最終更新日:2026年4月30日
この記事のポイント
[相続登記の際の未登記建物] でお悩みではありませんか?
この記事では、司法書士の視点から [未登記建物のパターン別対応]と[未登記建物の遺産分割協議書の書き方]など について分かりやすく解説します。
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1. そもそも「未登記建物」とは?相続時に発覚するよくあるケース

1-1. 未登記建物とは何か?(建物の表題登記・所有権保存登記がない状態)

相談者

《質問》実家を相続することになりましたが「未登記建物」と言われました。どういう状態のことですか?

司法書士

《回答》法務局(国)の帳簿である「登記簿」に、建物の物理的な状況(広さや構造など)や、誰が所有者であるかが一切記録されていない建物のことです。

【詳細な解説】

建物を新築した際は、原則として「どのような建物か」を示す表題登記と、「誰の所有物か」を示す所有権保存登記を行う義務があります。しかし、何らかの理由でこれらの手続きが行われず、法務局にデータが存在しない建物を「未登記建物」と呼びます。登記がないため、第三者に対して「この家は自分のものだ」と法的に証明することが非常に困難な状態です。

【登記の有無による違い(比較表)】

項目登記済みの建物未登記建物
法務局の記録あり(登記簿謄本が取得できる)なし(登記簿謄本が存在しない)
所有権の証明容易(登記簿で一目瞭然)困難(別の書類で証明が必要)
不動産の売却スムーズに可能原則不可(登記が必要)

【本来あるべき登記手続きの流れ】

  1. 建物の完成(引き渡し)
  2. 【表題登記】 土地家屋調査士が図面を作成し、建物の物理的状況を法務局へ登録
  3. 【所有権保存登記】 司法書士が所有者の名義を法務局へ登録
  4. 登記完了・権利証(登記識別情報)の発行

1-2. なぜ家が未登記のまま放置されるのか?(昔の建物・現金一括購入など)

相談者

《質問》家を建てる時に登記をするのが普通だと思うのですが、なぜ未登記のまま放置されていたのでしょうか?

司法書士

《回答》住宅ローンを利用せず現金一括で建てた場合や、昔の建物で当時は登記に対する意識が低かった場合などに、費用を節約するために登記が見送られたケースが多く見られます。

【詳細な解説】

通常、住宅ローンを組んで家を建てる場合、銀行が建物を担保(抵当権)に取るため、金融機関の指示で必ず登記が行われます。しかし、自己資金のみで建築した場合は銀行の介入がないため、所有者が「わざわざ費用を払ってまで登記しなくても良い」と判断し、そのまま放置されることがあります。また、母屋は登記されていても、後から敷地内に建てた「離れ」や「倉庫」、増築部分などが未登記になっているケースも多々あります。

【未登記となる主な要因(一覧表)】

発生要因具体的な背景・理由
資金調達の理由住宅ローンを使わず、現金一括で建築・増築したため銀行の審査がなかった
費用の節約登記にかかる専門家報酬や税金を節約したかった
時代背景昭和初期など古い建物で、当時は登記の義務感が薄かった
増改築の無申告母屋完成後に建てた離れや車庫について、手続きを忘れていた

【未登記状態が発生する流れ】

  1. 自己資金で建物を新築(または増改築)する
  2. 住宅ローンの設定がないため、金融機関からの登記の催促がない
  3. 専門家への依頼費用を惜しみ、自発的な登記申請を行わない
  4. そのまま数十年が経過し、相続発生時に家族が初めて気付く

1-3. 相続手続きの準備中(固定資産税納税通知書の確認時)に発覚する理由

相談者

《質問》亡くなった親の家が未登記であることは、どうすれば確認できますか?

司法書士

《回答》毎年春頃に役所から送られてくる「固定資産税の納税通知書(課税明細書)」を確認するのが一番確実で一般的な方法です。

【詳細な解説】

相続が発生すると、遺産分割のために財産を把握する必要があります。その際、不動産のリストアップに役立つのが固定資産税の納税通知書です。この通知書には課税対象となっている不動産の一覧が記載されていますが、家屋の欄を確認した際、「家屋番号」が空欄になっていたり、「未登録」といった記載があったりする場合、その建物は未登記であることが判明します。登記簿謄本を取得しようとして法務局に行き、「該当データなし」と言われて発覚するケースもあります。

【課税明細書の見方と判断基準(確認表)】

確認する書類チェックする項目記載内容と登記状況の判断
固定資産税課税明細書家屋番号番号の記載あり: 登記済み
空欄・ハイフン: 未登記の可能性大
法務局のシステム登記事項証明書取得できる: 登記済み
「該当なし」となる: 未登記

【未登記建物の発覚から確認までの流れ】

  1. 親族が亡くなり、相続財産の調査を開始する
  2. 自宅に保管されている「固定資産税納税通知書」を探し出す
  3. 同封の「課税明細書」にある家屋の項目(家屋番号)をチェックする
  4. 空欄であることを発見し、法務局で調査して未登記が確定する

1-4. 未登記でも固定資産税の支払い義務が生じている仕組み

相談者

《質問》法務局に登録されていない(国が把握していない)建物なのに、なぜ固定資産税は毎年請求されていたのですか?

司法書士

《回答》固定資産税は市町村(役所)が管轄しており、法務局の登記とは別に、役所の職員が航空写真や現地調査で建物の存在を独自に把握して課税しているためです。

【詳細な解説】

法務局(国)と市町村役場(地方自治体)のシステムは連携していますが、目的が異なります。法務局は「権利関係を公示する」ため、自発的な申請を待ちます。一方、役所は「税金を徴収する」ため、登記の有無にかかわらず現実に建物が存在すれば課税します。役所は定期的な巡回調査や航空写真の照合などで新築や増築を見つけ出し、「未登記家屋」として課税台帳に登録し、所有者へ税金を請求しています。そのため「未登記=税金を払わなくてよい」というわけではありません。

【法務局と役所の管轄と目的(比較表)】

機関目的建物の把握方法未登記家屋への対応
法務局(国)権利の保護・公示所有者からの申請に基づく申請がなければ把握しない
市町村(役所)税金の公平な徴収現地調査・航空写真など登記がなくても独自に課税する

【未登記建物に固定資産税が課税される流れ】

  1. 登記をせずに建物を新築(または増築)する
  2. 役所の職員が巡回や航空写真で新しい建物を発見する
  3. 役所が現地調査を行い、建物の評価額を算出する
  4. 役所の「家屋補充課税台帳」に登録される
  5. 翌年から所有者宛に固定資産税の納付書が送付される

2. 【重要】役所に対する「未登記家屋の相続届」は必須手続き

2-1. 固定資産税の課税明細書で「家屋番号」が空欄なら要注意

相談者

《質問》課税明細書を見たところ、土地には番号がありますが、建物の家屋番号が空欄です。どう対応すればよいですか?

