1. 相続登記における「原本還付(げんぽんかんぷ)」とは?
1-1. 原本還付の仕組みと法的な位置づけ
《質問》相続登記でよく聞く「原本還付」とは、簡単に言うとどのような制度ですか?
《回答》法務局へ登記申請をする際に、戸籍謄本や遺産分割協議書などの「原本」と一緒に「コピー」を提出することで、手続き完了後に「原本」を返却してもらえる制度です。
【詳細な解説】
相続登記(不動産の名義変更)をおこなう場合、被相続人(亡くなった方)の出生から死亡までの戸籍謄本や、相続人全員の現在の戸籍謄本など、大量の証明書類を法務局へ提出する必要があります。しかし、これらの書類は原則として法務局に保管され、そのままでは手元に戻ってきません。
そこで、不動産登記規則という法律に基づき、正しく作成したコピー(謄本)を添えて申請することで、登記完了後に原本を返却してもらうことができます。これが「原本還付」の仕組みです。
■ 原本還付の概要表
| 項目 | 内容 |
| 制度の目的 | 提出した重要な証明書や書類を、申請者の手元に戻すこと |
| 根拠法令 | 不動産登記規則 第55条(添付書面の原本の還付請求) |
| 絶対条件 | 原本と相違ないことを証明した「正確なコピー」を一緒に提出すること |
■ 原本還付の基本的な流れ
- 準備:還付を受けたい書類の原本をすべて用意する。
- 複写:原本の鮮明なコピーをとる(裏面がある場合は裏面も)。
- 作成:コピーをホッチキスで綴じ、契印(割印)と「原本に相違ありません」という署名・押印をおこなう。
- 提出:登記申請書、原本、作成したコピー一式を法務局へ提出する。
- 返却:登記完了後、法務局の窓口または郵送で原本が返却される。
1-2. なぜ法務局に提出した書類を返してもらう必要があるのか?
《質問》登記が終われば法務局で保管してもらっても良い気がしますが、なぜわざわざ手間をかけて原本を返してもらう必要があるのですか?
《回答》最大の理由は、戸籍謄本などの書類を「銀行の預金解約」や「相続税の申告」など、他の相続手続きで使い回す必要があるためです。
【詳細な解説】
人が亡くなった後の相続手続きは、不動産(法務局)だけでは終わりません。銀行や証券会社での口座解約、車の名義変更、税務署への相続税申告など、さまざまな場所で「亡くなったことと相続関係を証明する戸籍謄本の束」や「誰が何を相続するか決めた遺産分割協議書」の提示が求められます。
もし法務局で原本をそのまま提出しっぱなしにしてしまうと、他の機関へ提出するために、再度市役所で高額な手数料を払って戸籍謄本一式を取り直さなければならなくなります。これを防ぐために原本還付が必須となります。
■ 原本を「返してもらう場合」と「そのまま提出する場合」の比較
| 状況 | メリット | デメリット |
| 原本還付をする | 他の手続きで使い回せる。 再取得の手間と費用が浮く。 | コピーの作成や割印などの作業に手間がかかる。 |
| 原本還付をしない | 法務局への提出準備(コピー作業)が省けて楽。 | 銀行手続き等のために、戸籍等を取り直す費用と時間がかかる。 |
■ 相続手続きにおける書類提出の流れ(モデルケース)
- 市役所で戸籍謄本一式を「1セットのみ」取得する。
- 法務局へ相続登記を申請(※ここで必ず原本還付をおこなう)。
- 登記完了後、法務局から戸籍謄本一式の原本が返ってくる。
- 返ってきた戸籍謄本一式を、A銀行の預金解約手続きに提出(ここでも原本還付またはコピー提出を依頼)。
- A銀行から返ってきた戸籍を、次はB証券会社へ提出する。
1-3. 原本還付の手続きにかかる追加費用(印紙代など)は原則無料
《質問》原本還付を法務局にお願いする場合、特別な手数料や印紙代はかかりますか?
《回答》法務局に対する手数料や登録免許税(印紙代)の追加は一切ありません。無料で制度を利用できます。
【詳細な解説】
原本還付を請求すること自体に対して、法務局にお金を払う必要はありません。ただし、申請者側で「コピー用紙代」や「コピー機を使う費用」といった実費は発生します。戸籍が数十ページに及ぶ場合は、コンビニ等でコピーをとる料金が数百円程度かかることがあります。
それでも、戸籍謄本をすべて取り直す費用(数千円〜数万円)に比べれば、コピー代程度の出費で済むため、圧倒的に経済的です。
■ 原本還付に関する費用内訳表
| 費用の種類 | 金額・相場 | 支払先 |
| 法務局への還付手数料 | 0円(無料) | なし |
| コピー代(実費) | 1枚10円程度 | コンビニ等のコピー機 |
| 郵送費(郵送返却の場合) | 数百円(レターパックプラス等) | 郵便局 |
■ 費用発生と手続きの流れ
- 市役所で戸籍取得費用を支払う(初回のみ)。
- 自宅やコンビニで原本のコピーを作成する(コピー代発生)。
- 法務局へ登記申請(※原本還付自体は無料)。
- (郵送で原本を返してもらう場合のみ)返信用封筒と切手・レターパック代を負担する。
2. 相続登記で原本還付をおこなう3つの大きなメリット
2-1. 【コスト削減】戸籍謄本などの取得費用(実費)を大幅に節約できる
《質問》戸籍を取り直すと、具体的にどのくらいの費用がかかってしまうのでしょうか?
《回答》被相続人の出生から死亡までの戸籍を揃えると、1セットで約3,000円〜10,000円程度かかります。原本還付をすれば、この費用が丸ごと節約できます。
【詳細な解説】
相続手続きに必要な戸籍は1通だけではありません。法律上、「亡くなった方の出生から死亡までの連続した戸籍」が必要になります。昔の戸籍(改製原戸籍や除籍謄本)は1通750円と高額で、転籍(本籍地の移動)を繰り返している方やご高齢で亡くなった方の場合は、5通〜10通以上になることも珍しくありません。
原本還付を利用して1セットを使い回せば、提出先の数だけ戸籍を取得する無駄を省くことができます。
■ 証明書の取得費用一覧表
| 証明書の種類 | 役所での取得手数料(1通あたり) |
| 現在の戸籍謄本(戸籍全部事項証明書) | 450円 |
| 除籍謄本・改製原戸籍謄本 | 750円 |
| 住民票の除票・戸籍の附票 | 300円(※市区町村により異なる) |
| 印鑑証明書 | 300円(※市区町村により異なる) |
■ コスト削減のシミュレーション(提出先が法務局、銀行2行の計3箇所の場合)
- 【還付しない場合】 戸籍一式(仮に1セット5,000円とする)× 3箇所分 = 15,000円の出費
- 【還付する場合】 戸籍一式(1セット5,000円)+ コピー代等約300円 = 5,300円の出費
- 結果:約9,700円の節約!
2-2. 【使い回し】銀行預金や証券口座の相続手続きに同じ書類を流用できる
《質問》法務局から返してもらった戸籍には、何かハンコが押されたりして、銀行で使えなくなったりしませんか?
