相続登記ができない理由30選:書類が集まらない・費用がない…トラブル解決ガイド

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相続登記ができない理由30選:書類が集まらない・費用がない…トラブル解決ガイド
相談者

相続登記」って何ですか?

司法書士

相続を原因とする不動産の名義変更です。

相談者

相続登記」の義務化って本当?

罰金」まであるの?

司法書士

本当です2024年4月1日からの相続登記義務化が開始されました。

※相続の開始及び相続により不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内に手続きを行わないと、10万円以下の過料が科せられることになりました。

相談者

相続登記って何から始めればいいの?

司法書士

まずは、司法書士なかしま事務所までご連絡ください。
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※1 当事務所は、相続登記遺言・相続対策・遺産承継業務・相続放棄を含む相続業務に15年以上のキャリアをもつ司法書士中嶋剛士が電話相談・面談、業務終了まで直接皆様の担当をさせて頂きます。安心してお任せ頂けたらと思います。

※2 当事務所では相続に関する相談は初回無料です。もし相談をご希望の皆様は、下記をクリックして気軽にお問合せ(メール・LINE・電話)ください。

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相続登記がストップしてしまう根本的な原因

Q1-1: 理由1:相続人が多すぎる・行方不明

相談者

《質問》親戚が多すぎて誰が相続人か分かりません。音信不通の人もいるのですが、どうすればいいですか?

司法書士

《回答》相続人が数十人に膨れ上がったり、行方不明者がいたりすると手続きが止まります。 戸籍調査や不在者財産管理人の選任が必要です。なお、まだ、亡くなっていないようでしたら、「遺言」の作成をオススメします。

注釈:
 相続登記がストップしてしまう根本的な原因で最も多いパターンは相続人の数が多いことです。相続人の数が多いと、各相続人の事情によって話し合いができないことが増えるからです。具体的には、①相続人の中に長年行方不明になっている方がいる場合、②相続人の中に認知症の方がいる場合、③相続人の中に未成年者がいる場合、④相続人の中に外国人がいる場合、⑤相続人の中に知的障害者の方がいる場合、⑥相続人の中に全財産を欲しいという人がいる場合などでは、遺産分割の話し合いは全員の合意がないと成立しないため、手続きを先へ進めることができません。例えば、①・④のケースでは、専門家に依頼して戸籍をたどって現在の住所を特定したり、どうしても見つからない場合は裁判所を通じて行方不明者の代わりとなる「不在者財産管理人」を選任してもらったりする法的な解決策が必須となります。同様に②・⑤のケースでは、家庭裁判所での後見制度手続、③のケースでは家庭裁判所での特別代理人の選任手続、⑥のケースでは弁護士に依頼をして家庭裁判所で遺産分割調停・審判手続をすることなど、裁判所の手続が不可欠になります。

 なお、まだ亡くなっていなく、将来的に亡くなったときに推定相続人が多くいることが予想されるような事情でしたら、生前に「遺言」によって、このようなトラブルを未然に防ぐことも考えられます。

Q1-2: 理由2:認知症の相続人がいる

相談者

《質問》相続人の一人である母が認知症で、話し合いができません。このままだと登記はできないのでしょうか?

司法書士

《回答》認知症で判断能力がない場合、そのままでは遺産分割の話し合いができません。家庭裁判所で成年後見人を選任してもらう必要があります。

注釈:
 遺産分割協議は重要な法律行為であるため、参加する相続人に十分な判断能力が求められます。もし相続人の中に重度の認知症の方がいる場合、その方が協議書に署名や実印を押しても法的に無効となる可能性が高く、手続きが完全にストップしてしまいます。この壁を乗り越えるためには、家庭裁判所に申し立てを行い「成年後見人」を選任してもらい、その人が代理で話し合いに参加するという手続きが必要です。ただし、成年後見制度の利用には医師の診断書費用や、専門家が後見人になった場合の継続的な報酬(月額2〜6万円程度[多くの方は2万円程度]。)といった費用や時間がかかる点に注意が必要です。

Q1-3: 理由3:未成年の相続人がいる

相談者

《質問》亡くなった夫との間に幼い子供がいます。私が子供の代わりに話し合いをして、名義変更の手続きを進めてもいいですか?

