目次【「みなし解散と継続の登記」の窓口】

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第1 みなし解散と継続の登記とは-わかりやすく詳しく解説

1.10月頃に名古屋法務局から「みなし解散」の「通知書」が届いた

10月頃に名古屋法務局から「みなし解散」の「通知書」が届きましたが、「みなし解散」とは、どのような制度なのですか?

 みなし解散とは、株式会社の場合、登記をしないまま12年以上放置しておくと、強制的に解散登記がなされてしまう制度です(一般社団法人や一般財団法人の場合には、登記をしないまま5年以上放置しておくと、強制的に解散登記がなされてしまう制度です)。

見本「みなし解散の通知書」
見本「みなし解散の通知書」

 なお、みなし解散は、「休眠会社・休眠一般法人の整理作業」の一部となります。

休眠会社と休眠一般法人の整理の流れ「みなし解散と継続の登記」
休眠会社と休眠一般法人の整理の流れ

2.なぜ「みなし解散」されるの?

なぜ「みなし解散」の登記を、役所が勝手にするのですか?

 長期間登記がされていない株式会社、一般社団法人又は一般財団法人は、既に事業を廃止し、実体がない状態(休眠状態)となっている可能性が高いと判断できます。

 そして、このような休眠状態の株式会社、一般社団法人又は一般財団法人の登記をそのままにしておくと、(1)事業を廃止し,実体を失った会社がいつまでも登記上公示されたままとなるため、登記の信頼を失いかねないこと、(2)休眠会社を売買するなどして、犯罪の手段とされかねないこと等の問題が発生します。

 そのため、長期間登記がされていない株式会社、一般社団法人又は一般財団法人は、「みなし解散」されることになっています。

3.なぜ「12年(又は5年)」の登記の放置で解散?

なぜ「12年(又は5年)」の登記の放置で「みなし解散」の登記を、役所が勝手にするのですか?

 株式会社の「12年」の根拠については、役員の任期が影響しています。具体的には、株式会社の取締役の場合には、会社法の規定により、株式会社の取締役の任期は、原則として2年、最長でも10年とされています。そして、取締役の交替や重任の場合にはその旨の登記が必要ですから、株式会社については、取締役の任期毎(少なくとも10年に一度)に、取締役の変更の登記がされるはずです。

 一般社団法人及び一般財団法人の「5年」の根拠についても、役員の任期が影響しています。一般社団法人及び一般財団法人の理事の場合には、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律の規定により、一般社団法人及び一般財団法人の理事の任期は2年とされ、少なくとも2年に一度、理事の変更の登記がされるはずです。

 それにも関わらず、取締役(理事)の変更の登記がなされていないということは、その株式会社( 一般社団法人及び一般財団法人 )は休眠状態(会社として動いていない)になっている可能性が高いという判断です。

【変更登記の義務がある】 
 株式会社、一般社団法人又は一般財団法人の登記等については、取締役又は理事の変更に限らず、株式会社、一般社団法人又は一般財団法人は、その登記事項に変更があった場合には,所定の期間にその変更の登記をすることとされています。


4.令和3年度の休眠会社等の整理作業(みなし解散)

法務局から「令和3年度の休眠会社等の整理作業(みなし解散)について」の通知書が届きました。どうすればよいのですか?

 「令和3年度の休眠会社等の整理作業(みなし解散)について」の通知書への対応は次のとおりです。

事業を廃止していない場合

  • 令和3年12月14日(火)までに「事業を廃止していない」旨の届出
  • 令和3年12月14日(火)までに「必要な登記(役員変更等)」の申請

※令和3年12月14日(火)を経過している場合には、「継続の登記」をすることで会社を継続させることができますが、「継続の登記」も期限がありますので、常に会社を継続させることができるわけではありません。詳細は後記のとおりです。

