【NEWS】ネット登記、住所非表示へ 会社代表らのプライバシー保護(時事通信社)
本件改正案は、「「登記情報提供サービス」について、会社代表者らの住所を原則非表示とする」案ですが、会社代表者らの住所が非表示である場合には、下記のように問題になると考えられる。
①重要な取引では、「会社の代表者であるAさん」と「個人のAさん」が同一であることの確認すべきところだが、その同一性の確認のために、商業登記簿謄本(紙)を取らないといけなくなる。
②司法書士や銀行等が関係する犯罪収益移転防止法でも、本人確認は、「会社の代表者であるAさん」と「個人のAさん」が同一であることが確認できなければらないので、商業登記簿謄本(紙)を取らないといけなくなる。
③上記①、②などの多くの事例が考えられるが、その結果、「登記情報提供サービス」(ネット登記)の価値がかなり下がり、商業登記は、商業登記簿謄本(紙)を中心とする時代になる。つまり、法務局の窓口で登記簿謄本を取得していた非効率な時代に戻ることになる。
④上記③のとおり非効率な時代に戻ることで、円滑な取引ができなくなる。
たしかに、個人情報の保護は大事である。
しかし、「個人情報の保護」を重視し過ぎると、非効率になり過ぎて、無駄なコストが発生することになる。最近流行りの「SDGs」の考えにも反することとなる。
また、仮に、個人情報の保護の観点から「登記情報提供サービス」について、会社代表者らの住所を原則非表示とするならば、商業登記簿謄本でも会社代表者らの住所を原則非表示にしなければ、個人情報の保護の観点からは全く意味はない。今回の改正後でも、商業登記簿謄本という誰でも法務局にいけばとれる証明書では、会社代表者らの住所は記載されるからである(つまり数百円と交通費と時間というコストを払えば、誰でも会社代表者らの住所はわかるのである)。
以上のように、今回の改正案は、効率化を進める時代に逆行しており、かつ、実質的な意味はない改正であり、非常に驚きである。
せめて、司法書士等の専門家らには、別枠で、現状のままの運用をしてほしいところではある。