司法書士

《回答》親と子の間で利益が対立するため、親が子供の代理人になることはできません。家庭裁判所で「特別代理人」を選任してもらう必要があります。

注釈:
 遺産分割協議において、残された親と未成年の子供がともに相続人となる場合、親が「自分の取り分を増やし、子供の取り分を減らす」こと(これを「利益相反行為」といいます。)が法律上できてしまうため、親が未成年の子供の代理人になることは禁じられています。このように相続人に未成年者がいて、その未成年者の親権者が相続人の場合、当該相続人以外の親族や専門家などを「特別代理人」として家庭裁判所に選任してもらい、その特別代理人が未成年の子供に代わって中立的な立場で話し合いに参加しなければ、名義変更の手続きは進みません。

Q1-4: 理由4:海外に住んでいる相続人がいる

相談者

《質問》弟が海外で暮らしており、日本の住民票がないため「印鑑証明書」が取れません。この場合、どうやって手続きをすればいいですか?

司法書士

《回答》日本の印鑑証明書が取得できない場合、現地の日本領事館などで「署名証明書(サイン証明)」を発行してもらうことで代用できます。

注釈:
 遺産分割協議書には相続人全員の実印と印鑑証明書が必要ですが、海外赴任などで日本の住民登録を抜いていると、市役所で印鑑証明書を発行できません。そのため、現地の日本大使館や領事館に出向き、領事の目の前で協議書にサインをして「署名証明書」を発行してもらうという特殊な手続きが必要になります。海外との郵送のやり取りに時間や手間がかかるため、手続きが長期化しやすい原因の一つです。

Q1-5: 理由5:外国籍の相続人がいる

相談者

《質問》亡くなった夫の前妻の子は外国籍でした。日本の戸籍や住民票がないのですが、どうやって相続登記の手続きをすればいいですか?

司法書士

《回答》日本の戸籍の代わりに、本国の出生証明書や、大使館などで作成する「宣誓供述書」が必要です。専門的で複雑な手続きになります。

注釈:
 日本の法律では、相続は「被相続人(亡くなった方)の国籍の法律」に従います。したがって、被相続人が日本国籍であれば日本の民法が適用され、相続人が外国籍であっても日本国籍の相続人と同様に財産を相続することができます。

 相続人が外国籍の場合、日本の戸籍謄本や印鑑証明書が取得できません。代わりに、本国の戸籍(韓国や台湾など戸籍制度がある場合)や、大使館・領事館などで作成してもらう「宣誓供述書」「サイン証明(署名証明)」を用意する必要があります。これらの外国語の書類にはすべて日本語の翻訳文を添付しなければならず、極めて専門的で時間のかかる手続きとなります。

Q1-6: 理由6:相続人の一人に借金トラブルがある

相談者

《質問》相続人の一人である兄が自己破産の手続き中です。また弟は借金をしていて近々父名義の不動産に差押えが入るとのことです。差押えが入る前に、実家を妹の名義にすることはできますか?

司法書士

《回答》破産手続中の場合、財産の管理権は「破産管財人」に移ります。管財人が遺産分割に参加するため、勝手に名義変更はできません。兄の「破産管財人」の同意、および弟の「債権者」を害さない正当な遺産分割協議が必要です。強引に妹の名義にすると、後から「詐害行為」として登記を取り消される重大なリスクがあります。

注釈:
このケースでは、兄と弟、それぞれの状況において以下の法的ハードルがあります。

🔴自己破産手続中の兄について
 破産手続が始まると、兄の財産(相続する権利を含む)を管理する権限は裁判所が選んだ「破産管財人」に移ります。兄が独断で「遺産はいらない」と妹に譲ることはできず、管財人が遺産分割協議に参加します。管財人は債権者に配当する義務があるため、通常は兄の法定相続分(現金など)を要求します。これに反して妹が全て取得する協議をしても、管財人の同意がなければ登記は通りません。

🔴借金のある弟について
 弟の債権者(お金を貸している側)は、弟が本来もらえるはずの不動産の持分を「代位登記」して差し押さえる権利を持っています。差押えが入る前に妹の名義にする協議を行うことは物理的には可能ですが、もし「弟に十分な財産がないことを知りながら、差し押さえを逃れるために妹の名義にした」とみなされると、債権者から「詐害行為取消権(さがいこういとりけしけん)」を行使される恐れがあります。これが認められると、妹への名義変更は裁判によって取り消され、弟の持分が強制的に戻された上で差し押さえられます。