《回答》ご安心ください。原本には何も記載されたり印鑑が押されたりすることなく、綺麗な状態で返却されるため、そのまま金融機関等で問題なく使用できます。
【詳細な解説】
登記完了後に法務局から返却される原本は、提出時と全く同じ状態です(法務局側でクリップ留めなどをされることはありますが、内容に影響はありません)。
そのため、金融機関や税務署など、あらゆる相続手続きで堂々と使い回すことができます。複数の銀行に口座がある場合でも、一つずつ順番に手続きを回していく(リレー方式)ことで、戸籍1セットだけで全ての手続きを完了させることが可能です。
■ 戸籍一式が必要となる主な相続手続き一覧
| 手続き先 | 目的 | 手続きの期限・目安 |
| 法務局 | 不動産の名義変更(相続登記) | 相続を知った日から3年以内 |
| 金融機関(銀行等) | 預貯金の解約、名義変更 | 特に期限なし(早めが望ましい) |
| 証券会社 | 株式・投資信託等の移管 | 特に期限なし |
| 税務署 | 相続税の申告 | 亡くなったことを知った日の翌日から10ヶ月以内 |
| 陸運局 | 自動車の名義変更 | 15日以内(実務上は柔軟) |
■ 効率的な手続きの順番(使い回しのフロー)
- 相続登記(法務局)は時間がかかる(1〜2週間)ため、まずは法務局へ提出し原本還付を受ける。
- 返却後、一番金額の大きいメインバンクの手続きをおこなう。
- 次の銀行、証券会社と順番に手続きを進める。
- 最後に税務署(相続税申告がある場合)へ提出する。
2-3. 【保管】思い出の詰まった遺言書や、重要な遺産分割協議書を手元に残せる
《質問》亡くなった親が直筆で書いた遺言書です。登記に必要とはいえ、法務局に取られてしまうのは寂しいのですが……。
《回答》自筆証書遺言などの遺言書も原本還付が可能です。手続き完了後、大切な形見としてお手元に保管していただけます。
【詳細な解説】
コスト削減や手続きの使い回しといった実務的なメリットだけでなく、「重要書類の保管」という観点でも原本還付は重要です。
とくに、故人がご自身の思いを綴った「自筆証書遺言」は、唯一無二のものです。また、相続人全員で実印を押して作成した「遺産分割協議書」も、後日の言った・言わないのトラブルを防ぐための強力な証拠書類となります。これらを法務局へ提出したままにせず、手元で大切に保管するためにも原本還付の手続きは必須と言えます。
■ 手元に保管しておくべき重要書類とその理由
| 書類名 | 保管しておくべき理由 |
| 遺言書(自筆・公正証書) | 故人の意思の記録(形見)。他の財産が後から見つかった場合の手続きにも必要。 |
| 遺産分割協議書 | 「誰がどの財産を相続するか」を合意した決定的な証拠。後日の親族間トラブル防止。 |
| 印鑑証明書 | (※条件を満たして還付された場合)遺産分割協議書とセットで真実性を担保するため。 |
■ 登記完了後の書類保管フロー
- 法務局から「登記識別情報通知(権利証)」と一緒に、還付された書類一式を受け取る。
- 遺言書や遺産分割協議書など、二度と再発行できない書類をクリアファイル等にまとめる。
- 銀行の貸金庫や、自宅の耐火金庫など、安全な場所に保管する。
3. 原本還付が「できる書類」と「できない書類」の完全一覧
3-1. 原本還付が可能な書類①:戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍・住民票
《質問》戸籍関係の書類で、原本還付できないものはありますか?
《回答》いいえ、相続を証明するための戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍、および住所を証明する住民票(除票含む)や戸籍の附票は、すべて原本還付が可能です。
【詳細な解説】
相続登記において提出する「相続人であることを証明する書類(戸籍類)」および「新しく名義人になる人の住所を証明する書類(住民票など)」は、すべて原本還付の対象です。これらは他の公的機関や民間企業での手続きにも広く使われる汎用性の高い公文書であるため、コピーを提出すれば無条件で原本が返ってきます。
■ 還付可能な公的証明書一覧
| 書類の種類 | 役割 | 還付の可否 |
| 戸籍謄本(全部事項証明) | 現在の身分関係の証明 | 可能 |
| 除籍謄本・改製原戸籍 | 過去の相続関係の証明 | 可能 |
| 住民票(本籍地記載) | 新名義人の住所証明 | 可能 |
| 住民票の除票・戸籍の附票 | 登記簿上の住所と被相続人を結びつける証明 | 可能 |
■ 戸籍関係書類の還付手続きフロー
- すべての戸籍・住民票のコピーをとる。
- (枚数が多い場合)後述する「相続関係説明図」を作成することで、大量のコピー作業を省略できる(※詳細は第5章で解説)。
- 登記申請書に添付して提出し、完了後に窓口等で受け取る。
3-2. 原本還付が可能な書類②:遺産分割協議書・遺言書(自筆証書・公正証書)
《質問》遺産分割協議書は、不動産のことしか書いていなくても返してもらえますか?
《回答》はい、不動産の分割内容しか記載されていない遺産分割協議書であっても、コピーを添付して所定の手続きを行えば、原本を返してもらうことができます。
【詳細な解説】
相続登記の「登記原因証明情報」として提出する遺産分割協議書や遺言書は、権利変動の直接的な根拠となる重要な書類です。これらも原本還付が認められています。
公正証書遺言の場合は、公証役場で「正本(しょうほん)」または「謄本(とうほん)」を受け取りますが、登記にはどちらを提出してもよく、適切にコピーをつけて請求すれば還付されます。
■ 遺言・協議書の還付に関する注意点表
| 書類名 | 還付請求時のポイント |
| 遺産分割協議書 | 複数ページにまたがる場合は、原本の契印(割印)も含めて正確にコピーをとること。 |
| 自筆証書遺言 | 家庭裁判所の「検認済証明書」がついている場合は、その証明書部分も忘れずにコピーすること。 |
| 公正証書遺言 | 「正本」でも「謄本」でも還付可能。表紙や公証人の署名ページもすべてコピーする。 |
■ 遺産分割協議書の還付フロー
- 相続人全員で署名・実印を押印し、遺産分割協議書(原本)を完成させる。
- 原本を1ページ目から最後までコピーする。
- コピーの余白に「原本に相違ありません 申請人〇〇(印)」と記載する。
- 登記完了後、権利証と共に大切に保管する。
3-3. 原本還付が可能な書類③:家庭裁判所の検認調書・特別代理人選任審判書
《質問》未成年の子供がいるため、家庭裁判所で特別代理人を選任してもらいました。この審判書も還付できますか?
《回答》はい、家庭裁判所が発行した特別代理人選任審判書や、遺言書の検認調書などの裁判書類も、原本還付が可能です。
【詳細な解説】
相続人の中に未成年者がいる場合の「特別代理人選任審判書」や、認知症の方などがいる場合の「成年後見人の登記事項証明書」、また自筆証書遺言を開封した際の「検認調書」など、裁判所や法務局が発行した特殊な証明書類も原本還付の対象です。
これらも、銀行での預金解約など他の手続きで求められることが多いため、必ず還付を受けておきましょう。
■ 裁判所・公的機関関連の還付可能書類
| 状況 | 必要な書類 | 還付の可否 |
| 未成年者がいる場合 | 特別代理人選任審判書 | 可能 |
| 成年後見人がついている場合 | 登記事項証明書(後見登記) | 可能 |
| 自筆証書遺言がある場合 | 検認調書(検認済証明書) | 可能 |
| 相続放棄をした人がいる場合 | 相続放棄申述受理証明書 | 可能 |
■ 裁判所書類の扱いフロー
- 家庭裁判所で必要な手続きを行い、証明書(原本)を取得する。
- 通常の書類と同様にコピーを作成し、原本還付の処理をおこなう。
- 還付された書類を利用して、銀行等で未成年者や成年後見人が関わる手続きを進める。
3-4. 原本還付が原則できない書類:この登記のためだけに作成された委任状など
《質問》司法書士なかしま事務所にお願いする際に書いた「委任状」のコピーをつけておけば、それも返してもらえますか?
《回答》申し訳ありませんが、司法書士への委任状など「その登記申請のためだけ」に作成された書類は、コピーをつけても原本還付はされません。法務局に保管されます。
【詳細な解説】
原本還付制度は「他の手続きでも使うから返してほしい」という要望に応えるためのものです。したがって、「〇〇法務局への相続登記申請を司法書士に委任する」としか書かれていない委任状や、特定の登記申請にのみ用いるために作成された承諾書などは、他に使い道がないとみなされ、法務局で回収・保管されます。
■ 原本還付が「できない」書類の代表例
| 書類名 | 還付できない理由 |
| 司法書士への委任状 | 当該登記申請のみを目的として作成された書類であるため。 |
| 登記申請書そのもの | 法務局が申請を受け付けた記録として永続的に保管する必要があるため。 |
| (特定のケースの)上申書 | その登記の事情を法務局へ説明するためだけに作成された書類であるため。 |
■ 還付不可書類の対応フロー
- 委任状などは、法務局に提出する用として作成・押印する。
- 必要であれば、控えとして自分用にコピーをとっておく(還付請求用ではなく、あくまで手元確認用)。
- 申請時に原本のみを法務局へ提出する(還付の手続きはしない)。
3-5. 【要注意】印鑑証明書が還付「されるケース」と「されないケース」の明確な違い
《質問》遺産分割協議書につけた印鑑証明書は返してもらえますか?
