目次【「遺言書の検認」の窓口】

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解説者「司法書士 中嶋 剛士」のプロフィール

司法書士 中嶋剛士(シホウショシ ナカシマコウジ)
司法書士中嶋剛士

❖「司法書士なかしま事務所」代表司法書士
❖名古屋市の法務大臣認定司法書士
❖依頼は“相続・相続対策”と“借金問題”が中心
❖司法書士実務は2011年から
❖特別研修のチューターを4年経験
❖テレビ出演:2021年3月30日:CBCテレビ[チャント!]
登録番号 愛知 第1924号
簡裁訴訟代理等関係業務 認定番号 第1318043号

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司法書士なかしま事務所_Google-のクチコミ(23)
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第1 遺言書の検認とは

1.遺言書の検認の特徴

遺言書の検認の制度【福岡高判昭和38年4月24日】

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相談者

《質問》遺言書の検認とは、どのような制度なのですか?

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司法書士

《回答》遺言書の検認は、「遺言書」の存在・内容を確認し、保存する手続となります。

 つまり、検認手続は、遺言者の自書や遺言者の意思を確認することよって、遺言書の有効性を確定するような手続ではありません。

福岡高判昭和38年4月24日家裁月報15巻7号105頁

家庭裁判所のなす遺言書の検認は、遺言の執行前において、遺言書の状態を確認し、後日における偽造、変造を防止し、その保全を確実ならしめる目的でなされるものであって、その実質は、遺言書の形式様態等専ら遺言の方式に関する一切の事実を調査して、遺言書の状態を確認し、その原状を明確にする一種の検証手続で、遺言の内容の真否、その法律上の効力の有無など遺言書の実体的な効果を判断する審判ではない(福岡高判昭和38年4月24日家裁月報15巻7号105頁)

遺言書の検認はなぜ必要か?

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相談者

《質問》遺言書の検認は、なぜ、必要なのですか?

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司法書士

《回答》自筆証書遺言や秘密証書遺言が発見されたとき、放っておくと発見者が勝手に内容を書き換えたり、破棄したりする可能性があります。遺言書の検認は、そのようなトラブルを防ぐため、家庭裁判所に相続人が集まって内容を確認し、遺言書のそのときの状態を保存するために必要となります。

そのため、民法1004条では「遺言書の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければならない。遺言書の保管者がない場合において、相続人遺言書を発見した後も、同様とする」と定められています。

【条文】民法1004条

遺言書の検認)
第千四条 遺言書の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければならない。遺言書の保管者がない場合において、相続人遺言書を発見した後も、同様とする。
2 前項の規定は、公正証書による遺言については、適用しない。
3 封印のある遺言書は、家庭裁判所において相続人又はその代理人の立会いがなければ、開封することができない。

遺言書の検認はどのような場合に必要か?

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相談者

《質問》遺言書の検認とは、どのような場合に必要なのですか?

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司法書士

《回答》 遺言者が、「自筆証書遺言」と「秘密証書遺言」の方式により遺言書をのこした場合に必要となります。

なお、①「公正証書による遺言」のほか,②「法務局において保管されている自筆証書遺言」に関して交付される「遺言書情報証明書」(「法務局遺言保管制度」の窓口)は,検認の必要はありません。

遺言書の検認の効果

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相談者

《質問》遺言書の検認をすると、遺言が有効であるとみなされるのですか?

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司法書士

《回答》 遺言書の検認をすると、遺言が有効であるとみなされるわけではありません。

 遺言書の「検認」とは、相続人に対し遺言の存在及びその内容を知らせるとともに、遺言書の形状、加除訂正の状態、日付、署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして、遺言書の偽造・変造を防止するための手続です。したがって、遺言の有効・無効を判断する手続ではありません。

2.遺言書の検認の報酬及び費用

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相談者

《質問》「司法書士なかしま事務所」に遺言書の検認の手続を依頼する場合の費用はどれくらいですか?

