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- 被後見人等の遺言に反する行為を後見人等がを行った場合には,遺言は撤回されたとみなされるのでしょうか。
- いいえ,撤回されたものとみなされることはないでしょう。遺言を,後見人等代理人ができないのと同様に,遺言能力がない人は遺言の撤回もできない,と考えられます。たしかに,民法1023Ⅱは,民法1024と異なり,故意の要件は規定されていません。したがって,法律行為なくして,遺言の撤回とみなされることもあると考えられなくもないです。しかし,民法1025ただし書きでは,「前3条の規定による遺言の撤回が詐欺又は強迫による場合は,その遺言の撤回の効力が生じない」と規定されています。この規定によると,民法1023Ⅱの場合でも,遺言の撤回は,遺言能力のある人が,法律行為として行われることを前提にしていると考えられます。
- (1)被後見人の土地を後見人が賃借して建物を建てることは可能でしょうか?また,(2)後見人の債務を被後見人が保証したり,後見人の債務について被後見人の不動産に担保権を設定するなど,後見人が被後見人を代理して第三者と契約することは可能でしょうか?
- (1)被後見人の土地を後見人が賃借して建物を建てる場合など,後見人と被後見人の利益が直接相反する行為として,禁止されています。また,(2)後見人の債務を被後見人が保証したり,後見人の債務について被後見人の不動産に担保権を設定するなど,後見人が被後見人を代理して第三者と契約するなど,後見人と被後見人の利益が間接的に相反する行為として,禁止されています。
(1)(2)ような場合,後見人として代理権を行使できないので,利益が相反しない特別代理人の選任を家庭裁判所に申し立てて,その代理人に手続を代わって行ってもらうことになります。ただし,後見監督人が既に選任されている場合で,監督人が被後見人と利益が相反しないときは,後見監督人が被後見人を代理することになります(民法860条ただし書)。なお,後見人が利益相反行為をしてしまったときは,無権代理と広く一般的に解されている(通説判例)ので「本人がその追認をしなければ,本人に対してその効力を生じない。」ことになります(民法113条1項)。
- 後見人等が,病気などで事務を行うことができなくなった場合はどのようすればよいでしょうか?
- 成年後見人はいったん選任されると,通常は後見が終了するまで後見事務を続けなければなりませんが,病気などで後見事務を行うことが難しくなり辞めざるを得ないことも出てきます。しかし,家庭裁判所は「本人のために公的な立場で活動する者」としての適任者を後見人に選任しているのですから,後見人が自由に辞任してしまうと,被後見人の権利保護に支障を来してしまうので,民法は,正当な事由があるときは,家庭裁判所の許可を得て辞任することができるとしています(民法844条)。
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