最終更新日:2026年4月30日
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[ 相続登記の義務化 ] でお悩みではありませんか?
この記事では、司法書士の視点から [義務化の注意点] と [相続人申告登記] について分かりやすく解説します。
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対応が早くて、ちゃんと相談に返信があり信頼出来ました
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目次【「相続登記義務化」の窓口】

監修者 司法書士 中嶋 剛士 のプロフィール

司法書士 中嶋剛士(シホウショシ ナカシマコウジ)
司法書士中嶋剛士

❖「司法書士なかしま事務所」代表司法書士
❖名古屋市の法務大臣認定司法書士
❖依頼は“相続・相続対策”と“借金問題”が中心
❖司法書士実務は2011年から
❖特別研修のチューターを4年経験
❖テレビ出演:2021年3月30日:CBCテレビ[チャント!]
登録番号 愛知 第1924号
簡裁訴訟代理等関係業務 認定番号 第1318043号

「相続登記」の窓口

●相談料「初回無料」 ●相続登記の手続費用「5万円~」 ●対応地域「全国対応(愛知・岐阜南部・三重北部は面談相談も可)」 ●その他「詳細なQ&Aで“相続登記”の〔手続…

★「相続登記の費用」「相続登記の手続きの流れ」は、【「相続登記」の窓口】へ

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第1 相続登記義務化とは-わかりやすく詳しく解説

1.相続登記義務化の特徴

(1)相続登記義務化とは

相続登記義務化のまとめ

  • 法改正により今後「相続登記が義務化」される
  • 相続登記を怠ると「10万円以下の過料」
  • 令和6年4月1日より開始(施行)
  • 過去の相続も義務化の対象(遡及適用)
  • 氏名や住所の変更登記も義務化される

(2)相続登記義務化の制度

相続登記義務化は、なぜ、開始することになったのですか?

相続登記義務化
図解_相続登記_相続登記義務化

 将来において、所有者不明の土地が発生するのを予防するためです。

 最近、景観・治安の悪化、近隣損害及び公共工事の実施の遅れ等が問題となっていますが、その原因の一つは「所有者不明土地」であるとされています。

【所有者不明土地とは】①これまで、土地の所有者が死亡して相続が発生しても、相続登記の申請が義務ではなかったことや、②都市部への人口移動などにより相続人全員が遠方に居住しているために、誰も土地の相続を希望せず、放置されるケースも少なくありませんでした。しかも、③遺産分割をしないまま相続が繰り返されると、土地共有者がねずみ算式に増加して、権利者を確定するのに多大な労力が発生することもありました。
 このような不動産登記簿から所有者がただちに判明しなかったり、所有者が判明しても、その所在が不明で連絡が付かない土地のことを「所有者不明土地」といいます。
 「所有者不明土地」は、土地が管理されずに放置されることが多く、隣接する土地への悪影響が発生するなどの問題がありました。また、所有者の探索に多大な時間と費用が必要であったり、そもそも所有者の所在が不明であることなどから、「公共事業や災害復旧工事などが円滑に進まない」「民間取引が阻害される」など、土地の利活用を阻害していました。
 「所有者不明土地」は、一説では、全国の「所有者不明土地」の総面積は、九州の面積より広いともいわれています。

 そのため、相続の登記の申請を義務付けて、不動産の所有者に関する最新の情報を公示することを目的としています。

相続登記義務化の「背景」

  • 相続登記の申請は義務ではなく、申請しなくても不利益を被ることは少ない
  • 都市部への人口移動や人口減少・高齢化の進展等により、地方を中心に、土地の所有意識が希薄化・土地を利用したいというニーズも低下
  • 遺産分割をしないまま相続が繰り返されると、土地共有者がねずみ算式に増加

所有者不明土地の「問題点」

  • 所有者の探索に多大な時間と費用が必要(戸籍・住民票の収集、現地訪問等の負担が大きい)
  • 所有者の所在等が不明な場合には、土地が管理されず放置されることが多い
  • 共有者が多数の場合や一部所在不明の場合、土地の管理・利用のために必要な合意形成が困難