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司法書士

《回答》 「司法書士なかしま事務所」に遺言書の検認の手続を依頼する場合の費用は下記のとおりです。

  • 当事務所の報酬
    • 報酬30,000(及び消費税)
    • 公的証明書等取得手数料1通あたり1,000円(及び消費税)
  • 実費
    • 家庭裁判所に対して支払う2,000円程度の印紙代・郵便切手代など
    • 各市町村役場に対して支払う公的証明書取得費用など
報酬及び費用_「遺言書の検認」の窓口
報酬及び費用_「遺言書の検認」の窓口

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3.遺言書の検認の手続の流れ

遺言書の検認 の流れはどのようになるのでしょうか?

 一般的に下記のとおりとなります。

①お客様と司法書士が相談
 「遺言書の検認」の方法をご説明いたします。その上で,ご納得いただけたら「委任契約」を締結いたします。
【ご相談内容】
遺言書の原本の確認
自筆証書遺言の内容の確認をさせていただきます。なお、封筒に入っている遺言については、開封しないでお持ちください。
遺言書の保管方法
遺言書が①どのように保管されていたか、②誰が保管をしていたかお聞きします。
○税金等
…相続税の申告が必要な場合には,税理士を紹介させていただくこともできます。
【相談時に持ってきていただく資料等】
○ご相談社様の本人確認書類(運転免許証や健康保険証など)
○印鑑
②お客様が必要書類を収集
遺言書の検認手続きをするためには下記の【必要書類】が必要になります。
【必要書類】
○戸籍謄本
被相続人の出生から現在までの戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍),法定相続人の戸籍謄本
○住民票
…住民票の原本を裁判所に提出しないが、相続人の住所を申立書に記載する必要があるため、必要。
遺言書
…検認期日(検認を行う日)に必要になります。
③司法書士が申立書の作成及び申立
 ご依頼者様が集めていただいた資料に基づき,司法書士が遺言の検認申立書を作成します。また、申立書をご依頼者様に確認いただき、ご署名・ご捺印をいただきます。
 その後、司法書士が裁判所に対して、遺言の検認申立てを行います。
④裁判所から検認期日の通知
 検認の申立てをすると、裁判所は、相続人に対し、検認期日(検認を行う日)の通知をします。申立人以外の相続人が検認期日に出席するかどうかは、各人の判断に任されており、全員がそろわなくても検認手続は行われます(申立人には、遺言書、申立人の印鑑、そのほか担当者から指示されたものを持参していただくことになります。)。
⑤検認期日
 検認期日には,申立人は、遺言書を持っていき、出席した相続人等の立会のもと、裁判官は、封がされた遺言書については開封の上、遺言書を検認します。
 ※封印のある遺言書は、家庭裁判所で相続人等の立会いの上開封しなければならないことになっています。
⑥検認済証明書の申請
 検認が終わった後は、遺言の執行をするためには、遺言書に検認済証明書が付いていることが必要となるので、検認済証明書の申請(遺言書1通につき150円分の収入印紙と申立人の印鑑が必要となります。)をすることになります。
⑦検認済証明書付遺言の使用
 検認済証明書付遺言を相続手続(銀行等・証券会社・法務局など)で使用します。

第2 遺言書の検認のメリット・デメリット

1.遺言書の検認を司法書士事務所に頼むメリット

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相談者

《質問》遺言書の検認を司法書士事務所に頼むメリットは何ですか?

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司法書士

《回答》遺言書の検認を司法書士事務所に頼むメリットには、下記のメリットがあります。

  • 司法書士が書類作成者として、①検認申立の手続、②裁判所と期日の打合せ、③書類の授受、等を行うため、ご自身で手続きを行う必要がありません。
  • 司法書士が遺言書の内容を確認し、相続手続に使用できるか否か(有効か否か)の判断をするので、そもそも、遺言書の検認手続の要否を判断できます。
  • 司法書士が遺言書の検認に関係する親族の戸籍謄本等を収集するので、親族の戸籍謄本の収集等をご自身で手続きを行う必要がありません。

2.遺言書の検認を司法書士事務所に頼むデメリット

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相談者

《質問》遺言書の検認を司法書士事務所に頼むデメリットは何ですか?

