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「相続放棄」の窓口



第1 「相続放棄」の窓口

目次-Contents

●相続放棄とは

1.相続放棄の効果

(1)相続放棄の効果

 ● 相続放棄・遺産放棄・財産放棄

 世間では,亡くなった方(以下,「被相続人」といいます。)の財産を引き継がなかったことを称して「相続放棄をした」「遺産放棄をした」「財産放棄をした」と言うことがあります。【※1】

 しかしながら,法律上,法定相続人が,第三者( 相続債権者・受遺者・国等 )に対し,被相続人の財産(借金等)を引き継ぎをしない,と主張することができるのは,「自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に,相続放棄を家庭裁判所に申述した」場合のみです(民法915条,938条)。

 例えば,遺産分割協議書・特別受益証明書・寄与分協議書などで被相続人の財産を受け取らない相続人であっても,被相続人の借金等の債務は,原則として,相続することになります。借金等を絶対に引き継ぎたくない場合には,家庭裁判所に相続放棄を申述しなければらないのです。


【※1】 遺産放棄や財産放棄は,法律用語ではございません。
 ● 誰が財産を引き継がなければならないのか?(相続人とは?)

 人が死亡すると相続が開始します(民法882条)。この「死亡」には,自然死のほか,失踪宣告により法律上死亡したものとみなされる場合も含まれます(民法30条・31条)。そして,相続が開始されると,相続開始時から,被相続人の財産に属した一切の権利義務のうち一身専属性のあるものを除くすべてのものが相続人に承継されます(民法896条)。【※2】

 それでは,相続人とは誰でしょうか。相続人は民法で定められています。詳細は,下記のQ&Aのとおりとなりますが,基本的には,①配偶者と子,②子がいない場合は,配偶者と直系尊属,③子も直系尊属もいない場合には,配偶者と兄弟姉妹となります。


【※2】 戦前の明治民法では,財産の承継は,家制度を前提とした家督相続と遺産相続の二種類に分けられており,現在の民法とは全く制度が異なります。
 ● なぜ,相続人が借金等の財産を引き継がなくてよいのか

 それでは,なぜ,相続人は,相続放棄をすると借金等の財産を引き継がなくてもよくなるのでしょうか。それは,相続放棄をした相続に関しては,初めから相続人とならなかったものとみなされるからです(民法939条)。被相続人に借金があっても,初めから相続人でなければ,その被相続人の借金を引き継がなければならない根拠が無いので,その被相続人の借金の返済を拒むことができるということです。

(2)相続放棄のメリット

 相続放棄をすることで,下記のようなメリットがあります。

  1. 相続放棄をした者は,初めから相続人とならなかったものとみなされることで,被相続人の借金・税金等の返済を免れることができる。
  2. 相続放棄は,限定承認と異なり,共同相続人全員で行うことを要しないため,各相続人は単独で行うことができる。
  3. 相続放棄をした者は,初めから相続人とならなかったものとみなされることで,遺産分割のための裁判手続(遺産分割調停・審判)に参加しなくてもよくなる。

(3)相続放棄のデメリット

 一方で,相続放棄は,下記のようなデメリットがあります。

  1. 相続放棄をするための書類収集や資料の作成,申立までの手続が面倒であるのに,相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内に相続放棄の手続を行わなければならない等のリスクがある。
  2. 手続費用がかかる。手続費用に関しては,下記の費用(報酬と実費)をご覧ください。
  3. 相続放棄をした者は,初めから相続人とならなかったものとみなされることで,被相続人の積極財産を含め全ての財産を一切引き継げなくなる。(もっとも,仏壇や墓等に関しては,引き継げる場合もございますので,下記のQ&Aをご覧ください。)
  4. 【利害関係人(相続債権者・受遺者・国等)のデメリット】相続人全員が相続放棄を行った場合,相続人不存在になるため,利害関係人(相続債権者・受遺者・国等)は,家庭裁判所に相続財産管理人選任申立てを行って,選任された相続財産管理人による相続財産の清算が必要となる(民法952条)。
  5. 相続放棄について,詳細に勉強しないと,相続放棄をすることができなくなる可能性がある。詳しくは, 下記のQ&A をご覧ください。

2.相続放棄の注意点

(1)相続の単純承認をすると相続放棄ができなくなる

 相続の単純承認とは,相続人が,無限に被相続人の権利義務を承継することをいいます(民法920条)。つまり,相続の単純承認をしてしまうと,積極財産(預貯金など)も消極財産(借金など)も関係なく,全ての財産を引き継ぐことになります。また,法定単純承認に該当する事実があった場合にも,単純承認をしたとみなされるので注意が必要です(民法921条)。

 相続の単純承認及び法定単純承認の具体例については,下記のQ&A をご覧ください。

(2)3ヶ月という期限がある

 相続放棄は,自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヵ月以内にしなければなりません(民法915条)。また,相続放棄をしないまま3ヵ月が経過すると単純承認をしたことになります(民法921条2号)。

 この3ヶ月という期間制限については,詳しくは ,下記のQ&A をご覧ください。

(3)裁判所で手続をしなければならない

 相続放棄は,管轄の家庭裁判所で申述しなければなりません(民法938条)。この管轄については, 詳しくは ,下記のQ&A をご覧ください。

(4)必要書類を期限内に収集・作成しなければならない

  相続放棄は,管轄の家庭裁判所で申述しなければなりません(民法938条)が,申述にあたっては書類の収集や書類の作成が必要となります。この書類収集や書類の作成については, 詳しくは ,下記のQ&A をご覧ください。

(5)過払金等を見逃すと結果的に損をする

  被相続人がサラ金会社やクレジット会社から多額の請求をされていても,それが債務であるのかは,調査をしなければわかりません。もしかすると,過払金があるかもしれません。サラ金会社やクレジット会社から多額の請求をされていることをもって,過払金等を見逃すと結果的に損をすることもあります。なお,過払金の有無の調査については,詳しくは ,下記のQ&A をご覧ください。

★当事務所が選ばれる理由

1.専門家なのでトラブルを回避できる

 当事務所は,法務大臣認定司法書士が運営する司法書士事務所です。司法書士とは,司法書士法に基づく国家資格であり,専門的な法律の知識に基づき登記及び供託の代理,裁判所や検察庁,法務局等に提出する書類の作成提出などを行います。また,法務大臣から認定を受けた認定司法書士は,簡易裁判所における民事訴訟,民事執行,民事保全,和解,調停などにおいて当事者を代理することができます。

 『相続放棄』は,裁判書類作成提出業務となります。この裁判所書類作成業務は,司法書士又は弁護士のみに許されている業務です(なお,司法書士又は弁護士以外にご依頼をすると後述の業務賠償責任保険が使用できませんので,ご注意ください)。

 また,当事務所は,『相続放棄』などの相続関係業務に注力して業務を行っている事務所となります。当事務所は,単にその業務を行うだけではなく,その法律行為(『相続放棄』は法律行為となります。)を行うことによって起こりうる様々な問題点を事前に検討し,ご依頼者様に今後の方針をご提示することができます

2.費用対効果を最大にすることができる

 当事務所は,ご依頼者様の利益と手続費用を比較して説明し,ご依頼者様の利益が最大になるように最善・最高の努力をいたします。

 巷では,『弁護士・司法書士に依頼したら,結果は出たけど,費用倒れになってしまった』ということをお聞きいたします。しかし,費用倒れになってしまったら,何のために,専門家に法的サービスを依頼したのかわかりません。

 そこで,当事務所では,常に,ご相談・ご依頼を受けた業務によって得られる“ご依頼者様の利益”と“手続費用”とを比較し,最適な法的アドバイスをいたします。

3.価値のある法的サービスの提供

 当事務所は,報酬(=手続費用)に対する責任ある業務を行います。

 一般的に,法律専門家に対する報酬は,決して“安い”とは言えないものです。しかし,当事務所は、業務を適切に,真摯に,責任をもって取り組むことによって,ご依頼者様が“安い”と思える価値のある法的サービスを提供いたします。

4.「保険」の適用がある

(1)業務賠償責任保険

 ご依頼者様が当事務所にご依頼をされると,万が一のトラブルのときでも,当事務所の「業務賠償責任保険」を使用することができます。当事務所は,東京海上日動火災保険株式会社の「司法書士賠償責任保険(支払限度額[1請求につき4億円,保険期間中8億円])」に加入しております。

(2)自分で手続をすると「保険」がない

 当事務所では,お客様が,ご自身で法律手続をした後に,「高額の税金(数百万円)の請求がきたが取り消せないか?」「過料(十万円弱)の請求がきたがどうにかならないか?」「ミスをしたようだが取り消せないか?取り消せない場合,多額の費用がかかることになる。」というご相談を受けることもあります。事情により異なりますが,司法書士に頼めば,お金はかかるものの取り消せる場合もあれば,お金をかけても取り消せない場合もございます。

