岡口裁判官「内田貴教授による要件事実批判」
前提
民事訴訟上,訴状等などの書面には,当事者が主張立証すべき事実を書かないと,当事者が望むような判決をもらえない。そして,当事者が主張立証すべき事実以外を書いても,何を言いたいのかわかりにくし,実際に意味のないことを書いていることも多い。したがって,主張立証すべき事実は簡潔であるべきである。
そこで,判決を書くための技術である要件事実論から逆算して,訴状等などの書面に主張立証すべき事実を書けばいいのだとも考えられる(し,そのような教育がされているフシがある)。
今回の記事
しかし,だからといって,当事者が望むような判決から逆算して,当事者が最低限の主張立証しかしないと,裁判官からすると事実(事件)が見えてこない。事実(事件)が見えてこないと,事件が長期化して,裁判の効率が悪くなる。
そもそも,要件事実論は判決を書くための技術であるから,訴状等などの書面作成のための技術として,そのまま流用するのは,おかしいのではないか?
私見
裁判官からの釈明権の行使がなされず,また,裁判官に対して,伝えたいことを伝えることができれば,要件事実論に基づいて起案することは不要なのでしょうが,如何せん文書で裁判官を説得しないといけないので,やはり要件事実論に基づいて起案するというのは,お互いが楽なのではないでしょうか。もちろん,事件の長期化を避けるために,可能な限り,一気に主張立証すべきだとは思いますが…