 強引に手続きを進めると、妹さんが訴訟に巻き込まれるなど、事態がさらに悪化する可能性があります。まずは専門家に、適正な対価を支払う「代償分割」や、管財人との交渉について相談されることを強くお勧めします。

Q1-7: 理由7:そもそも登記が必要なことを知らない

相談者

《質問》実家にそのまま住み続けていますが、名義は亡くなった親のままです。特に困っていないのですが、手続きは必要ですか?

司法書士

《回答》はい、必要です。2024年から名義変更が義務化され、放置すると罰則があります。困っていないからと後回しにするのは危険です。

注釈:
 長年、相続登記には期限も罰則もなかったため、「家を売る予定がないから」「手続きのやり方が分からないから」と放置されるケースが非常に多くありました。しかし、現在は法律が変わり相続登記は義務化されている(相続登記の義務化)ため、正当な理由なく長期間放置すると10万円以下の過料が科される可能性があります。また、放置している間に次の相続が起きて権利関係が複雑になるため、早急な手続きが求められます。詳細は、【「相続登記義務化」の窓口】で解説していますので、ご覧ください。

Q1-8: 理由8:何十年も放置している(数次相続)

相談者

《質問》祖父の名義のまま30年放置された土地があります。今から名義変更しようとしたら「関係者が多すぎる」と言われました。

司法書士

《回答》相続手続きを長期間放置すると、相続人が次々と亡くなり権利が細分化する「数次相続」が起き、手続きが極めて困難になります。

注釈:
 相続登記をしないまま長期間が経過すると、元の相続人が次々と高齢になり亡くなっていきます。すると、その子供や孫へと相続権がネズミ算式に枝分かれして引き継がれ(数次相続)、気づいた時には全国に散らばる顔も知らない数十人の親戚が相続人になっているという事態に陥ります。こうなると、全員の戸籍を集めるだけでも膨大な時間と費用がかかり、一人でも認知症になっていたり、連絡が取れなかったりすれば、手続きは事実上不可能に近い状態になります。過去の相続もすべて義務化の対象となるため、事態がさらに悪化する前に、一日も早く専門家に相談して複雑に絡み合った糸を解きほぐす必要があります。


費用:お金や財産価値に関する高いハードル

Q2-1: 理由9:手続きにかかる費用がない・もったいない

相談者

《質問》登録免許税や専門家への報酬など、まとまったお金を払うのが負担です。お金がないと手続きはできませんか?

司法書士

《回答》費用負担が理由で相続登記を放置する方は多いですが、義務化により過料のリスクがあります。また、相続登記の放置する期間が長くなれば長くなるほど、相続登記ができなくなる理由が増えています。期間限定の免税措置などを活用して賢く進めましょう。

注釈:
 相続登記には、法務局へ納める「登録免許税」や戸籍集めの実費、司法書士への報酬など、少なくない費用が発生します。特に不動産の価値が高いと登録免許税も高額になるため、費用の捻出が難しく放置してしまうケースが散見されます。しかし、令和6年度から相続登記が義務化されたため、正当な理由なく放置すると10万円以下の過料が科される恐れがあります。費用を抑えるためには、評価額100万円以下の土地に関する免税措置や、自分で一部の書類を集めて費用を下げる「一部依頼」などの制度や工夫を最大限に活用することが重要です。

 また、手続費用がかかるからと言った理由で、相続登記を放置して、相続登記を放置する期間が長くなれば長くなるほど、相続登記ができなくなる理由が増えています。つまり、より費用がかかることなります。可能な限り、早めに相続登記をしておいた方が、最終的なコストは少なくなります。

Q2-2: 理由10:不動産の価値がなく誰も欲しがらない

相談者

《質問》田舎のボロボロの空き家で、売ることも住むこともできません。誰も相続したくない場合はどうなるのですか?