 お金をかけても取り消せない場合には,大きな損害(金銭的負担)が残ることになります。この場合,司法書士に最初から依頼をしていただけていたら,業務賠償責任保険を適用して損害を少なくすることもできたかもしれません(そもそも,司法書士にご依頼をしていただけていたら,そのような損害を被ることも殆どないのですが)。業務賠償責任保険に関しては,一般の方がご自身で加入することができないため,一般の方がご自身で手続をした場合には,全てご自身の責任になります。ぜひ,当事務所を「保険」としてご利用ください。


【注意】インターネット上では,司法書士や弁護士でない者が,司法書士や弁護士にしか許されていない法的サービスを提供している業者(以下,「非弁非司業者」といいます。)もおります。そのような非弁非司業者によって,万が一のトラブルが起きた場合,ご依頼者様は,その損害の賠償を非弁非司業者に請求をしたいと考えるでしょう。しかし,そのような 非弁非司業者は,業務賠償責任保険に加入することはできないため,保険によって損害を賠償してもらえません。そのため,非弁非司業者によって,万が一のトラブルが起きた場合,結果として,ご依頼者様は泣き寝入りすることが多いでしょう。

第2 ご相談から業務終了まで

≫STEP1 お問い合わせください

≫STEP2 無料相談(→お申込み)

亡くなった方(被相続人)ついて,下記の内容についてお答えください。

  • 被相続人の死亡日
  • 被相続人の最後の住所地
  • (明らかな場合)被相続人の最後の本籍地

また,相続放棄をしたい相続人について下記の内容についてお答えください。

  • 相続人の住所地
  • 相続人の連絡先電話番号

≫STEP3 手続開始~完了報告

被相続人の死亡を知った日
ご自身が,被相続人(お亡くなりになられた方)の相続人であることを知った日から3ヶ月以内に,家庭裁判所に相続放棄をする旨の申述を行わなければなりません。必要書類の収集をするのに1ヶ月,預貯金等の残高証明等を取得するのに3週間程度必要なこともございますので,お早めにご相談ください。
STEP1 お問い合わせください
まずは,事務所までお気軽のお問い合わせください。
STEP2 無料相談(→お申込み)
面談又はお電話にて無料相談をいたします。
相続財産の調査(+期間伸長申立)
相続放棄をしようか迷っている方や限定承認を考慮している方は,相続財産調査をすることをお勧めします。相続財産調査をする場合は,専門家が行っても,3ヶ月以上は必要になることが多いので,期間の伸長の申立ても併せて行います。この期間の伸長の申立てを行わないで3ヶ月を経過すると,単純承認をしたものとみなされます。
相続放棄の申述
必要書類を整え,管轄の家庭裁判所へ相続放棄の申立てを行います。
家庭裁判所の審理
家庭裁判所で審理がされます。相続放棄の申述書を提出した後,家庭裁判所から,照会書が送付されてきたり,申述書の内容等に不明点があるような場合には,家庭裁判所から問い合わせや資料の追完などが求められることもあります。また,場合によっては「参与員の聞き取り」や「審問」がなされます。これらの照会の回答等をするなどした後,家庭裁判所によって相続放棄の申述を受理するか否かの判断がなされます。
家庭裁判所による相続放棄申述受理決定
相続放棄を受理するということになれば,申述受理の審判がなされます。申述受理の審判がなされると,家庭裁判所から,相続放棄受理について通知書が送られてきます。
「債権者」や「後順位の相続人」への連絡
相続放棄の通知書や相続放棄申述受理証明書を債権者に通知します。また,当該債権者への通知により,債権者は後順位の相続人方(一般的には,被相続人の兄弟姉妹や兄弟姉妹の子)へ請求をすることになりますので,事前に,後順位の相続人に対し,ご自身が相続放棄をしたことにより,後順位の相続人の方が相続人になる旨のご連絡をした方が好ましいでしょう。
最終報告
相続放棄の手続のために収集した資料及び作成した書類など,報告書を提出いたします。

≫STEP4 アフターフォロー

 当事務所では,ご依頼者様に限り相続放棄手続後もその他の法律相談等を無料でをお受けいたします。





第3 費用(報酬と実費)

1.報酬と実費

 報酬と実費は下記のとおりとなります。具体的には,下記の実例をご覧ください。

2.実例

(1)お助けプラン・第一順位

 その場合の費用は,27,000円(15,000円+12,000円)と消費税になります。

(2)通常プラン・第一順位

母が父の借金の連帯保証人になっており,父は商売に失敗し,莫大な借金を残して,どこかに失踪しております。父の借金は,母が少しずつ返済をしていたようですが,その母も1周間前に亡くなりました。母の死亡時の住所地は瀬戸市になります。母の相続人は,私一人(豊田市)のみです。書類収集やその他様々なこともお願いしたいと考えているので「通常プラン」をお願いしたいと考えております。この場合の費用はいくら必要でしょうか?
 その場合の費用は,50,000円と消費税になります。

(3)通常プラン・第三順位

叔父が自殺をしました。問題は,列車に飛び込んで自殺したため,鉄道会社から多額の損害賠償を請求されていることです。叔父の妻子は,すでに相続放棄をしたとのことで,私の方に相続権がきているとのことです。叔父の最後の住所地は北名古屋市です。相続放棄をしたいのは,私たち兄弟2名(半田市と長久手市)です。色々とわかないことだらけなので「通常プラン」をお願いしたいと考えております。この場合の費用はいくら必要でしょうか?
 その場合の費用は,130,000円(70,000円(50,000円+20,000円)+60,000円(40,000円+20,000円))と消費税になります。

(4)期限越えプラン・第一順位

父が亡くなったのは10ヶ月前となります。私は,父の葬儀の喪主となっています。父は,生活保護の受給者で財産などは全くないと思っていたのですが,つい最近,債権者であるアイフル・アコム・新生フィナンシャル(レイク)・プロミス(SMBCコンシューマーファイナンス)などから相次いで,連絡がありました。父の最後の住所地は名古屋市です。相続人は,私(尾張旭市)です。この場合の費用はいくら必要でしょうか?
 その場合の費用は,120,000円と消費税になります。

第4 お問い合わせ

1.無料電話相談・電話予約(050-5891-6050)

2.メール相談・メール予約

※このフォームに入力した内容は,外部に漏れることはございません。

お名前 (必須)

ご住所(任意)

メールアドレス(任意)

電話番号(任意)

お問い合わせ内容【相続・相続対策の窓口】
相続・相続対策全般戸籍・住民票・戸籍の附票の取得相続トータルサポート【遺産承継業務】法定相続情報証明書不動産(土地・建物)の名義変更【相続登記】相続放棄・限定承認・期間の伸長遺産分割・調停・審判遺留分減殺請求相続人がいない場合【相続人不存在】相続人に未成年者がいる場合【特別代理人の選任】相続人が行方不明の場合【不在者財産管理人】財産所有者が生死不明の場合【失踪宣告】生前贈与について遺言について死因贈与について家族信託について依頼している件について

ご希望
無料相談予約を希望します。依頼を希望します。見積もりを希望します。問い合わせをします。

その他メッセージ
※被相続人の氏名・最後の本籍・最後の住所がわかる場合は,ご記入ください。

※ご相談・お見積に際しては,資料等のご用意をお願いすることがございますので,ご了承ください。

第5 Q&A

1.相続人の範囲


父が亡くなったときの相続人とは,誰ですか?
相続において,被相続人の一切の権利義務を受け継ぐことになる立場の方のことを相続人(法定相続人)といいます。誰が相続人となるかは,法律(民法)によって定められています。そのため,相続人のことを「法定相続人」と呼ぶこともあります。具体的には,現行民法における法定相続人は,下記のとおりとなります。

【解説】法定相続人

(1)配偶者

 死亡した人(=被相続人)の配偶者は,常に相続人となります(民法890条)。

 なお,内縁の妻は,配偶者ではないので,相続人にはなれません。しかし,被相続人の相続人が不存在であるときは,特別縁故者として,相続財産を引き継げる可能性があります。

(2)配偶者以外

 配偶者以外の人は,次のア~ウの順序で配偶者と一緒に相続人になります。

ア 第一順位(民法887条1項)

(ア)死亡した人の子

 この「子」には,養子や非嫡出子も含まれます。認知されていない子どもは,相続人に含まれません。

(イ)子の代襲相続人

 子が相続開始の時点で死亡・相続欠格(民法891条1号~5号)・推定相続人の廃除(民法892条~895条)によって相続権を失っていた場合には,その子供の直系卑属(子や孫など)が相続人となります。これを代襲相続といいます。子も孫もいるときは,死亡した人により近い世代である子の方を優先します。