※公共事業や復旧・復興事業が円滑に進まず、民間取引が阻害されるなど、土地の利活用を阻害

※土地が管理不全化し、隣接する土地への悪影響が発生

所有者不明土地問題の解決方法

  • 不動産登記制度の見直し⇒相続登記・住所変更登記の申請義務化
  • 土地を手放すための制度(相続土地国庫帰属制度)の創設⇒相続等により土地の所有権を取得した者が、法務大臣の承認を受けてその土地の所有権を国庫に帰属させることができる制度を創設
  • 土地利用に関連する民法の規律の見直し⇒①所有者不明土地管理制度等の創設、②共有者が不明な場合の共有地の利用の円滑化、③長期間経過後の遺産分割の見直し、など

 なお、相続登記義務化に関する【詳細なQ&A】は下記をご覧ください。

(3)相続登記の期限

相続登記は、いつまでに行わなければならないのですか?

 不動産の所有権の登記名義人に相続が発生し、かつ、それによって当該登記名義人から当該不動産を取得したことを知った日から3年以内に相続の登記の申請をしなければなりません。

 また、上記の法定相続分による登記を行った場合であっても、後に遺産分割があった場合には、遺産分割の日から3年以内に所有権の移転の登記の申請をしなければなりません。

【条文】不動産登記法76条の2

(相続等による所有権の移転の登記の申請)
第七十六条の二 所有権の登記名義人について相続の開始があったときは、当該相続により所有権を取得した者は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知った日から三年以内に、所有権の移転の登記を申請しなければならない。遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)により所有権を取得した者も、同様とする。
2 前項前段の規定による登記(民法第九百条及び第九百一条の規定により算定した相続分に応じてされたものに限る。次条第四項において同じ。)がされた後に遺産の分割があったときは、当該遺産の分割によって当該相続分を超えて所有権を取得した者は、当該遺産の分割の日から三年以内に、所有権の移転の登記を申請しなければならない。
3 前二項の規定は、代位者その他の者の申請又は嘱託により、当該各項の規定による登記がされた場合には、適用しない。

 なお、相続登記等の期限に関する【詳細なQ&A】は下記をご覧ください。

相続人がすべき登記申請の内容

○ 3年以内に遺産分割が成立しなかったケース
▶ まずは、3年以内に相続人申告登記の申出(法定相続分での相続登記の申請でも可)を行う。
▶ その後に遺産分割が成立したら、遺産分割成立日から3年以内に、その内容を踏まえた相続登記の申請を行う。
▶ その後に遺産分割が成立しなければ、それ以上の登記申請は義務付けられない。

○ 3年以内に遺産分割が成立したケース
▶ 3年以内に遺産分割の内容を踏まえた相続登記の申請が可能であれば、これを行えば足りる。
▶ それが難しい場合等においては、3年以内に相続人申告登記の申出(法定相続分での相続登記の申請でも可)を行った上で、遺産分割成立日(死亡日ではない)から3年以内に、その内容を踏まえた相続登記の申請を行う。

○ 遺言書があったケース
▶ 遺言(特定財産承継遺言又は遺贈)によって不動産の所有権を取得した相続人が取得を知った日から3年以内に遺言の内容を踏まえた登記の申請(相続人申告登記の申告でも可)を行う。

(4)相続登記を怠った場合のペナルティー(罰則)

相続登記を怠った場合、ペナルティー(罰則)はあるのですか?

 正当な理由がないのに相続の登記の申請を怠ったときは、10 万円以下の過料に処されます。

【条文】不動産登記法164条

(過料)
第百六十四条 第三十六条、第三十七条第一項若しくは第二項、第四十二条、第四十七条第一項(第四十九条第二項において準用する場合を含む。)、第四十九条第一項、第三項若しくは第四項、第五十一条第一項から第四項まで、第五十七条、第五十八条第六項若しくは第七項、第七十六条の二第一項若しくは第二項又は第七十六条の三第四項の規定による申請をすべき義務がある者が正当な理由がないのにその申請を怠ったときは、十万円以下の過料に処する。
2 第七十六条の五の規定による申請をすべき義務がある者が正当な理由がないのにその申請を怠ったときは、五万円以下の過料に処する。

 なお、相続登記等の期限超えのペナルティー(罰則)に関する【詳細なQ&A】は下記をご覧ください。

(5)相続人申告登記(相続人である旨の申出等)

被相続人が死亡して、遺産分割協議が成立しないまま3年が経過しそうですが、その場合にでも、ペナルティー(罰則)はあるのですか?