《回答》印鑑証明書は非常に特殊です。遺産分割協議書と「セット」で原本還付を請求すれば返してもらえますが、単独での還付は原則できません。また、法定相続分での登記などの場合は返却されないこともあります。
【詳細な解説】
相続登記における印鑑証明書の扱いは、一般の方(ときには専門家でも)が最も混乱しやすいポイントです。
印鑑証明書は、原則として「その登記申請のためだけに用意されたもの」とみなされ、還付されません。しかし、例外として「遺産分割協議書」という還付可能な書類の**「真正(本物であること)を担保する付属書類」**として扱われる場合は、協議書と一緒に還付してもらうことが可能です。
■ 印鑑証明書の還付可否パターン表
| 登記の状況 | 印鑑証明書の提出目的 | 還付の可否 |
| 遺産分割協議による相続登記 | 遺産分割協議書に押された実印の証明 | 可能(※協議書とセットで請求した場合のみ) |
| 法定相続分での登記(※稀) | 申請人の真意確認など | 不可(法務局に回収される) |
| 所有権保存登記など | 申請義務者の印鑑証明 | 不可 |
■ 印鑑証明書を確実に還付してもらうためのフロー
- 遺産分割協議書と印鑑証明書を準備する。
- 【重要】 遺産分割協議書のコピーだけでなく、印鑑証明書のコピーも忘れずにとる。
- 遺産分割協議書のコピーと印鑑証明書のコピーを一緒にホッチキスで綴じる。
- 綴じたコピーに契印を押し、「原本に相違ありません」と記載して提出する。
- (これにより、協議書と印鑑証明書がセットで返却されます。)
4. 自分でできる!原本還付の具体的なやり方・5つのステップ
4-1. ステップ1:還付を受けたい原本の鮮明なコピーを作成する
《質問》原本のコピーをとる際、白黒でも大丈夫ですか?また、裏面のコピーも必要でしょうか?
《回答》白黒コピーで全く問題ありません。ただし、文字がかすれて読めないものは不可です。また、裏面に文字やスタンプがある場合は、必ず裏面のコピーも必要になります。
【詳細な解説】
原本還付の第一歩は、返してほしい書類のコピーをとることです。法務局は提出されたコピーを原本の代わりに保管するため、記載内容がはっきりと読み取れる「鮮明なコピー」でなければなりません。
特に注意したいのが、戸籍謄本や住民票の裏面です。一見白紙に見えても、端に発行番号の印字や改ざん防止の透かし文字が入っていることがあります。何も書かれていない完全な白紙であれば表面だけで足りますが、少しでも印字等がある場合は両面(または裏面を別紙に)コピーしてください。
■ コピー作成時のチェックリスト表
| チェック項目 | 注意点・基準 |
| 鮮明さ | 文字が黒潰れしたり、かすれたりして読めない部分がないか |
| サイズ | 原則A4サイズ(B4やA3の書類はA4に縮小コピーしてもOK) |
| カラー | 白黒コピーで可(朱肉の色などをカラーで出す必要はなし) |
| 裏面 | 裏面に文字、印字、市役所のスタンプ等がある場合は必ずコピー |
■ コピー作成のフロー
- 還付を受けたい原本をすべて机に並べる。
- A4サイズの用紙に、白黒でコピーをとる。
- コピー漏れがないか、元の書類と1枚ずつ照らし合わせる。
4-2. ステップ2:複数枚のコピーをホッチキスで左綴じにする
《質問》戸籍のコピーが全部で20枚くらいになりました。これらはどうやってまとめれば良いですか?
《回答》還付してほしい書類のコピーをすべて一つにまとめ、左側を2箇所ホッチキスでしっかりと留めて「コピーの束」を作ります。
【詳細な解説】
大量のコピーをバラバラのまま提出すると、法務局での処理中に紛失したり、順序が入れ替わったりする恐れがあります。そのため、コピーは一つの束にしてホッチキスで綴じます。
日本の公文書は横書きが主流となっているため、「左綴じ(紙の左側を留める)」にするのが一般的です。戸籍、住民票、遺産分割協議書など、還付を希望するすべてのコピーをひとまとめにしてしまって構いません。
■ 書類の並べ方と綴じ方のポイント表
| 項目 | 詳細な方法 |
| 書類の順番 | 特に決まりはありませんが、「戸籍の束」→「住民票」→「遺産分割協議書・印鑑証明書」など種類ごとにまとめると親切です。 |
| 綴じる位置 | 用紙の左端から1cm程度の場所を、上下2箇所ホッチキスで留めます。 |
| 分厚い場合 | 20〜30枚を超えホッチキスが通らない場合は、2〜3個の束に分けても問題ありません。 |
■ 書類を綴じるフロー
- コピーした用紙を、向きを揃えて重ねる。
- 机にトントンと当てて、端をきれいに揃える。
- 左側の端を大型のホッチキス等でしっかりと留める。
4-3. ステップ3:各ページの綴じ目に申請人の印鑑で「契印(割印)」を押す
《質問》コピーをホッチキスで留めた後、すべてのページにハンコを押す必要があると聞きましたが本当ですか?
《回答》はい、本当です。ホッチキスで留めただけでは後から差し替えができてしまうため、見開きになったページの両方にまたがるように「契印(割印)」を押す必要があります。
【詳細な解説】
コピーの束が「一つの連続した書類」であることを証明し、ページの抜き取りや差し替えといった不正を防ぐための作業が「契印(けいいん)」です(一般的には割印とも呼ばれます)。
使用する印鑑は、登記申請書に押印した申請人の印鑑(認印でも可)と同じものを使用します。司法書士なかしま事務所にご依頼いただいた場合は、この面倒な契印作業もすべて私たちが専用の職印でおこないます。
■ 契印(割印)の押し方に関するルール表
| 状況・条件 | 対応方法 |
| 押す場所 | ページをめくり、前ページの裏面と次ページの表面にまたがるように押す。 |
| 使用する印鑑 | 登記申請書に押印した印鑑と必ず「同じ印鑑」を使用する。 |
| 複数人で申請する場合 | 申請人のうちの「誰か1名」の印鑑が押してあればOK。 |
| 押し損ねた場合 | そのすぐ横に綺麗にもう一度押し直せば問題ありません。 |
■ 契印作業のフロー
- コピーの束の1ページ目をめくる。
- 1ページ目の裏面と2ページ目の表面の境目(綴じ目)に印鑑を押す。
- 2ページ目をめくり、2ページ目の裏と3ページ目の表の境目に押す。
- これを最後のページまで繰り返す。
4-4. ステップ4:最終ページに「原本に相違ありません」と記載し、署名・押印する
《質問》コピーの束の一番最後に、何か文字を書かなければいけないのでしょうか?
《回答》はい。最終ページの余白に、「原本に相違ありません」という一文と、申請人の氏名を記載し、印鑑を押す必要があります。これを「原本証明」と呼びます。
【詳細な解説】
作成したコピーの束が、間違いなく原本を正確に複写したものであることを法務局に対して宣言する手続きです。
最終ページの表(文字がぎっしり書かれていて余白がない場合は裏面でも可)に、手書きで「原本に相違ありません」と記載します。ゴム印などを使用しても構いません。その下に氏名を書き、契印で使ったのと同じ印鑑を押します。
■ 原本証明の記載項目表
| 記載すべき内容 | 具体的な書き方 |
| 証明の文言 | 「原本と相違ありません」または「原本に相違ありません」 |
| 日付 | 記載は不要(書いても問題ありません) |
| 署名 | 申請人の氏名(フルネーム) |
| 押印 | 申請書および契印と同じ印鑑を押す |
■ 原本証明の完成フロー
- コピーの束の最終ページ(一番後ろの紙)を出す。
- 余白部分に「原本に相違ありません」と記入する。
- その横や下に「氏名」を記入する。
- 氏名の横に「印鑑」をしっかりと押す。
4-5. ステップ5:登記申請書・原本・コピーをまとめて管轄の法務局へ提出する
《質問》準備ができた書類は、どのように法務局へ提出すれば良いですか?順番などの決まりはありますか?
《回答》登記申請書を一番上にし、その下に還付用のコピーの束、一番下に原本の束という順番でクリップ留めして提出すると、法務局の担当者が確認しやすくなります。
【詳細な解説】
書類の準備が整ったら、いよいよ管轄の法務局(名古屋法務局や春日井支局など、不動産の所在地を管轄する法務局)へ提出します。
法務局の窓口へ持参するか、郵送(書留やレターパックプラス)で提出します。法務局側での審査が終わる(登記が完了する)と、原本が返却されます。郵送で返却を希望する場合は、返信用封筒(切手貼付済)を必ず同封してください。
■ 法務局へ提出する書類の重ね方(推奨)
| 重ねる順(上から) | 書類の内容 |
| 第1層(一番上) | 登記申請書、収入印紙を貼った用紙 |
| 第2層 | 各種コピーの束(原本証明をおこなったもの) |
| 第3層 | 添付書類の「原本」の束 |
■ 提出から還付までの全体フロー
- 書類一式を正しい順番で重ね、クリップで留める(ホッチキスは不可)。
- 管轄の法務局へ窓口または郵送で提出する。
- 約1〜2週間の審査期間を待つ。
- 登記完了後、法務局窓口で原本を受け取る(または郵送で返送される)。
4-6. ステップ6:【郵送申請の場合】原本を返送してもらうための「返信用封筒」を同封する
《質問》郵送で申請した場合、法務局は無料で原本を自宅へ送り返してくれるのでしょうか?
