【NEWS】新米5kg7800円も…円安インフレと債務整理
「新米5kgで7800円」―この衝撃的なニュースは、多くのご家庭にとって、もはや他人事ではないかもしれません 。日々の買い物で、お給料は変わらないのに、なぜか月末にはお財布が厳しくなっている。そのように感じている方は、決して少なくないはずです。
現在の日本は、歴史的な物価高騰と円安インフレの波に直面しています。食料品から光熱費まで、生活に不可欠なものの価格が上がり続け、家計はじわじわと圧迫されています。気づけば、クレジットカードの利用が増え、返済のために別のカードでキャッシングをする…そんな悪循環に陥り、将来への不安を抱えていませんか?
この記事は、まさにそのような状況にある方々のために書きました。現在の経済状況がなぜ私たちの生活を苦しめているのかをデータで解き明かし、それがどのようにして借金問題につながるのかを解説します。そして何より、その苦境から抜け出すための現実的で、多くの方にとって最も負担の少ない解決策である債務整理)(任意整理)について、司法書士の視点から、その全てを分かりやすくご説明します。
当事務所は、過払い金請求・消滅時効の援用・任意整理・自己破産・個人再生を含む債務整理業務に15年以上のキャリアをもつ司法書士中嶋剛士が電話相談・面談・交渉、業務終了まで直接皆様の担当をさせて頂きます。安心してお任せ頂けたらと思います。
当事務所では債務整理に関する相談は初回無料ですので、他の事務所で任意整理を断れた場合でも、当事務所に相談してみて下さい。もし相談をご希望の皆様は、下記をクリックして気軽にお問合せ(メール・電話)ください。
お気軽にお問い合わせください。052-737-1666受付時間 9:30-19:30 [ 土・日・祝日も可 ]
メール・LINEでのご予約・お問い合わせはこちら お気軽にご連絡ください。見えない物価高の圧力:家計は限界か?
なぜ、毎日の買い物がこんなに高く感じるのか?
-
スーパーでの会計が、以前より明らかに高くなっています。お米の値段のニュースも衝撃的でしたが、これは一体どういうことなのでしょうか?
-
その感覚は、全くもって正しいものです。現在、私たちの生活を直撃している物価高は、個別の商品の値上がりというレベルを超え、経済全体で起きています。その実態を示すのが、国が発表する「消費者物価指数(CPI)」という指標です 。
この指数は、2020年の物価を基準値の100として、現在の物価がどれくらい変動したかを示します。最新のデータによると、この指数は111.7に達しており、これは2020年に10,000円で買えたものが、今では11,170円出さないと買えなくなったことを意味します 。前年の同じ月と比較しても、物価は全体で3.3%も上昇しているのです 。
特に、生活に直結する食料品の値上がりが顕著です。冒頭で触れたお米の価格高騰はその象徴的な例ですが、他にも世界的な異常気象の影響を受けた輸入チョコレートやコーヒー豆、国産の生鮮野菜や果物など、幅広い品目で価格が上昇しています 。
重要なのは、こうした生活必需品の値上がりは、心理的に大きな影響を与えるという点です。毎日使うもの、頻繁に購入するものの価格が上がると、実際の物価上昇率以上に「生活が苦しくなった」と感じやすくなります。この絶え間ない価格上昇への不安感が、家計の防衛意識を高める一方で、予期せぬ出費があった際に、手軽な高金利のローンやクレジットカードのリボ払いに頼ってしまう行動へとつながりやすいのです。
平均的な家庭の負担は、実際にどれくらい増えているのか?
-
物価が上がっているのは分かりますが、具体的に、一つの家庭あたりで年間どれくらいの負担増になっているのでしょうか?