司法書士

《回答》価値がない不動産は押し付け合いになり、登記が進まない原因になります。最終的には相続放棄などを検討する必要があります。

注釈:
 遺産が実家や地方の山林など「利用価値が低く、維持費や固定資産税だけがかかる不動産」しかない場合、相続人全員が「自分は要らない」と主張して誰も相続したがらず、手続きが暗礁に乗り上げるケースが多発しています。そのまま「とりあえず」と共有名義にすると将来さらに権利関係が複雑になり、空き家として放置されれば倒壊のリスクや近隣トラブルの原因にもなります。誰も引き継ぐ意思がない場合は、期限内(被相続人が死亡したことを知ってから3か月以内)に家庭裁判所で「相続放棄の手続きを行うか、一定の要件を満たせば国に土地を引き取ってもらう「相続土地国庫帰属制度」の利用を専門家に相談する必要があります。

 もっとも、「相続放棄」も「相続土地国庫帰属制度」もそれぞれメリット・デメリットがあるし、「相続放棄」には、“期限”がありますので、早急に司法書士にご相談をしていただければと思います。

Q2-3: 理由11:代償金(現金)が用意できず揉める

相談者

《質問》私が実家を継ぐ代わりに、兄弟へ現金(代償金)を払う約束をしました。しかし、まとまったお金が用意できず話が止まっています。

司法書士

《回答》現金を払う代償分割は公平ですが、支払う側の資金不足でトラブルになりがちです。不動産を売却して現金を分ける方法なども検討が必要です。

注釈:
 特定の相続人が不動産を単独で相続し、その代わりに他の相続人に対して現金を支払って帳尻を合わせる方法を「代償分割」と呼びます。この方法は公平に見えますが、不動産を取得する側に十分な資金がないと、支払いが滞って深刻なトラブルに発展することがあります。資金が用意できない場合は、思い切って不動産を売却し、その代金をみんなで分ける「換価分割」への切り替えも一つの選択肢となります。

Q2-4: 理由12:実家の解体費用で揉めている

相談者

《質問》ボロボロの実家を相続しましたが、解体するにも多額の費用がかかります。誰が負担するかで揉めています。

司法書士

《回答》資産価値より解体費用が上回る「負動産」の場合、費用の押し付け合いになり登記が進まないケースが多発しています。

注釈:
 不動産の価値が低く、倒壊の危険がある空き家などの場合、解体費用として数百万円の持ち出しが発生することがあります。この「マイナスの財産」を誰が引き受けるかで話し合いが平行線をたどり、相続登記が放置される原因となります。このような場合、相続放棄を選択するか、共有名義にして売却・解体費用を按分するなどの法的な合意形成が不可欠です。

  もっとも、「相続放棄」はメリット・デメリットがあるし、相続放棄」には、“期限”がありますので、早急に司法書士にご相談をしていただければと思います。

Q2-5: 理由13:昔の借金(抵当権)が残っていることが発覚した

相談者

《質問》実家の名義変更をしようと登記簿を見たら、親が昔借りたローン会社の「抵当権」がついたままでした。このまま登記できますか?

司法書士

《回答》名義変更自体は可能ですが、借金が残っているかもしれないため注意が必要です。また、抵当権を消すための追加の手続きと費用がかかります。

注釈:
 名義変更の準備を進める中で、不動産の登記簿謄本を確認したところ、何十年も前に完済したはずの住宅ローンや、古い借金の担保(抵当権)が消されずに残ったままになっているケースがよくあります。名義変更自体はそのまま行えますが、将来家を売る際などにはこの抵当権を抹消する手続きが必須となります。また、古い抵当権の抹消は非常に専門的な手続きとなることもありますので、司法書士へ依頼をした方がよいと言えるでしょう。

Q2-6: 理由14:一部の持分を差し押さえられている

相談者

《質問》兄弟の一人が借金を滞納しており、実家の持分が債権者に「差押え」されてしまいました。

司法書士

《回答》登記を放置している間に、借金のある相続人の法定相続分が勝手に登記され、持分を差し押さえられてしまうリスクがあります。

注釈:
 相続登記を長期間放置していると、相続人の一人が抱える借金の債権者(金融機関など)が、法律上の制度を使って勝手に法定相続分での名義変更を行い、その持分を差し押さえてしまうことがあります。さらに差し押さえられた持分が競売などで第三者に売却されると、見知らぬ不動産業者などが実家の共有者として割り込んでくる事態となり、不動産の売却も活用もできなくなってしまいます。

