債務整理の道標001~昭和のサラ金と取立て
目次【クレサラと債務整理の歴史01】
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お気軽にお問い合わせください。052-737-1666受付時間 9:30-19:30 [ 土・日・祝日も可 ]
メール・LINEでのご予約・お問い合わせはこちら お気軽にご連絡ください。第1 クレサラと債務整理の歴史
1.債務整理の道標について
「債務整理の道標」とは、なんですか?
この新型コロナウイルス禍で債務整理(「任意整理」「自己破産」「個人再生」「消滅時効」「過払金」)をしなくてはならない人が多く出てきました。
一方で、最近の新人の司法書士等は、債務整理(「任意整理」「自己破産」「個人再生」「消滅時効」「過払金」)の経験に乏しく、債務整理の処理で事故にあっていることをよく耳にします。
そこで、私は、「債務整理」の記事を書くことで、少しでも債務整理の処理での事故を減らせればと思い、「債務整理の道標」を連載することにしました(同業から事件の処理方法を何度も聞かれるのが、面倒くさいから、という理由ではありません。なお、登記業務と違って、債務整理は、事故が事件の着手時点で起こることが多いので、非常に注意が必要です。)。
2.何のために昔の話をするのか?
3.利息制限法、出資法、貸金業法
第2 昭和30年頃から昭和57年頃
1.クレサラっていつ頃からあるの?
クレサラ(クレジットカード会社・サラ金会社)っていつ頃からあるのですか?
日本では、昭和30年代から昭和40年頃にかけて、団地金融が後にいうサラリーマン金融(以下、「サラ金」という)として少しずつ浸透し始めたと言われています。この当時はサラリーマン本人というより専業主婦のための貸金という側面が強かったようです。
2.いつ頃からサラリーマンに貸すようになった?
3.貸付利息は70%から100%だった
はい。多くの人が返せなくなりました。通常、70%を超えるような金利を支払い続けることは困難です。その結果、支払いをするために借りるという多重債務状態を多く生み出すことになりました。そして、当然そのような自転車操業が長続きするわけはありません。すぐに、支払えなくなり、債権者からの厳しい取立てが開始することになります。
4.厳しい取り立て
昔は、取立が厳しかったと言われていますが、昭和30年代から昭和40年頃も取立ては厳しかったのですか?
はい。昭和30年代から昭和40年頃は、旧貸金業法による規制はもちろん、現在の貸金業法のような取立て時間の規制もなく、金利の規制は出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律(昭和29年法律第195号。以下、「出資法」といいます)のみでした。したがって、支払いが遅れると、待っているのは現在では考えられないような過酷な取立でした。このように、当時は、いわば無法地帯の状況の中で、社会に知られることもなくクレサラ被害は拡大していきました。
具体的には、当時は、どのような取立てが行われていましたか?
それは、現在の貸金業法21条を読むとわかります。
具体的には、
①貸金業者は、夜中に、電話をしたり、FAXを送りつけたり、自宅に訪問をして取立てを行っていました。
②貸金業者は、嫌がらせのために、債務者の勤務先に電話をしたり、勤務先に訪問をして取立てを行っていました。
③貸金業者は、債務者の自宅や勤務先に訪問したら、返済をするまで、退去をしませんでした(居座っていました)。
④貸金業者は、債務者の自宅の玄関のドアに、「借金返せ!」などと、「はり紙」を貼ったり、立看板を置いたりして、近所の人にわかるようにして債務者に心理的な圧力をかけ、取立てを行っていました。
⑤貸金業者は、債務者に対し、「親族でも、友人でも他で金を借りてきて、金を返せ!」と恫喝などして、取立てを行っていました。
⑥貸金業者は、債務者の家族に対し、「おたくの旦那さんの借金は奥さんにも責任があるんだ!」などと恫喝して、債務者以外の家族から取立てを行っていました。(※借金は、家族であっても返済義務はありません。もっとも、亡くなったことにより、借金を相続することはあります。)