 相続人が、登記官に対して、所有権の登記名義人につき相続が開始したこと及び自らが当該所有権の登記名義人の戸籍上の相続人であることを申し出ることにより、当該申出をした相続人については、相続の登記の申請の義務が免除されます。

【条文】不動産登記法76条の3

(相続人である旨の申出等)
第七十六条の三 前条第一項の規定により所有権の移転の登記を申請する義務を負う者は、法務省令で定めるところにより、登記官に対し、所有権の登記名義人について相続が開始した旨及び自らが当該所有権の登記名義人の相続人である旨を申し出ることができる。
2 前条第一項に規定する期間内に前項の規定による申出をした者は、同条第一項に規定する所有権の取得(当該申出の前にされた遺産の分割によるものを除く。)に係る所有権の移転の登記を申請する義務を履行したものとみなす。
3 登記官は、第一項の規定による申出があったときは、職権で、その旨並びに当該申出をした者の氏名及び住所その他法務省令で定める事項を所有権の登記に付記することができる。
4 第一項の規定による申出をした者は、その後の遺産の分割によって所有権を取得したとき(前条第一項前段の規定による登記がされた後に当該遺産の分割によって所有権を取得したときを除く。)は、当該遺産の分割の日から三年以内に、所有権の移転の登記を申請しなければならない。
5 前項の規定は、代位者その他の者の申請又は嘱託により、同項の規定による登記がされた場合には、適用しない。
6 第一項の規定による申出の手続及び第三項の規定による登記に関し必要な事項は、法務省令で定める

 なお、相続人申告登記(相続人である旨の申出等)に関する【詳細なQ&A】は下記をご覧ください。

(6)相続登記義務化の施行期日について

相続登記の義務化は、いつから始まりますか?

 相続登記の義務化は、令和3年12月14日に、令和6年4月1日に施行されることが決定しました。

2.相続登記の報酬及び費用

相続登記の手続費用(報酬及び実費費用)はどのようになるのでしょうか?

 【「相続登記」の窓口】の【第3 相続登記の報酬及び費用】をご覧ください。

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3.相続登記の手続の流れ

相続登記 の流れはどのようになるのでしょうか?

 【「相続登記」の窓口】の【第4 相続登記の手続の流れ】をご覧ください。

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第2 相続登記義務化等のQ&A

1.相続登記義務化

▶申請期限【相続を原因とする所有権移転登記】

相続を原因とする所有権移転登記は、いつまでに行わなければならないのですか?

 相続を原因とする所有権移転登記は、不動産の所有権の登記名義人に相続が発生し、かつ、それによって当該登記名義人から当該不動産を取得したことを知った日から3年以内に登記の申請をしなければなりません(不動産登記法76条の2)。

▶申請期限【相続人に対する遺贈を原因とする所有権移転登記】

相続人に対する遺贈を原因とする所有権移転登記は、いつまでに行わなければならないのですか?

 相続人に対する遺贈を原因とする所有権移転登記は、不動産の所有権の登記名義人に相続が発生し、かつ、それによって当該登記名義人から当該不動産を取得したことを知った日から3年以内に登記の申請をしなければなりません(不動産登記法76条の2)。

▶申請期限【相続人以外に対する遺贈を原因とする所有権移転登記】

相続人以外に対する遺贈を原因とする所有権移転登記は、いつまでに行わなければならないのですか?

 相続人以外に対する遺贈を原因とする所有権移転登記の申請期限は、定められていません(不動産登記法76条の2)。

 もっとも、対抗問題の関係で、可能な限り、遺贈を原因とする所有権移転登記を申請した方がよいと考えられます。

▶申請期限【遺産分割を原因とする所有権移転登記】

遺産分割を原因とする所有権移転登記は、いつまでに行わなければならないのですか?

 遺産分割を原因とする所有権移転登記は、法定相続分による相続を原因とする所有権移転登記がされた後に遺産の分割があったときは、当該遺産の分割によって当該相続分を超えて所有権を取得した者は、3年以内に登記の申請をしなければなりません(不動産登記法76条の2)。

▶申請期限【代位の登記等と相続登記等】

相続登記を原因とする所有権移転登記を申請していませんが、代位によって相続登記を原因とする所有権移転登記がされているときは、申請期限は、どのように判断するのでしょうか?