-
専門機関の試算によると、物価高騰による一世帯あたりの年間支出負担額は、約70,000円から90,000円増加していると報告されています 。これを月々に換算すると、毎月約5,800円から7,500円、これまでと同じ生活をしていても余計にお金がかかっている計算になります。
特に負担が大きいのが食費です。ある調査では、地域によっては食費だけで月に4,000円から7,000円程度支出が増加したというデータもあります 。この負担は、すべての家庭に均等にのしかかるわけではありません。特に、所得に占める食費の割合が高いご家庭ほど、その影響は深刻になります。例えば、お米の消費量は所得の高低にかかわらず比較的安定しているため、お米の価格が上がると、低所得世帯の家計をより強く圧迫することになるのです 。
この年間90,000円という金額が持つ意味は、家庭の経済状況によって大きく異なります。高所得世帯であれば、娯楽費などを少し削ることで吸収できるかもしれません。しかし、もともと家計に余裕のない世帯にとって、この金額は貯蓄を取り崩すか、あるいは借金で補うしかない、まさに「赤字」を意味します。現在の物価高は、単に生活費を上げるだけでなく、家計が「黒字」から「赤字」へと転落する境界線を越えさせる、非常に大きな要因となっているのです。
この「円安インフレ」の主な原因は何か?
-
ニュースでよく「円安」や「インフレ」という言葉を聞きます。私たちの生活を苦しめている物価高は、なぜ起きているのでしょうか?
-
現在の物価高は、複数の要因が複雑に絡み合って発生していますが、主な原因は大きく分けて3つあります。
第一に、そして最大の要因が「円安」です。日本は食料やエネルギーの多くを輸入に頼っています。例えば、日本の食料自給率はカロリーベースでわずか38%に過ぎず、残りの62%は海外からの輸入です 。円安とは、日本円の価値が外国の通貨に対して下がることです。例えば、これまで1ドル100円で買えていたものが、1ドル150円出さないと買えなくなると、輸入品の価格は自動的に1.5倍になります。この輸入コストの上昇が、スーパーに並ぶ商品の価格を直接押し上げているのです 。
第二に、世界的な「資源・原材料価格の高騰」です。ウクライナ情勢などの地政学的リスクにより、原油や天然ガスといったエネルギー価格が世界的に上昇しました 。製品を製造するにも、トラックで輸送するにもエネルギーは不可欠です。これらのコスト上昇分を企業が製品価格に上乗せ(価格転嫁)せざるを得ない状況が続いています。
第三に、「人手不足による人件費の上昇」などの国内要因です。少子高齢化が進む日本では、多くの産業で人手不足が深刻化しています。企業は人材を確保するために賃金を上げざるを得ず、その上昇した人件費が、最終的に製品やサービスの価格に反映されているのです 。
これらの要因は独立しているわけではなく、相互に影響し合っています。例えば、エネルギー価格の高騰は日本の貿易赤字を拡大させ、それがさらなる円安を招くという悪循環も生じています 。このように、日本の構造的な弱点(低い食料自給率、エネルギーの輸入依存)と世界的な経済変動が重なった結果、現在の深刻な物価高が引き起こされているのです。これは一時的な現象ではなく、構造的な問題であるため、「ただ待っていれば解決する」という楽観的な見通しは立てにくいのが現状です。
この物価高は、いつまで続くと予想されているのか?
