連載第2回:本人訴訟支援の要!最高裁の「5つの届出・入力依頼一体型書面」の実務ポイント
【司法書士のための民事裁判デジタル化[2回]】
前回の連載第1回では、民事裁判のデジタル化(フェーズ3)に伴い、業務への関わり方によって必要書類が大きく異なる点をお話ししました。
今回は、地方裁判所の管轄事件などで、司法書士が「裁判書類等作成関係業務」として関与し、裁判所の専用システム(mints)上で「サポータ」として書類を提出する際に必ず使用する最高裁判所の公式書面について解説します。
最高裁が用意しているのは、「事実行為の委任状・システム送達を受ける旨の届出・システム送達受取人の届出・送達場所等の届出・入力依頼書面」という、5つの手続きが1冊に合体した非常に合理的な一体型書面です 。
実務で絶対に落とせない注意点や記載のポイントを項目ごとにまとめました。



各項目の実務上の注意点とポイント



📋 全体に共通する基本ルール
- 本人の署名または記名押印が必須:書面冒頭の氏名欄には、依頼・届出等を行う「本人(依頼者)」が自筆で署名するか、記名押印をする必要があります 。
- 不明点は空欄でOK:手続冒頭の段階で、担当裁判所の「部」や「事件番号」がまだ確定しておらず分からない場合は、空欄のままで差し支えありません 。
1. 事実行為の委任(手続冒頭のみ)
本人がサポータ(司法書士)に依頼してmintsを利用して裁判書類を電子提出するために、手続の冒頭で提出する資料です 。システムによる提出行為という事実行為等をサポータに委任したことを証明します 。
- 実務のポイント:サポータ(司法書士)の氏名や住所、電話番号に加え、「当事者ID(mintsのアカウントID)」を正確に記載し、本人との関係性欄の「士業者(司法書士)」にチェックを入れます 。
2. システム送達を受ける旨の届出
裁判所からの書類(電子判決書など)を、郵送ではなくオンライン(mints上)で受け取ることに本人が同意・希望するための届出です 。
- 実務のポイント:次に解説する「システム送達受取人(司法書士)」を届け出て、書類の受取をすべて司法書士に一任する場合は、本人の当事者ID欄は空欄のままで差し支えありません 。
3. システム送達受取人の届出
オンラインで届く裁判書類を、サポータである司法書士が本人に代わって責任を持って閲覧・ダウンロードできるように指定する書類です 。
- 🚨【最重要・実務最大のリスク】1週間での「みなし送達」:mints上に送達対象のファイルがアップロードされると、システム送達受取人宛てにメールで通知が届きます 。注意すべきは、たとえこちらがファイルを閲覧・ダウンロードしなかったとしても、原則として通知から1週間が経過すると送達の効力が生じるという点です 。期間制限のある手続き(控訴期間など)を見落とすリスクに直結するため、mintsからの通知メールは毎日必ず確認する体制を整えなければなりません。
4. 送達場所等の届出
万が一、大規模なシステム障害などでオンライン送達が利用できなくなった場合や、裁判所が「書面(紙)」による特別送達を行う場合に備え、あらかじめ送達場所を司法書士事務所等に指定しておくための【必須記載項目】です 。
- 詳細な所在地の明記:送達場所は日本国内に限られ、集合住宅の場合は「部屋番号」まで、勤務先の場合は「社名・店名」まで省略せずに記載します 。
- 「その他」を選んだ場合のルール:送達場所として自宅や勤務先以外(司法書士事務所など)を指定して「その他」にチェックを入れた場合は、【送達受取人の届出】欄に、書類の宛名となる司法書士の氏名と関係性(士業者・司法書士)を必ず記載しなければなりません 。不在などの理由で実際には本人が受け取っていなくても「書面を受け取ったもの」として扱われることがあるため、非常に責任の重い項目です 。
5. 入力依頼(申立・提出のたびに毎回必要)
民事訴訟規則第52条の11第1項ただし書に基づき、具体的な裁判書類の電子提出をその都度サポータに依頼する書類です 。
- 「その都度」の提出義務:手続冒頭の委任とは異なり、答弁書や準備書面、証拠説明書などをmintsにアップロードするたびに、毎回必ず新しく作成して一緒にアップロードする必要があります 。電子提出を依頼する裁判書類の種類(訴状、準備書面、証拠説明書など)にチェックを入れ、書類名を特定します 。
- 訴状の場合のルール:最初の訴状の入力依頼をする際には、チェックを入れるだけでなく、提出予定の「訴状の草案」をこの依頼書面の後ろに必ず添付してPDF化する必要があります 。
🎓 新人・受験生へのアドバイス(サポータとしての現場運用)
実務上、この「一体型書面」はサポータとして初めてmintsで申立て等を行うタイミングで、すべての項目にチェック・記入を入れた状態で1冊のPDFにしてアップロードするのが最初のステップになります 。
そして2回目以降(続行期日の準備書面提出など)は、この書面の「4. 入力依頼」の項目だけを使い、提出する書面(準備書面など)と一緒にその都度アップロードしていくという運用になります 。
「どのタイミングで」「どの書類が必要か」を完璧にマスターして、スムーズなデジタル裁判実務を行えるように準備しておきましょう!

