帯保証であっても、訴訟物は「保証契約に基づく保証債務履行請求権」とします。

 また,同様に,連帯債務の場合にも,連帯の特約が付されたからといって,訴訟物に変動が生ずるわけではなく,訴訟物は,連帯債務ではない通常の債務と異なることはありません。

2.請求の趣旨

 主債務者と連帯債務者(又は保証人・連帯保証人)を共同被告にして同時に請求する際の請求の趣旨の記載例は,下記のとおりです。

 ①被告らは,原告に対し,各自50万円及びこれに対する年月日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え
 ②被告らは,原告に対し,連帯して50万円及びこれに対する年月日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え

 上記①のような記載だと,法律家でない当事者に合計100万円を支払わなければならないという誤解を与えるとして,最近は②のように,「連帯して」という文言を入れることが多いようです。

 それでは,上記の「連帯して」という文言はどのような意味でしょうか。

 これは,債権者は,主債務者にも連帯債務者(又は保証人・連帯保証人)にも,それぞれに対し,全額請求できることを意味しています。なお,連帯保証における「連帯の合意」は,主債務と保証債務の関係をより一層強力にして,補充性や分別の利益(保証人が2人以上の場合)を奪う意味の特約でしかありません。したがって,上記が連帯保証であろうと,単なる保証であろうと,債権者は,主債務者と保証人(又は連帯保証人)に,それぞれに対し,全額請求できるため,「連帯して」という文言を使います。

3.請求の原因

 次に,請求の原因では,連帯債務・連帯保証は,どのように,影響を及ぼすでしょうか。

 まず,保証債務については,連帯の約定を,保証契約に付された特約と考えれば,連帯の約定は保証契約の本質的な要素ではないということとなる(これがなくても保証債務は成立する)ので,「連帯」の約定は,保証債務履行請求の請求原因ではありません。一般的に,「特約」の主張・立証責任については,これによって利益を受ける当事者が主張・立証責任を負う。したがって,「連帯の特約」は,保証債務履行請求に対して,債務者による「催告の抗弁」または「検索の抗弁」が主張された場合に,これらに対する再抗弁となる。

 次に,連帯債務については,連帯債務には付従性がないから,請求原因は,連帯債務ではない通常の債務の場合と異なることはなく,その発生原因事実のみが要件事実となり,「連帯」の約定は,請求原因ではありません。

 上記のとおり,連帯債務についても,連帯保証についても,請求原因では,「連帯の合意」は出てきません。「連帯の合意」がなくても,双方に全額請求できるからです。連帯保証の場合には,「連帯の合意」は,補充性に対する再抗弁や,保証人が2人以上の場合に分別の利益を排除するための請求原因になるだけです。そうすると,認定考査等で,保証人1人だけの事案ですと,「連帯の合意」を請求原因に書くのは,よけいな記載であるということになります。認定考査では,よけいなことを書くと減点になりますので,書いてはいけませんので気をつけましょう。

3.注意事項

 連帯保証の場合には,上記に関わらず,訴状を起案せよという課題であれば,「連帯の合意」を記載すべきです。

 主債務と保証債務が連帯関係にある場合,請求原因の段階で,本来再抗弁に位置づけられるからといって出し惜しみする必要はなく,訴状における請求原因において「連帯の合意」を記載して,補充性に関する抗弁は成り立たないことを示しておけば,補充性に関することは争点にならないことがわかります。自己に有利で立証できるのであれば,再抗弁を,訴状で記載することはよくあることです。

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