-
この苦しい状況は、いつか終わるのでしょうか?今後の見通しを教えてください。
-
残念ながら、専門家の間でも見通しは分かれており、「いつ終わる」と断言できる状況ではありません。今後の経済は、非常に不確実性が高いと言えます。
いくつかの経済予測機関は、物価上昇のペースは徐々に落ち着いていくと見ています。日本銀行が金融緩和政策を修正し、金利を段階的に引き上げる可能性があり、これが実現すれば円高方向に進み、輸入物価の上昇に歯止めがかかるかもしれません 。
しかし、一方で、楽観できない要因も数多く存在します。例えば、米国の金融政策の動向や、次期政権の経済政策によっては、再び円安が進行するリスクも指摘されています 。また、日本の構造的な問題である貿易赤字や、新しいNISA制度の普及による個人の円売り・外貨買いの流れが、円安圧力を根強く残す可能性もあります 。長期的な経済モデルでは、消費者物価指数は2026年、2027年に向けて上昇を続けると予測するものもあります 。
ここから読み取るべき最も重要なことは、「確実な好転は約束されていない」という事実です。このような不確実性の高い状況で、「いつか景気が良くなるはず」と期待して現状の借金問題を放置するのは、非常にリスクの高い選択です。外部環境の改善を待つのではなく、ご自身でコントロールできる部分、すなわち「家計と債務の構造」に今すぐ着手することが、将来の安定を取り戻すための最も賢明な方法と言えるでしょう。債務整理(任意整理)は、まさにこの不確実な未来に対する、確実な備えとなるのです。
物価高から借金問題へ。その危険な落とし穴
物価高という外部からの圧力が、どのようにして個人の借金問題という深刻な内部の問題へと発展していくのでしょうか。この章では、多くの人が陥りがちな、危険な金融習慣を具体的に解説します。一見便利に見えるサービスが、実は返済不能への落とし穴であること、そして、あなたと同じように苦しんでいる人が急増している現実を明らかにします。
安易な「リボ払い」利用に潜む罠
-
最近、生活費の足しにクレジットカードのリボ払いをよく使っています。月々の支払額が一定なので便利だと感じていますが、何か問題はありますか?
-
「月々の支払いが一定で楽」というのは、リボ払いの最大の魅力であると同時に、最も危険な罠です。物価高で家計が圧迫される中、生活費をリボ払いで賄うのは、極めてリスクの高い行為と言わざるを得ません。
リボ払いの仕組みは、毎月一定額を返済すれば、利用残高が増えても月々の支払額は変わらないというものです。しかし、その支払額の大部分は、年利$15%$前後という非常に高い手数料(利息)の支払いに充てられてしまいます。そのため、元金がほとんど減らず、返済が長期化するのです 。
例えば、食費や光熱費といった毎月必ず発生する支出をリボ払いにするとどうなるでしょうか。先月分の返済が終わらないうちに、今月分の利用が上乗せされていきます。利用残高は雪だるま式に増え続け、あなたは気づかないうちに、生活費を払うために高金利の借金を毎月重ねているのと同じ状況に陥ります 。
さらに、クレジットカードの申し込み時に、自分でも気づかないうちにリボ払い専用カードになっていたり、初期設定がリボ払いになっていたりするケースも少なくありません 。物価高の時代において、リボ払いはもはや「便利な支払い方法」ではなく、「家計を破綻させる時限爆弾」になり得るということを、強く認識する必要があります。
「少しだけなら…」が多重債務に変わる時
-
クレジットカードが1枚限度額に達してしまったので、別のカードを使い始めました。これも危険な兆候でしょうか?
-
はい、それは多重債務への入り口を示す、非常に危険なサインです。多くの方が、「1枚のカードの限度額まで」と心に決めていても、一度その一線を越えてしまうと、坂道を転がり落ちるように状況が悪化していきます。
典型的なパターンはこうです。まず、A社のカードが限度額に達します。すると、これまで使っていなかったB社のカードで支払いを始めます。やがてB社も限度額に近づくと、今度はC社からキャッシングをしてA社やB社の支払いに充てるようになります 。このように、複数の金融機関から借入がある状態を「多重債務」と呼びます。
多重債務の最も恐ろしい点は、借金の全体像が見えなくなることです。A社に30万円、B社に50万円、C社に20万円と借金が分散していると、一つ一つは「何とかなる金額」に見えてしまいます。しかし、合計すれば100万円という大きな借金です。それぞれの会社に最低返済額を支払っているつもりでも、その合計額は家計を大きく圧迫し、支払いの大部分は利息に消えていくため、元金は一向に減りません 。
司法書士が任意整理に着手する際、最初に行うことの一つが、全ての債権者から取引履歴を取り寄せ、借金の総額を正確に確定させることです 。この時、ご自身の借金の全体像を初めて目の当たりにし、愕然とされる依頼者様は少なくありません。この「借金の全体像の把握」こそが、問題解決の第一歩なのです。
借金を借金で返す?危険なサイクルのサイン
-
最近、カードの支払日にお金が足りず、別のカードのキャッシングで支払うことがあります。これはまずい状況でしょうか?