 代位者その他の者の申請又は嘱託により、相続登記を原因とする所有権移転登記がされている場合には、「3年以内に登記の申請をしなければならない」という規定は適用されません(不動産登記法76条の2)。

遺産分割を原因とする所有権移転登記を申請していませんが、代位によって遺産分割を原因とする所有権移転登記がされているときは、申請期限は、どのように判断するのでしょうか?

  代位者その他の者の申請又は嘱託により、遺産分割を原因とする所有権移転登記がされている場合には、「3年以内に登記の申請をしなければならない」という規定は適用されません(不動産登記法76条の2)。

▶相続登記義務化の経過措置【法の施行時点で既に期限超え】

所有権の登記名義人が亡くなってからすでに相当の期間が経過しているのですが、相続登記義務化の対象となりますか?

 今回の改正法が施行される時点ですでに所有権の登記名義人につき相続が発生し、相続登記未了となっている不動産についても、相続の登記の申請の義務が課される予定です。この場合においても、相続人申告登記(相続人である旨の申出等)による申出をした相続人については、相続の登記の申請の義務が免除されます。なお、相続人が多数になる等して権利関係が複雑になっていることがあり、国民の負担を軽減するため、所要の経過措置を設けることとされています。

▶相続登記等の期限超え【罰則】

相続登記を怠った場合、ペナルティーはあるのですか?

 正当な理由がないのに相続の登記の申請を怠ったときは、10 万円以下の過料に処されます。

▶相続登記等の期限超え【正当な理由とは】

相続の発生等を知ってから3年以内に相続の登記を申請しなかった場合、直ちに過料が科されることになるのでしょうか?

 過料が科せられるのは、あくまで、正当な理由がないのに登記の申請を怠ったときに限られます。

 具体的に、正当な理由の有無等を登記官がどのように判断するかについては、登記官が相続人に対して登記の申請をするようあらかじめ催告し、それでも登記の申請を行わなかった場合に限り過料を科すこととする等、相続人の負担が重くならないように運用される予定です。なお、その運用は、今後省令や通達によって定められる予定です。

▶相続登記等の期限超え【遺産分割の期限】

相続登記の期限があるということは、遺産分割の期限もあるということでしょうか?

 相続開始の時から10 年を経過した場合は、寄与分や特別受益等を踏まえた具体的相続分の主張ができなくなり、遺産の分割は、原則として、法定相続分によることになります(民法904条の3)。もっとも、裁判外における遺産の分割の協議や家庭裁判所における遺産の分割の調停において、相続人全員の合意がある場合は、これまでと同様に、必ずしも法定相続分によらない分割をすることもできるとされています(民法907条)。

【条文】民法904条の3

(期間経過後の遺産の分割における相続分)
第九百四条の三 前三条の規定は、相続開始の時から十年を経過した後にする遺産の分割については、適用しない。ただし、次の各号のいずれかに該当するときは、この限りでない。
一 相続開始の時から十年を経過する前に、相続人が家庭裁判所に遺産の分割の請求をしたとき。
二 相続開始の時から始まる十年の期間の満了前六箇月以内の間に、遺産の分割を請求することができないやむを得ない事由が相続人にあった場合において、その事由が消滅した時から六箇月を経過する前に、当該相続人が家庭裁判所に遺産の分割の請求をしたとき。

【条文】民法907条

(遺産の分割の協議又は審判)
第九百七条 共同相続人は、次条第一項の規定により被相続人が遺言で禁じた場合又は同条第二項の規定により分割をしない旨の契約をした場合を除き、いつでも、その協議で、遺産の全部又は一部の分割をすることができる。
2 遺産の分割について、共同相続人間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、各共同相続人は、その全部又は一部の分割を家庭裁判所に請求することができる。ただし、遺産の一部を分割することにより他の共同相続人の利益を害するおそれがある場合におけるその一部の分割については、この限りでない。

2.相続人申告登記

▶相続人申告登記【効果】

被相続人が死亡して、遺産分割協議が成立しないまま3年が経過しそうですが、相続人申告登記の手続を行うことによって、ペナルティー(罰則)がなくなるのですか?

