【法改正】民事訴訟法等の一部を改正する法律(令和4年法律第48号)について

民事訴訟法等の一部を改正する法律(令和4年法律第48号)について

民事訴訟法等の一部を改正する法律について

1 住所、氏名等の秘匿制度の創設

○ 当事者等がDVや犯罪の被害者等である場合に、その住所、氏名等の情報を相手方に秘匿したまま民事訴訟手続を進めることができるようになります。
 ■ 住所、氏名等の秘匿制度の創設【PDF】
(施行日)令和5年(2023年)2月20日

2 当事者双方がウェブ会議・電話会議を利用して弁論準備手続の期日や和解の期日に参加することが可能となる仕組み

○ 民事訴訟において、当事者双方が裁判所に現実に出頭することなく、ウェブ会議や電話会議を利用して弁論準備手続の期日や和解の期日に参加することが可能となります。
 ■ ウェブ会議等を利用した弁論準備手続と和解期日の見直し【PDF】
(施行日)令和5年(2023年)3月1日

3 ウェブ会議を利用して口頭弁論期日に参加することが可能となる仕組み

○ 民事訴訟において、当事者の一方又は双方がウェブ会議を利用して口頭弁論期日に参加することができるようになります。
(施行日)公布から2年以内の政令で定める日(具体的な施行日は今後決定)
 ※ 家庭裁判所の訴訟(人事訴訟等)の口頭弁論期日においては、上記の施行日から1年6月以内の政令で定める日からウェブ会議を利用して参加することができるようになります。

4 人事訴訟・家事調停におけるウェブ会議を利用した離婚・離縁の和解・調停の成立等

○ 人事訴訟・家事調停において、当事者双方が裁判所に現実に出頭しなくとも、ウェブ会議を利用して、離婚・離縁の和解・調停を成立させたり、合意に相当する審判の前提となる合意をすることができるようになります。
(施行日)公布から3年以内の政令で定める日(具体的な施行日は今後決定)

5 オンライン提出、訴訟記録の電子化、法定審理期間訴訟手続の創設など(改正法の全面施行)

 改正法では、例えば、次のような改正がされています。
○ 民事訴訟において、インターネットを利用して訴えの提起や主張書面の提出などをすることができるようになり、裁判所からの送達もインターネットを通じて行うことができるようになります。
○ 訴訟記録は、原則として、電子データで保管されることとなり、訴訟記録の閲覧等は、インターネットを通じて裁判所のサーバにアクセスする方法によって行うことができるようになります。
○ 法定審理期間訴訟手続(当事者双方の申出・同意があれば、一定の事件につき、手続開始から6月以内に審理を終結し、そこから1月以内に判決をする制度)が創設されます。
(施行日)改正法の全面的な施行日は、公布から4年以内の政令で定める日(具体的な施行日は今後決定)です。

6 その他

○ 今回の改正に関する内容については、以下の資料もご覧ください。
 ■ 民事訴訟法等の一部を改正する法律 【PDF】
 ■ 新旧対照条文 【PDF】

(続きは↓)

https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00316.html

目次:民事訴訟法等の一部を改正する法律(令和4年法律第48号)

1.住所、氏名等の秘匿制度(令和5年2 月20 日施行)

訴えを提起したり、提起された方などがDVや犯罪の被害者であるケースなどで、その方やその法定代理人の住所、氏名等が相手方に知られることによって社会生活を営むのに著しい支障を生ずるおそれがあるときは、裁判所の決定により、住所、氏名等を相手方にも秘匿することができる制度が創設されました。

住所、氏名等の秘匿制度とは

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相談者

《質問》住所、氏名等の秘匿制度とは、どのような制度ですか。

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司法書士

《回答》当事者(訴えを提起したり、提起された方)等がDVや犯罪の被害者であるなど、当事者等や法定代理人が住所、氏名等を相手方に知られることによって社会生活を営むのに著しい支障を生ずるおそれがあるときは、裁判所の決定により、住所や氏名等を相手方にも秘匿することができる制度です。
 具体的には、裁判所の決定により、当事者等や法定代理人の住所や氏名を訴状等に記載しないことを認める措置や、住所や氏名等、これらを推知させる情報(事項)が記載された部分の閲覧等を制限する措置をとることができます。