-
それは、借金問題が極めて深刻な段階に入ったことを示す、最も危険なサインです。その行為は「自転車操業」と呼ばれ、もはや自力での返済が不可能な状態に陥っていることを意味します。
以下の項目に一つでも当てはまる場合、あなたは危険なサイクルに陥っており、直ちに専門家への相談が必要です。
- A社の返済のために、B社からキャッシングをしている。
- クレジットカードの支払いは、いつも最低返済額(リボ払い)しかできていない。
- 毎月返済しているのに、借金の総額が減らない、あるいは増えている。
- 自分が全部でいくら借金をしているのか、正確な金額を把握していない。
- 消費者金融だけでなく、いわゆる「ヤミ金」や個人間融資に手を出そうと考えたことがある 。
「借金を借金で返す」という段階に至ると、もはやあなたは商品やサービスのためにお金を借りているのではありません。借金そのものを維持するため、つまり利息を支払うためだけに、新たな利息を生む借金をしているのです。この状態では、借金は数学的に、指数関数的に増加していきます。個人の努力や節約だけでこのサイクルから抜け出すことは、ほぼ不可能です。これは意志の弱さの問題ではなく、金融システムの構造的な問題です。この段階に至ったら、ためらわずに専門家の助けを求めるべきです。
苦しんでいるのは自分だけじゃない?債務相談の現状
-
こんな状況に陥っているのは、自分だけなのではないかと恥ずかしい気持ちです。
-
そのように感じるお気持ちは、痛いほどよく分かります。しかし、決してご自身を責めないでください。今、あなたと同じように物価高が原因で借金に苦しみ、専門機関に助けを求めている方は、急激に増えています。
国の公式なデータを見ると、その事実は明らかです。多重債務に関する消費生活相談の件数は、長年減少し続けていましたが、物価高が本格化した2022年度から増加に転じ、2023年度には23,601件に達しました 。これは、約10年間続いた減少傾向が、明確に反転したことを示しています。
この統計データが意味することは、極めて重要です。あなたの苦しみは、あなた個人の問題ではなく、現在の経済状況が引き起こした「社会的な問題」であるということです。物価高という抗いようのない外部要因が、これまで何とかやりくりしてきた多くの人々の家計を限界点まで追い込み、専門家の助けを必要とする状況に追い込んでいるのです。
あなたは一人ではありません。そして、助けを求めることは決して恥ずかしいことではないのです。むしろ、この社会的な問題に対して、専門的な知識を用いて解決の道を探す、賢明で勇気ある一歩なのです。
「任意整理」:生活再建への現実的な第一歩
借金問題の解決には、いくつかの法的な手続きが存在します。その中でも、多くの方にとって最も現実的で、生活への影響を最小限に抑えられる可能性が高いのが「任意整理」です。それでは、任意整理が具体的にどのような手続きなのか、その最大のメリットや他の手続きとの違いを詳しく解説します。
そもそも「任意整理」とは、具体的に何をするのか?
-
「任意整理」という言葉を初めて聞きました。具体的には、どのようなことをする手続きなのでしょうか?
-
任意整理とは、裁判所を通さずに、司法書士などの専門家があなたの代理人として、お金を借りている会社(債権者)と直接交渉し、無理のない返済計画を新たに結び直す手続きのことです 。
この手続きの主な目的は、今後の返済における「将来利息」をカットしてもらい、残った元金だけを原則5年の分割で返済していく内容の和解を結ぶことです 。
任意整理は、裁判所が関与する自己破産や個人再生と異なり、あくまで当事者間での話し合い(私的整理)によって解決を目指します 。そのため、手続きが比較的シンプルで、柔軟な解決が可能です。
ただし、「任意」の交渉であるため、債権者側が必ずしも和解に応じる義務はありません 。だからこそ、交渉のプロである司法書士の存在が重要になります。司法書士は、各金融機関の傾向や過去の事例を熟知しており、法律に基づいた適切な和解案を提示することで、交渉を有利に進めることができます。もし債権者が不合理な要求をしてきた場合でも、「これに応じなければ、自己破産という選択肢もあり、その場合は御社への返済はゼロになります」という可能性を示唆することで、現実的な和解を引き出す交渉力を持っているのです。
一番のメリットは?将来利息カットの威力
-
任意整理をすると、具体的にどのような良いことがあるのでしょうか?
