【NEWS】訴訟代理の「紹介料」めぐるベリーベスト弁護士懲戒は杓子定規すぎる(外国法事務弁護士・米NY州弁護士 スティーブン・ギブンズ(Stephen Givens))
令和2年5月22日(法と経済のジャーナル)
外国法事務弁護士・米NY州弁護士
スティーブン・ギブンズ(Stephen Givens)
東京弁護士会が2020年3月、弁護士法人ベリーベスト法律事務所(以下「ベリーベスト」)の弁護士2名に対して業務停止6ヶ月という厳しい処分を言い渡した。これは、ルールの前提条件―目的・政策・被害者の有無など―を考慮せず、杓子定規にルールを適用したものであり、リーガル・マインドを欠如している、と私は思う。
この懲戒事件の焦点の一つは、訴訟案件の代理がAからBに移る際にBがAに金銭を払うことは、弁護士職務基本規程第13条第1項で禁止されている「紹介の対価」に当たるかどうかだ。懲戒委員会は、代理の移転に伴う支払いには必ず「依頼者の紹介を受けたことに対する謝礼その他の対価」が含まれているので、本件の支払いもその例外に漏れず、違反である、という結論に達した。
しかし、私の分析では、本件のAB間の取引の内容と性質は純粋な「紹介料」とは異なる。懲戒委員会の結論は結局、被害者のない「罪」に厳しい処分を科すもので、正義に反する。
本件の「紹介料」の性質を評価するには、事実関係を精査する必要がある。・・・
確かに,弁護士事務所や司法書士事務所の事業承継の場合に対価が支払われれば,その対価の支払いが懲戒事由に該当するであろうかは,微妙な問題であろう。