Q2-7: 理由15:不動産が遠方にあり法務局に行けない

相談者

《質問》亡くなった親が遠方の地方に持っていた土地を相続しました。現地の法務局まで何度も行く時間も旅費もありません。

司法書士

《回答》法務局の窓口へ直接行かなくても、郵送やオンラインでの申請が可能です。ただし、書類に不備があると郵送のやり取りに大変な手間がかかります。

注釈:
 相続登記の申請は、対象となる不動産を管轄する現地の法務局で行う必要があります。現在は郵送でも申請を受け付けていますが、もし書類に1文字でも誤りや不足があった場合、法務局との間で何度も書類を郵送し直すことになり、大幅な時間と郵送費を消費してしまいます。遠方の物件こそ、全国どこの物件でもオンラインでスムーズに手続きできる司法書士に依頼するメリットが大きいケースです。


複雑な書類と手続きの壁

Q3-1: 理由16:戸籍集めが難しすぎて挫折する

相談者

《質問》自分で戸籍を集め始めましたが、古い手書きの文字が読めず、遠方の役所とのやり取りに疲れてしまいました。

司法書士

《回答》被相続人の生涯にわたる戸籍収集は、転籍が多いと非常に難解です。挫折した段階からでも専門家にバトンタッチできます。

注釈:
 相続登記の第一歩である「亡くなった方の出生から死亡までの連続した戸籍」を集める作業は、想像以上に困難です。特に明治や大正時代に作られた古い戸籍は、崩し字や手書きで書かれており解読が難しく、転籍(本籍地の移動)を繰り返していると全国の複数の役所に請求しなければなりません。平日日中の役所とのやり取りや、不足書類の追加請求を繰り返すうちに疲弊し、手続きを諦めてしまうケースが後を絶ちません。このような場合は、職権を利用して全国の戸籍をスムーズに収集できる司法書士にお任せいただくのが一番の解決策です。

Q3-2: 理由17:私道などの非課税物件を見落とす

相談者

《質問》自分で手続きをして実家の登記は終わったはずなのに、後になって「目の前の私道の登記が漏れている」と言われました。

司法書士

《回答》固定資産税がかからない私道などは、役所の通知書に載らないため素人では見落としがちです。これが大きな落とし穴になります。

注釈:
 一般の方が自分で相続登記を行う際、最も多い致命的な失敗が「非課税物件の登記漏れ」です。自宅の前の私道や近隣のゴミ集積所など、固定資産税が非課税となっている共有持分は、役所から毎年届く納税通知書(固定資産税等課税明細書)には一切記載されません。そのため、家と土地だけを名義変更して安心していると、数十年後にいざ売却しようとした際、私道部分だけが亡くなった親の名義のまま残っており、売却手続きが頓挫してしまいます。これを防ぐためには、市区町村で「名寄帳(なよせちょう)」(※)を取得し、非課税物件も含めた全財産をプロの視点で漏れなく調査することが不可欠です。
 (※)もっとも、市区町村によっては、名寄帳にも非課税物件が載らないことがありますので、注意が必要です。

Q3-3: 理由18:専門的な申請書類が作成できない

相談者

《質問》遺産分割協議書や登記申請書を自分で作ろうとしましたが、書き方が分からず法務局で何度も突き返されてしまいました。

司法書士

《回答》登記の申請書類には厳格なルールがあり、少しのミスも許されません。作成の難しさが登記ストップの大きな原因になります。

注釈:
 法務局に提出する登記申請書や遺産分割協議書は、市役所にある婚姻届のように決まった枠を埋めるだけの簡単なものではありません。不動産の表記を登記簿謄本と一言一句違わず正確に記載しなければならず、書類の綴じ方や押印のルールも厳格に定められています。少しでも誤りがあれば法務局から修正(補正)を命じられ、何度も平日の昼間に役所へ足を運ぶことになります。特に、誰がどの財産を引き継ぐのかを法的に確定させる遺産分割協議書の作成には専門知識が必要であり、この書類作成ハードルの高さが、手続きを途中で諦めてしまう大きな要因となっています。