イ 第二順位(民法889条1項1号)

 死亡した人の直系尊属が,第二順位の相続人となります。尊属とは,血がつながっている人(血族)のうちで,先祖に当たる人のことをいいます。その尊属のうちでも,直系の人のことを「直系血族」といいます。例えば,父母,祖父母などが直系尊属に当たります。第二順位の人(直系尊属)は,第一順位の人がいないとき相続人になります。父母も祖父母もいるときは、死亡した人により近い世代である父母の方を優先します。

ウ 第三順位(民法889条1項2号・2項)

(ア)死亡した人の兄弟姉妹

 死亡した人の兄弟姉妹が,第三順位の相続人となります。 第三順位の人は,第一順位の人も第二順位の人もいないとき相続人になります。

(イ)兄弟姉妹の子

 その兄弟姉妹が既に死亡しているときは,その人の子が相続人となります。

 もっとも,兄弟姉妹が相続人となる場合に,相続が開始した時点で,その相続人となるはずの兄弟姉妹が相続権を失っており,しかもその兄弟姉妹の直系卑属である子(代襲相続人)も死亡,相続欠格または廃除によって相続権を失っていたというときは,その代襲相続人の直系卑属である子(兄弟姉妹の孫)は,昭和56年1月1日以降に開始された相続については,再代襲相続できません。かつては,民法に兄弟姉妹が相続人となる場合であっても再代襲相続されるという規定がありましたが,昭和55年(1980年)民法改正によって,その規定は削除されています。そのため,現在では,兄弟姉妹が相続人となる場合の再代襲相続は認められないことになります。一方,昭和55年12月31日以前に開始された相続については,兄弟姉妹が相続人の場合でも再代襲相続が開始されます。

(3)相続人がいない場合(相続人不存在)

 配偶者も,第一順位・第二順位・第三順位の人もいない場合には,相続人不存在になります。

(4)同時存在の原則(同時死亡の場合)

 相続は,相続開始の時点で即時に被相続人の権利義務を相続人に承継させる制度ですから,被相続人が死亡したときに相続人は権利能力者として生存していることが必要です。これを「同時存在の原則」と言います。つまり,被相続人と相続人が同時に死亡した場合は,それぞれの間では互いに相続は行われません。


私が相続放棄をすると,私の子が私の子の代わりに相続をするのですか?
 相続放棄をした方の子が代わりに相続することはありません。たしかに,亡くなられた方の「子」が既に死亡している場合は,その「子」の子(孫)が相続をします(代襲相続)。もっとも,亡くなられた方の「子」がご存命で相続放棄をした場合は,その「子」の子(孫)は相続をすることはありません。

私は,本家を出て,他家に嫁いで名字が変わっているので,実父母の相続人とはならないのでしょうか?
 本家を出て,他家に嫁いで名字が変わっても,お父様やお母様の子であることに変わりはありません。したがって,お父様やお母様の相続人となります。

私は,本家から他家に養子に出されました。名字が変わっているので,実父母の相続人とはならないのでしょうか?
 原則として,本家から他家に養子に出されて,名字が変わっても,お父様やお母様の子であることに変わりはありません。したがって,お父様やお母様の相続人となります。もっとも,特別養子縁組の場合には,子の福祉のために養子が実親との親子関係を断ち切り,養子と養親を完全な親子として取り扱うことになる為,養親のみの相続権をもつこととなります。

2.単純承認・限定承認・相続放棄

(1)単純承認・限定承認・相続放棄の違い


相続が起きた場合には,相続をするか,相続放棄をするしかないのですか?
 相続人は,相続をするかしないかを選択することができますが,その選択肢は,①相続の単純承認,②相続の限定承認,③相続の放棄という3つの選択肢がございます。

①相続の単純承認,②相続の限定承認,③相続の放棄の選択をするのに,期限はありますか?
 ①相続の単純承認,②相続の限定承認,③相続の放棄の選択は,相続人が自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月の熟慮期間内に決めなければなりません(民法915条1項)。そして,選択をしないまま3ヶ月の熟慮期間が経過すると単純承認したことになります(民法921条2号)。

3ヶ月の熟慮期間の起算点である「自己のために相続の開始があったことを知った時」とは具体的にいつになりますか?
 3ヶ月の熟慮期間の起算点である「自己のために相続の開始があったことを知った時」とは,「被相続人の死亡を知ったことかつ相続人になったことを覚知した時」とされています(大審院大正一五年(ク)第七二一号同年八月三日第二民事部決定・民集五巻一〇号六七九頁)。

被相続人の死亡を知っており,かつ,自分自身が相続人であることを知っていても,相続人と被相続人が長い間音信不通で交渉がなかった場合や被相続人には相続財産が全くないと思い何もしなかった場合は,熟慮期間の起算点はどうなりますか?
 『民法九一五条一項本文が相続人に対し単純承認若しくは限定承認又は放棄をするについて三か月の期間(以下「熟慮期間」という。)を許与しているのは、相続人が、相続開始の原因たる事実及びこれにより自己が法律上相続人となつた事実を知つた場合には、通常、右各事実を知つた時から三か月以内に、調査すること等によつて、相続すべき積極及び消極の財産(以下「相続財産」という。)の有無、その状況等を認識し又は認識することができ、したがつて単純承認若しくは限定承認又は放棄のいずれかを選択すべき前提条件が具備されるとの考えに基づいているのであるから、熟慮期間は、原則として、相続人が前記の各事実を知つた時から起算すべきものであるが、相続人が、右各事実を知つた場合であつても、右各事実を知つた時から三か月以内に限定承認又は相続放棄をしなかつたのが、被相続人に相続財産が全く存在しないと信じたためであり、かつ、被相続人の生活歴、被相続人と相続人との間の交際状態その他諸般の状況からみて当該相続人に対し相続財産の有無の調査を期待することが著しく困難な事情があつて、相続人において右のように信ずるについて相当な理由があると認められるときには、相続人が前記の各事実を知つた時から熟慮期間を起算すべきであるとすることは相当でないものというべきであり、熟慮期間は相続人が相続財産の全部又は一部の存在を認識した時又は通常これを認識しうべき時から起算すべきものと解するのが相当である。(最判昭和59年4月27日民集第38巻6号698頁)
 したがって,被相続人の死亡を知っており,かつ,自分自身が相続人であることを知っていた場合,原則として,その各事実を知った日から熟慮期間は起算されるが,相続人と被相続人が長い間音信不通であった場合や被相続人の生活状況からすると相続財産が全くないと思い何もしなかった場合など相続人に対し相続財産の有無の調査を期待することが著しく困難な事情は,熟慮期間は相続人が相続財産の全部又は一部の存在を認識した時又は通常これを認識しうべき時から起算することになります。

相続の単純承認とは何ですか?
 相続の単純承認とは,相続人が,無限に被相続人の権利義務を承継することをいいます(民法920条)。
 「無限に被相続人の権利義務を承継する」とは,被相続人の一身に専属したものを(扶養請求権等)を除く,一切の権利義務を全面的かつ無条件に承継するという意味です。具体的にいうと,被相続人が契約をしていた賃貸マンションの契約であったり,駐車場の契約,携帯電話の契約,借金の契約,保証人の契約など全ての契約が該当します。したがって,相続の単純承認をすると,相続人は,被相続人の賃貸マンションの賃料,駐車場代,携帯電話代,借金返済,保証債務の返済をしなければなりません。
 なお,民法921条1~3号に該当する場合,相続人は,単純承認をしたものとみなされます(民法921条)。これを法定単純承認といいます。法定単純承認については,下記(2)でご説明します。

相続の限定承認とは何ですか?
 相続の限定承認とは,相続によって得た財産の限度においてのみ被相続人の債務及び遺贈を弁済すべきことを留保して,相続の承認をすることです(民法922条)。
 限定承認は,①被相続人の財や負債の金額が正確にわからず単純承認することに不安がある場合や,②債務超過であっても親族間の軋轢等から相続放棄をして次順位の親族に相続権が移ることを避けたい場合,③相続財産の中にどうしても残しておきたい相続財産(自宅不動産など)があり相続放棄を避けたい場合などにおいて,その選択が検討されます。
 もっとも,限定承認は,①相続人が数人いる場合は共同相続人全員んで申述しなければならず,さらに,申述が受理された後も相続財産の清算手続を行わなければならないという負担がある。②また,「みなし譲渡所得課税」が生じることもあるため,税制度をよく理解したうえで限定承認を選択するかを検討する必要があります。