司法書士

《回答》その建物は未登記であるため、法務局での相続登記とは別に、役所に対して「未登記家屋の相続届(名義変更)」という特別な手続きを行う必要があります。

【詳細な解説】

課税明細書の「家屋番号」が空欄、または役所独自の管理番号(「未登録」や「家屋番号なし」など)が記載されている場合、法務局に登記簿が存在しません。通常、登記済みの建物であれば、法務局で相続登記(名義変更)をすれば役所へ自動的に通知がいきます。しかし、未登記建物は法務局で手続きができないため、所有者が亡くなったことを役所が把握できません。そのため、放置すると亡くなった人宛に税金の請求が届き続けてしまいます。

【家屋番号の記載パターンと意味(分類表)】

課税明細書の「家屋番号」欄建物の状況必要な相続手続きの窓口
「12番3」など具体的な番号登記済み法務局(相続登記)
空欄、または「-(ハイフン)」未登記役所(未登記家屋の相続届) ※法務局での登記も推奨
役所の独自コード(※自治体による)未登記役所(未登記家屋の相続届) ※法務局での登記も推奨

【未登記発覚時の初期対応の流れ】

  1. 課税明細書で家屋番号が空欄であることを確認
  2. 対象の建物が敷地内のどの建物か(母屋か、倉庫か等)を特定する
  3. 管轄の市町村役場(税務課・資産税課など)へ連絡し、状況を説明する
  4. 役所から専用の届出用紙を取り寄せる

2-2. 市町村役場へ提出する「家屋補充課税台帳登録事項変更届(未登記家屋の相続届)」とは?

相談者

《質問》未登記の家を相続した場合、役所へどのような手続きをしなければならないのですか?

司法書士

《回答》税金の請求先を亡くなった方から新しい相続人へ変更するために、「家屋補充課税台帳登録事項変更届」などの書類を提出する義務があります。

【詳細な解説】

名称は自治体によって「未登記家屋の所有者変更届」や「未登記家屋の相続届」などと異なりますが、目的は同じです。役所が管理している未登記建物の台帳(家屋補充課税台帳)の名義人を、被相続人(亡くなった方)から、建物を引き継ぐ相続人へと書き換えるための手続きです。役所に対する相続届は必須の手続きであり、これを行わないと翌年以降の固定資産税の請求先が定まらず、トラブルの原因となります。

【役所への届出に必要な一般的な書類(一覧表)】

必要書類取得先・作成者備考
未登記家屋の相続届(指定様式)市町村役場の窓口・HP自治体ごとに所定のフォーマットあり
遺産分割協議書(または遺言書)相続人で作成未登記建物を誰が取得するか記載したもの
印鑑証明書市町村役場遺産分割協議書に実印を押印した相続人全員分
戸籍謄本一式本籍地の役場被相続人の死亡と相続人全員の関係がわかるもの

【役所に対する相続届の手続きの流れ】

  1. 相続人全員で遺産分割協議を行い、未登記建物の取得者を決める
  2. 遺産分割協議書を作成し、相続人全員で実印を押印する
  3. 役所から「家屋補充課税台帳登録事項変更届」を取得し、必要事項を記入する
  4. 遺産分割協議書などの添付書類と一緒に、管轄の役所(税務課)へ提出する
  5. 翌年度から、新しい所有者宛に固定資産税の納付書が届くようになる

2-3. 役所への「相続届」と法務局での「相続登記」は全く別の手続きである点に注意

相談者

《質問》役所に相続届を出して名義変更が終わりました。これで法務局の相続登記も完了したことになりますか?

司法書士

《回答》いいえ、完了していません。役所への届出はあくまで「税金に関する手続き」であり、法務局で行う「権利に関する登記」とは全くの別物です。

【詳細な解説】

ここが非常に誤解されやすいポイントです。役所に「未登記家屋の相続届」を提出すると、役所の台帳上は名義が変わり、税金の請求も新しい所有者へ来ます。しかし、法務局の登記簿が新しく作られるわけではありません。法的に第三者へ所有権を主張したり、不動産を売却したりするためには、役所の手続きとは別途、法務局に対して正式な登記手続き(表題登記・保存登記)を行う必要があります。

【役所への届出と法務局での登記の違い(比較表)】

項目役所への「相続届」法務局への「登記(表題+保存)」
提出先市町村役場(税務課など)管轄の法務局
手続きの目的固定資産税の納税義務者を決めるため不動産の権利(所有権)を法的に確定するため
完了後の効果税金の納付書が新所有者に届く第三者への権利主張、不動産の売却・担保設定が可能になる
必須か任意か必須(役所へ届出が必要)状況に応じて選択(売却等には必須)

【並行して考えるべき手続きの流れ】

  1. 未登記建物の存在を確認
  2. 【税金の手続き】 役所へ「未登記家屋の相続届」を提出(※必須)
  3. 【権利の手続き】 今後の建物の扱い(売る・住む・壊す)を検討
  4. 必要に応じて、土地家屋調査士・司法書士へ依頼し、法務局で登記手続きを行う

2-4. 役所に届出を出しただけでは「法的な所有者」になったわけではない理由

相談者

《質問》役所で名義変更をしたのに、法的な所有者として認められないのはなぜですか?