《回答》いいえ、郵送での返却費用は自己負担です。必ずご自身の住所・氏名を書き、必要な料金分の切手を貼った「返信用封筒」を申請書類と一緒に同封する必要があります。
【詳細な解説】
法務局へ行く手間を省くために郵送で申請・原本還付をおこなう場合、返却用の封筒をこちらで用意しなければなりません。
戸籍の束や遺産分割協議書の原本、そして新しく発行される「登記識別情報通知(権利証)」は非常に重要な個人情報であり、紛失が許されません。そのため、普通郵便ではなく、対面受け取りで追跡サービスがついている「レターパックプラス(赤色)」や「簡易書留」を利用するのが実務上の基本ルールです。
■ 返信用封筒の準備・推奨アイテム表
| 推奨アイテム | メリット・特徴 | 注意点 |
| レターパックプラス(赤色) | 追跡可能で対面配達されるため最も安全・確実。厚みのある戸籍でも入る。 | 法務局へ送る前に、ご自身の住所宛名を書き、「ご依頼主控え」のシールを剥がして保管しておくこと。 |
| 角2封筒+簡易書留 | 追跡・対面配達・補償あり。 | 封筒に「簡易書留」と赤字で書き、戸籍の重さを想定して少し多めの切手(基本料金+書留料金)を貼っておく必要がある。 |
| 普通郵便(レターパックライト等) | 郵便受けに投函される。 | 紛失リスクが高く、権利証などの重要書類の返送には絶対におすすめできません。 |
■ 郵送による原本還付の準備フロー
- 郵便局やコンビニで「レターパックプラス」を2枚(送付用と返信用)購入する。
- 返信用のレターパックプラスの「お届け先」に、ご自身の住所と氏名を記入する。
- 返信用レターパックの「ご依頼主控え」シールを剥がし、手元で保管する(追跡番号になります)。
- 送付用のレターパックプラスに、登記申請書・原本・コピーの束・【返信用レターパックプラス(半分に折ってOK)】をすべて入れ、法務局へ発送する。
5. 戸籍の束のコピーが不要に!「相続関係説明図」を活用した還付テクニック
5-1. 相続関係説明図(相関図)とはどのような書類か?
《質問》「相続関係説明図」という言葉を聞きました。家系図のようなものですか?
《回答》はい、亡くなった方と相続人の関係を、図表(家系図のような形式)で分かりやすくまとめた書類のことです。専門家の間では「相関図」と略して呼ばれます。
【詳細な解説】
相続関係説明図は、被相続人(亡くなった方)を中心に、誰が相続人になるのかを線で結んで視覚的に表したものです。氏名だけでなく、生年月日、死亡日、現在の住所なども記載します。
法務局の登記官は、提出された分厚い戸籍の束をめくりながら相続関係を確認しますが、この相関図が1枚あるだけで、全体の親族関係が一目で把握できるため、審査をスムーズに進めることができます。
■ 相続関係説明図に記載すべき基本事項表
| 対象者 | 記載する内容 |
| 被相続人(亡くなった方) | 氏名、最後の住所、最後の本籍、生年月日、死亡日 |
| 不動産を相続する人 | 氏名、現在の住所、生年月日、「相続」という文字 |
| その他の相続人 | 氏名、現在の住所、生年月日、「遺産分割」などの文字 |
■ 相関図の作成フロー
- 収集した戸籍謄本を読み解き、相続人を確定する。
- パソコン(WordやExcel等)または手書きで、人物を四角で囲み、線でつなぐ。
- 各人物の生年月日や住所などの情報を正確に転記する。
5-2. なぜ相関図を提出すると、大量の戸籍コピーが免除されるのか?
《質問》戸籍のコピーをとるのは何十枚にもなって大変です。相関図を作ると、コピーをとらなくても良くなるのですか?
《回答》その通りです。相続関係説明図を法務局へ提出すると、それが「戸籍コピーの代わり(代替物)」として扱われるため、戸籍や住民票のコピー作業を丸ごと省略して原本還付を受けることができます。
【詳細な解説】
不動産登記法などのルールにより、「相続関係説明図」を提出すれば、それが戸籍謄本などの原本のコピーの代わりとして法務局に保管される仕組みになっています。
たとえば戸籍が50ページある場合、通常なら50枚コピーしてすべてのページに契印を押さなければなりませんが、相関図を1枚作成するだけで、その膨大な作業から解放されます。司法書士なかしま事務所でも、実務上はこの方法を標準で採用しています。
■ 相関図によるコピー免除の比較表
| 提出方法 | 法務局に保管されるもの | 申請者の作業負担 |
| 相関図を提出しない | 全戸籍の「コピーの束」 | 大量コピー、全ページの割印、原本証明の手間が大 |
| 相関図を提出する | 相続関係説明図(1〜2枚) | 相関図の作成手間はあるが、コピー・割印作業はゼロ |
■ 相関図を利用した原本還付フロー
- 戸籍謄本等を集め、それをもとに相続関係説明図を作成する。
- 相関図の下部などに「原本と相違ない」旨を記載し押印する。
- 法務局へ「戸籍の原本の束」と「相関図」を一緒に提出する。
- (戸籍のコピーは一切提出しなくてよい。)
- 登記完了後、戸籍の原本がそのまま返却される。
5-3. 名古屋法務局(本局や春日井支局など)でスムーズに受理される相関図の書き方
《質問》相関図は適当に手書きで作っても受け付けてもらえますか?愛知県内の法務局で気をつけることはありますか?
《回答》手書きでも受理されますが、戸籍と一言一句違わない正確さが求められます。また、名古屋法務局管内では、相続人の住所の記載漏れなどがあると補正(書き直し)を求められることがあるため注意が必要です。
【詳細な解説】
相関図は法務局の公的な保管書類となるため、書き間違いは許されません。戸籍上の氏名の漢字(旧字体など)はそのまま正確に記載する必要があります。
また、名古屋市や尾張地方を管轄する名古屋法務局(本局、春日井支局、名東出張所など)の運用として、住民票の原本還付も同時に受けたい場合は、相関図の中に必ず「新しく登記名義人になる人の現在の住所」を正確に記載しておかなければなりません。住所の記載がないと、住民票だけは還付されないといった事態が起こります。
■ スムーズに受理されるためのチェックポイント表
| チェック項目 | 注意点(法務局の運用) |
| 氏名の漢字 | 戸籍が旧字体(「澤」「邊」など)の場合は、相関図も旧字体で記載する。 |
| 住所の記載 | 住民票も還付してほしい場合は、不動産を取得する人の住所を必ず記載する。 |
| 結果の明記 | 誰が不動産を取得したのか分かるよう、氏名の横に「(相続)」と記載する。 |
| その他の人 | 不動産を取得しない相続人には「(遺産分割)」などと記載する。 |
■ 司法書士に依頼した場合のフロー
- お客様は戸籍謄本や住民票を「司法書士なかしま事務所」へ渡すだけ。
- 当事務所の司法書士が、名古屋法務局のルールに適合した完璧な相関図を専用ソフトで作成。
- 戸籍のコピー作業も不要で、登記完了後にすべての原本を綺麗な状態でお返しします。
6. 「法定相続情報証明制度」と「原本還付」はどちらを選ぶべき?
6-1. 法定相続情報証明制度の概要と原本還付との違い
《質問》最近「法定相続情報証明制度」というものをよく聞きますが、原本還付とは何が違うのですか?