 なお、このように不動産の登記には厳格なルールが適応される理由は、不動産が大変高額なモノであるためです。もちろん、田畑などは税制上の都合もあって、1000円にも満たない評価額になっている土地もあります。しかし、一方で、都心の一等地は1つの土地で何十億・何百億の土地もあります。不動産登記法は、不動産の価格で審査の基準を変えることはないので、不動産が大変高額なモノであると考え、厳密な審査を行うことにしているのです。

Q3-4: 理由19:遺産分割協議書への契印(割印)を間違えた・忘れた

相談者

《質問》複数枚にわたる遺産分割協議書を自分で作りましたが、法務局で「契印がない」と突き返されました。

司法書士

《回答》協議書が2枚以上になる場合、全ページのつなぎ目に相続人全員の実印で「契印(割印)」を押すという厳格なルールがあります。

注釈:
 遺産分割協議書を自分で作成する際の落とし穴として、書類への押印の不備が挙げられます。特に書類が複数枚にわたる場合、それが一連の文書であることを証明するために、ホッチキスで留めたページの見開き部分すべてに、署名した相続人全員の実印で「契印(割印)」を押さなければなりません。親戚が遠方に散らばっている場合、一か所でも押し忘れがあれば書類を再郵送してやり直すことになり、多大な時間と労力をロスして手続きがストップする原因となります。

Q3-5: 理由20:遺言書に不備があり無効になっていた

相談者

《質問》親が自分で書いた遺言書が見つかりましたが、日付やハンコがありません。これで名義変更できますか?

司法書士

《回答》自筆の遺言書は、日付、氏名、全文の手書き、そして押印がなければ法律上無効となり、名義変更には使えません。

注釈:
 亡くなった方が自筆証書遺言を残していても、法律で定められた厳格な要件(全文自筆、明確な年月日の記載、署名、押印)を一つでも欠いていると、その遺言書は無効となります。無効になった場合、結局は相続人全員での遺産分割協議を最初からやり直す必要が生じ、当初の予定通りに手続きが進まずに頓挫してしまうケースが非常に多く見られます。詳細は【「遺言」の窓口】をご覧ください

Q3-6: 理由21:住民票の除票が廃棄されていて取得できない

相談者

《質問》昔亡くなった親の登記をしようとしたら、役所で「住民票の除票は廃棄された」と言われました。

司法書士

《回答》古い相続では、役所での住民票の除票の保管期間が過ぎて廃棄されていることがあり、特別な誓約書の作成が必要になります。

注釈:
 相続登記の申請には、亡くなった方の最後の住所を証明するために「住民票の除票」または「戸籍の附票」が必要です。しかし、以前の法律ではこれらの書類の役所での保管期間が「5年」と定められていたため、何十年も放置している事案ではすでに廃棄されて取得できないケースが多発します。この場合、亡くなった方の登記簿上の住所地が亡くなった方の本籍地と一致するか、権利証(登記済証等)を法務局に提出するか、法務局に対して「間違いなく本人である」と誓約する「上申書」を相続人全員から取得して提出するという、非常に専門的なイレギュラー対応が必要となります。

Q3-7: 理由22:農地が含まれていて手続きが止まる

相談者

《質問》相続した財産の中に「畑」が含まれていました。法務局の手続きだけで終わりではないのですか?

司法書士

《回答》農地を相続した場合は、法務局での名義変更に加えて、市区町村の「農業委員会」への届出が法律で義務付けられています。

注釈:
 田んぼや畑などの農地を相続した場合、法務局での登記手続きとは別に、農地法に基づいて地元の農業委員会へ「農地を相続した旨の届出」を行う義務があります。これを怠ると10万円以下の過料が科される可能性があるため注意が必要です。また、法定相続人以外の人(孫など)が遺言で農地をもらう場合は、事前に農業委員会の厳しい許可がなければ登記ができないなど、一般的な宅地よりも手続きのハードルが高くなります。

Q3-8: 理由23:権利証(登記済証)が見つからない

相談者

《質問》実家の遺品整理をしていますが、どうしても不動産の「権利証」が見つかりません。権利証がないと名義変更はできませんか?