司法書士

《回答》役所の台帳はあくまで税金を集めるための名簿であり、民法上の権利を証明する公的な効力(第三者への対抗要件)を持っていないためです。

【詳細な解説】

日本の法律(民法第177条)では、不動産の所有権を当事者以外の第三者(買主や銀行など)に主張するためには、「登記」をしなければならないと定められています。これを「対抗要件」と呼びます。役所に相続届を出して税金を払っていても、それは「納税義務者」として扱われているだけであり、法的な意味での完全な「所有者」として保護されるわけではありません。そのため、いざ家を売ろうとしたり、ローンを組もうとしたりする際に「登記がないから所有者と認められない」と手続きを断られてしまいます。

【対抗要件(登記)の有無によるリスク(影響表)】

状況役所の届出のみ(未登記)法務局で登記済み
第三者への権利主張できない(法的な裏付けが弱い)できる(国が権利を公証している)
不動産会社を通じた売却原則として買い手がつかない通常通り売却可能
金融機関での担保設定融資を受けられない(抵当権設定不可)住宅ローンなどの担保にできる

【完全な法的所有者になるためのステップ】

  1. 役所へ相続届を出し、暫定的に納税義務を引き継ぐ
  2. 法務局で建物の状況を登録する(表題登記)
  3. 法務局で所有者の権利を登録する(所有権保存登記)
  4. 登記識別情報(権利証)を取得し、完全な法的所有権を確立する

3. 未登記建物を相続した際の「3つの選択肢」と判断基準

3-1. 選択肢①:新たに建物の登記(表題登記+保存登記)を行い、正式に相続する

相談者

《質問》未登記の家ですが、将来的に売却するかもしれないし、当面は住む予定です。どうすべきですか?

司法書士

《回答》ご自身で住み続ける場合や、将来的に売却やリフォームローンを検討している場合は、費用をかけてでも「新たに登記(表題登記+保存登記)」を行うべきです。

【詳細な解説】

建物を資産として有効活用するためには、正規の手続きを踏んで法務局に登記簿を作成する必要があります。これを「表題登記(建物の図面登録)」と「所有権保存登記(最初の所有者登録)」と呼びます。手続きには土地家屋調査士と司法書士という2つの専門家の関与が必要となり、数十万円の費用がかかりますが、権利関係が綺麗になり、売却や融資の担保設定がいつでも可能になるという最大のメリットがあります。

【選択肢①のメリット・デメリット(比較表)】

項目内容
メリット・不動産の売却や担保設定が自由にできるようになる
・将来の相続時(子供の代)に権利関係で揉めない
・法的な所有権が完全に守られる
デメリット・土地家屋調査士、司法書士への専門家報酬がかかる
・図面作成などのために時間と手間がかかる

【正式な登記を行う際の流れ】

  1. 相続人間で協議し、誰が建物を引き継ぐか決める
  2. 土地家屋調査士へ依頼し、建物の現地調査・測量・図面作成を行う
  3. 土地家屋調査士が法務局へ「表題登記」を申請する(登記簿の表紙が作られる)
  4. 司法書士へ依頼し、法務局へ「所有権保存登記」を申請する(名義が入る)
  5. 登記完了後、権利証を受け取る

3-2. 選択肢②:未登記のまま建物を解体・取り壊す(役所への滅失届のみ行う)

相談者

《質問》古い空き家で誰も住む予定がありません。この場合でもわざわざ登記が必要ですか?

司法書士

《回答》すぐに解体(取り壊し)して更地にするのであれば、わざわざ登記をする必要はありません。解体後に役所へ「家屋滅失届」を出すだけで完了します。

【詳細な解説】

老朽化して住むことができない家や、売却するために更地にする予定の家であれば、解体前に費用をかけて登記簿を作るのは無駄になってしまいます。このような場合は、未登記のまま建物を解体して問題ありません。ただし、解体後は**必ず1ヶ月以内に役所(税務課)へ「家屋滅失届」を提出してください。**これを忘れると、建物が存在しないのに翌年も固定資産税が請求され続けてしまいます。

【選択肢②にかかる費用・手間の判断基準(判断表)】

判断のポイント解体を選択すべきケース
建物の状態老朽化が激しく、リフォームしても住む・貸すことが困難
今後の利用予定家族の誰も住む予定がなく、活用計画もない
土地の活用方針駐車場にする、更地にして土地だけで売却する予定がある
費用の無駄の回避「登記費用(数十万)+後日の解体費用」の二重払いを避けたい

【解体して解決する場合の流れ】

  1. 相続人間で「建物を解体する」ことと「解体費用の負担割合」を合意する
  2. 解体業者に見積もりを取り、工事を依頼する
  3. 建物の取り壊し工事が完了する
  4. 速やかに市町村役場へ行き「家屋滅失届」を提出する
  5. 翌年度から建物の固定資産税の課税がストップする(※土地の税金は変動する可能性があります)

3-3. 選択肢③:未登記のまま役所に「相続届」だけ出し、現状維持する(後述の通りリスク大)

相談者

《質問》登記費用も解体費用も払えません。役所に名義変更だけして、そのまま放置しても良いですか?

司法書士

《回答》手続き上は役所への届出(相続届)のみで当面をしのぐことは可能ですが、将来的にトラブルの火種を残すため、専門家としては推奨できない危険な選択肢です。

【詳細な解説】

経済的な理由などから、役所に「未登記家屋の相続届」だけを提出して固定資産税を払い続け、登記も解体もせずに現状維持を選ぶ方もいます。しかし、これは単なる問題の先送りに過ぎません。時間が経てば経つほど、当時の建築資料(領収書や大工さんの証明など)が紛失し、いざ登記が必要になった際のハードルが跳ね上がります。また、次の世代へ相続が発生した際(数次相続)、権利関係が複雑化し、子供や孫に多大な負担と迷惑をかけることになります。

【現状維持を選択した場合のリスク(将来予測表)】

経過時間発生する具体的なリスク・問題点
現在〜数年後売却不可、担保設定不可。建物の老朽化による倒壊・飛散リスク(所有者責任)。
十数年後所有者が認知症になった場合、資産凍結となり売却・解体ができなくなる。
数十年後(次の相続)相続人がネズミ算式に増え、誰の所有物か分からなくなり、遺産分割協議が不可能になる。当時の建築証明書類が散逸し、登記が極めて困難になる。

【放置により事態が悪化していく流れ】

  1. 費用を惜しみ、役所の手続きのみで未登記のまま放置する
  2. 数十年の時間が経過し、関係する当時の書類(建築確認済証など)が紛失する
  3. 相続人(現在の所有者)が亡くなり、さらに子供・孫へと権利が細分化される
  4. いざ家を売ろう・壊そうとした際、関係者全員のハンコが揃わず手続きが完全にストップする
  5. 誰も手を出せない「負動産」として永遠に残ってしまう

4. 2024年(令和6年)4月開始「相続登記の義務化」と未登記建物の関係

4-1. 未登記建物は「相続登記の義務化」の対象になるのか?