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司法書士

《回答》遺言書の検認を司法書士事務所に頼むメリットには、下記のメリットがあります。

  • 裁判所の手続費用とは、別で、司法書士事務所に支払う費用がかかります。

第3 遺言書の検認のQ&A

1.遺言書の検認の申立

(1)遺言書の検認の申立人は誰ですか

亡父から遺言書を母が預かっていたのですが、私が遺言書の検認の申立てをしてもよいでしょうか?

 遺言書の検認の申立てを行う人は、遺言書の保管者か遺言書の発見者になります。したがって、お母様が申立人となります。

【条文】民法1004条

遺言書の検認)
第千四条 遺言書の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければならない。遺言書の保管者がない場合において、相続人遺言書を発見した後も、同様とする。
2 前項の規定は、公正証書による遺言については、適用しない。
3 封印のある遺言書は、家庭裁判所において相続人又はその代理人の立会いがなければ、開封することができない。

(2)検認手続の前に遺言書を開封してしまったら

検認手続の前に遺言書を開封しても、大丈夫ですか? 早く、中身の遺言を確認したいです。

 検認を受けずに勝手に遺言書を開封すると「5万円以下の過料」というペナルティも科されます。遺言書を発見したら、早めに家庭裁判所で検認の申し立てを行いましょう。

【条文】民法1005条

(過料)
第千五条 前条の規定により遺言書を提出することを怠り、その検認を経ないで遺言を執行し、又は家庭裁判所外においてその開封をした者は、五万円以下の過料に処する。

(3)検認手続のための戸籍

検認手続のために必要な戸籍は、どのような戸籍ですか?

 全ての場合で、下記の戸籍が必要です。

  1. 遺言者の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
  2. 相続人全員の戸籍謄本
  3. 遺言者の子(及びその代襲者)で死亡している方がいらっしゃる場合,その子(及びその代襲者)の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本

 なお相続人遺言者の(配偶者と)父母・祖父母等(直系尊属)(第二順位相続人)の場合には、下記の戸籍も必要です。

  • 遺言者の直系尊属(相続人と同じ代及び下の代の直系尊属に限る(例:相続人が祖母の場合,父母と祖父))で死亡している方がいらっしゃる場合,その直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本

 また、相続人が不存在の場合,遺言者の配偶者のみの場合,又は遺言者の(配偶者と)兄弟姉妹及びその代襲者(おいめい)(第三順位相続人)の場合には、下記の戸籍も必要です。

  1. 遺言者の父母の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
  2. 遺言者の直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
  3. 遺言者の兄弟姉妹で死亡している方がいらっしゃる場合,その兄弟姉妹の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
  4. 代襲者としてのおいめいで死亡している方がいらっしゃる場合,そのおい又はめいの死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本

(4)相続人が海外にいる場合

相続人が海外にいることはわかるけど、海外のどこにいるかはわかりません。どうすればいいのですか?

 相続人が海外にいる場合には、相続人が出国してることが分かる住民票の写しや戸籍の附票を添付することになります。なお、相続人が海外にいる場合には、当該相続人に対しては、遺言書の検認手続の通知(家事事件手続規則115条)はされません。

2.遺言書の検認期日まで

(1)検認期日の連絡方法

相続人の連絡先がわからないのですが…相続人には、だれが検認期日を連絡するのですか? 遺言書の発見者が通知するのですか?

 裁判所が、相続人に検認期日の通知をします。したがって、遺言書の発見者が通知するわけではありません。

(2)検認期日の連絡までの期間

遺言書の検認の申立てから、検認期日の通知まで、どのくらいの期間がかかりますか?

 遺言書の検認を申し立ててから検認期日までの期間は、だいたい1~2カ月程度です。

(3)遺言書検認期日通知書

遺言書の検認の申立てをした後に届く「遺言書検認期日通知書」はどのような書面ですか?