 令和3年12月14日(火)までに①必要な登記(役員変更等)の申請をするか、②「まだ事業を廃止していない」旨の届出をしない限り,同月15日(水)付けで解散したものとみなされ,職権で解散の登記がされますので,御注意ください。
★ 「まだ事業を廃止していない」旨の届出をした場合であっても,必要な登記申請を行わない限り,翌年も「休眠会社・休眠一般法人の整理作業」の対象となりますので御注意ください。
★ 毎年、「まだ事業を廃止していない」旨の届出をした場合、「みなし解散」はされないことになりますが、その後、当該届出又は登記がされたとき、登記官は裁判所に対して過料事件の通知を行いますので、裁判所で過料(※)に処せられる可能性があります(会社法第915条,第976条,一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第303条,第342条)。
★ ①必要な登記(役員変更等)の申請、②「まだ事業を廃止していない」旨の届出を出しても、登記官は裁判所に対して過料事件の通知を行いますので、裁判所で過料(※)に処せられる可能性があります(会社法第915条,第976条,一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第303条,第342条)。
(※商業登記の過料は、「真面目に登記申請をしていたら支払わなくてもよかったのに」と思えるような金額の過料になるようです。なお、登記を放置している期間が長ければ長いほど、過料の金額が多くなります。)

事業を廃止している場合

  • 清算人の登記
  • 清算処理
  • 清算結了の登記

 

令和3年度の休眠会社等の整理作業(みなし解散)について【令和3年10月14日(法務省)】

 令和3年10月14日(木)に,12年以上登記がされていない株式会社,5年以上登記がされていない一般社団法人又は一般財団法人について,法律の規定に基づき,法務大臣の公告を行い,管轄登記所から通知書の発送を行いました。
 上記の株式会社,一般社団法人又は一般財団法人に該当する場合には,令和3年12月14日(火)までにまだ事業を廃止していない旨の届出を管轄登記所にする必要があります。その旨の届出等がされないときは,解散の登記をするなどの整理作業を行います(会社法第472条,一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第149条及び第203条)。( 「休眠会社・休眠一般法人の整理作業について」のページも御参照ください。)

https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00083.html


5.令和3年12月14日(火)を経過した→継続の登記

令和3年12月14日(火)までに①「事業を廃止していない」旨の届出と②「必要な登記(役員変更等)」の申請をしていないのですが、まだ、事業は廃止しておりません。どうしたら、よいですか?

会社の「継続の登記」を申請することになります。

【継続の登記の期限】
みなし解散の登記後3年以内に限り
,(1) 解散したものとみなされた株式会社は,株主総会の特別決議によって,株式会社を継続 (2) 解散したものとみなされた一般社団法人又は一般財団法人は,社員総会の特別決議又は評議員会の特別決議によって,法人を継続することができます。継続したときは,2週間以内に継続の登記の申請をする必要があります。

より具体的にいうと、株式会社の場合には、下記のような登記(及び株主総会の開催、株主総会議事録の作成、定款変更)が必要になります。

常に必要な登記など

  • 清算人(代表清算人)の就任の登記
  • 会社継続の登記
  • 役員(取締役,代表取締役,監査役)の変更の登記
  • 会社代表印の再提出

取締役会設置会社を取締役会設置会社として継続させる場合

  • 取締役会設置会社の定めの登記

取締役会設置会社を非取締役会設置会社として継続させる場合

  • (譲渡制限規定の定め方次第では)株式の譲渡制限に関する規定の変更の登記

監査役設置会社を廃止する場合

  • 監査役設置会社の定め廃止の登記

(場合によっては)下記の定款変更など

  • 役員の任期に関する規定
  • 株式の譲渡制限に関する規定
  • 取締役会設置会社の規定
  • 監査役設置会社の規定
  • 監査役の会計限定に関する規定

【定款変更を検討すべき機関】
取締役会、会計参与、会計監査人、委員会を置く旨の定款の定めは、清算株式会社となっても有効に存続しているものと考えられているため、これらの定めがある清算株式会社が存続する際には、特に定款変更をすることなくこれらの期間を置く義務が生じることになります。つまり、取締役会、会計参与、会計監査人、委員会を置く旨の定款の定めを変更しない限り、登記の申請義務が生じることになります。


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第2 継続の登記のメリットとデメリット

1.継続の登記のメリットとデメリットの一覧

継続の登記をするメリットと継続の登記をしないデメリットを教えて下さい。

継続の登記をするメリットは、「会社を継続させることができる」ことであり、継続の登記をしないデメリットは「会社を継続させることができなくなる」ことです。

継続の登記をするメリット

  • 会社を継続させることができる
  • 司法書士に相談することで、会社の今後のあり方を相談できる

継続の登記をしないデメリット

  • 会社を継続させることができなくなる

2.司法書士に相談して会社の今後のあり方を決める

継続の登記を司法書士に依頼するメリットはどこにありますか? 