相談者

《質問》2024年から始まった相続登記の義務化ですが、そもそも登記がない「未登記建物」も対象になりますか?

司法書士

《回答》厳密には、新しく始まった「義務化」は既にある登記簿の名義を変えることを指しますが、未登記建物も「表題登記(最初の登記)」を行う義務が元々法律で定められています。放置すると過料の対象となる点は変わりません。

【詳細な解説】

不動産登記法上、建物を新築した者は1ヶ月以内に「表題登記」をする義務があります。今回の義務化で注目されているのは「名義変更(所有権移転登記)」ですが、未登記のまま相続した場合も、実態として所有権を引き継いだ以上、適切な登記を行うべき義務を負っていると解釈されます。

【義務化に関連する法律の整理(表)】

項目旧来のルール2024年4月からの新ルール未登記建物の場合
登記の期限期限なし(任意)相続を知った日から3年以内新築から1ヶ月以内に表題登記が必要(義務)
放置の罰則特になし10万円以下の過料10万円以下の過料(不動産登記法第164条)

4-2. 土地だけ相続登記をして、上の未登記建物を放置するリスク

相談者

《質問》土地の相続登記は済ませましたが、建物は未登記なのでそのままにしておいても問題ないでしょうか?

司法書士

《回答》非常に危険です。土地と建物の所有者情報が一致しなくなり、将来の売却が困難になるだけでなく、建物の所有権が遺産分割協議書で明確になっていないと、将来取り壊すことすらできなくなる恐れがあります。

【詳細な解説】

土地だけ名義を変えても、その上の建物が亡くなった方の名義(または役所の課税台帳上だけの方の名義)のままだと、不動産としての価値は著しく下がります。特に注意が必要なのは、「未登記だから遺産分割協議書に書かなくていいや」という思い込みです。書かないまま時間が経つと、他の親族から権利を主張される原因になります。

【土地・建物情報の不一致によるトラブル例】

  1. 土地は長男の名義に変更
  2. 建物は未登記のまま放置(遺産分割協議書にも記載なし)
  3. 10年後、長男が建物を解体しようとする
  4. 解体業者から「所有権を証明する書類(協議書)がないと、他の兄弟の同意がない限り壊せない」と断られる

4-3. 義務化に違反した場合のペナルティ(10万円以下の過料)と未登記家屋の扱い

相談者

《質問》未登記建物を放置して過料(罰金のようなもの)を科されることは本当にあるのでしょうか?

司法書士

《回答》今までは見逃されることが多かったのが実情ですが、相続登記義務化に伴い、国(法務局)のチェックは厳しくなることが予想されます。未登記であること自体が法違反であるため、リスクは確実に高まっています。

【詳細な解説】

過料(かりょう)は行政上の罰則です。未登記建物が存在することは、法務局が把握していないだけで、役所(市区町村)は課税台帳で把握しています。義務化によって行政間の情報連携が進むと、未登記状態であることが容易に判明し、通知が届く可能性が高まります。

【過料が科されるまでの一般的な流れ】

  1. 相続が発生するが、建物の登記(表題登記等)を放置する
  2. 法務局が(役所との情報連携等により)登記されていない事実を把握する
  3. 法務局から所有者へ「登記をしてください」という催告(通知)が届く
  4. 通知を無視して放置し続ける
  5. 裁判所の手続きを経て、最大10万円の過料が科される

4-4. 過去の相続で放置されていた未登記建物も義務化の対象となる点に注意

相談者

《質問》何十年も前に父が亡くなった時の未登記建物があります。これも今の義務化に関係ありますか?

司法書士

《回答》はい、関係あります。今回の義務化は「施行日より前に発生した相続」にも遡って適用されます。そのため、古い未登記建物も放置し続けると罰則の対象となる可能性があります。

【詳細な解説】

「昔のことだから大丈夫」という理屈は通用しません。2024年4月1日の施行時点で既に未登記の建物を相続している場合、施行日から3年間の猶予期間はありますが、それを過ぎると過料の対象になります。古い建物ほど、当時の書類(建築時の領収書や図面)が紛失しているため、早急な対応が必要です。


5. 未登記建物をそのまま放置する5つの重大なリスク・デメリット

5-1. 不動産の売却や、新たな担保設定(住宅ローン・リバースモーゲージ等)が一切できない

相談者

《質問》未登記のままでも、買ってくれる人がいれば売れますか?

司法書士

《回答》事実上不可能です。買い手は銀行融資を受けられませんし、そもそも誰の所有物か法的に不明なものを買う人はいません。売却するためには、必ず「登記」を完了させる必要があります。

【詳細な解説】

不動産の売買において、登記簿は「商品の品質保証書」のようなものです。登記がないということは、その商品が誰のものか証明されていない状態であり、不動産仲介会社も取り扱いを拒否します。

5-2. 次の相続が発生した際(数次相続)、権利関係が複雑化し遺産分割協議が難航する

相談者

《質問》私が生きている間は今のままで困りません。私が死んだ後に子供たちが困ることはありますか?

司法書士

《回答》多大な苦労をかけることになります。子供の代になると、さらに相続人が増え(従兄弟など)、未登記建物をどう分けるかの合意を取るだけで数年かかるケースも珍しくありません。

【詳細な解説】

「とりあえず役所の名義だけ変えておこう」という選択(選択肢③)は、問題を次世代に丸投げすることになります。

【放置による複雑化の流れ】

  1. 父が死亡(相続人は子2人)→未登記のまま放置
  2. 数十年後、子2人も死亡(相続人は孫5人へ)
  3. 孫の代で土地を売ろうとするが、建物が未登記
  4. 登記のために孫5人全員の協力(実印と印鑑証明)が必要になる
  5. 疎遠な親戚が協力してくれず、売却を断念する

5-3. 建物が倒壊した際などの所有者責任(損害賠償リスク)が不明確になる

相談者

《質問》空き家になっている未登記建物が台風で壊れ、隣の家に被害を出してしまいました。誰が責任を負うのですか?

司法書士

《回答》登記がなくても、実態としての所有者が賠償責任を負います。遺産分割協議書で所有者を決めていない場合、相続人全員が連帯して責任を問われるリスクがあります。

【詳細な解説】

民法には「工作物責任」があり、建物の管理に瑕疵があった場合、所有者は無過失でも責任を負うことがあります。未登記だからといって責任から逃れることはできません。

5-4. 将来、認知症になった際などの資産凍結リスク(施設入居資金のために売れない等)

相談者

《質問》親が認知症になった後でも、未登記建物の登記や売却はできますか?