-
任意整理には多くのメリットがありますが、最大のメリットは、和解後の「将来利息が全額カットされる」ことです 。
これまで、あなたが毎月必死に返済してきたお金の多くは、高い利息の支払いに消えていました。そのため、いくら返済しても元金がなかなか減らず、まるで終わりのないマラソンを走っているような感覚だったのではないでしょうか。
任意整理を行うと、この状況が一変します。将来利息がなくなるため、和解後に支払うお金は、すべて元金の返済に充てられます。つまり、返済すればするだけ、確実に借金が減っていくのです 。これにより、「あと何年頑張れば、必ず借金がゼロになる」という明確なゴールが見え、精神的に非常に大きな安心感を得ることができます。
その他にも、以下のような重要なメリットがあります。
「自己破産」とは、どう違うのか?
-
その不安は、多くの方が抱くものですが、任意整理と自己破産は全く異なる手続きです。任意整理は、あなたの生活への影響を最小限に抑えながら、借金問題を解決することを目指します。
自己破産は、裁判所に支払不能を認めてもらい、借金の支払義務そのものを免除(免責)してもらう手続きです。その代わり、持ち家や車など、価値のある財産は原則として手放さなければなりません 。また、手続きをした事実は国の機関紙である「官報」に掲載されます 。
一方、任意整理は、あくまで借金を整理して自力で返済していくための手続きです。そのため、財産を処分されることはありません。また、裁判所を介さない私的な交渉なので、官報に載ることもなく、プライバシーが守られます。
それぞれの特徴をまとめた以下の表をご覧ください。ご自身の状況と希望に最も合う手続きがどれなのかを判断する上で、非常に重要です。
特徴 任意整理 個人再生 自己破産 手続きの種類 債権者との私的な交渉 裁判所を介した法的手続き 裁判所を介した法的手続き 借金の減額 将来利息をカット。元金は減らない 元金を大幅に圧縮(例:5分の1に) 元金の支払義務が全額免除される 財産の保持 原則、財産を失わない(家、車など) 特例を使えば家を残せる可能性がある 価値のある財産は原則として処分される 保証人への影響 保証人がいる借金を対象から外せる 全ての借金が対象。保証人に請求がいく 全ての借金が対象。保証人に請求がいく プライバシー 高い(裁判所や官報への掲載なし) 低い(官報に掲載される) 低い(官報に掲載される) 利用条件 3~5年で元金を返済できる安定収入が必要 安定収入が必要。借金額に上限あり 安定収入がなくても利用可能 このように、もしあなたが「自己破産は避けたい」「家や車は手放したくない」「保証人に迷惑をかけたくない」とお考えであれば、任意整理が最も適した選択肢となる可能性が高いのです。
どんな人が任意整理に向いているのか?
-
自分のような状況でも、任意整理は利用できるのでしょうか?どのような人が向いていますか?