相続の放棄とは何ですか?
 相続の放棄とは,相続放棄をした相続に関しては,初めから被相続人の相続人とならなかったものとみなされることによって(民法939条),被相続人の相続財産を全て相続しないことをいいます。
 相続財産には,預貯金や価値のある不動産などのプラスの財産と,借金などのマイナスの財産があります。相続放棄の手続きをするということは,相続するべき財産の一切を相続しないということになりますので,負の財産だけでなくプラスの財産も全て相続しないということです。

現時点で発覚していない借金については,相続放棄をすることができないのですか?
相続放棄は,一つ一つの借金を放棄する手続きではなく,初めから被相続人の相続人とならなかったものとみなされることによって(民法939条),被相続人の相続財産を全て相続しないことをいいます。したがって,現時点で発覚していない借金も含めて,全て放棄をすることができます。

現時点で発生をしていない将来の借金等については,相続放棄をすることができないのですか?例えば,亡くなった父が賃貸マンションに住んでおり将来的に発生する予定の賃料は相続放棄をすることができますか?
相続放棄は,一つ一つの借金を放棄する手続きではなく,初めから被相続人の相続人とならなかったものとみなされることによって(民法939条),被相続人の相続財産を全て相続しないことをいいます。したがって,現時点で発生していない将来の借金等も含めて,全て放棄をすることができます。

(2)単純承認と法定単純承認


法定単純承認とは何ですか?
 法定単純承認とは,相続を単純承認する旨の意思表示した場合ではなくても,①相続財産の処分,②熟慮期間の経過,③限定承認・相続放棄後の背信的行為といった事由に該当する行為をしてしまった場合,「相続人は,単純承認をしたものとみな」される(民法921条)という制度です。

【単純承認の法的性質(意思表示説か法定効果説か)】相続人が自己のために相続が開始したことを知らず相続財産を処分をした場合でも,相続財産の全部または一部の処分という客観的事実があれば,民法921条1号により相続人が単純承認をしたものとみなされるのでしょうか?
 『民法九二一条一号本文が相続財産の処分行為があつた事実をもつて当然に相続の単純承認があつたものとみなしている主たる理由は、本来、かかる行為は相続人が単純承認をしない限りしてはならないところであるから、これにより黙示の単純承認があるものと推認しうるのみならず、第三者から見ても単純承認があつたと信ずるのが当然であると認められることにある(大正九年一二月一七日大審院判決、民録二六輯二〇三四頁参照)。したがつて、たとえ相続人が相続財産を処分したとしても、いまだ相続開始の事実を知らなかつたときは、相続人に単純承認の意思があつたものと認めるに由ないから、右の規定により単純承認を擬制することは許されないわけであつて、この規定が適用されるためには、相続人が自己のために相続が開始した事実を知りながら相続財産を処分したか、または、少なくとも相続人が被相続人の死亡した事実を確実に予想しながらあえてその処分をしたことを要するものと解しなければならない。(最判昭和42年4月27日民集第21巻3号741頁)
 したがって,民法921条1号本文による単純承認の効果が生ずるためには,相続人が自己のために相続の開始した事実を知りまたは確実視しなが相続財産を処分したことを要するものと解すべきです。
 詳細は,(最判昭和42年4月27日民集第21巻3号741頁)のとおりです。

【解説】単純承認の法的性質

ア 意思表示説

 法定単純承認の法的性質には,意思表示説と法定効果説があります。意思表示説は,単純承認するという意思表示が存在するという説です。したがって,意思表示説では,民法921条は,法定単純承認の事実が生じた場合に,相続人が単純承認の意思表示をしたものとみなした規定であると考えます。判例(最判昭和42年4月27日民集第21巻3号741頁)及び学説の多数説は,意思表示説であると考えられています。

イ 法定効果説

 一方で,法定効果説は,単純承認の意思表示なるものの存在を認めない説です。したがって,法定効果説では,法定単純承認の事実が生じた場合,民法921条に基づき,単純承認の効果が発生すると考えます。

3.相続財産の処分(→法定単純承認)

(1)相続財産の処分とは


相続財産の処分をすると,相続を承認したとみなされるとのことですが,例えば,賃貸マンション内の家財道具を処分することも,相続財産を処分したと考えるのですか?
 相続財産の処分とは,限定承認または相続放棄前に行われる,財産の形状,性質を変える行為を指します。また,相続人は,処分をするにあたり,自己のために相続が開始した事実を知り,または少なくとも相続人が被相続人の死亡した事実を確実に予想しながらあえてその処分をしたことを要します(最判昭和42年4月27日民集第21巻3号741頁)
 賃貸マンション内の家財道具を処分することに関しては,その家財道具に財産的価値があるかないかで,相続財産の処分に該当するかしないかが変わります。詳細は下記で述べます。。

(2)事実行為・保存行為・管理行為


父が亡くなって,父が,父の友人にお金を貸していることがわかったので,そのお金を取立てるために,催告をしたのですが,相続放棄はできますか?
 債務者に債権の催告をすると,時効の完成が猶予される(時効の停止)が,これは,保存行為(民法921条1号ただし書)にあたります。したがって,催告を行うことは,相続財産の処分に該当しないため,法定単純承認をしたものとみなされず,相続放棄をすることができると考えられます。

(3)相続財産中の債権の行使


父が亡くなって,父が,父の友人にお金を貸していることがわかったので,そのお金を取立てて,お金を受領したのですが,相続放棄はできますか?
 相続人が相続開始後,相続放棄前に相続債権の取立をして,これを収受領得した場合には,民法921条1号のいわゆる相続財産の一部を処分した場合に該当し,相続の単純承認をしたものとみなされると考えられます(最判昭和37年6月21日集民第61号305頁)
 もっとも,上記で述べたとおり,相続財産の取立をして,これを収受領得した場合であっても,相続財産として保管をするためになされた場合には,当該行為は,保存行為として考えられるため法定単純承認をしたものとみなされず,相続放棄をすることができると考えられます。