司法書士

《回答》本人の判断能力がなくなると、登記申請(契約)ができなくなります。成年後見人を立てる必要があり、多額の費用と時間がかかるため、元気なうちに整理しておくことが鉄則です。

5-5. 境界トラブルや、隣地との権利関係のもつれに発展する可能性

相談者

《質問》建物が未登記だと、隣の人との境界トラブルになりやすいのでしょうか?

司法書士

《回答》はい。登記がない建物は図面(各階平面図)が法務局に備え付けられていないため、建物がどこまで建っているかの客観的な証拠がなく、隣地境界の争いにおいて非常に不利になります。


6. 【ケース別】こんな未登記建物の相続はどう対応する?(複雑な具体例)

6-1. 母屋は登記済みだが、増築部分や「離れ(はなれ)」が未登記になっているケース

相談者

《質問》登記簿には「平屋」と書いてありますが、実際には2階建てに増築されています。このままでも相続登記できますか?

司法書士

《回答》土地の名義変更はできますが、建物の名義変更はそのままではできません。現在の建物の形と登記簿の内容を一致させる「建物表題部変更登記」が必要です。

【詳細な解説】

名古屋市や尾張地方の古いお宅では、当初の登記後に「キッチンを広げた」「2階を作った」「敷地内に離れを建てた」といったケースが多く見られます。

【増築・離れへの対応表】

パターン必要な手続き依頼する専門家
増築している建物表題部変更登記土地家屋調査士
離れが別にある新たな表題登記(符号2など)土地家屋調査士
相続による名義変更所有権移転登記(または保存)司法書士

6-2. 敷地内にある農業用倉庫、車庫、プレハブ小屋などは登記が必要か?

相談者

《質問》庭にある小さな倉庫や車庫も、わざわざ登記しなければならないのですか?

司法書士

《回答》「屋根があり、三方が壁で囲まれ、地面に固定されている」建物であれば、原則として登記の対象です。ただし、解体予定であればあえて登記せず、遺産分割協議書に「未登記のまま引き継ぐ」旨を記載して解体時に備えるのが現実的です。

6-3. 建築確認申請を通していない(違法建築・既存不適格)建物のケース

相談者

《質問》昔、勝手に建てた物置なので建築許可(建築確認)がありません。それでも登記できますか?

司法書士

《回答》はい、可能です。建築確認がなくても、建物がそこに存在し、あなたの所有物であることが証明できれば登記はできます。ただし、手続きが複雑になるため専門家のサポートが不可欠です。

6-4. 共有名義の土地に建つ、亡き父名義の未登記建物のケース

相談者

《質問》土地は私と父の共有ですが、その上の父の未登記建物を私ひとりで引き継げますか?

司法書士

《回答》可能です。ただし、遺産分割協議書に「土地の共有持分」だけでなく「未登記建物」もあなたの所有にすることを明記しなければなりません。

6-5. 何十年も前に亡くなった祖父名義の未登記建物が今になって見つかったケース

相談者

《質問》祖父名義の未登記建物を見つけました。父も既に亡くなっています。どうすればいいですか?

司法書士

《回答》「数次相続」という状態です。祖父の相続人と父の相続人、全員を特定して遺産分割協議を行う必要があります。時間が経つほど困難になるため、すぐに司法書士へ相談してください。

6-6. 未登記建物の建築代金を支払った証明(領収書等)が一切残っていないケース

相談者

《質問》建物が古すぎて、父がいついくらで建てたかの書類が何もありません。登記を諦めるしかないでしょうか?

司法書士

《回答》諦める必要はありません。役所の固定資産課税台帳や、電気・ガスの引き込み記録、近隣の方の証言などを集めた「上申書」を作成することで、所有権を証明できる場合があります。

【書類がない場合のリカバリーの流れ】

  1. 役所で「固定資産評価証明書(または名寄帳)」を取得し、課税実績を確認
  2. 土地家屋調査士が現地を測量し、建物の築年数を推定
  3. 司法書士が「他に所有者はいない」旨の上申書や、親族の同意書を作成
  4. 法務局と事前相談を行い、受理される可能性を探る
  5. 表題登記→保存登記を順次申請する

【★重要ポイント:遺産分割協議書への記載】

未登記建物であっても、必ず遺産分割協議書に以下のように記載してください。

「(未登記建物) 所在:〇〇市〇〇町〇番地先、種類:居宅、構造:木造瓦葺、床面積:〇〇平方メートル(未登記家屋番号:12345)」

これを怠ると、解体業者から**「誰が注文者か証明できない」**と言われたり、将来の登記ができなくなったりします。当事務所では、こうした漏れのない協議書作成をサポートしています。

7. 未登記建物を正式に登記(表題登記+保存登記)するための手続きと流れ

7-1. ステップ1:相続人全員で遺産分割協議を行い、建物の取得者を決定する

相談者

《質問》未登記の家を登記して相続するには、何から始めればよいですか?

司法書士

《回答》まずは相続人全員で話し合い(遺産分割協議)、「誰がその未登記建物を引き継ぐのか」を明確に決定し、書面に残すことから始まります。

【詳細な解説】

登記簿がない未登記建物であっても、法律上は相続財産に含まれます。そのため、勝手に特定の人が登記を行うことはできず、相続人全員の合意が必要です。誰が取得するかが決まったら、必ず「遺産分割協議書」にその旨を記載し、全員の実印を押印します。この協議書は、後で役所へ未登記家屋の相続届を出す際にも、法務局で登記をする際にも必須の書類となります。

【遺産分割協議で決めるべき事項(確認表)】

決定事項具体的な内容備考
建物の取得者誰が未登記建物を単独(または共有)で相続するか土地の取得者と同じにするのが一般的でトラブルが少ない
建物の特定方法未登記建物の所在地、種類、構造、床面積などを記載する課税明細書の情報を参考に記載する(家屋番号は「未登記」とする)
費用の負担者今後の登記費用や固定資産税を誰が負担するか取得者が負担するケースがほとんど

【ステップ1の手続きの流れ】

  1. 亡くなった方の戸籍謄本を集め、法定相続人を全員特定する
  2. 固定資産税の課税明細書などで未登記建物の存在を把握する
  3. 相続人全員で話し合い、建物の取得者を決める
  4. 司法書士などに依頼し、未登記建物も明記した遺産分割協議書を作成する
  5. 相続人全員で署名・実印の押印をし、印鑑証明書を添付する

7-2. ステップ2:土地家屋調査士による建物の現地調査・測量・図面作成

相談者

《質問》未登記の建物を図面化すると聞きましたが、誰に頼めばいいのですか?