《回答》原本還付は「集めた戸籍の原本そのものを返してもらい、使い回す」方法です。一方、法定相続情報証明制度は、法務局が戸籍の内容を証明した「専用の証明書(一覧図の写し)」を無料で何枚でも発行してくれる制度です。
【詳細な解説】
法定相続情報証明制度は、相続手続きの負担を減らすために平成29年にスタートしました。戸籍一式と「法定相続情報一覧図」という図面を法務局へ提出すると、法務局が認証印を押した緑色の専用用紙(証明書)を発行してくれます。
この証明書は戸籍謄本の束の代わりとして、銀行や税務署などほぼすべての窓口で通用します。原本還付が「一つの束を順番に使い回す(リレー方式)」のに対し、この制度は「証明書を複数枚発行してもらい、複数の銀行等へ同時に提出する」ことができるのが最大の違いです。
■ 原本還付と法定相続情報証明制度の比較表
| 比較項目 | 原本還付(相関図利用) | 法定相続情報証明制度 |
| 提出先への出し方 | 1セットの戸籍を各機関へ順番に提出・回収する | 発行された証明書を各機関へ同時に提出できる |
| 金融機関での待ち時間 | 銀行側で戸籍をコピー・解読するため時間がかかる | 証明書1枚で済むため、銀行窓口での処理が早い |
| 事前の手続き | 登記申請と同時に行える | 登記とは別に「証明書の発行申出」の手続きが必要 |
■ 手続きの進め方の違い(フロー比較)
- 【原本還付の場合】 法務局で登記完了 → A銀行で手続き(戸籍提出・返却) → B証券で手続き(戸籍提出・返却)…と順番に進める。
- 【法定相続情報の場合】 法務局で証明書を5枚発行してもらう → A銀行、B証券、C銀行、D税務署…へ同時に提出し、そのまま渡し切りで終了。
6-2. 【法定相続情報がおすすめな人】銀行口座が多数ある・相続人が多いケース
《質問》法定相続情報証明制度を利用した方が良いのは、どのようなケースでしょうか?
《回答》亡くなった方の銀行口座や証券口座が3つ以上ある方や、相続税の申告が必要な方、または相続人が遠方に散らばっていて多数いるケースに非常におすすめです。
【詳細な解説】
取引していた金融機関が多い場合、一つの戸籍を原本還付で使い回していると、手続きがすべて終わるまでに何ヶ月もかかってしまいます。法定相続情報の証明書を必要枚数(たとえば5枚)取得すれば、各金融機関へ一斉に郵送等で手続きを開始でき、大幅な時間短縮になります。
また、銀行の窓口担当者にとっても、分厚い戸籍を読み解くのは負担ですが、法務局のお墨付きがある証明書1枚であれば即座に処理できるため、窓口での待ち時間も劇的に短くなります。
■ 法定相続情報を利用するメリットが大きいケース
| 状況 | 利用すべき理由 |
| 金融機関が3つ以上ある | 同時並行で手続きが進められ、数ヶ月かかっていた作業が数週間に短縮されるため。 |
| 遠方の相続人が手続きを分担する | 証明書を郵送で分け合い、各自が地元の銀行で手続きを行えるため。 |
| 相続税の申告がある | 税務署への提出書類として、戸籍の束の代わりに証明書1枚で認められるため。 |
■ 法定相続情報を活用した手続きフロー
- 司法書士に依頼し、法務局で「法定相続情報一覧図の写し」を5通発行してもらう。
- 1通目を不動産の相続登記に使用する。
- 2通目をA銀行、3通目をB銀行、4通目を証券会社へ一斉に郵送する。
- 5通目を税理士に渡し、相続税申告に使用してもらう。
6-3. 【原本還付で十分な人】不動産が少なく、預金手続きも1〜2行で終わるケース
《質問》法定相続情報証明制度は便利そうですが、全員が利用すべきなのでしょうか?
《回答》いいえ。手続き先が「法務局(自宅の登記)と銀行1〜2箇所」くらいしかない場合は、わざわざ法定相続情報の手続きをする手間の方が大きいため、通常の原本還付で十分です。
【詳細な解説】
法定相続情報証明制度を利用するには、専用のフォーマットに従った「一覧図」を作成し、法務局で独自の申出手続きを行う必要があります(これにも審査期間が数日〜1週間程度かかります)。
もし、遺産がご実家の不動産とメインバンクの預金1つしかないような場合、法務局での相続登記の際に「原本還付」をおこない、返ってきた戸籍をその銀行に持っていくだけで手続きは終わります。このケースでは、法定相続情報の手続きはオーバースペック(過剰な手間)と言えます。
■ 原本還付(相関図)のみで十分なケース
| 状況 | 理由 |
| 預金口座が1〜2箇所しかない | 順番に使い回しても、それほど日数がかからないため。 |
| 相続税の申告が不要 | 税務署への提出というステップがないため。 |
| とにかく早く登記だけ終わらせたい | 法定相続情報の発行を待つより、登記申請と原本還付を同時に進めた方が早いため。 |
■ 原本還付のみで完了させるシンプル・フロー
- 不動産の相続登記を申請し、同時に戸籍の原本還付を受ける。
- 約1〜2週間後、登記完了と同時に戸籍一式が手元に戻る。
- その足で最寄りのメインバンクに行き、預金の解約手続きをおこなう(ここで手続き完了)。
- 戸籍の原本は、将来のために自宅で保管しておく。
7. 原本還付でよくある失敗・トラブル事例とその解決策
7-1. トラブル①:コピーの文字が不鮮明(黒潰れなど)で法務局から取り直しを求められた
《質問》自分でコピーをとって提出したら、法務局から「不鮮明なので出し直してください」と電話が来ました。どうすれば良いですか?
《回答》該当する書類の鮮明なコピーを再度作成し、管轄の法務局窓口へ持参するか、郵送で追加提出(補正)をおこなう必要があります。
【詳細な解説】
原本還付において法務局は「コピー」を原本の代わりとして永久保存します。そのため、文字がかすれていたり、黒潰れして読めないコピーは受理されません。これを修正する手続きを「補正(ほせい)」と呼びます。
とくに古い手書きの除籍謄本や改製原戸籍は、元から文字が薄いため、コピー機の濃度設定を調整する必要があります。また、ホッチキスを外さずに無理やりコピーして端が歪んでしまった場合なども補正の対象となります。
■ コピー不鮮明による再提出(補正)の対応・予防策一覧表
| 不備の状況 | 原因 | 解決策・予防策 |
| 文字が薄い・黒潰れ | コピー機の設定ミス、原本の劣化 | コピー機の「濃度調整」をおこない、数パターン試して最適なものを提出する。 |
| 端が切れている | 用紙サイズの選択ミス | 原本より少し縮小(95%など)して、確実にA4用紙内に収まるようにコピーする。 |
| 折り目の影が濃い | 原本が浮いている | 原本をしっかり伸ばし、スキャナーのフタを少し強めに押さえてコピーする。 |
| 裏面のコピー忘れ | 白紙だと思い込んだ | 端にある発行番号や透かし印字も情報の一部。少しでも印字があれば裏面もコピーする。 |
■ コピー再提出(補正)の対応フロー
- 法務局の担当者から補正の連絡(電話)を受け、不備があったページを正確にメモする。
- 指示された書類の「鮮明なコピー」を再度取り直す。
- コピーの余白に、法務局から指示された通りの記名や押印(補正印)をおこなう。
- 法務局の窓口へ直接持参するか、「〇月〇日受付 第〇〇号 補正書類」と朱書きした封筒で郵送する。
7-2. トラブル②:契印(割印)を押し忘れた、または途中のページを飛ばしてしまった
《質問》分厚い戸籍のコピーを郵送しましたが、途中のページに契印(割印)を押し忘れたことに気づきました。原本は没収されてしまいますか?
《回答》没収はされませんが、還付手続きがストップします。法務局へ出向いて直接ハンコを押し足すか、一度書類を返送してもらって押し直す必要があります。
【詳細な解説】
契印(割印)は、コピーの束が途中で抜き取られたり差し替えられたりしていないことを証明する重要な作業です。数十ページに及ぶ戸籍のコピーなどでは、途中で数ページだけ押し忘れてしまうミスが非常に多く発生します。
契印に使用する印鑑は「登記申請書に押した印鑑」と必ず同じでなければならないため、原則として申請人本人が法務局の補正窓口に出向いて押印する必要があります。
■ 契印忘れが発生しやすい状況と対策表
| 発生しやすい状況 | ミスの原因 | 確実な対策 |
| ページ数が膨大(数十枚) | 単純作業の連続による集中力低下 | 押し終わった後に、最初から最後まで全ページをめくって目視で二重チェックする。 |
| 両面コピーをした場合 | 表面同士の境目だけでなく、裏面と表面の境目を見落とす | 初心者はミスの元になるため、すべて「片面コピー」で統一して束を作る。 |
| 束を複数に分けた場合 | ホッチキスが通らず2つの束にした際、片方の束を丸ごと押し忘れる | それぞれの束ごとに、全ページの契印と最終ページの「原本証明」を忘れずにおこなう。 |
■ 契印漏れ補正の対応フロー
- 法務局から「〇ページと〇ページの間の契印が抜けている」と連絡を受ける。
- 登記申請書に使用した印鑑(認印など)を持って、管轄法務局の窓口へ行く。
- 担当官の目の前で、コピーの束の抜け箇所に印鑑を押し足す。
- 担当官が確認し、問題が解消されればその日から審査が再開される。
7-3. トラブル③:「原本に相違ありません」の下に押す印鑑を間違えた(実印?認印?)