-
任意整理は、借金に悩むすべての人にとって最適な解決策というわけではありません。しかし、特定の条件に当てはまる方にとっては、最も有効な手段となります。ご自身が以下の「任意整理に向いている人」の条件に当てはまるか、チェックしてみてください。
【任意整理が特に有効な方】
- 安定した収入がある方: 任意整理は借金をゼロにする手続きではなく、利息をカットした上で元金を3年から5年で分割返済していく手続きです。そのため、パートやアルバイトであっても、継続して返済を続けられるだけの安定した収入があることが前提となります 。
- 利息の負担が重いと感じている方: 借金の総額が数十万円以上あり、毎月の返済の大部分が利息に消えているような状況の方には、利息をカットする任意整理の効果は絶大です 。
- 自己破産を避け、財産を守りたい方: 持ち家や自動車など、手放したくない財産がある方にとって、資産を処分する必要のない任意整理は非常に適しています 。
- 保証人に迷惑をかけたくない方: 例えば、親族が保証人になっている奨学金などがある場合、その借金だけを手続きの対象から外すことで、保証人に請求がいく事態を避けることができます 。
- 周囲に知られずに手続きをしたい方: 裁判所を介さず、官報にも掲載されないため、家族や職場に内緒で借金問題を解決したいと強く願う方には、最もプライバシーが守られる手続きです 。
一方で、収入が全くない方や、借金の総額が大きすぎて元金だけでも5年での返済が困難な方は、個人再生や自己破産といった、より強力な債務整理を検討する必要があります 。任意整理は、根本的に支払い能力はあるものの、高金利によってキャッシュフロー(お金の流れ)が悪化している「キャッシュフロー問題」を解決するための、非常に優れたツールなのです。
任意整理の全手順、徹底解説
「任意整理が良いかもしれない」と感じた方のために、この章では、実際に司法書士に相談してから、新しい返済が始まるまでの具体的な流れを、時間や費用、プライバシーの観点から徹底的に解説します。手続きの全体像を理解することで、漠然とした不安を取り除き、安心して第一歩を踏み出すことができるはずです。
相談から返済開始まで、具体的なステップは?
-
実際に司法書士さんにお願いした場合、どのような流れで手続きが進むのでしょうか?
-
任意整理の手続きは、大きく分けて5つのステップで進みます。どのステップも、司法書士があなたをしっかりサポートしますのでご安心ください。
- ご相談・ご依頼(委任契約): まずは、司法書士事務所で無料相談を行います。あなたの借入状況、収入、家計の状況などを詳しくお伺いし、任意整理が最適な解決策であるか、また、手続き後の返済額がいくらになるかの見通しなどをご説明します。内容にご納得いただけたら、正式に手続きを依頼する「委任契約」を結びます 。
- 受任通知の送付と督促の停止: 契約後、司法書士は直ちに全ての債権者に対して「代理人として任意整理手続きを開始します」という内容の「受任通知」を発送します。この通知が債権者に届いた時点で、法律に基づき、あなたへの直接の電話や郵便物による督促・取り立ては完全にストップします。多くの方が、この時点で精神的に大きく解放されます 。
- 債権調査と引き直し計算: 受任通知と同時に、司法書士は各債権者に対して、あなたとのこれまでの全取引履歴の開示を求めます。開示された履歴をもとに、「利息制限法」という法律で定められた上限金利(借入額に応じて年15%~20%)で利息を再計算します。これにより、法的に支払うべき正確な借金の額が確定します。この過程で、払い過ぎた利息(過払い金)が見つかることもあります 。
- 債権者との和解交渉: 正確な借金額が確定したら、司法書士があなたの代理人として、各債権者と和解交渉を開始します。交渉の主な内容は、「将来発生する利息を全てカットし、残った元金を3年~5年(36回~60回)の分割で支払う」というものです 。
- 和解契約の締結と返済開始: 全ての債権者と和解が成立したら、和解契約書を取り交わします。その後、その和解内容に基づいた、新しい返済計画での支払いがスタートします。これ以降は、利息の心配なく、完済という明確なゴールに向かって着実に返済を進めていくことになります 。
手続きには、どのくらいの期間がかかるのか?
-
相談してから、新しい返済が始まるまで、どれくらいの時間がかかりますか?