 「遺言書検認期日通知書」は、下記のような書面になります。

 なお、「遺言書検認期日通知書」の記載事項で重要な事項は、①事件番号(事件番号とは「令和○年(家)第○○号 遺言書検認審判事件」となります。)、②検認期日の日時・場所、③遺言書の原本印鑑・本人確認ができるもの(運転免許証等)・収入印紙150円分を持っていくこと、④遺言書の検認期日は、内容が適法か否か、もしくは、遺言書が有効か否かを審査する手続ではない旨、となります。

資料・遺言書検認期日通知書・名古屋家庭裁判所_ページ_1
資料・遺言書検認期日通知書・名古屋家庭裁判所_ページ_1
資料・遺言書検認期日通知書・名古屋家庭裁判所_ページ_2
資料・遺言書検認期日通知書・名古屋家庭裁判所_ページ_2

3.遺言書の検認期日

(1)高齢で検認期日へ出頭することが難しい

相続人の中には、高齢で動けない人がいるので、検認期日に裁判所まで出頭できない人がいるのですが、問題ありませんか?

 申立人は指定された日時に家庭裁判所に行かねばなりませんが、検認期日に出席するかどうかは、相続人の判断に任されており、全員がそろわなくても検認手続は行われます。

(2)仕事で検認期日へ出頭することが難しい

仕事で検認期日に裁判所まで出頭できないのですが、問題ありませんか?

 申立人は指定された日時に家庭裁判所に行かねばなりませんが、検認期日に出席するかどうかは、相続人の判断に任されており、全員がそろわなくても検認手続は行われます。

(3)検認期日に持っていくもの

検認期日には、何を持っていけばよいのですか?

 申立人は、「遺言書」と「申立人の印鑑」をお持ちください。

(4)検認期日に行うこと

検認期日には、どのようなことを行うのですか?

 申立人が遺言書を裁判所に提出し、出席した相続人などの立会のもと、封筒を開封し、遺言書を確認(検認)します。

 ※検認とは、後日の偽造、変造を防止し、その保存を確実にするために、その形式や形状などを調査確認することです。

 なお、検認の際には、家庭裁判所は、申立人や相続人の立ち会いのもとで、遺言を開封して、①遺言の用紙、②筆記用具、③内容、④印、⑤日付などを確認して、「検認調書」を作成します。

(5)検認調書とは

検認調書にはどのようなことが書かれているのですか?

 検認調書には、下記の内容が記載されます。なお、実務上は、遺言書の写真やコピーが添付されることが多いようです。

  • 事件の表示
  • 裁判官及び裁判所書記官の氏名
  • 申立人の氏名又は名称及び住所
  • 立ち会った相続人その他の利害関係人の氏名及び住所
  • 検認の年月日
  • 証人、当事者本人及び鑑定人の陳述の要旨
  • 証人、当事者本人及び鑑定人の宣誓の有無並びに証人及び鑑定人に宣誓をさせなかった理由
  • 事実の調査の結果

【条文】家事事件手続法規則114条

第百十四条 法第二百十一条の調書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 事件の表示
二 裁判官及び裁判所書記官の氏名
三 申立人の氏名又は名称及び住所
四 立ち会った相続人その他の利害関係人の氏名及び住所
五 検認の年月日
六 証人、当事者本人及び鑑定人の陳述の要旨
七 証人、当事者本人及び鑑定人の宣誓の有無並びに証人及び鑑定人に宣誓をさせなかった理由
八 事実の調査の結果
2 前項の調書については、第三十一条第一項並びに第三十二条第一項及び第二項の規定は、適用しない。

(6)検認の効力

検認が済んだ遺言書は有効な遺言書になるのですか? 遺言書は偽造されたものに間違いないのですが、検認期日に無効なものだと認めてもらえますか?

 遺言書の検認は、遺言書が有効であるか無効であるかを決める手続ではありません。遺言書が無効であることを確認するためには、別途、手続(遺言無効確認の申立て)が必要です。

4.遺言書の検認後の手続

(1)検認後の手続( 検認済証明書 )

検認が終わった後は、どうすればよいのですか?