(4)相続財産の処分の客体の経済的価値


先日,父が亡くなりました。父は,生前,祖父からもらった壊れたクラリネットを大事にしていました。そこで,私も父の形見として,その壊れたクラリネットをもらいたいと思いますが,その壊れたクラリネットをもらった場合,相続放棄をすることはできますか?
 相続財産の処分とは,一般経済価額を有するものを処分することをいいます。そして,一般経済価額を有するか否かは,相続財産全体の額,被相続人,相続人の財産状態,当該処分の性質等を総合的に考慮しますが,本当に壊れたクラリネットで経済価額が全くないものであれば,相続財産の処分に該当しないと考えられます(仮に,そのクラリネットが壊れていないクラリネットで財産的価値がある場合には,限定承認の先買権の行使をすることで,そのクラリネットを引き継ぐことも可能です。)。
 以下,相続財産の処分に当たるとされた裁判例と相続財産の処分に当たらないとされた裁判例を検討します。なお,現在の裁判例では,相続財産を葬儀費用等をあてた場合は,相続財産の処分に該当しにくいと考えられますが,原則として,葬儀費用等は祭祀承継者が支出するものであることを考えると,相続財産を葬儀費用をあてる行為は,相続財産の処分に該当するとも考えられますので注意をした方がよいでしょう。
ア 相続財産の処分に当たるとされた裁判例
  • 被相続人ノ所有セシ衣類モ一般経済価額ヲ有スルモノハ勿論相続財産ニ属スルモノナレハ相続人ニ於テ之ヲ他人ニ贈与シタルトキハ民法第1024条第1号ニ該当シ其ノ之ヲ贈与シタルハ古来ノ習慣ニ基ク近親者ニ対スル形身分ニ過キサルノ理由ニ依リ之ヲ別異ニ取扱フヘキモノニアラス従テ上告人ノ為シタル本件衣類ノ処分ハ同条ニ該当シ上告人ハ単純承認ヲ為シタルモノト看做サルヘキモノナリ(大判昭和3年7月3日新聞2881号6頁)として,衣類の形見分けでも,一般経済価額を有するものの処分は相続財産の処分にあたるとした。
  • 相続人が、被相続人の経営していた会社の取締役選任決議に際して被相続人保有の株主権を行使したり、被相続人所有のマンションの賃料振込先を自己名義の口座に変更した行為はいずれも民法第921条の相続財産の処分に該当するから、法定単純承認があったものであり、債務を承継したこととなる。(東京地判平成10年4月24日 (判例タイムズ 987 号 233 頁、金融・商事判例 1056 号 31 頁))
イ 相続財産の処分に当たらないとされた裁判例
  • 「葬式費用ニ相続財産ヲ支出スルカ如キハ道義 上必然ノ所為」で処分に当らない(東京控判昭和11年9月21日新聞4059号13頁)
  • 「被告千鶴子が訴外勝美の相続財産である背広上下、 冬オーバー、スプリングコート、時計、椅子等を被告千鶴子方に持帰り、又は送付されたことがあるにしても、証人重国武雄(第一回)、同坂井孝、同重国康文、同神田 保雅等の証言及び被告千鶴子本人尋問の結果を綜合すれば、訴外勝美の葬式に訴外勝美と別居していた被告千鶴子等が東京より徳山に来て参列した際においても、訴外勝 美の血縁にあたる原告(母)、訴外重国武雄(実兄)等において、訴外勝美の相続財産を事実上占有管理しており、被告等において、相続財産を調査あるいは直接にも間 接にも占有管理する状態にはなく、又それを訴外勝美等の血縁の者たちが、被告等に教えたり又占有管理を移すこともなく、葬式の香典類に対しても手がつけられない事 情のもとで、被告千鶴子において、不動産、商品、衣類等が相当多額にあつた訴外勝美の相続財産の内より、僅かに形見の趣旨で背広上下、冬オーバー、スプリングコー トと訴外勝美の位牌を別けて貰つて持帰り、その後申述受理前に更に被告節子の願いにより、被告千鶴子において、訴外勝美の血縁の者に事情を話して頼み時計、椅子二 脚(一脚は足がおれているもの)の送付を受けて、受領したが、右の外に相続財産に手をつけたことがなかつたみとめられる。前掲承認の証言中、右認定に反する部分は 採用せず、他に右“認定を左右すろに足る証拠はない5,して抱ると、右の事情のもとにおいて、被告等の行為を指して、これが民法第921条第1号の処分にあたると 考えることは到底出来ないところである。」(山口地徳支部判昭和40年5月13日(下級裁判所民事裁判例集 16 巻 5 号 859 頁,家庭裁判月報 18 巻 6 号 167 頁,判例タイムズ 204 号 191 頁))
  • 「行方不明であつた被相続人が遠隔地で死去したことを所轄警察署から通知され、取り急ぎ同署に赴いた抗告人ら妻、子が、同署から、被相続人の着衣、身回り品の引取を求められ、やむなく殆んど経済的価値のない財布などの雑品、被相続人の所持金20,432円の引渡を受けたり、この引き渡しを受けた所持金を、被相続人の火葬費用ならびに治療費残額の一部の支払に充てたのは、人倫と道義上必然の行為であり、公平ないし信義則上やむを得ない事情に由来するものであつて、これをもつて、相続人が相続財産の存在を知つたとか、債務承継の意思を明確に表明したものとはいえないし、民法921条1号所定の「相続財産の一部を処分した」場合に該るものともいえない本件のように行方不明であつた被相続人が遠隔地で死去したことを所轄警察署から通知され、取り急ぎ同署に赴いた抗告人ら妻、子が、同署から戸籍 法92条2項、死体取扱規則(公安委員会規則4号)8条に基づき、被相続人の着衣、身回り品の引取を求められ、前認定一、(11)のとおり、やむなく殆んど経済的 価値のない財布などの雑品を引取り、なおその際被相続人の所持金2万0432円の引渡を受けたけれども、右のような些少の金品をもつて相続財産(積極財産)とは社 会通念上認めることができない(このような経済的価値が皆無に等しい身回り品や火葬費用等に支払われるベき僅かな所持金は、同法897条所定の祭祀供用物の承継な いしこれに準ずるものとして慣習によつて処理すれば足りるものであるから、これをもつて、財産相続の帰趨を決すべきものではない)。 のみならず、抗告人らは右所持 金に自己の所持金を加えた金員をもつて、前示のとおり遺族として当然なすべき被相続人の火葬費用ならびに治療費残額の支払に充てたのは、人倫と道義上必然の行為で あり、公平ないし信義則上やむを得ない事情に由来するものであつて、これをもつて、相続人が相続財産の存在を知つたとか、債務承継の意思を明確に表明したものとは いえないし、民法921条1号所定の「相続財産の一部を処分した」場合に該るものともいえないのであつて、右のような事実によつて抗告人が相続の単純承認をしたも のと擬制することはできない。」(大阪高判昭和54年3月22日(家庭裁判月報 31 巻 10 号 61 頁、判例タイムズ 380 号 72 頁、判例時報 938 号 51 頁、金融・商事判例 567 号 20 頁、旬刊金融法務事情 892 号 39 頁)  )
  • 「ア 葬儀は,人生最後の儀式として執り行われるものであり,社会的儀式として必要性が高いものである。そして,その時期を予想することは困難であり,葬儀を執り 行うためには,必ず相当額の支出を伴うものである。これらの点からすれば,被相続人に相続財産があるときは,それをもって被相続人の葬儀費用に充当しても社会的見 地から不当なものとはいえない。また,相続財産があるにもかかわらず,これを使用することが許されず,相続人らに資力がないため被相続人の葬儀を執り行うことがで きないとすれば,むしろ非常識な結果といわざるを得ないものである。したがって,相続財産から葬儀費用を支出する行為は,法定単純承認たる「相続財産の処分」(民法921条1号)には当たらないというべきである。イ 葬儀の後に仏壇や墓石を購入することは,葬儀費用の支払とはやや趣を異にする面があるが,一家の中心である夫ないし父親が死亡した場合に,その家に仏壇がな ければこれを購入して死者をまつり,墓地があっても墓石がない場合にこれを建立して死者を弔うことも我が国の通常の慣例であり,預貯金等の被相続人の財産が残され た場合で,相続債務があることが分からない場合に,遺族がこれを利用することも自然な行動である。そして,抗告人らが購入した仏壇及び墓石は,いずれも社会的にみて不相当に高額のものとも断定できない上,抗告人らが香典及び本件貯金からこれらの購入費用 を支出したが不足したため,一部は自己負担したものである。これらの事実に,葬儀費用に関して先に述べたところと併せ考えると,抗告人らが本件貯金を解約し,その一部を仏壇及び墓石の購入費用の一部に充てた行為が, 明白に法定単純承認たる「相続財産の処分」(民法921条1号)に当たるとは断定できないというべきである。」(大阪高決平成14年7月3日(家庭裁判月報55巻1号82頁) )

(5)保険金の費消


先日,夫が亡くなりましたが。夫の相続につき相続放棄をしようと考えていましたが,生命保険金の受取人が私の名義になっていました。この生命保険金は受け取ってもよいのでしょうか?
 保険金の受取人がご自身であれば,当該保険金は,相続財産ではないので,相続財産の処分には該当せず,単純承認をしたとみなされません。したがって,生命保険金を受け取っても問題はございません。
 一方,保険金の受取人が,本人となっている場合には,当該保険金は相続財産に含まれまれます。したがって,当該保険金を受け取り費消した場合には,相続財産の処分をしたものとして,単純承認をしたとみなされることになります。

先日,夫が亡くなりましたが。夫の相続につき相続放棄をしようと考えていましたが,生命保険金の受取人が「相続人」になっていました。この生命保険金は受け取ってもよいのでしょうか?
 『保険金受取人を単に「被保険者またはその死亡の場合はその相続人」と約定し、被保険者死亡の場合の受取人を特定人の氏名を挙げることなく抽象的に指定している場合でも、保険契約者の意思を合理的に推測して、保険事故発生の時において被指定者を特定し得る以上、右の如き指定も有効であり、特段の事情のないかぎり、右指定は、被保険者死亡の時における、すなわち保険金請求権発生当時の相続人たるべき者個人を受取人として特に指定したいわゆる他人のための保険契約と解するのが相当(最判昭和40年2月2日民集第19巻1号1頁)
 したがって,保険金の受取人を抽象的に「相続人」と指定した場合は,保険金請求権は,保険契約に基づいて,保険金請求権発生時における契約者の相続人たるべき個人に属し,相続財産を構成せず,保険金を受領し,これを処分したとしても単純承認をしたものとはみなされません

先日,夫が亡くなりましたが。夫の相続につき相続放棄をしようと考えていましたが,生命保険金の受取人が「相続人」になっていました。相続人には,私と夫との子が2名おりますが,法定相続人の割合で分配すると考えればよいのでしょうか?それとも,保険金は,相続財産ではないので,民法427条に基づいて,平等に分配をすればよいのでしょうか?
 『保険契約者が死亡保険金の受取人を被保険者の「相続人」と指定した場合に、数人の相続人がいるときは、特段の事情のない限り、民法四二七条にいう「別段ノ意思表示」である相続分の割合によって権利を有するという指定があったものと解すべきであるから、各保険金受取人の有する権利の割合は、相続分の割合になるものというべきである。(最判平成6年7月18日民集第48巻5号1233頁)
 したがって,保険契約において保険契約者が死亡保険金の受取人を被保険者の「相続人」と指定した場合は、特段の事情のない限り、右指定には相続人が保険金を受け取るべき権利の割合を相続分の割合によるとする旨の指定も含まれ、各保険金受取人の有する権利の割合は相続分の割合になります。

