第1 誤字

1.誤字とは

 日本の戸籍制度は,明治5年から始まりましたが,当初は手書きであり,文字についての特別の定めがなかったため,戸籍担当者の「書き癖」や,「移記間違い」,出生届の届出の際の誤りのため,辞書に載っていない文字が発生する結果になりました。この,「辞書に載っていない文字」を誤字といいます(注 辞書に載っていても「譌字(かじ)」や「略字」は誤字です)。一方,その後,コンピューターの進化により,文字のデジタル化が進み,文字の整理を図る必要が出てきました。その結果。平成2年10月20日民二5200号通達(以下「平成2年5200号通達」という)が発せられ,以後,急速に誤字の解消が進みました。

2.誤字の取扱

 氏名が誤字で記載されている者が,新戸籍編製や,他の戸籍への変動があった場合は,その誤字は対応する正字で記載しますが,対応する正字に疑義がある場合は,管轄法務局長の指示を求めます。対応する正字が判明しない場合は,そのまま記載せざるを得ません。なお,前記のように戸籍の変動に伴って,誤字を正字に変えた場合は、変えた事由を戸籍に記載する必要はありません。

第2 俗字

1.俗字とは

 俗字はもともと誤字の仲間の文字ですが,一般的に多く使用され,社会的に認知されている文字として俗字とされました。辞書に「俗字」として搭載されている文字もあります。

2.俗字の取扱

 氏名が俗字で記載されている者が,新戸籍編製や,他の戸籍への変動があった場合は,変更せずそのまま記載します。

第3 正字

 正字とは,辞書に「正字」として載っている正しい文字です。また,もともとは俗字だっものでも,戸籍行政上は通達で「正字」とされている文字もあります。もともと俗字だった文字が正字とされた文字を含むため,通達文では「正字」とは表現せずに「正字等」と表現されています。

第4「MJ文字情報一覧表」と「IPAmj明朝フォント」

 上記のとおり,氏名には多様な漢字が使われており,国,地方公共団体等の行政機関では,情報システムで適切に氏名を扱うために,コンピューターに標準搭載されていない文字を外字として作成するなど,正しく氏名を表記するための様々な取り組みをしていました。しかし,氏名を正確に表記したいという要望がある一方で,外字の作成や管理の手間などが,大きな課題となっていました。そこでIPAでは,経済産業省委託事業「文字情報基盤構築に関する研究開発事業」において,行政機関の情報システムで,行政で用いられる人名漢字等約6万文字の漢字を整備し,各組織での共通基盤として利用可能な文字フォントの作成を行いました。それが,「MJ文字情報一覧表」と「IPAmj明朝フォント」です。

第5 IPAmj明朝フォントの使用方法

1.IPAmj明朝フォントのダウンロード
IPA 独立行政法人情報処理推進機構のサイトでIPAmj明朝フォントのダウンロードをします。
2.IPAmj明朝フォントのインストール
インストール方法については,インストール方法の説明サイトで確認してください。

【Windowsの場合】
①ダウンロードした圧縮ファイルを解凍ソフトで任意の場所に解凍してください。
②「スタートメニュー」→「コントロールパネル」を開いてください。
③「コントロールパネル」の「フォント」フォルダをダブルクリックで開いてください。(「フォント」フォルダが表示されない場合は、クラシック表示に切り替えてください)
④現在、インストールされているフォントが表示されます。
⑤「フォント」フォルダのプルダウンメニューで、「ファイル」→「新しいフォントのインストール」をクリックしてください。
⑥所望の「IPAフォント」を解凍した場所から選んでOKボタンを押すと、インストールが開始されます。
⑦インストールが完了しましたらコンピュータを再起動してください。

3.word・Excel等における使用方法
①「IPA MJ文字情報検索システム(簡易版)」や「戸籍統一文字情報」で文字を検索します。
IPA MJ文字情報検索システム(簡易版)の検索結果の《コピペフィールド》に表示されている文字をword・Excel等へコピペします。
③フォントを,「IPAmj明朝フォント」に変更します。