 遺言の執行をする場合には、検認済証明書が付いていることが必要なので、遺言書の検認手続が終わったときに、検認済証明書の申請をしてください(遺言書1通につき150円分の収入印紙と申立人の印鑑が必要になります。)。
 なお、現実に執行できるかどうかは、執行先(土地や建物であれば法務局,預金であれば銀行など)又は司法書士などにお尋ねください。

(2)検認後の手続( 戸籍等の原本還付 )

検認が終わった後は、戸籍等の原本は返却していただけるのでしょうか?

 戸籍等の原本を返却してもらうためには、原本還付申請をしていなければなりませんが、原本還付申請をしていれば、名古屋家庭裁判所では、検認期日当日に原本を返却していただけるようです。

5.遺言書の検認と登記

(1)検認を経ていない遺言に基づく相続登記の可否【平成7年12月4日民三第4344号など】

遺言書の検認は、遺言書の有効・無効に影響がないということは、相続登記には、検認手続は不要ということですか?

相続その他の権利の移転の登記申請については、従前から、検認手続を経ていない自筆証書遺言書が提供された場合には、検認手続を経るよう求め、それでもなお検認を受けないときには、当該登記申請を受理することができないというのが不動産登記実務の取扱いです。

平成7年12月4日民三第4344号民事局第三課長通知

検認を経ていない自筆証書の遺言書を、相続を証する書面として申請書に添付した相続による所有権移転の登記の申請は、不動産登記法第49条第8号の規定により却下することが相当である(平成7年12月4日民三第4344号民事局第三課長通知)

登記研究464号115頁

自筆証書遺言の検認に関する不動産登記実務の取扱いには、相続による所有権移転の登記申請書に自筆証書または秘密証書の遺言書を添付する場合には、その遺言書は家庭裁判所の検認を経たものであることを要する(質疑応答・登記研究464号115頁)

登記研究505号215頁

相続による所有権移転登記の申請書に添付する相続を証する書面として自筆証書または秘密証書の遺言書は、家庭裁判所の検認を経たものであることを要する(質疑応答・登記研究505号215頁)

【昭和33年1月10日民事甲第4号】
従前の先例には、「遺贈による所有権の移転の登記の申請書に、登記原因証書として自筆証書遺言書を添付する場合には、必ずしも家庭裁判所の検認を経たものであることを要しない(昭和33年1月10日民事甲第4号民事局長心得通達)」とするものがありました。
【平成7年6月1日民三第3102号】
一方で、その後の先例では、「自筆証書遺言書として登記申請に提供された書面に不自然な書き込みがある等の疑義が生じた場合には、自筆証書遺言書の原本に代えて、当該検認調書の謄本を提供させる等の補正の機会を与える(平成7年6月1日民三第3102号民事局第三課長回答)」としており、自筆証書遺言書を登記申請の際の添付情報とする場合には、検認手続を経ていることを前提になっています。

(2)「当該遺言書は被相続人の自筆証書である」旨の上申書【登記研究480号132頁】

「当該遺言書は被相続人の自筆証書である」旨の相続人全員が署名捺印した上申書(印鑑証明書付)を添付して、相続登記を申請することはできませんか?

家庭裁判所の検認手続を経ていない自筆証書遺言書に基づき相続による所有権移転登記の申請をする場合、申請書に当該遺言書被相続人の自筆証書である旨の相続人全員が署名捺印した上申書(印鑑証明書付)を添付しても、当該遺言書が自筆証書であるか否か確認できないので、当該登記申請は受理できないとされています。

質疑応答・登記研究480号132頁

家庭裁判所の検認手続を経ていない自筆証書遺言書に基づき相続による所有権移転登記の申請をする場合、申請書に当該遺言書被相続人の自筆証書である旨の相続人全員が署名捺印した上申書(印鑑証明書付)を添付しても、当該遺言書が自筆証書であるか否か確認できないので、当該登記申請は受理できない(質疑応答・登記研究480号132頁)

(3)検認調書に「疑義がある旨の記載」がある場合の相続登記【登記研究585号137頁】

自筆証書遺言の検認の審問調書に「疑義がある」旨の記載がある場合でも、検認は遺言の有効・無効に影響がないので、相続登記を申請したら、申請は受理されますよね?