先日,夫が亡くなりましたが。夫の相続につき相続放棄をしようと考えていましたが,生命保険金の受取人が「夫」になっていました。相続人には,私と夫との子が2名おりますが,法定相続人の割合で分配すると考えればよいのでしょうか?この生命保険金は受け取ってもよいのでしょうか?
 『相続人が被相続人の保険金請求権に基づいて保険金を受領した場合には,その処分により,単純承認したものとみなされる(千葉地八日市支判昭和7年3月19日新聞3401号12頁)』
 したがって,ご主人様が受取人になっている生命保険金に関しては,保険契約の効力発生と同時に被相続人に。帰属するから,「相続財産」に該当し,これを処分した場合には,単純承認をしたとみなされることになるでしょう。
 なお,この点につき,下記のとおり別の説もありますが,期待すべきではないでしょう。

【解説】受取人が被相続人の場合,保険金が相続財産になるか否か

ア 相続財産説

 相続人が被相続人の保険金請求権に基づいて保険金を受領した場合には,その処分により,単純承認したものとみなされる。

イ 受取人指定説

 保険契約者の意思解釈から,被保険者を同時に受取人としている場合に受取人死亡の際の受取人を指定しなかったのは,保険契約者は被保険者=受取人の相続人を受取人とする趣旨があったと解するのが自然であるとして,被保険者の相続人が保険金請求権を原始的に取得する(谷口知平=久貴忠彦編『新板注釈民法(27)相続(2)』(初版)101頁・102頁)

(6)相続財産の処分自体の無効・取消しと単純承認の効果


父が亡くなり,その相続人である子らで遺産分割協議をしました。しかし,遺産分割協議後に予期せぬ多大な相続債務が存在したことが発覚しました。この場合,遺産分割協議を無効にして,相続放棄をすることはできますか?
 『遺産分割協議後に予期せぬ多大な相続債務が存在したことが発覚したことから,同遺産分割協議(処分)が錯誤により無効になるとし,単純承認の効果も発生しない(東京地判平成27年5月19日遺産相続紛争事例データファイル1124頁)』とした事例や『相続人が訴外人に被相続人の債権債務関係の処理を委任した行為が,その経緯,方法および結果等に照らして,公序良俗に反し無効のものであるとして,民法921条1号該当行為にあたらない(山口地徳山支判40年5月13日家月18巻6号167頁)』とした事例があります。
 一方で,『未成年を含む相続人らによる遺産分割協議について,仮に取り消されたとして,「処分」(民法921条1号)にあたる』とした事例もあります(松山簡判昭和52年4月25日判時878号95頁)。  この点につき,下記のとおり2つの説がありますが,最高裁判所の判断は示されていない状況にあります。したがって,遺産分割協議が無効であることを前提に,相続放棄の手続をしてみるという選択肢をとることも考えられます。

【解説】「相続財産の処分の無効・取消し」と「単純承認の効果」

ア 効果不発生説

 処分行為が無効であったり,取り消されたりした場合には,単純承認の効果も生じなかったものとし,熟慮期間経過後に無効または取消しが確定された場合であっても,遅滞なく限定承認・相続放棄をすればその効果が認められる(中川善之助『註釈相続法(上)249頁』)

イ 効果発生説

 処分行為が無効であったり,取り消されたりした場合であっても,単純承認の効果は生じなかったものとはならない(中川善之助=泉久雄『相続法〔第3版〕356頁』)

ウ 客観的意思による効果発生説

 無効や取消しの原因が相続人の能力にあり,それによって処分行為が無効または取り消された場合,単純承認の効果も生じなかったものとなるが,無効・取消しの原因が相続財産に関連して存在するのではなく,それと無関係の事項について存した場合,すなわち,客観的に単純承認の意思があると認定できる場合には,単純承認の効果が生じる(我妻榮=有泉享『民法Ⅲ(親族法・相続法)362頁以下』)

4.熟慮期間 の経過(→法定単純承認)

(1)熟慮期間の意義


相続放棄には,期限があるとのことですが,その期限とはいつからどのくらいの期間ですか?
相続放棄は,自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヵ月以内にしなければなりません(民法915条)。この3ヶ月のことを熟慮期間といいます。

相続放棄は,3ヶ月以内に裁判所での全ての手続きを「完了」させる必要があるのですか?
相続放棄は,3ヶ月以内に家庭裁判所で「申述」する必要があります。「申述」さえ3ヶ月以内にすれば,全ての手続きが「完了」するのは3ヶ月を過ぎてからでも大丈夫です。また,仮に,3ヶ月以内に家庭裁判所で「申述」することも難しいようであれば,熟慮期間を伸長することもできます。熟慮期間を伸長に関しては,下記に記載します。

相続放棄は,「死亡日」から3ヶ月以内に申請する必要があるのですか?
死亡日ではありません。相続放棄の申述期限は「死亡日」からではなく,「自己のために相続の開始があったことを知った時」から3ヶ月以内です。したがって,例えば,死亡日は1月1日でも,疎遠であったため死亡の連絡を受けておらず,死亡を知ったのは5月1日だった場合,相続放棄の申述期限は8月1日となります。なお,後順位の相続人の申述期限は「被相続人の死亡を知った日」からではなく,「自己のために相続の開始があったことを知った時=先順位相続人の相続放棄手続きが完了したことを知った日」から3ヶ月以内です。)

(2)熟慮期間の起算点


父が亡くなって自己のために相続があったことを知った日は,1月1日ですが,相続放棄はいつまで可能ですか?
相続放棄の熟慮期間の起算点の計算では,民法の原則どおり,初日は算入しないため(民法140条),4月1日までに相続放棄をすることが可能です。

熟慮期間中に何をすればよいでしょうか?
熟慮期間は,相続財産を調査し,相続の単純承認・限定承認・相続放棄のいずれかを選択するための期間となります。したがって,相続財産を調査することが不可欠と言えるでしょう。

相続財産の調査は,どのように行えばよいでしょうか?
例えば,積極財産(プラスの財産)の場合,預貯金,保険(相続財産になる保険),不動産(土地建物),動産(宝石など),車両,株式等の有価証券,債権等となります。これらの財産は,預貯金通帳,保険証書,不動産登記簿,固定資産税明細書,名寄帳,鑑定書,車検証,被相続人宛の郵便物などで把握することができます。一方で,消極財産(マイナスの財産)の場合,借金,クレジットの立替金,税金などになります。借金やクレジットの立替金の調査は,正規の業者であれば,個人信用情報機関に加盟をしているため,個人信用情報機関(JICC[株式会社日本信用情報機構],CIC[株式会社シー・アイ・シー],全銀協[一般社団法人全国銀行協会])で調査をすることになります。

「自己のために相続の開始があったことを知った日」とは具体的にいつですか?
判例は,かつては,「自己のために相続の開始があったことを知った日」を「相続開始の原因事実の発生を知った時(大判大正10年10月20日民録第27輯1807頁)」としていましたが,現在は,「①相続開始の原因事実の発生を知り,かつ,②そのために自己が相続人となったことを覚知した時」と解釈されるようになりました(大審院大正一五年(ク)第七二一号同年八月三日第二民事部決定・民集五巻一〇号六七九頁)。

「①相続開始の原因事実の発生を知った時」とは具体的にいつですか?
「相続開始の原因事実の発生を知った時」とは被相続人の死亡または失踪宣告を知ったときとなります。

「②自己が相続人となったことを覚知した時」とは具体的にいつですか?
原則としては,自己が法定相続人であることを知った日と考えられています。もっとも,法の不知や事実誤認等によって自己が相続人ではないと信じていた場合には,自己が相続人になったことを覚知したものとはいえず,熟慮期間は開始しないという裁判例もあります(福岡高決昭和23年11月23日家月2巻1号7頁,高山高決昭和48年9月4日家月26巻2号103頁,仙台高決平成元年9月1日家月42巻1号108頁等)。

(3)熟慮期間の起算点の繰下げ

(4)処分行為と熟慮期間

(5)熟慮期間の伸長の申立

(6)熟慮期間中の相続財産の管理

5.限定承認と相続放棄後の背信的行為(→法定単純承認)