 継続の登記は、簡単な登記手続ではありません。会社は、解散して清算状態(清算とは、会社のプラスの財産とマイナスの財産を精算などを行い会社を無くす手続)になっているので、会社を継続させるというのは、会社を設立するのと同様か、それ以上の労力が必要になります。

 また、「みなし解散」の場合には、登記を適切に行なっていなかったため、会社法・商業登記法等に関する法律に関して大変複雑な状態になっています。

 さらに、登記はミスをしていても、法務局や役所は教えてくれません。例えば、登記申請をしなければならない旨を法務局は教えてくれないし、間違った登記申請をしても書類上正しければ登記は通ってしまいます。法務局は、登記申請された内容で登記ができるか否かを判断するだけだからです。

 したがって、一般の方が商業登記をしていると、様々なトラブルを引き起こしていることがあります。具体的には、商業登記には、下記の典型的な失敗事例があります。なお、これらの失敗例は典型例であり、司法書士以外(一般の方は元より公共事業による役所などを含めて)が商業登記を行った場合、様々なトラブルを引き起こしています。

典型的な商業登記の失敗事例

  • 登記記録(登記簿)・定款・議事録(株主総会議事録・取締役会議事録)等が矛盾した状態になっている
  • 法律(会社法などの実体法)を知らないことによる、適切な登記申請ができていない(①会計限定監査役の定めを登記すべきところ登記申請をしていない、②取締役会設置会社を廃止していないのに、監査役設置会社を廃止しようとしている、③取締役会設置会社を廃止したのに、株式の譲渡制限規定の変更をしてない、など)
  • 法律(商業登記法などの手続法)を知らないことによる、適切な登記申請ができていない(①定款や議事録が適切に作成されていない、②役員の就任時、代表役員の選任時の印鑑証明書が適切に用意されていない、③役員の就任時の本人確認書類がない、など)
  • 上記1~3の内容を適切にするために何回も修正をすることで、さらに矛盾した状態に陥ること
  • 上記1~3の内容を適切にするために法務局や役所に何度も出向くことになり何十時間(何日)も使ってしまうこと

 上記のような典型的な失敗事例は、継続の登記を司法書士に依頼していれば、起きなかったことです。

 また、司法書士に継続の登記を依頼した場合は、下記のようなメリットがあります。

商業登記を司法書士に依頼するメリット

  • 適切な商業登記ができる
  • 今後の会社の見せ方(登記記録・登記簿)を検討することができる

 会社の登記簿(登記記録)は、①金融機関で融資を受ける際や、②役所から補助金を受けるとき、③役所から許認可を受けるとき、④新たな取引先と取引を開始するとき、などで使用されます。

 会社の登記簿(登記記録)は、その登記簿(登記記録)に記載されている内容の会社がどのような会社であるかがわかります。

具体的にいうと、例えば、①会社の商号が何度も変わっている会社は、多くの場合、事業内容が何度も変わっているか、何かしらのトラブルで従前の商号を使用したくないという事情が推認されます。②役員変更に「解任」の文字が入っていると、解任された役員が会社内で横領事件等の不適切な事件を起こしたという事情が推認されます。

 会社の登記簿(登記記録)は、読み方を知らないと、会社の登記簿(登記記録)はどのような内容であっても問題ないと思われやすいものですが、実際には、①融資、②補助金、③許認可、④大手と取引ができるか、などに影響しています。

 司法書士は、会社の登記簿(登記記録)の読み方を知っています。会社の登記簿(登記記録)の読み方を知っているので、もっとも適切な登記申請書類(株主総会議事録等や定款など)を作成することができます。

3.会社を継続することができなくなるとは?

「会社を継続することができなくなる」とはどういう意味ですか?

 「みなし解散」がされると、会社は「清算」状態になっています。会社が「清算」状態になると、「解散した日から会社継続の前日まで」、会社は、通常の業務を行えず、清算に関する業務しかできなくなります。つまり、「みなし解散」がされたら、会社は、通常の業務を行ってはいけなくなるのです。

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第3 継続の登記の報酬及び費用

会社継続の登記の報酬及び費用は、いくらくらいですか?