-
手続きにかかる期間は、大きく2つのフェーズに分けられます。
まず、司法書士に依頼してから、債権者との和解が成立し、新しい返済が始まるまでの「交渉期間」です。この期間は、借入先の数や、債権者の対応の速さなどによって変動しますが、一般的には3ヶ月から6ヶ月程度が目安となります 。実際の事例では、交渉がスムーズに進まない場合など、7ヶ月から9ヶ月ほどかかるケースもあります 。
次に、和解が成立した後に、実際に借金を完済するまでの「返済期間」です。これは和解交渉によって決まりますが、通常は3年から5年(36回から60回の分割払い)となることがほとんどです 。
ここで非常に重要な点があります。それは、依頼から和解成立までの3ヶ月から6ヶ月の「交渉期間」中は、債権者への返済が一時的にストップするということです。この期間は、あなたにとって、家計を立て直すための貴重な「呼吸を整える時間」となります。督促のプレッシャーから解放された状態で、司法書士のアドバイスを受けながら、新しい返済計画に向けた準備を着実に進めることができるのです。この「支払い猶予期間」は、任意整理の隠れた大きなメリットの一つと言えるでしょう。
費用はいくらかかる?分割払いは可能か?
-
借金で困っているのに、司法書士さんに支払う費用があるか心配です。費用はどのくらいで、分割払いはできますか?
-
費用に関するご心配は、当然のことと思います。しかし、ご安心ください。当事務所では、依頼者様の状況に配慮した柔軟な支払い方法を用意しています。
任意整理の費用は、事務所によって異なりますが、司法書士の場合、債権者1社あたり30,000円から50,000円程度が相場で、費用は、手続きを開始する際の「着手金」と、和解が成功した際の「報酬金」などで構成されています 。
そして、最も重要な点ですが、費用の分割払いはほとんどの場合可能です 。多くの事務所では、前述した「交渉期間中(3ヶ月~6ヶ月)」、つまり債権者への返済がストップしている間に、司法書士費用を分割で積み立てていただく形を取っています 。
これは、実質的に、これまで債権者に支払っていたお金の一部を、ご自身の未来のために司法書士費用として振り向けることを意味します。例えば、これまで毎月8万円を返済していた方が、その返済をストップし、代わりに司法書士費用として毎月4万円を積み立てる、といった具合です。この方法であれば、新たにお金を用意することなく、手続きを進めることが可能です。
また、収入が一定の基準を下回るなど、経済的に特に困難な状況にある方は、「法テラス(日本司法支援センター)」という公的な機関の費用立替制度を利用できる場合もありますので、相談時に遠慮なくお尋ねください 。
家族や職場に内緒で手続きできるか?
-
債務整理を家族に内緒ですることはできますか?
-
はい、可能です。任意整理は、債務整理の手段の中で最もプライバシーが守られやすい手続きであり、多くの方がご家族や職場に知られることなく問題を解決されています 。
その理由は、任意整理が裁判所を介さない手続きであるためです。
- 裁判所からの書類が自宅に届かない: 自己破産や個人再生は裁判所での手続きのため、申立書や決定通知などが自宅に郵送されますが、任意整理にはそれが一切ありません 。
- 債権者からの連絡がなくなる: 司法書士が全ての窓口となるため、自宅や職場に督促の電話がかかってくることはなくなります 。
- 官報に掲載されない: 自己破産や個人再生をすると、氏名と住所が「官報」という国の機関紙に掲載されますが、任意整理ではそのようなことはありません 。
特に、自己破産や個人再生では、同居家族の収入証明書の提出を求められることがあり、秘密裏に進めることは非常に困難です 。
借金問題には、社会的な偏見やスティグマ(偏見)が未だに根強く残っています。そのため、多くの方にとって、金銭的な負担の軽減と同じくらい、「誰にも知られずに解決したい」というプライバシーの確保は、切実な願いです。任意整理は、そのご希望に最も応えられる「静かな解決策」なのです。
任意整理後の生活:不安と疑問に答えます
任意整理の手続きを終え、新しい返済が始まった後の生活は、どのように変わるのでしょうか。多くの方が抱く「ブラックリスト」への不安や、日常生活への具体的な影響について、この最後の章で詳しくお答えします。手続き後の未来を具体的にイメージすることで、より安心して決断を下すことができるはずです。
詳細は、下記の記事をご確認ください。