(1)隠匿

(2)私(ひそ)かに消費

(3)悪意で相続財産を相続財産目録に不記載

(4)消極財産の財産目録への不記載

(5)共同相続人における一部の相続人の背信的行為

6.相続放棄の手続の流れ

7.相続放棄の効果

(1)相続放棄は誰が申述できるか

(2)相続放棄と相続資格の重複

(3)相続放棄と債権者代位

(4)相続放棄と詐害行為取消権

8.相続放棄と不動産登記

9.相続放棄と税務

10.相続放棄申述書の書き方と添付書類

(1)管轄


「○○家庭裁判所 御中」と記載例にありますが,どのように記載をすればよいのでしょうか?
 ○○家庭裁判所という管轄を記載する箇所では,相続放棄申述書を提出する裁判所の名称を記載します。また,提出する家庭裁判所は,どこでもよいわけではなく,法律で定められている家庭裁判所に提出しなければなりません。

(2)申述人の記名押印欄


【相続人が認知症】亡父の相続についての相続放棄に関し,申述人の記名押印欄ですが,私が認知症の母の代わりに申述することにしましたので,私の記名押印でもよいですか?
 認知症のお母様の代わりに,相続放棄の手続を行うとのことですが,仮に,ご自身がお母様の後見人等ではない場合には,お母様の代わりに相続放棄をしてはいけません。先に,お母様についての後見の申立をしなければなりません。また,仮に,ご自身がお母様の後見人等であっても,相続財産が資産(+の財産)よりも負債(-の財産)が少ない場合,後見人として不適切な処理をしていると考えられ解任される可能性があります。

【相続人が被成年後見人,被保佐人,被補助人】亡父の相続についての相続放棄に関し,申述人の記名押印欄ですが,私が認知症の母の代わりに申述することにしましたので,私の記名押印でもよいですか?
 認知症のお母様の代わりに,相続放棄の手続を行うとのことですが,仮に,ご自身がお母様の後見人等ではない場合には,お母様の代わりに相続放棄をしてはいけません。先に,お母様についての後見の申立をしなければなりません。また,仮に,ご自身がお母様の後見人等であっても,相続財産が資産(+の財産)よりも負債(-の財産)が少ない場合,後見人として不適切な処理をしていると考えられ解任される可能性があります。

【相続人が未成年】亡父の相続についての相続放棄に関し,申述人の記名押印欄ですが,私が認知症の母の代わりに申述することにしましたので,私の記名押印でもよいですか?
 認知症のお母様の代わりに,相続放棄の手続を行うとのことですが,仮に,ご自身がお母様の後見人等ではない場合には,お母様の代わりに相続放棄をしてはいけません。先に,お母様についての後見の申立をしなければなりません。また,仮に,ご自身がお母様の後見人等であっても,相続財産が資産(+の財産)よりも負債(-の財産)が少ない場合,後見人として不適切な処理をしていると考えられ解任される可能性があります。

【相続人が胎児】亡父の相続についての相続放棄に関し,申述人の記名押印欄ですが,私が認知症の母の代わりに申述することにしましたので,私の記名押印でもよいですか?
 認知症のお母様の代わりに,相続放棄の手続を行うとのことですが,仮に,ご自身がお母様の後見人等ではない場合には,お母様の代わりに相続放棄をしてはいけません。先に,お母様についての後見の申立をしなければなりません。また,仮に,ご自身がお母様の後見人等であっても,相続財産が資産(+の財産)よりも負債(-の財産)が少ない場合,後見人として不適切な処理をしていると考えられ解任される可能性があります。

(3)相続財産の概略欄


相続放棄をするためには,必ず相続財産の調査をしなければならないのですか?
 相続放棄の申述をするときには,「相続財産の概略」を家庭裁判所に申告することになりますが,あくまでも「概略」なので,わかっている範囲で申告すれば大丈夫です。したがって,必ずしも相続財産の調査をする必要はありません。そして,相続放棄をすれば,現時点で判明しているものも,判明していないものも,資産も負債も,亡くなられた方が遺したものは全て放棄することになります。もっとも,わかっている範囲さえ申告しないと,法定単純承認をしたことになり,相続放棄が認められませんので注意をしてください。

(4)理由欄


相続放棄をするためには,相続放棄をする理由が必要でしょうか?例えば,借金等は見つかっていないですが,借金等があるかもしれないので,相続放棄をするということはできるのでしょうか?
 相続放棄の申述をするときには,相続放棄をする理由を記載しますが,相続放棄をする理由は,どのような理由であっても問題はありません。なぜならば,相続放棄は,被相続人の相続人ではないことにする手続だからです。

11.その他


生前に相続放棄の手続をすることはできませんか?
 そのような制度はないため,生前に相続放棄の手続をすることはできません。

夫が商売で借入をしており,私はその借入の保証人になっていました。この場合,夫の相続について,相続放棄をすれば,商売上の借金を払わなくてもよいですか?
 相続放棄をすると,ご主人様の借金を相続人という立場で引継ぐことはなくなりますが,保証人の立場が消えるわけではないため,商売上の借金を支払わなくてもよいということになりません。当該借金を返済できない場合には,債務整理(任意整理,個人再生,自己破産)を検討すべきです。

相続放棄をすると「遺族年金」を受け取れなくなるのですか?
 遺族年金は遺族がその固有の権利に基づいて受給するもので、相続財産には含まれません。よって,相続放棄をした場合でも,遺族年金を受け取ることができます。また,「国家公務員等共済組合法による共済年金」、「国民年金の遺族共済年金」も法律で受給権者が定められています。その結果,遺族年金と同様に,受給権者の固有の権利とされ、相続財産には含まれないので、相続放棄をしても受け取りが可能です。(大阪家庭裁判所昭和59年4月11日審判)

相続放棄をすると「未支給年金」を受け取れなくなるのですか?
 未支給年金は,「死亡した年金受給者の配偶者、子、父母、孫、祖父母、または兄弟姉妹」であって,「死亡の当時に生計が同一だった方」が受給することができます。甥や姪や従兄弟は生計を同じくしていても対象となりません。また,配偶者,子,父母,孫,祖父母または兄弟姉妹であっても,死亡当時に生計を同じくしていなかった者は対象外です(参照条文:国民年金法19条、厚生年金保険法37条、国家公務員共済組合法45条、地方公務員等共済組合法47条)。未支給年金に関する上記規定は、相続とは別の立場から一定の遺族に対して,未支給の年金給付の支給を認めています。 その結果,未支給年金は相続財産には含まれないので、相続放棄をしても受け取ることができます。(最高裁平成7年11月7日判決)

債権者に対しては,相続放棄をすることを隠しておいた方が良いのですか?
 相続放棄は法律で認められた正当な権利です。したがって,相続放棄をする旨を隠す必要はありません。また,相続放棄をする旨を債権者に伝えたからといって,相続放棄の手続きを妨害されることはありません。さらに,債権者(銀行等の金融機関であっても)は,相続放棄をできない旨を説明することがありますが,債権者側の説明を信用しないようにしましょう。

父の借金が見つかったので債権者であるサラ金業者に連絡したところ,相続放棄をするように促されました。お金を取り立てたいはずの業者が相続放棄をするように促すのは,何か裏があるのでしょうか?
 まず,一つの考えとしては,債権者としては,わざわざ相続人に請求するよりも,「損金」として処理してしまった方がよいと判断したのかもしれません。会計上,損金処理は,相続人等が自己破産をするか,相続人の全てが相続放棄をしたことにより相続人がいなくなり債権の回収ができないことが確実になったときにしか認められません。問題になるのは,相続人が借金を返さずに,かつ,自己破産もしないときです。この場合,債権者は,債権の回収ができないのに,いつまでも損金処理ができないことになります。したがって,債権者側としては,早期に損金処理をしたいと考えている場合,相続人に相続放棄を促すことは十分考えられます。  もう一つの考えとしては,債権者に対して過払金があるときです。この場合には,過払金を回収することが非常に難しくなりますので,相続放棄の申述は,過払金の有無を確認してからの方がよいと言えるでしょう。

相続放棄をした後,負債返済を免除してもらうために,債権者と交渉する必要があるのですか?
 相続放棄をすると,相続人でなくなります。相続人でなければ,当然,亡くなられた方の負債を返済する義務もありません。したがって,債権者と交渉して負債返済を免除してもらうというわけではありません。

第6 対応地域とアクセス

1.対応地域

 相続人(財産を受取る方)に関しましては,『全国対応』しております!!