下記の表のとおりとなります。詳細は、当事務所までお問い合わせください。

「みなし解散と継続の登記」の費用(報酬と実費)
「みなし解散と継続の登記」の費用(報酬と実費)

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第4 継続の登記の手続の流れ

「継続の登記」の手続の流れはどのようになるのでしょうか?

 一般的に下記のとおりとなります。

①お客様と司法書士が相談
 ご相談内容から最適な「継続の登記」の方法をご提案いたします。その上で,ご納得いただけたら「委任契約」を締結いたします。また,「みなし解散」になっている場合には、税務申告が必要になってくると考えられますので、顧問の税理士がいない場合には、税理士も紹介します。
【ご相談内容】
○継続の登記の方法
…今後、どのように会社を継続していくかを相談します。具体的には、①登記事項と②定款の内容のどこをどのように変えるかなどです。
○その他の商業登記の相談
…継続の登記と同時又は継続の登記の後にすべき商業登記の相談なども
【相談時に持ってきていただく資料等】
□定款
→定款がない場合には、再作成の必要あり
□株式会社の株主がわかる書類
→決算書の「同族会社の判定に関する明細書」(別表二)
②必要書類を収集
「継続の登記」のためには下記の【必要書類】などが必要になります。

【必要書類の例】
□定款
→定款がない場合には、再作成の必要あり
□株式会社の株主がわかる書類
→決算書の「同族会社の判定に関する明細書」(別表二)
□継続後に「代表取締役、取締役」になる人の「印鑑証明書」及び「実印」
→いずれも個人の「印鑑証明書」及び「実印」となります。
□継続後に「監査役」になる人の本人確認書類
→本人確認書類は印鑑証明書や運転免許証など
□継続後に使用する「会社印」
→みなし解散前に使用していた「会社印」で結構です。
※□登記簿(登記記録)
→登記簿は原則として、当事務所で取得します
③司法書士が「継続の登記」のための書類を作成
 ご依頼者様が集めていただいた資料に基づき,司法書士が「継続の登記」のための書類(株主総会議事録、定款、株主リスト、役員の就任承諾書、取締役会議事録、印鑑届出書様式、印鑑カード交付申請書など)を作成します。
 書類の作成後、ご依頼者様へ押印書類をお送りします。また、請求書も同時にお送りします。
④書類への押印(実印)及び返送
 書類(株主総会議事録、定款、株主リスト、役員の就任承諾書、取締役会議事録、印鑑届出書様式、印鑑カード交付申請書など)の所定の箇所にご署名ご捺印(個人の実印や会社印など)していただき、当事務所までお送りください。
⑤「継続の登記」等の申請
 【1】必要書類が事務所に届き、【2】ご入金の確認が取れ次第、【3】当事務所が「継続の登記」及び「継続の登記から派生する登記」の申請をします。
⑥「登記簿」「印鑑カード」のお渡し
 登記が完了したら(通常は、登記申請日から約1週間~2週間後)、今回の登記後の「登記簿」及び新しい「印鑑カード」をご自宅にお送りいたします。

第5 継続の登記のよくあるQ&A

1.休眠会社等の整理作業(みなし解散)

(1)休眠会社とは

休眠会社とは、どのような会社ですか?

休眠会社とは、最後の登記から12年を経過している株式会社(会社法第472条の休眠会社。特例有限会社は含まれません。)のことをいいます。

(2)特例有限会社はなぜ休眠会社にならないのですか?

特例有限会社はなぜ休眠会社にならないのですか?

特例有限会社(いわゆる「有限会社」)は、現行法上は、株式会社と同様に考えることが多いですが、役員の任期についての定めが法律で定められていないため、最後の登記から12年を経過しても、休眠をしている会社か否かが判断ができません。したがって、特例有限会社は、休眠会社になりません。

(3)特例有限会社を今から作れませんか?

特例有限会社を今から作れませんか?