司法書士

《回答》建物の物理的な状況(広さや構造など)を正確に測量し、図面を作成するのは「土地家屋調査士(とちかおくちょうさし)」という国家資格者の専門領域です。

【詳細な解説】

遺産分割協議が終わったら、次に建物の実態を国(法務局)に報告するための準備に入ります。登記簿の表紙となる「表題部」を作るためには、建物の正確な寸法や配置図が必要です。これらは素人が作成することは非常に困難なため、土地家屋調査士に依頼して現地調査・測量を行ってもらい、「建物図面」および「各階平面図」を作成してもらいます。

【専門家の役割分担(比較表)】

専門家担当する登記目的・作業内容
土地家屋調査士表題登記建物の物理的状況(どこに、どんな家が建っているか)を測量・図面化する
司法書士所有権保存登記権利関係(その家は誰のものか)を法的に証明・登録する

【ステップ2の手続きの流れ】

  1. 相続人(建物の取得者)から土地家屋調査士へ依頼する
  2. 土地家屋調査士が現地を訪問し、建物の外観や内部を測量する
  3. 建築確認済証や工事施工証明書などの建築資料を調査士に提示する
  4. 土地家屋調査士が、法務局へ提出するための「建物図面・各階平面図」を作成する

7-3. ステップ3:法務局へ「建物の表題登記」を申請する(※土地家屋調査士の専門領域)

相談者

《質問》図面ができたら、どのようにして未登記の状態を解消するのですか?

司法書士

《回答》土地家屋調査士が作成した図面と、亡くなった方が建物を建てた証明書などを添えて、管轄の法務局へ「建物の表題登記」を申請し、初めての登記簿(表題部)を作成してもらいます。

【詳細な解説】

表題登記とは、まだ登記簿が存在しない建物について、新しく登記簿の「表題部(建物のプロファイル欄)」を開設する手続きです。これにより、これまで法務局に存在しなかった建物のデータが公式に登録され、家屋番号が付与されます。この時点ではまだ「誰のものか」という権利の登録は完了していません。

【表題登記で登録される主な内容(一覧表)】

登録項目内容の例
所在○○市○○町一丁目○番地○
家屋番号○番○
種類居宅、店舗、共同住宅、倉庫 など
構造木造瓦葺2階建、鉄骨造陸屋根平家建 など
床面積1階:50.00㎡、2階:40.00㎡ など

【ステップ3の手続きの流れ】

  1. 土地家屋調査士が申請書類(所有権証明書・図面など)を取りまとめる
  2. 管轄の法務局へ「建物の表題登記」を申請する
  3. 法務局の登記官が書類を審査する(必要に応じて現地調査が入ることもあります)
  4. 問題がなければ登記が完了し、新たな「家屋番号」が付けられる

7-4. ステップ4:法務局へ「所有権保存登記(相続登記)」を申請する(※司法書士の専門領域)

相談者

《質問》表題登記が終われば名義変更は完了ですか?

司法書士

《回答》いいえ。最後に司法書士のサポートのもと、その建物の所有者があなたであることを登録する「所有権保存登記」を行って、初めてすべての手続きが完了し、権利証が発行されます。

【詳細な解説】

表題登記によって建物の「箱」ができたら、次に「中身(権利)」を入れます。未登記建物を相続した場合に行う権利の登記は、厳密には「相続登記(所有権移転登記)」ではなく、「所有権保存登記」と呼ばれます。これは、新しく作られた登記簿に「最初の所有者」として相続人の名前を書き込む手続きです。この手続きが完了して初めて、第三者に「この家は自分のものだ」と法的に主張できるようになり、売却やローン設定が可能になります。

【所有権保存登記が完了した後の変化(効果表)】

項目登記前(表題登記のみ)登記後(保存登記完了)
権利証の発行なしあり(登記識別情報通知が発行される)
第三者への権利主張できないできる(完全な法的所有者となる)
売却・担保設定不可可能(いつでも自由に処分可能)

【ステップ4の手続きの流れ】

  1. 司法書士が表題登記完了後の登記簿を確認する
  2. 遺産分割協議書、印鑑証明書、住民票などを司法書士が取りまとめる
  3. 司法書士が法務局へ「所有権保存登記」を申請する(登録免許税を納付)
  4. 登記完了後、司法書士から「登記識別情報(権利証)」などの完了書類を受け取る

8. 未登記建物の相続手続きにかかる費用と必要書類

8-1. 役所への「未登記家屋の相続届」に必要な書類(遺産分割協議書・印鑑証明書など)

相談者

《質問》役所へ未登記建物の相続の届出(固定資産税の請求先変更)をする際、何を用意すればよいですか?

司法書士

《回答》役所指定の届出書のほか、誰が引き継ぐかが分かる遺産分割協議書、相続人全員の印鑑証明書、亡くなった方との関係がわかる戸籍謄本などが必要です。

【詳細な解説】

前述(2章)の通り、法務局での登記とは別に、市町村役場への「家屋補充課税台帳登録事項変更届(未登記家屋の相続届)」の提出は必須です。役所が勝手に税金の請求先を変えることはできないため、相続人全員が納得して新しい所有者を決めたという証拠書類の提出が求められます。

【役所への届出に必要な書類と取得先(一覧表)】

必要書類取得先・準備方法
未登記家屋の相続届各市町村役場の税務課等の窓口、またはHPからダウンロード
遺産分割協議書相続人で作成し、未登記家屋の記載をして全員で実印を押印
印鑑証明書各相続人の住む市区町村役場(※発行から3ヶ月以内等の指定がある場合あり)
被相続人の死亡がわかる戸籍謄本被相続人の本籍地の役場
相続人全員の戸籍謄本各相続人の本籍地の役場

【役所への届出手続きの流れ】

  1. 遺産分割協議書を完成させる
  2. 管轄の市町村役場(固定資産税の担当部署)へ必要書類を持参または郵送する
  3. 役所で受理されると、翌年度から新しい所有者宛てに固定資産税の納付書が届く

8-2. 表題登記にかかる費用相場(土地家屋調査士の報酬額と実費)

相談者

《質問》土地家屋調査士に表題登記を依頼すると、費用はどのくらいかかりますか?

