愛媛県会が松山市に対し「戸籍付票の除票」を廃棄しないよう求める

 死亡や転居などで削除された戸籍付票や住民票の除票のうち、法定保存期間の5年を経過した除票を愛媛県松山市が来年以降に廃棄することに対し、県司法書士会は9日までに「戸籍付票の除票は不動産登記手続きに有為な証明書類」と、見直しを求める意見書を野志克仁市長宛てに提出した。
 池田誠治会長は取材に「東日本大震災では所有者が不明となった土地の問題が復興の妨げとなっており、将来の南海トラフ地震でも懸念がある。依頼者の負担が増え、市民サービスを担う行政としていかがなものか」と説明している。
 意見書は6日付で、申請人と登記簿上の所有者が同一と証明するため戸籍付票の除票が活用されることが多いと指摘。廃棄されると不動産所有者の死亡後に登記変更が長年されていないケースで問題が生じるとし「住民基本台帳法に基づかない一般行政証明として交付できるよう方策を立案すべきだ」と要望している。
https://www.ehime-np.co.jp/article/news201612107919

 登記簿の制度として,登記されるのは,登記名義人に関しては,住所氏名しかありません。したがって,登記をする際には,原則として,申請人の住所氏名と登記名義人の住所氏名が一致する公的証明書がなければ,申請人と登記名義人が同一人物か否か判断できないので,申請人と登記名義人が同一人物であることを証する書面を提出することになります。
 しかしながら,“「戸籍付票の除票」が5年で廃棄される”と,亡くなってからたった5年で亡くなった方の住所が公的に不明になるので,公的証明書以外の他の方法により,亡くなった方の住所を証しなければなりません。
 そこで,そもそも,「戸籍付票の除票」を5年で廃棄するという制度でなくなれば,上記のような問題は起きないため,「戸籍付票の除票」を廃棄しないよう求めているわけです。この電子化の時代の廃棄しないで管理するコストと廃棄するコストを比べたら,おそらく,廃棄するコストの方が高いのではないでしょうか。(もともとシステムで5年経過したら自動で消されるプログラムになっていたら別ですが。)

 あと,愛媛県会だけではなく,日司連も意見書を提出(?)したらどうでしょうか。日弁連もどうなんでしょうね。弁護士さんは,「戸籍付票の除票」が取れなくて困ることはないのでしょうか。

 さらに,もう一つ言わせてもらうと,登記申請に住所氏名だけでなく,マイナンバーも必要にしたらいいんじゃないですかね。全国版名寄帳もあっという間に(30~50年くらいで)出来上がります。預貯金にマイナンバーを登録するなら不動産にマイナンバーを登録しても,なんらおかしいことではないと思います。

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愛媛県会が松山市に対し「戸籍付票の除票」を廃棄しないよう求める” に対して3件のコメントがあります。

  1. 柴田智行 より:

    むしろ住民票だと思うのは僕だけじゃないはず。

    1. >柴田さん 住民票だと,住所を転々としている人の住民票を管理するコストが大変になるのかなと。情報量も多くなりますし…ということで,戸籍の附票を戸籍と一緒のように保管してもらいたいですね。

      1. 柴田智行 より:

        登記簿に記載された人が誰かを調べるのに使うのは、戸籍の附票ではなく住民票。だから所有者不明土地の発生を防ぐには住民票なんです。両方ないとだめなんです。

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