会社法の施行(平成18年5月1日)により、有限会社という会社類型はなくなったため、有限会社(特例有限会社)を新しく作る(設立する)ことはできません。

特例有限会社とは、平成18年(2006年)5月1日の会社法施行以前に有限会社であった会社であって、同法施行後もなお基本的には従前の例によるものとされる株式会社のことです。商号の中に「株式会社」ではなく「有限会社」の文字を継続して用いなければなりません。また、株式会社とは異なり、役員任期に関する法定の制限はなく、また決算の公告義務もないというメリットがあります。

(4)毎年1回(10月頃)、法務大臣による官報公告

みなし解散の件で、法務大臣から連絡があるのではないのですか?

みなし解散の件で、直接、連絡(通知)を送ってくるのは、法務局になります。なお、みなし解散の件で、毎年1回、法務大臣による官報公告(休眠会社又は休眠一般法人は,2か月以内に「まだ事業を廃止していない」旨の届出がなく、登記もされないときは、解散したものとみなされる旨の公告)が行われますが、法務大臣から連絡(通知)があるわけではありません。

官報は、次のサイトで確認できます。

https://kanpou.npb.go.jp/

【毎年1回の「みなし解散」の官報公告】
●令和3年度は10月14日(木)
●令和2年度は10月15日(木)

(5)毎年1回(10月頃)、法務局から通知

みなし解散の件で、法務局から何も通知も連絡もなかったのですが、それでも、「みなし解散」をさせられるんですか?

毎年1回,対象となる休眠会社・休眠一般法人に対しては,管轄の登記所から,法務大臣による公告が行われた旨の通知が発送されます。なお,登記所からの通知が何らかの理由で届かない場合であっても,公告から2か月以内に役員変更等の登記又は「まだ事業を廃止していない」旨の届出をしない場合には,みなし解散の登記をする手続が進められますので,注意が必要です。

(6)「みなし解散」は数年に一度の不定期ではない?

ネットで【「みなし解散」は、数年に一度あり、不定期である。】と書いてありますが、不定期ではないのですか?

従前は、そのような運用がされていましたが、現在は、毎年「みなし解散」の登記(休眠会社等の整理作業)をすることになっています。

(7)解散の登記は、申請?職権?

みなし解散の場合には、「解散の登記」は行わなくてもよいのですか?

みなし解散の登記は登記官の職権登記だから、登記の申請は不要です(商業登記法72条)。

通常の解散の登記の場合には、職権登記ではないので、登記の申請が必要です。

2.清算人、代表清算人の登記

(1)みなし解散でも「清算人」の登記は必要ですか?

みなし解散でも「清算人」の登記は必要ですか? 通常は、解散登記と同時に清算人の登記をすると思うのですが。

解散の登記と清算人の登記は同時に申請することは要しなく、また、みなし解散の場合には、「解散の登記」がされ、「①取締役会設置会社である旨の登記並びに取締役、代表取締役及び社外取締役に関する登記、②特別取締役による議決の定めがある旨の登記及び特別取締役に関する登記、③会計参与設置会社である旨の登記及び会計参与に関する登記、④会計監査人設置会社である旨の登記及び会計監査人に関する登記、⑤監査等委員会設置会社である旨の登記、監査等委員である取締役に関する登記及び重要な業務執行の決定の取締役への委任についての定款の定めがある旨の登記、⑥指名委員会等設置会社である旨の登記並びに委員、執行役及び代表執行役に関する登記」が抹消されるのみであるので、清算人(代表清算人)の登記は必要です。

(2)誰が清算人になる?

誰が清算人になるのですか? みなし解散の登記がされる前には、取締役A、取締役B、取締役Cがいるのですが、取締役Aのみを清算人として登記することは可能でしょうか? なお、定款で清算人についての定めはありませんでした。

みなし解散の登記がされる前には、取締役A、取締役B、取締役Cがいる場合で、定款で清算人についての定めがない場合、清算人は、A、B、Cの全員(取締役の全員)が清算人になります(会社法478条1項1号)。

(3)誰が代表清算人になる?

誰が代表清算人になるのですか? みなし解散の登記がされる前には、取締役A、取締役B、取締役Cがおり、代表取締役はAでした。なお、定款で代表清算人についての定めはありませんでした。

みなし解散の登記がされる前には、取締役A、取締役B、取締役Cがいる場合で、定款で代表清算人についての定めがない場合、代表清算人は、Aになります(会社法483条4項)。

(4)清算人の就任の前提登記【昭和49年11月15日民4第5938号依命通知】

「みなし解散」前に取締役の変更(取締役の就任など)があった場合には、その取締役の変更の登記(取締役の就任など)が未了であったとき、清算人の就任の登記の前提として、取締役の変更の登記を申請をしなければならないのでしょうか?