司法書士

《回答》建物の大きさや図面の有無によりますが、一般的な戸建て住宅の場合、おおよそ10万円〜20万円程度が費用相場となります。

【詳細な解説】

表題登記には、国に納める税金(登録免許税)はかかりません。費用の大部分は、土地家屋調査士による測量や図面作成の「専門家報酬」となります。古い建物で建築当時の図面や資料が一切残っていない場合は、調査や測量の手間が増えるため、費用が高くなる傾向があります。

【表題登記の費用内訳(目安表)】

費用の種類金額の目安内容
土地家屋調査士報酬100,000円〜200,000円現地調査、測量、図面作成、申請代理の報酬
実費(証明書取得等)数千円程度必要な公的書類の取得費用、交通費など
登録免許税(国税)0円(非課税)表題登記には課税されません

8-3. 所有権保存登記にかかる費用相場(登録免許税と司法書士報酬)

相談者

《質問》司法書士に所有権保存登記を依頼すると、費用はどのくらいかかりますか?

司法書士

《回答》司法書士への報酬が約3万円〜5万円程度、これに加えて国に納める税金(登録免許税)がかかります。合計で数万円〜10万円前後になることが多いです。

【詳細な解説】

所有権保存登記の費用は「司法書士の報酬」と「登録免許税(税金)」の2つで構成されます。登録免許税は「建物の固定資産評価額(法務局が認定する価格)× 0.4%(※特例あり)」で計算されます。未登記建物を正式に登記するには、ステップ2の土地家屋調査士費用と合わせて、合計で十数万円〜三十万円程度の出費を見込んでおく必要があります。

【所有権保存登記の費用内訳(目安表)】

費用の種類金額の目安内容
司法書士報酬30,000円〜50,000円遺産分割協議書の作成確認、申請代理の報酬
登録免許税(国税)数万円程度法務局認定価格 × 0.4%(※住宅用家屋の軽減措置が使える場合あり)
実費(証明書取得等)数千円程度登記事項証明書の取得費用、郵送費など

8-4. 所有権を証明する書類(建築確認済証・工事施工証明書など)がない場合の代替書類「上申書」

相談者

《質問》何十年も前の建物で、建築した時の書類が1枚も残っていません。どうやって所有者であることを証明すればいいですか?

司法書士

《回答》建築確認済証などの公的な書類がない場合は、当時の納税記録や、ご家族の証言などをまとめた「上申書」を作成し、法務局に認めてもらうことで登記が可能です。

【詳細な解説】

未登記建物を登記する際、最大の壁となるのが「誰が建てたのか」を証明する書類(所有権証明書)の不足です。建築確認済証や建築業者の引渡証明書がない古い家では、代替手段として、実印を押印した「上申書」を作成します。上申書には、固定資産税の評価証明書や、火災保険の証券、町内会費の領収書などをかき集めて添付し、総合的に「亡き父が所有者であったことに間違いありません」と法務局を説得します。この作業は非常に専門的であるため、司法書士のサポートが欠かせません。

【所有権証明書がない場合の代替書類(上申書の添付資料例)】

  • 固定資産評価証明書(役所の台帳に所有者として登録されていた証明)
  • 電気・ガス・水道の領収書(被相続人名義で長年使用していた証明)
  • 火災保険の契約書(被相続人が保険料を払っていた証明)
  • 相続人全員の同意書(他の親族から異議がないことの証明、実印・印鑑証明付き)

9. 未登記建物を「解体(取り壊し)」で解決する場合の注意点

9-1. 解体費用の負担者は誰になる?遺産分割協議での揉めない取り決め方

相談者

《質問》誰も住まない未登記の家を解体することになりましたが、解体費用は誰が払うべきですか?

司法書士

《回答》法律上の決まりはありませんが、一般的には「その土地を引き継いだ相続人」が負担することが多いです。必ず解体前に、相続人全員で負担割合を話し合い、遺産分割協議書に明記してください。

【詳細な解説】

解体費用は数百万円単位になることも珍しくありません。「長男が土地をもらうんだから長男が払うべき」「いや、親の家なんだから兄弟で折半すべき」と、費用負担を巡って親族間でトラブルになるケースが多発しています。揉め事を防ぐためには、遺産分割協議書に建物の帰属だけでなく、「解体費用は誰が、どのような割合で負担するか」を明確に書き残すことが極めて重要です。また、未登記建物であっても協議書に記載がないと、解体業者が「誰の許可で壊していいのか分からない」と工事を受けてくれない場合があります。

【解体費用負担の決め方(パターン表)】

負担パターンメリット注意点・デメリット
土地の取得者が全額負担手続きがシンプル。取得者が自分のタイミングで解体できる。取得者の金銭的負担が重くなる。
相続財産(現金)から控除公平感がある。親の残したお金で親の家を片付けられる。解体費用が確定するまで遺産分割が終わらない。
相続人全員で等分して負担費用負担が分散される。支払いを渋る相続人がいると解体工事が進まない。

9-2. 解体後に役所へ提出する「家屋滅失届」の重要性(翌年からの固定資産税を止めるため)

相談者

《質問》未登記の家を取り壊した後は、何か役所への手続きが必要ですか?

司法書士

《回答》はい。解体後、速やかに市町村役場(税務課など)へ「家屋滅失届」を提出してください。これを忘れると、建物がないのに翌年も固定資産税が請求されてしまいます。

【詳細な解説】

登記済みの建物であれば、法務局で「建物滅失登記」を行えば自動的に役所へ通知がいきます。しかし、未登記建物の場合は法務局を通さないため、所有者自身で役所へ「建物がなくなったこと」を申告しなければなりません。役所が現地調査に来て滅失を確認することで、翌年の1月1日時点での課税台帳から建物が削除され、固定資産税の請求がストップします。

【解体から滅失届までの流れ】

  1. 解体業者から「建物滅失証明書(取毀証明書)」を受け取る
  2. 役所の窓口、またはHPから「家屋滅失届」を取得する
  3. 必要事項を記入し、解体業者の証明書や写真を添付して役所へ提出する
  4. (後日)役所の職員が現地を確認し、台帳から建物を抹消する

9-3. 【要注意】建物を解体すると、土地の固定資産税(住宅用地の特例)が外れて最大6倍に跳ね上がるリスク

相談者

《質問》家が古くて危ないので急いで解体しようと思うのですが、デメリットはありますか?