 なお,遺産承継業務(相続トータルサポート)などの場合には,被相続人(財産の名義人の方・亡くなった方)の主な資産が,下記の場所にある場合に,対応できます。もっとも,この範囲以外であってもご事情によりご依頼を受ける場合もございますので,一度,ご相談ください。

●名古屋市内全域

(東区・千種区・名東区・守山区・緑区・昭和区・瑞穂区・天白区・北区・中村区・中区・西区・中川区・熱田区・南区・港区[相生山・赤池・新瑞橋・荒畑・池下・一社・今池・いりなか・岩塚・植田・大須観音・大曽根・覚王山・金山・上社・黒川・上飯田・上小田井・神沢・上前津・亀島・川名・車道・国際センター・御器所・栄・桜本町・桜山・塩釜口・志賀本通・市役所・自由ヶ丘・浄心・新栄町・神宮西・砂田橋・庄内緑地公園・庄内通・浅間町・総合リハビリセンター・高岳・高畑・千種・茶屋ヶ坂・築地口・鶴里・鶴舞・伝馬町・東海通・徳重・中村区役所・中村公園・中村日赤・名古屋・名古屋港・名古屋大学・ナゴヤドーム前矢田・鳴子北・西高蔵・野並・八田・原・東別院・東山公園・久屋大・日比野・平針・吹上・伏見・藤が丘・平安通・星ヶ丘・堀田・本郷・本陣・丸の内・瑞穂運動場西・瑞穂運動場東・瑞穂区役所・港区役所・妙音通・名城公園・本山・八事・八事日赤・矢場町・六番町])

●愛知県全域

(春日井市・あま市・日進市・長久手市・みよし市・北名古屋市・清須市・小牧市・瀬戸市・尾張旭市・津島市・愛西市・弥富市・東郷・大治・蟹江・豊山・春日・大口・扶桑・阿久比・一宮市・稲沢市・江南市・岩倉市・犬山市・豊明市・半田市・常滑市・知多市・内海・東浦・武豊・大府市・東海市・知多市・岡崎市・刈谷市・知立市・碧南市・安城市・高浜市・豊田市・西尾市・豊橋市・豊川市・蒲郡市・幸田・新城市・鳳来[名古屋・金山・鶴舞・千種・大曽根・新守山・勝川・春日井・神領・高蔵寺・定光寺・古虎渓・中村区役所・名古屋・国際センター・丸の内・久屋大通・高岳・車道・今池・吹上・御器所・桜山・瑞穂区役所・瑞穂運動場西・新瑞橋・桜本町・鶴里・野並・鳴子北・相生山・神沢・徳重])

●岐阜県全域

(岐阜市・羽島市・各務原市・山県市・瑞穂市・本巣・羽島市・大垣市・海津市・養老郡・不破郡・安八郡・揖斐郡・関市・美濃市・美濃加茂市・可児市・加茂郡・可児郡・多治見市・中津川市・瑞浪市・恵那市・土岐市[多治見・土岐・瑞浪・釜戸・武並・恵那・美乃坂本・中津川])

●三重県全域

(桑名市・いなべ市・木曽岬・東員・四日市市・菰野・朝日・川越・鈴鹿市・亀山市・津市・松阪市・多気・明和・伊勢市・鳥羽市・志摩市・玉城・度会・南伊勢・大紀・伊賀市・名張市・尾鷲市・紀北・熊野市・御浜・紀宝)

2.アクセス

(1)所在地

〒464-0093
名古屋市千種区茶屋坂通二丁目69番地
茶屋ケ坂パークマンション504
【地下鉄名城線『茶屋ヶ坂駅』から徒歩2分】
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司法書士なかしま事務所(茶屋ケ坂パークマンション504)

(2)ルート

【公共交通機関でお越しの方】

①名古屋市内からのルート
・地下鉄名城線『茶屋ヶ坂駅』から徒歩2分
②名古屋市外からのルート
・JR中央本線『大曽根駅』
 →地下鉄名城線『大曽根駅』
 →地下鉄名城線『茶屋ヶ坂駅【無料相談・全国対応・ネット申込み可】 』から徒歩2分

【車でお越しの方】

・近隣のコインパーキング①【MAYパーク】
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愛知県名古屋市千種区茶屋坂通2-68

・近隣のコインパーキング②【アイペック駐車場】
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愛知県名古屋市千種区茶屋が坂2丁目1−【無料相談・全国対応・ネット申込み可】 22

第7 その他参考図書

1.「相続」全般の参考図書一覧

2.「相続放棄」の参考図書一覧

●管轄裁判所

愛知県(名古屋地方裁判所・名古屋家庭裁判所)

名古屋地方裁判所・名古屋家庭裁判所

名古屋簡易裁判所

名古屋市,豊明市,日進市,清須市,北名古屋市,西春日井郡(豊山町),愛知郡(東郷町)

春日井簡易裁判所

春日井市,小牧市

瀬戸簡易裁判所

瀬戸市,尾張旭市,長久手市

津島簡易裁判所

津島市,愛西市,弥富市,あま市,海部郡(大治町 蟹江町 飛島村)

名古屋地方裁判所半田支部・名古屋家庭裁判所半田支部・半田簡易裁判所

半田市,常滑市,東海市,大府市,知多市,知多郡(阿久比町 東浦町 南知多町 美浜町 武豊町)

名古屋地方裁判所一宮支部・名古屋家庭裁判所一宮支部

一宮簡易裁判所

一宮市,稲沢市

犬山簡易裁判所

犬山市,江南市,岩倉市,丹羽郡(大口町 扶桑町)

名古屋地方裁判所岡崎支部・名古屋家庭裁判所岡崎支部

岡崎簡易裁判所

岡崎市,額田郡(幸田町)

安城簡易裁判所

安城市,碧南市,刈谷市,西尾市,知立市,高浜市

豊田簡易裁判所

豊田市,みよし市

名古屋地方裁判所豊橋支部・名古屋家庭裁判所豊橋支部

豊橋簡易裁判所

豊橋市,豊川市,蒲郡市,田原市

新城簡易裁判所

新城市,北設楽郡(設楽町 東栄町 豊根村)

三重県(津地方裁判所・津家庭裁判所)

津地方裁判所・津家庭裁判所

津簡易裁判所

津市,亀山市,松阪市の内嬉野地域振興局及び三雲地域振興局の各所管区域

鈴鹿簡易裁判所

鈴鹿市

津地方裁判所松阪支部・津家庭裁判所松阪支部・松阪簡易裁判所

松阪市(嬉野地域振興局及び三雲地域振興局の各所管区域を除く。),多気郡(多気町 明和町 大台町) ,度会郡(大紀町)

津地方裁判所伊賀支部・津家庭裁判所伊賀支部・伊賀簡易裁判所

名張市,伊賀市

津地方裁判所伊勢支部・津家庭裁判所伊勢支部・伊勢簡易裁判所

伊勢市,鳥羽市,志摩市,度会郡(玉城町,度会町,南伊勢町)

津地方裁判所熊野支部・津家庭裁判所熊野支部

熊野簡易裁判所

熊野市,南牟婁郡(御浜町 紀宝町)

尾鷲簡易裁判所

尾鷲市,北牟婁郡(紀北町)

津地方裁判所四日市支部・津家庭裁判所四日市支部

四日市簡易裁判所

四日市市,三重郡(菰野町 朝日町 川越町)

桑名簡易裁判所

桑名市,いなべ市,桑名郡(木曽岬町),員弁郡(東員町)

岐阜県(岐阜地方裁判所・岐阜家庭裁判所)

岐阜地方裁判所・岐阜家庭裁判所

岐阜簡易裁判所

岐阜市,関市,美濃市,羽島市,各務原市,山県市,瑞穂市,本巣市,下呂市(金山振興事務所の所管区域),羽島郡(岐南町 笠松町),本巣郡(北方町)

岐阜家庭裁判所郡上出張所・郡上簡易裁判所

郡上市

岐阜地方裁判所・岐阜家庭裁判所

多治見簡易裁判所

多治見市,瑞浪市,土岐市

岐阜家庭裁判所中津川出張所・中津川簡易裁判所

中津川市,恵那市

岐阜地方裁判所御嵩支部・岐阜家庭裁判所御嵩支部・御嵩簡易裁判所

美濃加茂市,可児市,加茂郡(坂祝町 富加町 川辺町 七宗町 八百津町 白川町 東白川村),可児郡(御嵩町)

岐阜地方裁判所大垣支部・岐阜家庭裁判所大垣支部・大垣簡易裁判所

大垣市,海津市,養老郡(養老町),不破郡(垂井町 関ヶ原町),安八郡(神戸町 輪之内町 安八町),揖斐郡(揖斐川町 大野町 池田町)

岐阜地方裁判所高山支部・岐阜家庭裁判所高山支部・高山簡易裁判所

高山市,飛騨市,下呂市(金山振興事務所の所管区域を除く。),大野郡(白川村)

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