会社設立

 起業をしようと思ったときに、「個人事業」で事業を行っていくか、「法人」で事業を行っていくか、2つの選択肢があります。法人は、法務局に登録(これを『登記」といいます)する必要があります。登記をすれば、個人と同じように、法律上の権利や義務の主体となることができます。実際に経営を行うのは法人の代表者や役員ですが、事業に関わるあらゆる権利・義務が法人に帰属します。

 たとえば、事務所の賃貸借契約をする場合、事務所を借りることを決めるのは法人の代表者(社長)や役員ですが、契約の名義は法人名義となります。原則として、事務所を使用することができるのは借主の法人であって、代表者個人が勝手にプライベートで使用してはいけません。

 事務所の家賃を払うのも借主である法人であって、法人が支払えないからといって代表者が当然に支払う義務はありません。法人の中でも、特に、経済的な利益を追求する団体が「会社」になります。会社にもいろいろ種類がありますが、一般的に一番知られているのは「株式会社」です。

 以下に、株式会社のメリット/デメリットをまとめました。

会社設立メリット会社設立デメリット
1.年間所得が600~700万円以上であれば個人事業よりも会社にしたほうが税金上メッリットがある。1.法人所得が赤字であっても住民税などの均等割り額(7万円程度、本店所在地により異なる)。
2.会社になれば、対外的信用力が向上するため、各種取引において有利になるケースが多い(※1)。2.各種保険の加入が必要となる。
3.個人事業主とは取引をしない会社が多数存在する。3.交際費が全額経費とならない(90%まで)。
4.税金面においても個人の事業共用割合の観念もなく、給与所得控除の利用等により節税効果が期待できる。4.法人のための事務負担が増える。
5.事業所得から給与所得への転換による税軽減。5.税務申告が複雑になる。
6.生命保険料が経費になる。6.社会保険料負担の発生。
7.旅費規程活用による節税。7.会計・税理士事務所などの専門家が必要になる。
8.資本金1000万円未満(1000万円ではダメです)なら第1期(設立後最初の事業年度)は消費税免除されます。8.事業を廃止するときに費用がかかる。個人事業主と違い解散・清算手続きが必要となる。 また登記費用もかかる。
9.経費の認められる範囲が個人事業主より広い。
10.経営者又はその家族への退職金支払が可能。
11.社会保険加入による高度人材確保の実現

※1 株式会社の信用力

会社組織は定款や登記簿謄本などによって個人と会社との計算が明確に区分されているため、取引先も会社の財政状況や 経営状況を信用して付き合うことが出来ます。また銀行から借り入れをするときも、個人事業では主にその人の担保能力だけで判断されますが、会社の場合は会社の実績・将来性、代表者の資質などを総合的に判断されるので借り入れがしやすくなるといわれています。個人事業では、財政状況や経営状況が把握しにくくなっており、取引先に対しても信用度が低くなります。

ご依頼の流れ

1.事前相談・お見積り
 会社の基本事項を決定など、会社を設立するにあたり確認すべきことがございますので、まずはご連絡ください。ご連絡方法は、電話、メール、FAX等で対応しております。
2.打ち合わせ
 ①発起人②商号③本店④公告方法⑤目的⑥資本金⑦株式種類及び数⑧機関設計などをお聞きします。 その際に、各項目につきメリット・デメリットを説明させていただきます。また、会社設立のために必要な書類等のご説明させていただきます。
3.書類作成及び委任状に押印
 お客様のご要望どおりの会社を設立できるか、調査し、書類を作成します。書類が完成しましたら、委任状に押印をいただきます。この時に登記費用をお支払いただきます。
4.定款認証
 会社に関する一定の約束事を決める必要があります。この約束事をまとめたものを「定款」といいます。定款は、作成したのち、「公証役場」というところで正しく作成されていることを確認してもらわなければなりません。これを定款の認証といいます。当事務所は電子定款を作成できますので、印紙税 4万円 が節約できます。
5.資本金の払込
 定款認証が終わり次第、当事務所より、ご依頼者様へ資本金の払込をお願いします。
6.登記申請
 資本金の払込後の登記を申請いたします。
7.登記完了
 登記はおおむね1週間前後で完了します。
8.書類のお渡し
 登記が完了しましたら登記関係書類をお客様にお渡しいたします。

会社設立の際の注意点

①発起人の注意点

会社設立時には、お金(資本金)を出す必要があります。 この資本金を出す人を発起人といいます。 ①発起人が複数いる場合、出資の割合に注意しましょう。同じ割合にしてしまうと、決議(多数決)がまとまらない可能性があります。 ②会社設立時から人数が多いと、手続が繁雑になります。1~2、3名でスタートするのが適当でしょう。

②商号の注意点

会社の商号は自由に決めることができます。しかし、取引の安全を考慮して下記のような例外がありますので注意しましょう。 (1)他の会社と同一の住所、商号を使用することはできません (2)不正な目的をもって、他社と同一または類似の商号やブランド名を使用した場合には、商号の差止請求や損害賠償請求を受ける可能性があります (3)使える文字に制限があります 漢字、ひらがな、カタカナ、ローマ字、数字、一定の符号(アンパサンド「&」,アポストロフィー「’」,コンマ「,」,ハイフン「-」,ピリオド「.」,中点「・」)のみ使用できます。その他、様々規制があります。

③本店の注意点

本店とは会社の本拠地となる事務所、いわゆる「本社」の事です。(1)自宅を本店にすることも可能です(事前に大家さんの確認を取りましょう。)。 (2)マンションで独立される場合、会社の住所からマンション名を省くこともできます。(3)定款の記載で本店所在地を具体的に決めても良いですが、本店移転のことも考慮し、緩く設定することも可能です。

④公告方法の注意点

会社には株主や債権者など多くの利害関係者がいるので、こうした人々が、会社に関する重要な事項を知らないまま会社と取引をしたりして不利益を受けないように、様々な場合に「公告」が義務づけられています。公告方法としては、(1)官報に公告する方法(2)時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に掲載する方法(3)電子公告があります。それぞれメリットデメリットがありますのでご相談ください。

⑤目的の注意点

目的とは、どのような事業をしていくかを明確にすることです。 会社(法人)は、予め決めた目的の範囲で活動できます。 決めていない事業をした場合、「目的外の取引」となり取引自体が無効になる可能性もございますので、慎重に決めなければなりません。 (1)将来的に行う予定の事業についても決めることができます。「これから行う事業」「将来的に行う事業」は全て盛り込みましょう 、(2)「営利性」「明確性」「適法性」が求められます 会社の目的を決める際には、この3つの要件に照らし合わせていく必要があります(判断が難しい場合には、お気軽にお問い合わせください。)。 (3)許認可が必要な目的もありますのでご相談ください。

⑥資本金の注意点

資本金1円からの設立は可能ですが、資本金の額は会社の信用力を測る一材料ですので、設立する会社の規模や業種、事業にあわせた資本金額の検討が必要になるでしょう。銀行等からの融資の際にも、判断されますので、慎重に決定しましょう。さらに、資本金の額が一定以上ないと許認可がとれない事業もあります。

⑦株式の種類及び数の注意点

株式の譲渡制限、議決権制限株式、拒否権条項付株式、優先株式など株式には様々な種類があります。また、会社設立時に発行する株式数も、今後の増資の予定等を考慮して決定しなければなりません。

⑧機関設計の注意点

機関設計とは、会社の経営体制(設計図のこと)をどうするか決めることです。 具体的には、「取締役会を置くのか?」「役員は何名にするのか?」などを決めていく作業です。自分の会社にあった機関設計をしていきましょう。

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