「登記官は、自筆証書遺言として申請書に添付された書面に不自然な書き込みがある等の疑義を生じた場合には、自筆証書遺言の原本に代え、この検認調書の謄本を添付する(平成7年6月1日民三第3102号民事局第三課長回答)などの補正の機会を与えて、自筆証書遺言の真正について形式的審査を行い、登記の受否を判断することができる」と考えられるため、自筆証書遺言の検認の審問調書に「疑義がある」旨の記載がある場合、相続登記の申請は受理されないこともあります。

質疑応答・登記研究585号137頁

検認調書は、検認年月日、立会人などの形式的記載内容とともに、検認の実質的内容をなすところの遺言書の記載内容、形状その他外部的状態によって検認手続き全体を公証する書面であるが、登記官は、自筆証書遺言として申請書に添付された書面に不自然な書き込みがある等の疑義を生じた場合には、自筆証書遺言の原本に代え、この検認調書の謄本を添付する(平成7年6月1日民三第3102号民事局第三課長回答)などの補正の機会を与えて、自筆証書遺言の真正について形式的審査を行い、登記の受否を判断することができるが、この取り扱いも検認手続きの存在が自筆証書遺言の真正を相当程度担保するものであるとの考え方によるものであろう(質疑応答・登記研究585号137頁)。

(4)「相続登記に異議がない」旨の上申書【平成10年11月26日民三第2275号】

「当該遺言書は被相続人の自筆証書である」旨の相続人全員が署名捺印した上申書(印鑑証明書付)を添付して、相続登記を申請することはできませんか?

家庭裁判所の検認手続を経ていない自筆証書遺言書に「相続登記に異議がない」旨の上申書

家庭裁判所の検認手続を経ていない自筆証書遺言書に基づき相続による所有権移転登記の申請をする場合、申請書に当該遺言書被相続人の自筆証書である旨の相続人全員が署名捺印した上申書(印鑑証明書付)を添付しても、当該遺言書が自筆証書であるか否か確認できないので、当該登記申請は受理できないとされています。

検認調書に「疑義がある旨の記載」がある場合に「相続登記に異議がない」旨の上申書

また、家庭裁判所の検認手続を経て、遺言書の検認期日の審問調書に、相続人中の1人が「遺言書遺言者の自筆によるものではなく、押印も遺言者の使用印によるものではないと思う」旨の陳述をしたとの記載がある場合であっても、遺言内容による相続の登記の申請に異議がない旨の当該陳述者の証明書(印鑑証明書付)が申請書に添付されているときは、当該相続の登記の申請を受理して差し支えない(平成10年11月26日民三第2275号民事局第三課長通知)とされています。

平成10年11月26日民三第2275号民事局第三課長通知

自筆証書による遺言書の検認期日の審問調書に、相続人中の1人が「遺言書遺言者の自筆によるものではなく、押印も遺言者の使用印によるものではないと思う」旨の陳述をしたとの記載がある場合であっても、遺言内容による相続の登記の申請に異議がない旨の当該陳述者の証明書(印鑑証明書付)が申請書に添付されているときは、当該相続の登記の申請を受理して差し支えない(平成10年11月26日民三第2275号民事局第三課長通知)。

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●管轄裁判所

◎愛知県(名古屋地方裁判所・名古屋家庭裁判所

○名古屋地方裁判所・名古屋家庭裁判所

・名古屋簡易裁判所<名古屋市,豊明市,日進市,清須市,北名古屋市,西春日井郡(豊山町),愛知郡(東郷町)> ・春日井簡易裁判所<春日井市,小牧市> ・瀬戸簡易裁判所<瀬戸市,尾張旭市,長久手市> ・津島簡易裁判所<津島市,愛西市,弥富市,あま市,海部郡(大治町 蟹江町 飛島村)>