住所、氏名等の秘匿制度が創設された背景

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相談者

《質問》住所、氏名等の秘匿制度が創設された背景は、どのようなものですか。

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司法書士

《回答》現在の法令では、当事者や法定代理人の住所や氏名を訴状に記載しなければなりません。また、訴状以外にも、第三者が裁判所に提出した書面の中に、当事者等や法定代理人の住所や氏名が記載されている場合もあります。現在の法令では、相手方がこのような訴状や書面を閲覧等することを制限する制度はありませんでした。
 そのため、例えば、性犯罪の被害者がその加害者を訴えるケースにおいて、被害者が作成した訴状を見て、加害者が、被害者の住所、氏名を知ってしまう事態があり得ました。また、例えば、DV等の被害者と加害者の間の訴訟において、被害者の住所調査の嘱託(依頼)を受けた第三者が提出した報告書の中に、被害者の住所等の情報が含まれていたために、加害者がその報告書を見て、被害者の住所を知ってしまう事態があり得ました。
 そして、このような事態を危惧して、DV等の被害者が訴えの提起等をちゅうちょする場合があるとの指摘がありました。

住所、氏名等の秘匿制度をどう利用する?

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相談者

《質問》住所、氏名等の秘匿制度は、どのように利用することができますか。

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司法書士

《回答》当事者等や法定代理人は、裁判所に対し、相手方にも秘匿してほしい住所、氏名等(秘匿事項)を書面(法律上は、秘匿事項届出書面と呼ばれています。)に記載した上で、秘匿決定の申立てをします。裁判所は、その要件(秘匿事項が相手方に知られることにより社会生活を営むのに著しい支障を生ずるおそれがあること)がある場合には、秘匿決定をします。
 秘匿決定がされると、訴状等には、住所、氏名を記載せずに裁判所が定める事項(代替事項)を記載すればよいことになります。提出されている秘匿事項届出書面についても、秘匿決定がされると秘匿決定の申立てをした方以外の者は見ることができません。
 また、秘匿決定がされても、代替事項が記載されずに、住所や氏名等が記載された書面や、住所や氏名等を推知させる情報(ex. 住所の近くの学校の名前や、氏名を秘匿しているときの親戚の氏名)が記載された書面が提出されていることもあります。この場合には、その記載部分について、裁判所の決定により、秘匿決定の申立てをした方以外の者の閲覧等を制限することもできます。ただし、そのためには、秘匿決定の申立てとは別に、閲覧等の制限を求める申立てが必要となりますので、注意してください。

 以上は、当事者等や法定代理人が秘匿の申立てをするケースですが、送達を実施するために、裁判所が被告等の住所等について調査嘱託を実施したケースでは、被告等の申立てがなくとも、裁判所は、その要件があると判断することができれば、その結果等の閲覧等を制限することもできます。

2.当事者双方がウェブ会議・電話会議により弁論準備手続期日・和解期日に参加する仕組み(令和5年3 月1 日施行)

裁判所に実際に出頭しなくても、ウェブ会議(映像と音声付きの方法)や電話会議を利用して弁論準備手続期日に参加することができるための要件が緩和され、また、和解期日でもウェブ会議や電話会議を利用することができるようになりました。

弁論準備手続について、どのような改正がされたのか

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相談者

《質問》弁論準備手続について、どのような改正がされたのですか。

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司法書士

《回答》現在の法律では、ウェブ会議(映像と音声付きの方法)や電話会議を利用して弁論準備手続を実施するには、当事者のどちらか一方は裁判所に実際に出頭する必要がありましたが、改正法では、当事者双方ともに裁判所に実際に出頭せずに、ウェブ会議や電話会議により弁論準備手続に参加することができるようになりました。
 また、改正法は、当事者が遠隔地に居住していないケースでも、ウェブ会議や電話会議を利用して、弁論準備手続に参加することができることも明確になるようにしています。

和解期日について、どのような改正がされたのか

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相談者

《質問》和解期日について、どのような改正がされたのですか。

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司法書士

《回答》現在の法律では、ウェブ会議や電話会議により和解期日に参加することができませんでしたが、改正法では、和解期日についても、ウェブ会議や電話会議により期日に参加することができるようになりました。

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