《質問》コピーの最終ページに「原本に相違ありません」と書いて押すハンコを、申請書に押した認印ではなく、実印で押してしまいました。やり直しですか?
《回答》はい、やり直し(補正)となります。原本還付のための「契印」と「原本証明の押印」は、登記申請書に押した印鑑と【完全に同一の印鑑】を使用する厳格なルールがあります。
【詳細な解説】
法務局の審査では「登記を申請した本人が、責任を持ってこのコピーを作成したか」を印影(ハンコの形)で確認します。そのため、申請書に認印を押したならコピーの証明も認印、申請書に実印を押したならコピーの証明も実印でなければなりません。
違う印鑑を押してしまった場合は、間違えた印鑑の横に正しい印鑑を押し直すか、法務局の指示によっては該当ページのコピーを丸ごと作り直して差し替えることになります。
■ 押印に関するルール・対応表
| 項目 | 正しい対応とルール |
| 使用する印鑑の原則 | 登記申請書(1ページ目)の申請人欄に押した印鑑と完全に一致させること。 |
| 間違えた場合の修正方法 | 原則として、間違えた印鑑のすぐ横に「正しい印鑑」を並べて押し直す。 |
| 複数人で共同申請する場合 | 申請人が3人いる場合でも、代表して「誰か1名の印鑑」で契印・原本証明をすれば有効。 |
■ 印鑑間違いを防ぐための確認・作業フロー
- 登記申請書に署名し、印鑑を押す(※この時点でどの印鑑を使ったか意識する)。
- その印鑑をしまわずに、手元に置いたままコピーの束の契印作業をおこなう。
- コピーの最終ページに原本証明を書き、同じ印鑑を押す。
- 申請書の印影と、コピーの束の印影が「まったく同じ形」であることを最終確認する。
7-4. トラブル④:オンライン申請(電子申請)をした場合の原本還付のタイミングが分からない
《質問》司法書士に依頼したら「オンライン申請」と言われました。データで送るそうですが、紙の原本はいつ、どのように返ってくるのでしょうか?
《回答》オンライン申請の場合でも、データ送信後に紙の原本とコピーを法務局へ郵送します。その後、登記完了と同時に新しい権利証と一緒に原本が返送されてきます。
【詳細な解説】
現代の相続登記は、インターネット経由で申請データを送信する「オンライン申請」が主流です。しかし、戸籍謄本や遺産分割協議書などの証拠書類はデータ化して送ることができないため、オンライン申請をおこなった日から原則2日以内に、紙の原本と還付用のコピー(または相関図)を法務局へ郵送または持参する必要があります。
手続き完了後、法務局から書類が返却される仕組みは窓口での紙申請と変わりません。
■ オンライン申請における書類の取り扱い表
| 手続きの段階 | 処理の内容 |
| ①データ送信 | 司法書士が法務局へ登記申請データをオンライン送信し、受付番号を取得する。 |
| ②紙書類の送付 | 送信後すみやかに、戸籍等の原本・還付用コピー(相関図)を法務局へ郵送または持参する。 |
| ③法務局の審査 | 法務局内で「オンラインのデータ」と「後から届いた紙の原本」を突合して審査する。 |
| ④原本の返却 | 登記完了後、法務局から司法書士事務所へ、還付された原本と新しい権利証が郵送される。 |
■ お客様側での対応フロー(当事務所へ依頼した場合)
- お客様は、集めた戸籍や印鑑証明書の原本を「司法書士なかしま事務所」へ預ける。
- (約1〜2週間お待ちいただく)※この間、司法書士がオンライン申請から原本提出、還付請求までをすべて代行。
- 登記完了後、当事務所から「返却された原本一式」と「新しい権利証」を綺麗にファイリングした状態でお客様へお渡しする。
7-5. トラブル⑤:登記申請の時に原本還付の手続きを忘れてしまった!後から返してもらえる?
《質問》自分で申請書だけを法務局へ提出し、コピーをつけるのを忘れてしまいました。「やっぱり返してほしい」と後からお願いすることはできますか?
《回答》残念ながら、登記申請をおこなった後(受付後)に、事後的に「原本還付をしたい」と請求することは原則としてできません。コピーの添付は申請と「同時」であることが絶対条件です。
【詳細な解説】
原本還付における最も致命的な失敗が「還付請求のし忘れ」です。不動産登記規則により、原本還付の請求は「申請書類の提出と同時に」おこなわなければならないと定められています。
いったん法務局が申請を受け付けてしまうと、後から「コピーを送るので原本と差し替えてください」とお願いしても、対応してもらえません。こうなってしまった場合、銀行や税務署の手続きのために、再度市役所で戸籍謄本一式をお金を払って取り直すしかなくなります。
■ 原本還付のタイミングと可否に関する表
| 状況 | 還付の可否 | その後の対応 |
| 申請と同時にコピーを提出した | 可能 | 登記完了後に返却される。 |
| 申請直後に忘れに気づいた | 原則不可 | 基本的に不可。ただし、受付直後(数十分以内など)で担当官の温情により間に合うケースも稀にあるため、秒単位ですぐに法務局へ電話する。 |
| 翌日や登記完了後に気づいた | 絶対不可 | 法務局に永久保管されるため、他の手続き用に役所で戸籍一式を取り直す(再取得)必要がある。 |
■ 還付忘れを防ぐための直前チェックフロー
- 法務局へ出発する前(またはポストへ投函する前)に書類を机に並べる。
- 「戸籍や遺産分割協議書の原本」が手元にあるか確認する。
- その原本と「全く同じ内容のコピーの束」が申請書の下に綴じられているか確認する。
- コピーの束に「契印」と「原本証明」が間違いなくおこなわれているか、最終確認してから提出する。
8. 複雑な相続における原本還付の取り扱い【専門性の高いケース】
8-1. 代襲相続や数次相続が発生しており、戸籍が膨大になった場合の効率的な還付方法
《質問》祖父の相続手続きを放置していたため関係者が数十人になり、戸籍がみかん箱いっぱいになりました。これをすべてコピーするのは不可能に思えます。
《回答》数次相続などで戸籍が膨大な場合は、必ず「相続関係説明図」か「法定相続情報証明制度」を活用してください。これにより、何百枚というコピー作業を完全にゼロにできます。
【詳細な解説】
相続開始から長期間が経過し、相続人が亡くなってさらに次の相続人が発生している状態(数次相続)や、代襲相続が重なっている場合、戸籍謄本が数十通〜百通以上になるケースがあります。これを全ページコピーして手作業で契印を押すのは非現実的です。
このような複雑なケースこそ、第5章で解説した「相続関係説明図(相関図)」の作成が必須です。どんなに戸籍が多くても、それをA4用紙数枚の図面にまとめ上げることで、相関図が戸籍の代替物となり、膨大なコピー作業を回避して原本の還付を受けることができます。
■ 膨大な戸籍における対応方法の比較表
| 対応方法 | メリット | デメリット・注意点 |
| 全ページをコピーする | 特別な図面を作る頭脳労働は不要。 | 数百ページのコピー代、全ページの割印という過酷な肉体労働が発生する。 |
| 相関図を作成する | コピー・割印作業が一切不要になる。 | 複雑な家系図を法律に基づいて正確に図式化する専門知識が不可欠。 |
| 法定相続情報を利用する | 証明書を複数枚取得でき、その後の銀行手続きが圧倒的に楽になる。 | 一覧図の作成・申出の審査に時間と手間がかかる。 |
■ 膨大な戸籍を処理するプロのフロー(司法書士の業務)
- お預かりした数十通の戸籍を古い順に並べ替え、関係性を読み解きながら家系図を下書きする。
- 法律に照らし合わせ、誰が最終的な相続権を持っているかを確定させる。
- 法務局の基準を満たす完璧な「相続関係説明図」を専用ソフトで作成する。
- 戸籍のコピーは一切とらず、相関図を添えて法務局へ提出し、原本還付を完了させる。
8-2. 海外在住の相続人がいる場合(サイン証明書・宣誓供述書)の原本還付の可否
《質問》相続人の1人がアメリカに住んでおり、印鑑証明書の代わりに領事館で「サイン証明書」をもらってきました。これも他の手続きで使いたいのですが還付できますか?