変更後の取締役が法定清算人となるから、清算人の就任の登記の前提として取締役の変更の登記を要します(昭和49年11月15日民4第5938号依命通知)。

(5)清算人の登記には「定款」添付

清算人の就任の登記をする場合には、「定款」を添付しなければならないのですか? 何のために定款を添付するのですか?

清算人の就任の登記をする場合には、「定款」を添付しなければなりません(商業登記法73条1項)。これは、清算人会設置会社の定めの有無を確認するためです。

(6)清算人の登記には「就任承諾書」は必要?

「みなし解散」で法定清算人の就任の登記をする場合には、当該法定清算人の「就任承諾書」を添付しなければならないのですか?

「みなし解散」で法定清算人の就任の登記をする場合には、当該法定清算人の「就任承諾書」は不要です。なぜならば、就任承諾書は選任に対する就任の承諾を証する書面だからです。

法定清算人ではなく、定款又は株主総会で選任した場合には、就任承諾書は必要になります(商業登記法73条2項)。

(7)婚姻前の氏で登記できる?

清算人は、婚姻前の氏を登記することができますか?

役員等(取締役,監査役,執行役,会計参与又は会計監査人をいいます。)又は清算人の就任等の登記の申請をするときには,婚姻により氏を改めた役員等又は清算人(その申請により登記簿に氏名が記録される方に限ります。)について,その婚姻前の氏をも記録するよう申し出ることができます(商業登記規則第81条の2)。

平成27年2月27日(金)から旧姓の併記を希望した場合に限り、婚姻前の氏の併記を認めることになりました。
【法務省】添付書面としての本人確認証明書及び婚姻前の氏の併記について

3.継続の登記

(1)継続の登記で気をつけること

継続の登記で気をつけることは、どのようなことがありますか?

「継続の登記」は、継続の登記の前提としての登記(「みなし解散」の場合には、清算人の登記など)と継続の登記に関連する登記(「みなし解散」の場合には、役員の変更の登記、機関の変更の登記、株式の譲渡制限規定の変更の登記)などに気をつけなければなりません。

4.取締役、代表取締役、監査役の変更

(1)「みなし解散」と「任期満了により退任」

「みなし解散」の登記前に、取締役、代表取締役、監査役の任期が満了していますが、取締役、代表取締役、監査役の「任期満了により退任」の登記をしなくていいのですか?

取締役、代表取締役に関しては、「みなし解散」の登記の際に、職権で抹消されているため、任期満了により退任の登記は不要です。

一方で、監査役に関しては、「みなし解散」の登記の際に、職権で抹消されなく、「みなし解散」後も、権利義務監査役であるので、任期満了により退任の登記は必要です。

【権利義務役員の基本】
会社法346条1項では、「役員(監査等委員会設置会社にあっては、監査等委員である取締役若しくはそれ以外の取締役又は会計参与。以下この条において同じ。)が欠けた場合又はこの法律若しくは定款で定めた役員の員数が欠けた場合には、任期の満了又は辞任により退任した役員は、新たに選任された役員(次項の一時役員の職務を行うべき者を含む。)が就任するまで、なお役員としての権利義務を有する。」としているため、「みなし解散」前の取締役、代表取締役は権利義務役員には該当しないということになります。

(2)就任承諾書に添付する印鑑証明書は省略できるか

「みなし解散」前の取締役と「みなし解散」後の取締役が同一人で再任するのですが、取締役の就任承諾書に添付する印鑑証明書は省略できますか?

会社継続の場合には、前任者は清算人となりますので、商業登記法規則61条の再任となりません。したがって、取締役の就任承諾書に添付する印鑑証明書は省略できません。

5.取締役会・監査役設置会社の定めの廃止

(1)定款変更事項と登記事項に不一致が発生する場合

「みなし解散」前は、非公開・取締役会設置会社で、株主総会で継続の決議と同時に、「取締役会設置会社の定めの廃止」「監査役設置会社の定めの廃止」をしようと思います。どのような決議と登記が必要でしょうか?