 相続人申告登記を行うことによって、法定相続分による登記を申請する義務が履行されたものとみなされるため、10 万円以下の過料(ペナルティー)がなくなります(不動産登記法76条の3)。

▶相続人申告登記【申出事項】

相続人申告登記は、どのような方法により行うことができるのですか?

 相続人申告登記は、相続人( 所有権の移転の登記を申請する義務を負う者 )が、登記官に対して、所有権の登記名義人につき相続が開始したこと及び自らが当該所有権の登記名義人の戸籍上の相続人であることを申し出る方法によります(不動産登記法76条の3)。

▶相続人申告登記【登記は申請か職権か】

相続人申告登記は、所有権の移転の登記を申請する義務を負う者が登記を申請をするのでしょうか?

 相続人申告登記は、相続人( 所有権の移転の登記を申請する義務を負う者 )が、登記官に対して、所有権の登記名義人につき相続が開始したこと及び自らが当該所有権の登記名義人の戸籍上の相続人であることを申し出る方法によります(不動産登記法76条の3)。そして、登記官は、相続人申告登記の申出があったときは、職権で、その旨並びに当該申出をした者の氏名及び住所その他法務省令で定める事項を所有権の登記に付記することができるとされています(不動産登記法76条の3)。

▶相続人申告登記【単独申請か否か】

相続人申告登記は、相続人が複数存在する場合でも、一人で可能ですか?

 相続人が複数存在する場合でも特定の相続人が単独で申出をすることができます。なお、他の相続人の分も含めた代理申出もできます。

▶相続人申告登記【添付書面】

相続人申告登記の添付書面は、どのような書類が必要ですか?

 添付書面としては、申出をする相続人自身が被相続人(所有権の登記名義人)の相続人であることが分かる当該相続人の戸籍謄本(具体的には、被相続人の死亡記載の戸籍謄本と相続人の現在戸籍謄本)を提出することで足りる(資料収集の負担が軽減される)とされています。

▶相続人申告登記【法定相続人・相続分の確定は必要か】

相続人申告登記は、相続人が何人いるか、また、相続分をどのくらいもっているかを明らかにしなければならないですか?

 相続人申告登記の場合には、法定相続人の範囲及び法定相続分の割合の確定は不要です。したがって、相続人が何人いるか、また、相続分をどのくらいもっているかを明らかにしなくてもよいです。つまり、被相続人やその相続人の出生から死亡までの戸籍一式を収集しなくてもよく、相続人自身が被相続人(所有権の登記名義人)の相続人であることが分かる当該相続人の戸籍謄本(具体的には、被相続人の死亡記載の戸籍謄本と相続人の現在戸籍謄本)で足りることもなります。

▶相続人申告登記【主登記か付記登記か】

相続人申告登記は、登記記録の権利部甲区に主登記で登記されるのでしょうか?

 登記官は、相続人申告登記の申出があったときは、職権で、その旨並びに当該申出をした者の氏名及び住所その他法務省令で定める事項を所有権の登記に付記することができるとされています(不動産登記法76条の3)。つまり、相続人申告登記は、主登記ではなく、付記登記によって登記されます。

▶相続人申告登記【相続申告登記と遺産分割】

相続人申告登記を行った場合には、その後に遺産の分割があっても、ペナルティー(罰則)がないということでいいでしょうか?

 相続人申告登記の申出をした者は、その後の遺産の分割によって所有権を取得したときは、当該遺産の分割の日から三年以内に、所有権の移転の登記を申請しなければなりません(不動産登記法76条の3)。

▶相続人申告登記【相続申告登記と代位による登記等】

相続人申告登記をしている場合、その後に遺産の分割があって、代位によって遺産分割を原因とする所有権移転登記がされているときは、申請期限は、どのように判断するのでしょうか?

代位者その他の者の申請又は嘱託により、遺産分割を原因とする所有権移転登記がされている場合には、「3年以内に登記の申請をしなければならない」という規定は適用されません(不動産登記法76条の3)。

3.所有不動産記録証明制度

▶所有不動産記録証明制度とは

所有不動産記録証明制度とは、どのような制度ですか?

