【NEWS】「法定養育費」月額2万円はなぜ?新制度のメリット・デメリット

「法定養育費」月額2万円とする省令案まとめる 法務省

民法改正に伴い、養育費の取り決めをせず離婚した場合に、一定額を請求できる「法定養育費」について、法務省は月額2万円とする省令案をまとめました。

離婚後のいわゆる「共同親権」を導入するため、改正された民法などには、事前の取り決めをせず離婚した場合に一定額を請求できる「法定養育費」の制度を設けることが明記されていて、来年5月までに施行されることになっています。これを前に、法務省は「法定養育費」を子ども1人当たり月額2万円とすることなどを柱とする省令案をまとめました。それによりますと「法定養育費」について、子どもの最低限度の生活を維持するのに必要な標準的な費用の額として、子ども1人当たり月額2万円としています。また、養育費の支払いが滞った場合は財産を差し押さえて、子ども1人当たり月額8万円までを上限として、優先的に弁済を受けることができるとしています。

(続きは↓)

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250827/k10014904571000.html

改正民法が目指す「子の利益」の確保と扶養義務

「法定養育費」月額2万円

2024年5月に成立した改正民法は、父母が離婚した後も子どもの利益を確保することを目的として、養育に関するルールを大幅に見直しました 。その背景には、長年にわたる養育費の未払い問題があります。厚生労働省が2021年に行った調査によると、養育費を受け取っているひとり親世帯は、母子世帯で28.1%、父子世帯に至ってはわずか8.7%に留まっています 。これは、多くのひとり親家庭が経済的に困窮する一因となっており、子どもたちの生活基盤を脅かす深刻な社会問題として認識されています。日本の法律では、父母は婚姻関係や同居の有無に関わらず、子どもを扶養する責任を負うと定められています 。この扶養義務は「生活保持義務」と呼ばれ、子どもが親と同程度の生活水準を維持できるよう、経済的な支援を行うべきだとするものです 。しかし、これまでの制度は父母間の協議や裁判所の手続きが前提となっており、話し合いができなかったり、養育費の取り決めを怠ったりするケースが後を絶ちませんでした。改正民法は、この現状を打破し、子どもが親から適切な扶養を受けられる権利をより確実に保障することを目指しています。

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相談者

《質問》なぜ今、法定養育費の制度が作られたのですか?

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司法書士

《回答》既存の制度では養育費を受け取れているひとり親世帯が非常に少なく(母子世帯で28.1%、父子世帯で8.7%)、子どもの貧困の一因となっていました。この深刻な状況を解消するため、養育費の取り決めがない場合でも最低限の費用を確保できるよう、新制度が作られました 。

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相談者

《質問》なぜ養育費は一律2万円なのですか?もっと高額になることはないのですか?

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司法書士

《回答》この月額2万円は、あくまで「子の最低限度の生活を維持する標準的な費用」として定められた暫定的な金額です。父母の収入に応じた適正な額は、裁判所が公表する「養育費算定表」に基づいて個別に計算されるべきものです 。

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相談者

《質問》相手と話し合いが全くできない場合でも養育費はもらえますか?

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司法書士

《回答》はい。この新制度により、養育費の取り決めをしていなくても、まずは法定養育費として月額2万円の支払いを相手に請求できるようになります。

養育費不払い問題解消に向けた新制度の意義

新設された「法定養育費」制度は、養育費の不払い問題を解消するための具体的な対策として導入されました。法務省は、法律家や研究者、支援団体を構成員とする「養育費不払い解消に向けた検討会議」を設置し、この問題に本格的に取り組んできました 。新制度は、離婚時に養育費の取り決めがなかった場合でも、子ども一人当たり月額2万円の支払いを相手に請求できる仕組みを新設するものです 。この制度の意義は、これまで「養育費がゼロ」だった家庭に、最低限の経済的支援が確実に届くようにすることにあります。従来の制度では、養育費を請求するためには煩雑な手続きや協議が必要であり、それに時間や労力、金銭的な負担をかけることが難しいと感じていた当事者が少なくありませんでした 。新制度は、そうした人々の経済的な不安を一時的にでも軽減し、養育費の確保に向けた第一歩を踏み出すためのセーフティネットとしての役割を担います。

月額2万円に対する反対意見

法定養育費が月額2万円と定められたことについては、その金額の妥当性を巡り、さまざまな議論が巻き起こっています。法務省は、この金額を「子の最低限度の生活を維持する標準的な費用」を基準に設定したと説明しています 。しかし、一人親支援団体からは、この金額は子どもの実際の生活費を賄うには「安すぎる」との抗議声明も出されています 。

【緊急声明】法定養育費子ども1人「月2万円」の法務省令案に抗議します – しんぐるまざあず・ふぉーらむ

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【ABEMA.TV】法定養育費2万円に「安すぎ」の声 その背景は…

この制度の本質を理解する上で重要なのは、月額2万円が暫定的な性質を持つ金額であるという点です 。鈴木馨祐元法務大臣は、記者会見で「2万円という額が標準的な養育費の額ではない」と明言しています 。この法定額は、あくまで父母間の協議や家庭裁判所の手続きを通じて適正な養育費の額が取り決められるまでの間、子どもの生活を維持するための「つなぎ」として機能することを目的としています 。このため、法定養育費という名称から、「この金額が養育費の相場である」と誤解されることのないよう、法務省はパンフレットやウェブサイトを通じた周知を強化していく方針です 。  

新しい法定養育費制度が適用される具体的なケース

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相談者

《質問》法定養育費は、いつから発生しますか?また、いつまでに支払わなければなりませんか?