以下の決議と登記が必要だと考えられます。

  • 定款変更及び登記:監査役設置会社の定めの廃止
  • 定款変更:取締役会設置会社の定めの廃止
  • 定款変更及び登記:株式の譲渡制限に関する規定の変更

みなし解散前に取締役会設置会社であった会社は、みなし解散後も取締役会設置会社の定めを廃止する定款変更をしない限り、取締役設置会社となります。

そして、今回の場合には、「取締役会設置会社の定めの廃止」「監査役設置会社の定めの廃止」をしようと考えているので、その旨の定款変更を要します。また、「取締役会設置会社の定めの廃止」と連動して、株式の譲渡承認機関の変更をすべきときには、「株式の譲渡制限に関する規定の変更」の定款変更をしなければなりません。

なお、登記の申請に関しては、取締役会設置会社の定めの廃止に関しては、既に、「みなし解散」で職権で登記されていますので、登記の申請は要しません。

6.「みなし解散」と「会社継続の事業年度」

(1)「みなし解散」で確定申告の数が多くなる!

「みなし解散」の場合の事業年度の取扱いを教えて下さい。もしかして、確定申告の数が多くなるのですか?

会社を解散した場合、「本来の事業年度の初日から解散した前日まで」が一つの事業年度になります。また、会社継続をした場合、「解散した日から会社継続の前日まで」が事業年度になります。したがって、確定申告の数は、必然的に多くなることになります。

【具体例】
事業年度が毎年4月1日から翌年3月31日の会社で、みなし解散の登記が12月15日に入り、翌年の2月20日に会社継続をした場合、①4月1日~12月14日、②12月15日~翌年2月19日、③2月20日~3月31日、と3つの事業年度ができてしまいます。
つまり、みなし解散がされると、変化した各事業年度について確定申告が必要になると考えられます。その対応方法として、株主総会で事業年度の変更を行い確定申告を上手く減らす方法が考えられます。

(2)清算中の会社の確定申告

「解散した日から会社継続の前日まで」は、会社は、通常の業務を行えず、清算に関する業務しかできないのですよね? でも、通常の業務を行っていました。この期間の確定申告はどのようにするのですか?

ご指摘のとおり、「解散した日から会社継続の前日まで」は、会社は、通常業務を行えず、清算に関する業務しかできません。なお、確定申告については、税理士の業務になりますので、詳細は税理士にお聞きください。もし、顧問税理士がいない場合には、当事務所でも税理士を紹介できますので、事務所までご連絡いただければと思います。

7.「みなし解散」前と「継続」後の印鑑カード

(1)継続の登記後に「印鑑届出書」の提出は必要?

「みなし解散」前の代表取締役と「継続」後の代表取締役が同一人物である場合、継続の登記の際に「印鑑届出書」の提出は必要ですか?

みなし解散前の代表取締役と継続後の代表取締役が同一人物であっても、継続後の代表取締役の印鑑届書が必要です。なぜならば、①みなし解散時に、みなし解散前の代表取締役の印鑑登録については廃止されており、②継続後の代表取締役は、継続時に新たに選任された代表取締役であるからです。

(2)みなし解散前の会社印を使用できる?

「みなし解散」前の代表取締役と「継続」後の代表取締役が同一人物である場合、「みなし解散」前の「会社印」の継続使用(引き継ぎ)はできますか?

みなし解散前の代表取締役と継続後の代表取締役が同一人物であっても、「会社印」(印鑑)そのものに関しては、同一のものを使用し、印鑑届出をしても問題ありません。

(3)みなし解散前の印鑑カードの引き継ぎはできる?

「みなし解散」前の代表取締役と「継続」後の代表取締役が同一人物である場合、「みなし解散」前の印鑑カードの継続使用(引き継ぎ)はできますか?

みなし解散前の代表取締役と継続後の代表取締役が同一人物であっても、印鑑カードの継続使用はできず、新たな印鑑カードを発行し使用することになります。印鑑カードの引き継ぎができるのは、「前任者から引き継いだとき」です。そして、継続後の代表取締役の前任者は、印鑑届出をしていない法定の代表清算人です。したがって、印鑑カードを引き継ぐことはできません。

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