 所有不動産記録証明制度とは、相続登記の申請の義務化に伴い、相続人において被相続人名義の不動産を把握しやすくすることで、相続登記の申請に当たっての当事者の手続的負担を軽減するとともに登記漏れを防止する観点から、登記官において、特定の被相続人が所有権の登記名義人(※)として記録されている不動産(そのような不動産がない場合には、その旨。以下同じ。)を一覧的にリスト化し、証明する制度(不動産登記法119条の2)

(※)条文上は「これに準ずる者として法務省令で定めるものを含む。」とされており、将来的には、表題部所有者への拡大が予定されています。

【現状の問題点】現行不動産登記法の下では、登記記録は、土地や建物ごとに作成されており(物的編成主義)、全国の不動産から特定の者が所有権の登記名義人となっているものを網羅的に抽出し、その結果を公開する仕組みは存在しません。その結果、所有権の登記名義人が死亡した場合に、その所有する不動産としてどのようなものがあるかについて相続人が把握しきれず、見逃された土地について相続登記がされないまま放置されてしまう事態が少なからず生じていると指摘されています。

【条文】不動産登記法119条の2

(所有不動産記録証明書の交付等)
第百十九条の二 何人も、登記官に対し、手数料を納付して、自らが所有権の登記名義人(これに準ずる者として法務省令で定めるものを含む。)として記録されている不動産に係る登記記録に記録されている事項のうち法務省令で定めるもの(記録がないときは、その旨)を証明した書面(以下この条において「所有不動産記録証明書」という。)の交付を請求することができる。
2 相続人その他の一般承継人は、登記官に対し、手数料を納付して、被承継人に係る所有不動産記録証明書の交付を請求することができる。
3 前二項の交付の請求は、法務大臣の指定する登記所の登記官に対し、法務省令で定めるところにより、することができる。
4 前条第三項及び第四項の規定は、所有不動産記録証明書の手数料について準用する。

▶所有不動産記録証明制度【請求権者】

所有不動産記録証明制度を利用すれば、誰でも、対象者の持っている不動産のリストを取得することができるのですか?

 ある特定の者が登記名義人となっている不動産を一覧的に把握するニーズは、より広く生存中の自然人のほか法人についても認められるとの指摘がされていることから、これらの者についても所有不動産記録証明制度の対象としつつ、プライバシー等に配慮して請求範囲を次のとおり限定することとしています。

  • 何人も、自らが所有権の登記名義人として記録されている不動産について本証明書の交付請求が可能
  • 相続人その他の一般承継人は、被相続人その他の被承継人に係る本証明書について交付請求可能

 つまり、誰でも、所有不動産記録証明書を取得できるわけではありません。

4.所有権の登記名義人の死亡情報の符号の表示

▶死亡情報の符号の表示とは

所有権の登記名義人の死亡情報についての符号の表示がされるとのことですが、「死亡情報についての符号の表示」とは、どのような制度ですか?

 所有権の登記名義人の相続に関する不動産登記情報の更新を図る方策の一つとして、登記官が他の公的機関(住基ネットなど)から取得した死亡情報に基づいて不動産登記に死亡の事実を符号によって表示する制度を新設し、登記を見ればその不動産の所有権の登記名義人の死亡の事実を確認することが可能となる制度です。

【現状の問題点】現行法の下では、特定の不動産の所有権の登記名義人が死亡しても、一般に、申請に基づいて相続登記等がされない限り、当該登記名義人が死亡した事実は不動産登記簿に公示されないため、登記記録から所有権の登記名義人の死亡の有無を確認することができません。もっとも、民間事業や公共事業の計画段階等においては、死亡の有無の確認が可能になれば、所有者の特定やその後の交渉に手間やコストを要する土地や地域を避けることが可能になり、事業用地の選定がより円滑になることから、所有権の登記名義人の死亡情報をできるだけ登記に反映させるべきであるとの指摘がされている。

【条文】不動産登記法76条の4

(所有権の登記名義人についての符号の表示)
第七十六条の四 登記官は、所有権の登記名義人(法務省令で定めるものに限る。)が権利能力を有しないこととなったと認めるべき場合として法務省令で定める場合には、法務省令で定めるところにより、職権で、当該所有権の登記名義人についてその旨を示す符号を表示することができる。

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