司法書士

《回答》いいえ、相続による名義変更であれば、権利証(登記識別情報)がなくても手続きは可能です。紛失していても慌てる必要はありません。

注釈:
 不動産を所有していると発行される「権利証(現在は登記識別情報)」は、不動産を売却する際などには必ず必要になる重要書類です。しかし、実は「相続」を理由とする名義変更の手続きにおいては、この権利証の提出は原則として不要です。紛失して再発行ができずに手続きを諦めてしまう方がいらっしゃいますが、全く問題なく相続登記は行えますのでご安心ください。


人間関係や特殊事情によるトラブル

Q4-1: 理由24:相続人同士が不仲・話し合いがまとまらない

相談者

《質問》兄弟同士の仲が悪く、遺産の分け方について意見が真っ向から対立しています。話し合いがまとまらないとどうなりますか?

司法書士

《回答》遺産分割協議は全員の合意が必須なため、一人でも反対すると登記はできません。最終的には裁判所の調停が必要になります。

注釈:
 遺産分割協議は多数決ではなく、相続人全員の完全な合意が必要です。そのため、兄弟間で「誰が実家を継ぐか」「親の介護負担をどう評価するか」といった不満が爆発し、一人でも協議書への実印の押印を拒否すれば、手続きは完全にストップします。当事者同士の話し合いが感情的になり、平行線をたどる場合は、家庭裁判所の「遺産分割調停」を利用して、(建前上)中立的な調停委員を交えて解決を図ることになります。調停には時間も精神的な負担もかかるため、トラブルの気配がある場合は早めに第三者である専門家を介入させることが望ましいです。

Q4-2: 理由25:前妻の子など面識のない相続人がいる

相談者

《質問》亡くなった父には離婚歴があり、前妻との間に子供がいることが分かりました。会ったこともないのですが連絡すべきですか?

司法書士

《回答》はい、前妻のお子様も立派な法定相続人ですので、連絡を取って遺産分割協議に参加してもらう必要があり、これが大きなハードルです。

注釈:
 被相続人に離婚歴があり、前妻(または前夫)との間に子供がいる場合や、認知した子供がいる場合、その方々も現在の家族と全く同じ相続権を持ちます。相続登記を行うためには、面識がなく連絡先も分からない相手の戸籍や附票を取得して住所を割り出し、手紙などを送って遺産分割協議への参加と実印の押印をお願いしなければなりません。突然の連絡に驚かれたり、不信感を持たれて無視されたりして手続きが進まないケースは非常に多いため、相手の心情に配慮した丁寧なアプローチが求められます。

Q4-3: 理由26:生前贈与や介護の負担で不公平だと揉める

相談者

《質問》親の介護を何年も一人で頑張ったのに、一切何もしなかった弟と遺産を半分ずつ分けるのは納得できません。

司法書士

《回答》介護の貢献(寄与分)や、特定の人がもらった生前贈与(特別受益)をめぐって意見が対立し、話し合いが長期化するケースは非常に多いです。

注釈:
 法律上の相続割合は決まっていても、「自分は親と同居して長年介護をしたのだから多くもらうべきだ(寄与分[※])」「弟は家を建てる時に親から多額の援助を受けたはずだ(特別受益)」といった過去の経緯が絡むと、感情的な対立が生じます。当事者同士の話し合いでは解決が難しく、弁護士を立てて裁判所の調停に持ち込まれることもあり、不動産の名義変更が何年もストップする原因となります。

注意

 [※]介護が寄与分として認められる要件は、単に親の面倒を見ていた程度では認められず、以下のような「特別の寄与」が必要です。

  • 「特別の」貢献: 通常の親子関係で期待される扶養義務(介護)を超える行為
  • 財産の維持・増加: 介護により介護施設やヘルパーの費用を節約し、結果として遺産が減らなかった場合など。
  • 長期間かつ常時介護: 片手間ではなく、日常的に介護に従事していた。
  • 無償または低額: 介護の対価を受け取っていない、あるいは安価であること。
  • 具体的な目安: 要介護2以上で、長期間付きっきりの介護(同居・通院付き添いなど)。