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司法書士

《回答》法定養育費は、離婚の日から発生します。法定養育費の支払義務を負う父母は、毎月末に、その月の分の法定養育費を支払う必要があります。

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相談者

《質問》法定養育費は、いつまで発生し続けますか?

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司法書士

《回答》法定養育費は、次のいずれか早い日まで発生し続けます。
①父母が養育費の取決めをしたとき
②家庭裁判所における養育費の審判が確定したとき
③こどもが18歳に達したとき

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相談者

《質問》私は離婚後にこどもと別居する親ですが、十分な収入がなく困窮しています。それでも法定養育費の支払をしなければなりませんか?

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司法書士

《回答》法定養育費の請求を受けた者は、支払能力を欠くために法定養育費の支払をすることができないことやその支払をすることによって自らの生活が著しく窮迫すること(例えば、
生活保護を受給している場合など)を証明したときは、法定養育費の全部又は一部の支払を拒むことができます。こどもと別居する親の収入が乏しい場合には、父母の協議により、法定養育費の額よりも低額の養育費を取り決めることもできます。

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相談者

《質問》法定養育費の額とは異なる額の養育費(より高額又は低額の養育費)を親同士だけで決められない場合には、どのようにすればよいでしょうか?

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司法書士

《回答》父母の協議によって養育費の額を取り決めることが難しい場合には、家庭裁判所に対して養育費の調停や審判の申立て等をすることになります。

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相談者

《質問》私たちは今回の改正法施行前に離婚しましたが、法定養育費は発生しますか?

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司法書士

《回答》法定養育費の規定は、改正法施行後に離婚したケースのみに適用されます。改正法施行前に離婚した場合には、法定養育費は発生しませんので、養育費の支払を求めるために、
父母の協議や家庭裁判所の手続により養育費の額を取り決める必要があります。

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相談者

《質問》養育費が支払われなかった場合、どうすればいいですか?

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司法書士

《回答》未払いが発生した場合、養育費に関する請求権には「先取特権」(優先権)が付与されるため、支払義務者の財産を他の債権者より優先して差し押さえることができます。これにより、養育費の回収がより容易になります 。

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相談者

《質問》養育費に関する請求権には「先取特権」(優先権)があるとのことですが、どういう意味ですか?

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司法書士

《回答》養育費の支払いが滞った場合、支払い義務者の財産を他の債権者よりも優先して差し押さえることができる権利です 。この仕組みは、養育費の未払いによってひとり親が経済的に追い詰められる状況を改善する目的で設計されており、養育費の回収をより容易にする効果が期待されます。従来の強制執行手続きが抱えていた、時間や費用、労力の問題を軽減するものです。

月額2万円の「法定養育費」に潜むデメリットと課題

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相談者

《質問》法定養育費、なぜ月2万円では足りないと言われているのですか?

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司法書士

《回答》養育費は単なる生活費だけでなく、教育費や医療費など、子どもの健全な成長に必要なあらゆる費用をカバーするべきものです。月2万円では、給食費や学用品費、習い事の費用などを賄うのが難しいという声が多く聞かれます 。

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相談者

《質問》法定養育費ができたことで、今後の養育費の取り決めは不要になりますか?

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司法書士

《回答》いいえ、これは大きな誤解です。法定養育費はあくまで暫定的な金額であり、夫婦の収入に応じた適正な養育費の取り決めを妨げるものではありません。将来的なトラブルを防ぎ、子どもの利益を最大限に確保するためには、きちんと協議して書面で残すことが不可欠です 。

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相談者

《質問》相手が無職や低収入でも、必ず月2万円は支払ってもらえますか?

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司法書士

《回答》相手が支払能力を欠いている、または支払うことで生活が著しく困窮することを証明できた場合、支払いの全部または一部が拒否される可能性があります。このため、相手の経済状況によっては法定養育費を受け取れないケースもあり得ます 。

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相談者

《質問》法定養育費だけで子どもの大学進学費用まで賄えますか?

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司法書士

《回答》法定養育費は子どもの最低限の生活を維持するための金額であり、進学のための教育費や学習塾代など、長期的に必要となる費用を十分に賄うことは想定されていません。子どもの将来を考えれば、父母の協議を通じて、より適切な養育費を取り決めることが望ましいでしょう 。

結論

 法務省がまとめた月額2万円の「法定養育費」は、養育費の不払い問題を解決するための大きな一歩であり、特にこれまで養育費を受け取れなかった家庭に、最低限の経済的支援をもたらす画期的な制度です。しかし、この制度はあくまで「暫定的・補充的」なものであり、子どもの成長や教育費を賄うには不十分な金額であるという重大な課題を抱えています。

 法定養育費を「養育費の相場」と誤解することは、子どもが本来受け取るべき適正な金額を確保する機会を失い、長期的な生活の不安定を招くリスクがあります。子どもの真の利益を確保するためには、父母の収入や生活状況を考慮した「養育費算定表」に基づき、適切な金額を協議し、その内容を確実に実行できる形にすることが不可欠です。

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