《回答》はい、海外在住者のサイン証明書(署名証明書)や宣誓供述書も、遺産分割協議書と「セット」で還付請求をおこなうことで、原本を返してもらうことが可能です。
【詳細な解説】
日本に住民票がない海外在住者は、市区町村で印鑑証明書を取得できません。そのため、現地の日本領事館で発行される「サイン証明書」や、現地の公証人が作成した「宣誓供述書」を印鑑証明書の代わりとして使用します。
これらの特殊な書類も、銀行の預金解約などで再利用する必要性が高いため、原本還付が認められています。手続きのルールは印鑑証明書と全く同じで、「遺産分割協議書の真正を担保する書類として、協議書とセットでコピーを綴じて提出する」ことが条件です。
■ 海外在住者の特殊書類における還付ルール表
| 書類の種類 | 還付請求時の条件 | 実務上の注意点 |
| サイン証明書(署名証明) | 遺産分割協議書とセットにする | 領事館で協議書と証明書が「綴り合わせ(割り印)」されている場合は、そのまま一括してコピーをとる。 |
| 宣誓供述書(現地の公証等) | 遺産分割協議書とセットにする | 外国語で作成されている場合は、翻訳文も添付し、翻訳文のコピーも作成する必要がある。 |
| 在留証明書(住所証明) | 単独で還付請求可能 | 住民票の代わりとなるため、単独でコピーをつけて提出すれば無条件で還付される。 |
■ サイン証明書の原本還付をおこなうフロー
- 海外在住の相続人から、遺産分割協議書とサイン証明書(原本)を国際郵便等で受け取る。
- 遺産分割協議書とサイン証明書の両方のコピーをとる。
- コピーをホッチキスで綴じ、日本の代表相続人の印鑑で契印と原本証明をおこなう。
- 登記完了後、返却されたサイン証明書を銀行手続きなどで使い回す。
8-3. 複数の管轄(愛知県内と県外など)の不動産を連件申請する場合の原本の「援用」と還付
《質問》名古屋市の自宅と、長野県の別荘を同時に相続登記します。戸籍は1セットしか集めていませんが、どうやって手続きすれば良いですか?
《回答》管轄が異なる法務局へ申請する場合、一つの法務局で手続きを終えて戸籍を還付してもらい、その後に別の法務局へ申請する「リレー方式」をとるのが基本です。
【詳細な解説】
不動産の登記は「その所在地を管轄する法務局」に申請しなければなりません。名古屋市(名古屋法務局)と長野県(長野地方法務局)のように管轄が異なる場合、戸籍が1セットしかなければ、同時に申請することは物理的に不可能です。
そのため、まず名古屋で原本還付を伴う申請をおこない、完了して返ってきた戸籍を長野へ提出するという順序を踏む必要があります。もし同時に進めたい場合は、「法定相続情報証明制度」を利用して証明書を2枚発行してもらうのがベストな解決策です。
(※なお、同じ法務局内で複数の申請を同時に行う「連件申請」の場合は、「前件添付の書類を援用する」旨を記載すれば、1セットの提出で済みます。)
■ 複数管轄の不動産を登記するアプローチ比較表
| 申請の方法 | 手続きの進め方 | メリット・デメリット |
| 原本還付リレー方式 | 名古屋で申請・完了・還付 → その後、長野へ申請。 | 【費用】安い(戸籍1セットで済む)。 【期間】遅い(1ヶ月以上かかる)。 |
| 戸籍を2セット集める | 戸籍謄本を最初から2部ずつ取得し、同時に申請。 | 【費用】高い(取得費用が2倍になる)。 【期間】速い(同時進行が可能)。 |
| 法定相続情報方式 | 証明書を2枚無料発行してもらい、同時に申請。 | 【費用】安い(取得費用は1部のみ)。 【期間】速い。ただし最初の証明書取得に日数がかかる。 |
■ 原本還付リレー方式の手続きフロー
- 戸籍1セットと相関図を用意し、まず名古屋法務局へ相続登記を申請(原本還付を請求)。
- 約1〜2週間後、名古屋での登記が完了し、戸籍一式が返却される。
- 返却された戸籍と新たな相関図を添えて、長野地方法務局へ相続登記を申請(原本還付を請求)。
- 長野での登記が完了し、最終的に戸籍一式が手元に残る。
8-4. 遺言執行者が登記申請をおこなう場合の原本還付書類の作成権限
《質問》遺言書で遺言執行者に指定されました。登記申請の際、戸籍などのコピーを作成して「原本に相違ありません」と署名・押印するのは、遺言執行者である私で良いのでしょうか?
《回答》はい。遺言執行者が登記権利者(不動産をもらう人)の代理人として登記申請をおこなう場合、原本証明の署名・押印をおこなう権限は遺言執行者にあります。
【詳細な解説】
遺言書によって遺言執行者が指定されており、その執行者が「遺贈(いぞう)」などの登記手続きを単独または共同でおこなう場合、申請の手続き主体(代理人)は遺言執行者となります。
したがって、還付を受ける書類のコピーを作成し、各ページの綴じ目に契印を押し、最終ページに「原本に相違ありません 遺言執行者〇〇」と記載して自身の印鑑を押すのは、相続人ではなく遺言執行者の役割となります。
■ 遺言執行者がおこなう原本還付の権限表
| 項目 | 遺言執行者がおこなう内容 |
| 原本証明の署名 | 「原本に相違ありません 遺言執行者〇〇」と記載する。 |
| 使用する印鑑 | 登記申請書(または委任状)に押印した遺言執行者の印鑑を使用する。 |
| 還付書類の受領 | 登記完了後、法務局から還付された原本を遺言執行者が受け取る。 |
■ 遺言執行者による申請と原本還付のフロー
- 遺言執行者が、遺言書や戸籍など必要な書類を収集する。
- 遺言執行者自身がコピーを作成し、契印と「遺言執行者〇〇」としての原本証明をおこなう。
- 遺言執行者から司法書士へ登記を委任する(または自ら法務局へ申請する)。
- 登記完了後、還付された原本を受け取り、次の銀行手続き等へ執行業務を進める。
9. 名古屋市・尾張地方の相続登記と原本還付は「司法書士なかしま事務所」へ
9-1. 名古屋法務局や春日井支局などのローカルルール・運用に精通した司法書士が対応
《質問》相続登記は全国どこでも同じルールだと思っていましたが、地元の司法書士に依頼した方が良い理由はあるのでしょうか?
《回答》基本的な法律は全国共通ですが、相関図の細かな記載方法や補正(修正)の運用など、法務局ごとに独自の「ローカルルール」が存在するため、地元に精通した司法書士の方が手続きがスムーズです。
【詳細な解説】
当「司法書士なかしま事務所」は、名古屋法務局(本局)や春日井支局、名東出張所など、地元愛知県の法務局における細かい運用方針に精通しています。
たとえば、「この書き方だと名古屋本局では通るが、春日井支局では補正になる可能性がある」といった実務上の勘所を熟知しているため、書類の出し直しといった無駄な時間を発生させることなく、最短・最速で登記を完了させ、確実にお客様の大切な原本を還付することが可能です。
■ 地元司法書士に依頼するメリット表
| 比較ポイント | 地元に精通した司法書士 | 遠方・全国対応の事務所 |
| ローカルルールの把握 | 管轄法務局の運用を熟知しており、一発で審査を通過させやすい。 | 一般論で作成するため、予期せぬ補正(修正)指示を受けるリスクがある。 |
| 補正時の対応スピード | 万が一補正があっても、法務局が近いため即日窓口で対応可能。 | 郵送でのやり取りとなるため、完了までに数日〜1週間のロスが生じる。 |
| 対面での安心感 | 事務所で直接顔を合わせて、複雑な事情も相談しやすい。 | メールや電話、オンラインのみのやり取りで不安が残る場合がある。 |
■ スムーズな登記完了までのフロー
- 当事務所にて、管轄法務局の運用に合わせた完璧な申請書・相関図を作成。
- オンライン申請と原本の提出を速やかにおこなう。
- (ローカルルールを順守しているため)補正の連絡なく、最短期間で審査が通過。
- 登記完了・原本還付完了のご報告をお客様へおこなう。
9-2. 春日井市・長久手市・尾張旭市・瀬戸市・日進市エリアからのご相談実績が多数
《質問》名古屋市外に住んでいますが、相談や依頼は可能ですか?対応エリアを教えてください。
《回答》もちろんです。当事務所は名古屋市だけでなく、春日井市、長久手市、尾張旭市、瀬戸市、日進市にお住まいのお客様から非常に多くのご相談・ご依頼をいただいております。
【詳細な解説】
当事務所は尾張地方の地域密着型司法書士事務所として活動しています。「平日は仕事で市役所や法務局に行けない」「実家が遠方にあり、どう手続きしていいか分からない」といった地域の方々のお悩みに、フットワーク軽く、親身になって対応できるのが当事務所の強みです。
駐車場も完備しておりますので、お車でのご来所も大歓迎です。また、ご希望があれば近隣エリアへの出張相談も承っております。
■ 司法書士なかしま事務所の主要対応エリア表
| エリア | ご相談の多いケース・特徴 |
| 名古屋市全域 | マンションから戸建てまで幅広く対応。本局管轄の複雑な案件も多数実績あり。 |
| 春日井市 | 春日井支局管轄の案件。ご実家の相続手続きによるご相談が多いエリア。 |
| 長久手市・日進市 | 新興住宅地や、親世代からの不動産引き継ぎに関するご相談が増加中。 |
| 尾張旭市・瀬戸市 | 代々受け継がれてきた土地や、複雑な権利関係の整理に関する実績多数。 |
■ ご相談からご依頼までのフロー
- お電話またはWebフォームから、無料相談のご予約をとる。
- ご予約日時に当事務所(またはオンライン・出張)にて、司法書士と面談。
- 手続きの道筋や費用のお見積もりにご納得いただいた上で、正式にご依頼。
9-3. 手間のかかるコピー作業や「相続関係説明図」の作成もすべて当事務所に丸投げOK
《質問》仕事が忙しく、大量の戸籍をコピーしたり、相関図をパソコンで作ったりする時間がありません。すべてお任せできますか?
