司法書士試験合格者の方へ★認定考査・裁判実務のための書籍(3)

 予告通り,今回は,「カトシン本」と「ヒルマチ本」を紹介します。ついでに,倫理の本として,「司法書士 簡裁訴訟代理等関係業務の手引」(通称「手引」)も紹介します。

1.要件事実の考え方と実務(「カトシン本」)

 「カトシン本」や下記で紹介する「ヒルマチ本」どちらも,「土地明渡請求訴訟」「賃貸借契約関係訴訟」というように,紛争類型別に,1.訴訟物と請求の趣旨 2.請求原因 3.抗弁 4.再抗弁…といった具合に解説がなされている本です。

 この2つの本は,似たような構成になっており,その構成によるメリットは,(1)紛争類型を絞っており,基本を身につけやすい。(2)解説をあっさりさせることで,コンパクトにまとめることに成功している。ということです。

 そして,それらは,デメリットでもあります。つまり,(1)「要件事実マニュアル」と比較すると,紛争類型の数が少な過ぎるので,「カトシン本」や「ヒルマチ本」は実務では,参照することがなくなる。(2)「要件事実マニュアル」と比較すると,解説がほぼないに等しく,理解に苦しむところがある。ということになります。

 ちなみに,先日,紹介した,「完全講義 民事裁判実務の基礎〈上・下巻〉」は,(1)紛争類型を絞っており,基本を身につけやすい。(2)解説が丁寧にしてあるので,理解しやすい。と,いった感じになっております。

 したがって,私としては,「カトシン本」や「ヒルマチ本」は,認定考査前のまとめ本,としての位置づけならまだしも,初学者が読むような本ではないと思っております。

2.要件事実の考え方と実務

 上記「カトシン本」と似ていると紹介しましたが,こちらの「ヒルマチ本」は,著者が予備校講師であり,かつ,認定考査に的を絞っている本であるので,認定考査対策として,とても役に立ちます。

 もっとも,理解しやすいかと言われると,「カトシン本」と同様に,綺麗にまとまりすぎている(解説が少ない)ため,理解しにくいということになっています。

 ただ,絶対に認定考査に落ちたくない方は,ぜひ購入して,過去問分析方法等を参照した方が良いのかなと思います。司法書士試験では,過去問が非常に重要でしたが,認定考査も,過去問分析をしているのと,していないのとでは,大きな差になります。特に,倫理の出題パターンは,過去問でほぼ出尽くされており,これから新たな論点が出題されるとしても,下記の「手引」を読むと,出題される論点は予測できるようになります。

3.司法書士 簡裁訴訟代理等関係業務の手引(「手引」)

 認定考査の倫理の問題は,この本から出題されますと言っても過言ではない本です。もっとも,倫理の勉強は,本を読んでいるだけでは,雲をつかむような勉強になってしまいますので,まずは,過去問の倫理の問題の解答が,この本のどこのページに載っているかを探してみるとよいでしょう。

 そして,全過去問を分析すると,倫理は,論証パターンを覚えておけばいいだけということに気付きます。論証パターンは,「手引」を参考に,ご自身で作成していただければ,良いと思われます。

 私は,私なりに,論証パターンを用意していました。もっとも,私の場合は,要件事実の勉強ばかりしていて,かつ,勤務もしていたので勉強時間も少なく,「倫理は論証パターンを覚えておけばいいだけ」ということに気付くのが遅れたため,本番では,酷い答案を書いたことを覚えてます(それでも,「60/70点」とれます)。

 今回は,認定考査対策として,上記3つの本を紹介しました。上記3つの本は,どれも認定考査対策として,非常に役に立ちます。それは事実です。“とりあえず,認定をとっておこう”という方は,上記3つの本だけで,効率良く,認定考査をギリギリ合格するのも,よいのかもしれません。しかし,私は,上記3つの本だけで,合格するのは,オススメしません。

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