昔、私の曽祖父は昭和20年に亡くなったようですが、曽祖父名義の土地建物の相続登記は可能でしょうか?
可能です。もっとも、明治31年7月16日から昭和22年5月2日以前に亡くなっている方の相続登記は、下記のとおり現在の民法とは異なる規定で相続手続きを行います。

3.遺産相続

(1)遺産相続とは

 旧民法による遺産相続とは、戸主以外の家族の死亡(失踪宣告も含む。)によってのみ開始する相続の制度です。なお、家族の国籍喪失では遺産相続は開始しません。

(2)遺産相続の順位

第1順位;直系卑属(旧民法994条・995条)

 親等の異なる者、例えば子と孫がある場合は、近親である子が優先し、子が複数あるときは同順位で共同して相続する。遺産相続人たる直系卑属については、家督相続と異なっ
て同一家族たることを要しないほか、男女の別・実子養子の別・嫡出子・非嫡出子の別に
よって遺産相続人となることを差別されません。但し、嫡出でない子の相続分は、嫡出子(継子を含む)の相続分の2分の1となります(旧民法1004条)。代襲相続は、新法と同趣旨に取り扱えば足りるが、次の場合(※1)、新法と異なるため注意を要します。

(※1)養子と養親及びその血族関係は離縁によって終了するが、養子の配偶者・直系卑属は、養子の離縁した後に届出による除籍により養家を去らない限り、養親と養子の配偶者・直系卑属との親族関係は止まないので、養親が死亡した場合、離縁した養子の子は、代襲相続人となる。これは家督相続、遺産相続ともに同様である。(旧民法730条)

第2順位配偶者(旧民法996条1項第1)

第3順位直系尊属(|日民法996条1項第2)

 父母と祖父母があるときは、父母が優先します。直系尊属の相続権は養子縁組・継親子・男女の別等によって差別されません。同親等の直系尊属が同順位で均等に遺産相続します。

第4順位 戸主(旧民法996条1項第3)

 被相続人に直系卑属・配属者及び直系尊属のいずれもない場合は、その被相続人の属した「家」の戸主が遺産相続人となります。戸主は常にいるはずなので、戸主の相続権を認めることによって遺産の国庫帰属を防ぐことができるということです。

 なお、家督相続開始後、家督相続人選定前に、その「家」の家族について遺産相続が開始し、戸主が遺産相続人となるべきときは、後に選定された家督相続人が遺産相続人となります(明治40.2.16大審院第1民事部判決)。

(3)遺産相続と登記原因

 遺産相続の場合の登記原因は「遺産相続」であり、日付は遺産相続の開始した日、すなわち、家族の死亡した日です。
 「日本国憲法の施行に伴う民法の応急措置に関する法律」(応急措置法)の施行中(昭和22年5月3日から同年12月31日までの間)に開始した相続については、旧民法の遺産相続の規定に従うことになっていますが、この場合の登記原因は「相続」とし、日付は、相続開始の日(被相続人の死亡の日)となります。

(4)遺産相続の先例

■ 昭和22年5月2日以前の相続法における遺産相続においては、外国人も日本人と同様相続人となることができる。(昭和28年6月29日民事甲第1103号民事局長回答)

■ 後妻の死亡(昭和19年)により開始した遺産相続については、配偶者と先妻(いずれも相続開始前死亡)との間に数人の子がある場合、これらの者のうち被相続人(後妻)婚姻中に同一戸籍にあった者すなわち被相続人と継親子関係を有していた者のみが遺産相続人となる。(昭和28年11月14日民事甲第2073号民事局長回答)

■ 共同相続人中の一人が、相続開始前、生前贈与を受け、その価格が相続分を超える場合において、その者の相続分がない事実を証する書面を添付して他の共同相続人が相続登記を申請できる。(昭和8年ll月21日民事甲第1314号民事局長回答)

■ <要旨>婚姻により家に入った養母が(旧)民法施行前に離婚により養家を去るとその者と養子との親子関係は消滅する。(平成3年7月20日民三第4072号民事局第三課長回答・登記研究527号159頁)

■ 旧民法には現行民法第907条のような共同相続人間の協議による遺産の分割の規定がない。又旧法中の登記実務においてどのように取り扱われていたか行政先例も見当たらない。しかし現行民法附則第32条に分割方法につき新法の準用規定が設けられていることでもあり、共同相続人間において遺産分割の協議をすることができるものと考えられる。(参考昭和4年6月26日法曹会決議・明治44年9月16日大阪控訴判)[高妻新氏著Q&A相続登記の手引き]

相続登記《家督相続と遺産相続》

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