配偶者居住権のまとめ(2)
平成31年4月17日より,少しずつ「配偶者居住権のQ&A」を作成しております。
なお,配偶者居住権及び配偶者配偶者短期居住権の新設等の施行日は,2020年4月1日(令和2年4月1日)になります。
また,相続放棄のサイトも新しく作成しました。こちらのページも今後,どんどん情報を書き加えていこうと思います。
受験生レベルですと少々難しいかもしれませんが,相続放棄も実務レベルになると奥が深いことがわかるのではないでしょうか?
- 【配偶者居住権の成立要件】配偶者には,内縁の妻は含まれるのでしょうか?
- 配偶者居住権の「配偶者」(民法1028条1項)は,法律上被相続人と婚姻をしていた配偶者をいい,内縁の配偶者は含まれません(堂薗=神吉[2019年]概説改正相続法11頁)。配偶者居住権は,基本的には,遺産分割等に選択肢を増やす趣旨で創設したものであるが,内縁の配偶者はそもそも相続権を有していないことや,内縁の配偶者を権利主体に含めることとすると,その該当聖をめぐって紛争が複雑化,長期化するおそれがあるからです。
- 【配偶者居住権の成立要件】私と妻は,長年,夏は札幌のマンションで住み,冬は沖縄の海が見える家で住んでいます。私は,妻のために札幌のマンションと沖縄の家に配偶者居住権を与えたいと思いますが可能でしょうか?
- 生活の本拠は通常一箇所であることが多いと思われるが,一定の期間,例えば半年ごとに生活の拠点を変えているような場合には,例外的に生活の本拠が複数認められることもありえるのものと考えられ,このような場合でも被相続人所有の建物に居住していた時は,複数の建物について配偶者居住権が成立することもあり得る(堂薗=神吉[2019年]概説改正相続法12頁)と考えられます。
- 【配偶者居住権の成立要件】公道に接している家とその裏側にある公道に接していない家があります。公道に接している家は,建物としては古く何かと不便ですので,公道に面していない裏側の建物を主に生活の拠点とし,公道に接している家は郵便の受領のためや家財道具を収納するために使用しています。この場合,両方の家に配偶者居住権をつけることはできるのでしょうか?
- 生活の本拠は一箇所であっても例えば二棟の建物を一体として居住の用に供していた場合等については二棟の建物について配偶者居住権が成立することもあり得る(堂薗=神吉[2019年]概説改正相続法12頁)と考えられます。
- 【配偶者居住権の成立要件】私と妻は,2階建ての建物で,1階を駄菓子屋の店舗として使用し,2階を居住用として使用しています。この場合,この家に配偶者居住権をつけることはできるのでしょうか??
- 配偶者が建物全部を居住の用に供していたことは要件とされていません。したがって,配偶者が被相続人所有の建物を店舗兼住宅として使用していた場合であっても,配偶者が建物の一部を居住の用に供していたのであれば,「居住していた」という要件を満たす(堂薗=神吉[2019年]概説改正相続法12頁)ことになります。