司法書士

《回答》建物を解体して更地にすると、土地の固定資産税を安くしていた「住宅用地の特例」が外れ、土地の固定資産税が翌年から最大で約6倍に跳ね上がるリスクがあります。

【詳細な解説】

日本には「人が住むための家(住宅)が建っている土地は、固定資産税を安くする」という特例措置(住宅用地の特例)があります。未登記建物であっても、家が建っていればこの特例が適用され、土地の税金は本来の1/6程度に減額されています。しかし、家を解体して更地にするとこの特例が適用されなくなり、土地の税金が急激に高くなります。解体するタイミングは、売却時期などを考慮して慎重に計画する必要があります。

【建物の有無による固定資産税の違い(比較表)】

状態建物の税金土地の税金トータルコストの傾向
未登記建物がある状態かかる特例適用で安い(最大1/6)維持費は比較的安い(倒壊リスク等は残る)
解体して更地にした状態なくなる(0円)特例除外で高くなる(最大約6倍)土地の税金負担が一気に重くなる

10. 名古屋市・尾張地方の未登記建物の相続登記は「司法書士なかしま事務所」へ

10-1. 司法書士なかしま事務所が「未登記建物を含む相続」に強い理由

相談者

《質問》未登記の家がある相続は複雑そうですが、専門家にお任せできますか?

司法書士

《回答》はい、ぜひお任せください。当事務所は相続手続きの専門家として、未登記建物が絡む複雑な遺産分割協議書の作成や、上申書を用いた難易度の高い登記手続きにおいて豊富な実績があります。

【詳細な解説】

未登記建物の相続は、単なる名義変更と異なり「役所への届出」「当時の所有権の証明」「解体か登記かの判断」など、高度な専門知識と経験が求められます。当事務所(司法書士なかしま事務所:https://shiho-shoshi-office.com/souzoku/souzokutouki/)では、書類が不足している困難なケースでも、法務局との綿密な打ち合わせや的確な上申書の作成により、確実な解決へと導きます。遺産分割協議書の作成段階から介入することで、将来の売却や解体時にトラブルにならない「穴のない手続き」をお約束します。

10-2. 【ワンストップ対応】信頼できる地元の土地家屋調査士・解体業者・不動産会社との強力な連携ネットワーク

相談者

《質問》表題登記をするための調査士さんや、解体業者を自分で探さないといけませんか?

司法書士

《回答》ご自身で探す必要はありません。当事務所が窓口となり、連携している信頼できる土地家屋調査士や解体業者、不動産会社を無料でご紹介し、ワンストップで対応いたします。

【詳細な解説】

未登記建物の問題を解決するには、司法書士だけでなく、様々な専門家の力が必要です。「登記して残す」場合は土地家屋調査士、「壊す」場合は解体業者、「売る」場合は不動産会社と連携しなければなりません。当事務所にご相談いただければ、お客様が複数の業者に何度も同じ説明をする手間を省き、私たちがチームの司令塔となってスムーズに手続きを進行させます。

【当事務所のワンストップ連携体制】

  • 司法書士なかしま事務所(窓口):遺産分割協議書作成・保存登記・相続手続き全般
  • 連携する土地家屋調査士:未登記建物の測量・図面作成・表題登記
  • 連携する解体業者:建物の取り壊し・滅失証明書の発行
  • 連携する不動産会社:登記完了後、または更地にした後の売却活動

10-3. 地域密着だから安心!名古屋市・春日井市・長久手市・尾張旭市・瀬戸市・日進市の役所・法務局手続きに精通

相談者

《質問》遠方の専門家よりも、地元の司法書士にお願いした方が良い理由はありますか?

司法書士

《回答》役所への「未登記家屋の相続届」の様式や、法務局(名古屋法務局 各支局)のローカルルールに精通しているため、手続きが圧倒的に早く、無駄がないことが地元専門家の最大の強みです。

【詳細な解説】

未登記建物の手続きは、各市町村の役所(税務課)とのやり取りが頻繁に発生します。名古屋市、春日井市、長久手市、尾張旭市、瀬戸市、日進市といった尾張地方の各自治体には、それぞれ独自の届出フォーマットや運用ルールがあります。当事務所は地域密着で活動しているため、管轄の法務局(名古屋法務局 春日井支局など)や各市町村役場の手続きのクセを熟知しており、スムーズかつ確実な対応が可能です。

10-4. 相続登記の初回無料相談のご案内(ご予約の流れ・出張相談の対応について)

相談者

《質問》まずは未登記の家をどうすべきか、相談だけしたいのですが可能ですか?

司法書士

《回答》もちろん可能です。当事務所では「初回無料相談」を実施しております。固定資産税の課税明細書をお持ちいただければ、その場で現状を分析し、最適な選択肢と費用のお見積りをご提示いたします。

【詳細な解説】

「何から手を付ければいいか分からない」「費用がいくらかかるか不安」という方は、ぜひ司法書士なかしま事務所の初回無料相談をご利用ください。ご来所が難しいご高齢の方や、お忙しい方のために、名古屋市・尾張地方(春日井市・長久手市・尾張旭市・瀬戸市・日進市など)への出張相談も承っております。

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  1. お問い合わせ:お電話または当事務所HP(https://shiho-shoshi-office.com/souzoku/souzokutouki/)のフォームよりご予約ください。
  2. 無料相談(約60分):固定資産税の納税通知書などをお持ちいただき、現状をヒアリングします。
  3. 解決策と費用の提示:登記すべきか解体すべきかのアドバイスと、明確な費用見積りをご提示します。
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※2 当事務所では相続に関する相談は初回無料です。もし相談をご希望の皆様は、下記をクリックして気軽にお問合せ(メール・LINE・電話)ください。

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解説者「司法書士 中嶋 剛士」のプロフィール

司法書士 中嶋剛士(シホウショシ ナカシマコウジ)
司法書士中嶋剛士

「司法書士なかしま事務所」代表司法書士
名古屋市の法務大臣認定司法書士
依頼は“相続・相続対策”と“借金問題”が中心
司法書士実務は2011年から
特別研修のチューターを4年経験
テレビ出演:2021年3月30日:CBCテレビ[チャント!]
登録番号 愛知 第1924号
簡裁訴訟代理等関係業務 認定番号 第1318043号