《回答》はい、丸投げで全く問題ありません。原本還付に関するコピー作業や割印、専門的な相関図の作成は、すべて当事務所の司法書士が代行いたします。
【詳細な解説】
ここまで解説してきた通り、原本還付を自分でおこなうためには、大量の戸籍を漏れなくコピーし、全ページに割印を押し、法務局の基準を満たす「相続関係説明図」を作成するといった、膨大な手間と専門知識が必要です。
司法書士なかしま事務所にご依頼いただければ、お客様がこれらの面倒な作業をおこなう必要は一切ありません。お客様は「集めた書類を当事務所にお渡しいただくだけ」です(戸籍収集からご依頼いただくことも可能です)。
■ お客様の手間比較表(自力でおこなう場合 vs 当事務所へ依頼)
| 作業内容 | お客様ご自身でおこなう場合 | 当事務所へ依頼した場合 |
| 戸籍の収集 | 何度も市役所へ行き、手探りで集める。 | 職権ですべて取得代行可能。 |
| コピーと割印 | 自宅やコンビニで数十枚コピーし、全ページに押印。 | 作業ゼロ(当事務所が代行) |
| 相関図の作成 | パソコン等で法律に従った図面を四苦八苦して作る。 | 作業ゼロ(当事務所が専用ソフトで作成) |
| 法務局での手続き | 平日休んで窓口へ行き、不備があれば再度出向く。 | 作業ゼロ(当事務所がオンライン申請・対応) |
■ 「丸投げ」した場合のお客様のフロー
- 当事務所の初回相談で、必要な手続きの打ち合わせをおこなう。
- (ご自身で集めた場合)お手元の戸籍などをそのまま当事務所へ預ける。
- 委任状などの必要書類に署名・押印する。
- あとは待つだけ。 登記完了後、綺麗にファイリングされた原本と権利証を受け取る。
9-4. 司法書士なかしま事務所の相続登記サポート費用と、初回無料相談のご案内
《質問》専門家に頼むと費用が高額にならないか不安です。相談だけでもお金はかかりますか?
《回答》当事務所では**「初回ご相談を無料」**で承っております。また、正式なご依頼前に必ず明確なお見積もりをご提示し、ご納得いただいてから着手いたしますのでご安心ください。
【詳細な解説】
「自分でやってみようと思ったけれど、原本還付のやり方が複雑で挫折しそう」「法定相続情報証明制度を使った方が良いのか、プロのアドバイスが欲しい」という方は、ぜひ一度、当事務所の初回無料相談をご利用ください。
お客様のご状況(不動産の数、金融機関の数、相続人の人数など)を丁寧にヒアリングし、通常の原本還付と法定相続情報のどちらが最適かをご提案いたします。費用についても、パッケージ化された分かりやすい料金体系をご用意しております。
■ 当事務所の主要サポートメニュー・費用例一覧表
※詳しい費用は状況により異なります。必ず事前にお見積もりいたします。
| サポート内容 | 費用目安(税別) | 含まれるサービス内容 |
| 相続登記おまかせプラン | 〇〇円〜 | 登記申請、相関図作成、原本還付手続きのすべて |
| 戸籍収集サポート | 〇〇円〜 | 複雑な相続における戸籍謄本等の完全収集代行 |
| 法定相続情報取得代行 | 〇〇円〜 | 一覧図の作成から法務局での証明書発行手続き |
■ 無料相談から手続き完了までのフロー
- お問い合わせ:お電話・Webから「無料相談」をご予約ください。
- 無料相談・お見積もり:司法書士が直接お話を伺い、最適なプランと明確な費用をご提示します。
- ご依頼・着手:ご納得いただけましたら正式にご依頼いただき、手続きをスタートします。
- 手続き完了・お渡し:原本還付された書類一式と新しい権利証をお渡しし、すべて完了となります。
「相続登記」よくある質問
1.相続登記の費用と見積り・相場
- ★相続登記・登録免許税シミュレーター
- 自分でやる?専門家に依頼する?相続登記費用の完全ガイド
- 相続登記の費用を抑えるポイント:自分でやる範囲と依頼する範囲
- 【パターン別】相続登記と登録免許税の計算方法(免税ケースと免税にする方法)
- 相続登記の費用は誰が負担する?相続人同士の取り決め
2.相続登記義務化とリスク
- 2024年4月からの相続登記義務化:罰則、対象、期限を徹底解説
- 相続登記ができない理由30選:書類が集まらない・費用がない…トラブル解決ガイド
- 相続登記を放置する5つのリスク+α:過料以外の思わぬ落とし穴とは?
- 相続放棄と相続登記の関係:放棄した場合でも手続きは必要?
- 住所・氏名変更登記の義務化も?2年以内に手続きしないと過料の対象に
- 相続登記義務化の免除規定「正当性な理由」とは?!
3.相続登記の手続き
- 相続登記の流れ~初めてでもわかる9つのステップガイド
- 相続登記と相続税申告の関係:手続きのタイミングと注意点
- 相続登記の遺産分割協議書作成ガイド│失敗しない書き方と注意点
- 相続登記の申請書の書き方│ポイント39と法務局の記入例解説6
- 相続登記の申請方法:窓口、郵送、オンラインの手順と注意点
- 登記識別情報とは?新しい『権利証』の受け取り方と紛失時のリスク
- 相続登記完了後の手続き:不動産業者からのDMや相続税申告との関係
- 相続登記後の不動産売却手続き:時系列と注意点
4.相続登記の必要書類
- 【チェックリスト付】相続登記に必要な書類一覧:ケース別(遺言・協議・法定)
- 戸籍の広域交付請求[2024開始]と相続登記
- 相続登記のための<戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍謄本>
- 相続登記のための<住民票・戸籍の附票・上申書>
- 相続登記のための<固定資産評価証明書・課税明細書・名寄帳>
- 相続登記時に法定相続情報一覧図を作成するか否か・同時申請の方法
- 相続登記の相続関係説明図と法定相続情報一覧図の違い
- 相続登記の<原本還付>の方法とメリット
5.その他
- 相続登記:登記先例・登記研究の一覧表
- 相続登記の際に被相続人の住所・氏名が古いままだった場合
- 相続登記と『未登記建物』
- 相続登記と『表題部のみの建物』
- 相続登記時に完済済みの住宅ローン『抵当権』が残っている場合
- 相続登記時に完済済みの『買戻特約』が残っている場合
- 相続登記とDV被害者など『住所を公開したくない』場合の特例措置
- 数次相続・代襲相続の登記:複雑な相続関係の解決方法
- 一人遺産分割協議ができなくなった?!
- 「遺贈」による相続登記
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認定司法書士ですか?

はい。司法書士中嶋剛士は、愛知県司法書士会所属の認定司法書士です。

まずは「無料相談」でも大丈夫ですか?

はい。初回のみ無料相談とさせていただいております。
ぜひ、司法書士なかしま事務所までご連絡ください。
※1 当事務所は、相続登記・遺言・相続対策・遺産承継業務・相続放棄を含む相続業務に15年以上のキャリアをもつ司法書士中嶋剛士が電話相談・面談、業務終了まで直接皆様の担当をさせて頂きます。安心してお任せ頂けたらと思います。
※2 当事務所では相続に関する相談は初回無料です。もし相談をご希望の皆様は、下記をクリックして気軽にお問合せ(メール・LINE・電話)ください。
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