○名古屋地方裁判所半田支部・名古屋家庭裁判所半田支部・半田簡易裁判所

<半田市,常滑市,東海市,大府市,知多市,知多郡(阿久比町 東浦町 南知多町 美浜町 武豊町) >

○名古屋地方裁判所一宮支部・名古屋家庭裁判所一宮支部

・一宮簡易裁判所<一宮市,稲沢市> ・犬山簡易裁判所<犬山市,江南市,岩倉市,丹羽郡(大口町 扶桑町)>

○名古屋地方裁判所岡崎支部・名古屋家庭裁判所岡崎支部

・岡崎簡易裁判所<岡崎市,額田郡(幸田町) >・安城簡易裁判所<安城市,碧南市,刈谷市,西尾市,知立市,高浜市> ・豊田簡易裁判所<豊田市,みよし市>

○名古屋地方裁判所豊橋支部・名古屋家庭裁判所豊橋支部

・豊橋簡易裁判所<豊橋市,豊川市,蒲郡市,田原市>・新城簡易裁判所<新城市,北設楽郡(設楽町 東栄町 豊根村)>

◎三重県(津地方裁判所・津家庭裁判所

○津地方裁判所・津家庭裁判所

・津簡易裁判所<津市,亀山市,松阪市の内嬉野地域振興局及び三雲地域振興局の各所管区域>・鈴鹿簡易裁判所<鈴鹿市>

○津地方裁判所松阪支部・津家庭裁判所松阪支部・松阪簡易裁判所

<松阪市(嬉野地域振興局及び三雲地域振興局の各所管区域を除く。),多気郡(多気町 明和町 大台町) ,度会郡(大紀町)>

○津地方裁判所伊賀支部・津家庭裁判所伊賀支部・伊賀簡易裁判所

<名張市,伊賀市>

○津地方裁判所伊勢支部・津家庭裁判所伊勢支部・伊勢簡易裁判所

<伊勢市,鳥羽市,志摩市,度会郡(玉城町,度会町,南伊勢町)>

○津地方裁判所熊野支部・津家庭裁判所熊野支部

・熊野簡易裁判所<熊野市,南牟婁郡(御浜町 紀宝町)>・尾鷲簡易裁判所<尾鷲市,北牟婁郡(紀北町) >

○津地方裁判所四日市支部・津家庭裁判所四日市支部

・四日市簡易裁判所<四日市市,三重郡(菰野町 朝日町 川越町)>・桑名簡易裁判所<桑名市,いなべ市,桑名郡(木曽岬町),員弁郡(東員町)>

◎岐阜県(岐阜地方裁判所・岐阜家庭裁判所

○岐阜地方裁判所・岐阜家庭裁判所

・岐阜簡易裁判所<岐阜市,関市,美濃市,羽島市,各務原市,山県市,瑞穂市,本巣市,下呂市(金山振興事務所の所管区域),羽島郡(岐南町 笠松町),本巣郡(北方町)> ・岐阜家庭裁判所郡上出張所・郡上簡易裁判所<郡上市>

○岐阜地方裁判所・岐阜家庭裁判所

・多治見簡易裁判所<多治見市,瑞浪市,土岐市>・岐阜家庭裁判所中津川出張所・中津川簡易裁判所<中津川市,恵那市>

○岐阜地方裁判所御嵩支部・岐阜家庭裁判所御嵩支部・御嵩簡易裁判所

<美濃加茂市,可児市,加茂郡(坂祝町 富加町 川辺町 七宗町 八百津町 白川町 東白川村),可児郡(御嵩町) >

○岐阜地方裁判所大垣支部・岐阜家庭裁判所大垣支部・大垣簡易裁判所

<大垣市,海津市,養老郡(養老町),不破郡(垂井町 関ヶ原町),安八郡(神戸町 輪之内町 安八町),揖斐郡(揖斐川町 大野町 池田町)>

○岐阜地方裁判所高山支部・岐阜家庭裁判所高山支部・高山簡易裁判所

<高山市,飛騨市,下呂市(金山振興事務所の所管区域を除く。),大野郡(白川村)>

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