⑦貸金業者は、弁護士や司法書士から債務者への直接の取立行為をやめるように求められても、債務者へ直接連絡を取り、取立てを行っていました。
その2つのマンガに関しては、誇張している部分もあるとは思いますが、概ね昔はよくあった貸金業の姿を描いたものです(「闇金ウシジマくん」は現在も闇金として存在しておりますが…)。
貸金業法21条(取立て行為の規制)
(取立て行為の規制)第二十一条 貸金業を営む者又は貸金業を営む者の貸付けの契約に基づく債権の取立てについて貸金業を営む者その他の者から委託を受けた者は、貸付けの契約に基づく債権の取立てをするに当たつて、人を威迫し、又は次に掲げる言動その他の人の私生活若しくは業務の平穏を害するような言動をしてはならない。
一 正当な理由がないのに、社会通念に照らし不適当と認められる時間帯として内閣府令で定める時間帯に、債務者等に電話をかけ、若しくはファクシミリ装置を用いて送信し、又は債務者等の居宅を訪問すること。
二 債務者等が弁済し、又は連絡し、若しくは連絡を受ける時期を申し出た場合において、その申出が社会通念に照らし相当であると認められないことその他の正当な理由がないのに、前号に規定する内閣府令で定める時間帯以外の時間帯に、債務者等に電話をかけ、若しくはファクシミリ装置を用いて送信し、又は債務者等の居宅を訪問すること。
三 正当な理由がないのに、債務者等の勤務先その他の居宅以外の場所に電話をかけ、電報を送達し、若しくはファクシミリ装置を用いて送信し、又は債務者等の勤務先その他の居宅以外の場所を訪問すること。
四 債務者等の居宅又は勤務先その他の債務者等を訪問した場所において、債務者等から当該場所から退去すべき旨の意思を示されたにもかかわらず、当該場所から退去しないこと。
五 はり紙、立看板その他何らの方法をもつてするを問わず、債務者の借入れに関する事実その他債務者等の私生活に関する事実を債務者等以外の者に明らかにすること。
六 債務者等に対し、債務者等以外の者からの金銭の借入れその他これに類する方法により貸付けの契約に基づく債務の弁済資金を調達することを要求すること。
七 債務者等以外の者に対し、債務者等に代わつて債務を弁済することを要求すること。
八 債務者等以外の者が債務者等の居所又は連絡先を知らせることその他の債権の取立てに協力することを拒否している場合において、更に債権の取立てに協力することを要求すること。
九 債務者等が、貸付けの契約に基づく債権に係る債務の処理を弁護士若しくは弁護士法人若しくは司法書士若しくは司法書士法人(以下この号において「弁護士等」という。)に委託し、又はその処理のため必要な裁判所における民事事件に関する手続をとり、弁護士等又は裁判所から書面によりその旨の通知があつた場合において、正当な理由がないのに、債務者等に対し、電話をかけ、電報を送達し、若しくはファクシミリ装置を用いて送信し、又は訪問する方法により、当該債務を弁済することを要求し、これに対し債務者等から直接要求しないよう求められたにもかかわらず、更にこれらの方法で当該債務を弁済することを要求すること。
十 債務者等に対し、前各号(第六号を除く。)のいずれかに掲げる言動をすることを告げること。
2 貸金業を営む者又は貸金業を営む者の貸付けの契約に基づく債権の取立てについて貸金業を営む者その他の者から委託を受けた者は、債務者等に対し、支払を催告するために書面又はこれに代わる電磁的記録を送付するときは、内閣府令で定めるところにより、これに次に掲げる事項を記載し、又は記録しなければならない。
一 貸金業を営む者の商号、名称又は氏名及び住所並びに電話番号
二 当該書面又は電磁的記録を送付する者の氏名
三 契約年月日
四 貸付けの金額
五 貸付けの利率
六 支払の催告に係る債権の弁済期
七 支払を催告する金額
八 前各号に掲げるもののほか、内閣府令で定める事項
3 前項に定めるもののほか、貸金業を営む者又は貸金業を営む者の貸付けの契約に基づく債権の取立てについて貸金業を営む者その他の者から委託を受けた者は、貸付けの契約に基づく債権の取立てをするに当たり、相手方の請求があつたときは、貸金業を営む者の商号、名称又は氏名及びその取立てを行う者の氏名その他内閣府令で定める事項を、内閣府令で定める方法により、その相手方に明らかにしなければならない。