配偶者居住権のまとめ(9)
平成31年4月17日より,少しずつ「配偶者居住権のQ&A」を作成しております(過去の記事の一覧)。
なお,配偶者居住権及び配偶者配偶者短期居住権の新設等の施行日は,2020年4月1日(令和2年4月1日)になります。
- 配偶者居住権の設定の登記の登録免許税はいくらですか?
- 平成31年度税制改正大綱によると,配偶者居住権の設定の登記について、居住建物の価額(固定資産税評価額)に対し 1,000 分の2の税率により登録免許税を課税することになりそうです。
- 配偶者居住権の財産評価をする必要がある場合とは,どのような場合でしょうか?
- まず,被相続人の死亡時に,被相続人に関する相続税の計算のときに必要になります。
また,配偶者が遺産分割において配偶者居住権を取得する場合には,他の遺産を取得する場合と同様を自らの具体的相続分においてこれを取得することになりますが,その遺産分割をする際に,配偶者居住権の財産評価を行う必要があります。
さらに,配偶者が遺贈や死因贈与によって,配偶者居住権を取得した場合,他に遺産分割の対象となる財産があれば,特別受益(民法903条)との関係で配偶者の具体的相続分に影響を与える場合がありますが,他に遺産分割の対象となる財産がない場合にも遺留分侵害額を算定する際には,配偶者居住権の財産評価を行う必要があります。
- 平成31年度税制改正大綱の計算方法とは,どのような計算方法なのでしょうか?
- 平成31年度税制改正大綱の計算方法は下記のとおりです。
【平成31年度税制改正大綱】
民法(相続関係)の改正に伴い、次の措置を講ずる。
① 相続税における配偶者居住権等の評価額を次のとおりとする。
イ 配偶者居住権
建物の時価-建物の時価×(残存耐用年数-存続年数)/残存耐用年数×存続年数に応じた民法の法定利率による複利現価率
ロ 配偶者居住権が設定された建物(以下「居住建物」という。)の所有権 建物の時価-配偶者居住権の価額
ハ 配偶者居住権に基づく居住建物の敷地の利用に関する権利
土地等の時価-土地等の時価×存続年数に応じた民法の法定利率による複利現価率
ニ 居住建物の敷地の所有権等
土地等の時価-敷地の利用に関する権利の価額
(注1)上記の「建物の時価」及び「土地等の時価」は、それぞれ配偶者居住権が設定されていない場合の建物の時価又は土地等の時価とする。
(注2)上記の「残存耐用年数」とは、居住建物の所得税法に基づいて定められている耐用年数(住宅用)に1.5を乗じて計算した年数から居住建物の築後経過年数を控除した年数をいう。
(注3)上記の「存続年数」とは、次に掲げる場合の区分に応じそれぞれ次に定める年数をいう。
(イ)配偶者居住権の存続期間が配偶者の終身の間である場合 配偶者の平均余命年数
(ロ)(イ)以外の場合 遺産分割協議等により定められた配偶者居住権の存続期間の年数(配偶者の平均余命年数を上限とする。)
(注4)残存耐用年数又は残存耐用年数から存続年数を控除した年数が零以下となる場合には、上記イの「(残存耐用年数-存続年数)/残存耐用年数」は、零とする。
司法書士なかしま事務所
司法書士 中嶋 剛士
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