Q4-4: 理由27:不公平な遺言書があり無効を主張する人がいる

相談者

《質問》「全財産を長男に相続させる」という親の遺言書が見つかりました。他の兄弟が「こんな遺言は無効だ」と怒り、実印を押してくれません。

司法書士

《回答》極端に偏った内容の遺言書は、最低限の権利(遺留分)を巡る争いや、遺言自体の有効性を問う裁判に発展し、手続きが止まる原因になります。

注釈:
 遺言書は本来トラブルを防ぐためのものですが、内容が特定の相続人にだけ有利すぎる場合、逆にトラブルの火種となります。遺言書の内容に納得できない相続人が「親は認知症だったから遺言は無効だ」と主張したり、法律で保障された最低限の取り分(遺留分)を請求したりして争いが激化することがあります。こうしたケースでは、まずは法的な問題を解決しなければ名義変更に進むことはできません。

Q4-5: 理由28:内縁の配偶者が実家に住んでいて退去でもめる

相談者

《質問》父が亡くなりましたが、実家には籍を入れていない「内縁の妻」が住んでいます。家を売るために退去してほしいのですが、揉めています。

司法書士

《回答》法律上、内縁の妻に相続権はありませんが、長年住み慣れた家からすぐに追い出すことは法的に難しく、複雑なトラブルになりやすいです。

注釈:
 婚姻届を出していない内縁の配偶者には、法律上の相続権が一切認められていません。しかし、残された実家に内縁の配偶者が生活拠点として住み続けている場合、法律上の相続人である子供たちが「家を売りたいから出ていってほしい」と要求しても、居住権の問題が絡み簡単には退去させられません。居住者がいる状態では不動産の売却も活用も難しく、名義変更の手続きも複雑化します。

Q4-6: 理由29:書類を送っても面倒くさがって返送してくれない人がいる

相談者

《質問》遺産の分け方には賛成してくれた親戚に書類を郵送したのですが、面倒くさがってずっと実印を押して返送してくれません。

司法書士

《回答》電話口での合意だけでなく、実際に実印を押した書類と印鑑証明書が揃わない限り、名義変更の手続きは1ミリも進みません。

注釈:
 「実家はそっちでもらっていいよ」と口頭では同意していても、いざ役所に印鑑証明書を取りに行ったり、書類に実印を押して郵送で送り返したりする作業を「面倒だから」と後回しにし、そのまま放置されてしまうケースは少なくありません。遺産分割協議は全員の書面による同意が必須であるため、一人でもルーズな人がいると手続きが完全に停滞します。専門家が間に入り、丁寧な案内文とともに返信用封筒を送付することでスムーズに回収できることが多くあります。

Q4-7: 理由30:高齢の親族が施設に入っており実印の準備ができない

相談者

《質問》相続人である叔母が遠方の介護施設に入居しています。認知症ではありませんが、足が悪く役所に印鑑証明書を取りに行けません。

司法書士

《回答》施設に入所中で外出が困難な場合、役所での印鑑証明書の取得や書類への押印が大きな壁となり、手続きがストップすることがあります。

注釈:
 高齢化により、相続人が老人ホームなどの施設に入居しているケースが増えています。判断能力(意思能力)がしっかりしていても、身体的な理由で役所の窓口へ行けず、マイナンバーカードも持っていないため近くのコンビニで印鑑証明書が取得できないという事態が発生します。このような場合は、ご家族が代理人として役所で印鑑登録や証明書の取得手続きを行うか、公証人に施設まで出張してもらい書類を認証してもらうなど、個別具体的なサポートが必要となります。

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はい。司法書士中嶋剛士は、愛知県司法書士会所属の認定司法書士です。

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相談者

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司法書士

はい。初回のみ無料相談とさせていただいております。
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解説者「司法書士 中嶋 剛士」のプロフィール

司法書士 中嶋剛士(シホウショシ ナカシマコウジ)
司法書士中嶋剛士

「司法書士なかしま事務所」代表司法書士
名古屋市の法務大臣認定司法書士
依頼は“相続・相続対策”と“借金問題”が中心
司法書士実務は2011年から
特別研修のチューターを4年経験
テレビ出演:2021年3月30日:CBCテレビ[チャント!]
登録番号 愛知 第1924号
簡裁訴訟代理等関係業務 認定番号 第1318043号