債務整理の道標006~平成16年判決・平成18年貸金業法改正(総量規制等)・クレディアの再生・武富士の破産
目次【クレサラと債務整理の歴史06】
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メール・LINEでのご予約・お問い合わせはこちら お気軽にご連絡ください。第1 クレサラと債務整理の歴史
1.債務整理の道標について
「債務整理の道標」とは、なんですか?
詳しくは、次のページをご覧ください。
2.今回はどんな話?
今回も、「クレサラと債務整理の歴史」という話ですが、今回は、どんな話ですか?
今回は、平成16年頃から平成22年頃のクレサラと債務整理の話になります。
①平成16年には、みなし弁済を事実上認めない判決(最二小判平成16年2月20日(平成14年(受)第912号))が出され、この頃から、クレサラ業界は過払い金の支払いで経営が悪化するようになりました。また、②総量規制等が盛り込まれた貸金業法の改正(平成18年法律第115号)によって、さらにクレサラは窮地に追いやられます。③平成19年には、株式会社クレディアが再生手続開始の申立てをすることになり、④平成22年には、業界最大手の株式会社武富士が会社更生法(平成14年法律第154号)の適用を求めて申立てをしました。
クレサラ会社は、この頃から経営が悪化し、独立して経営を続けていくことが難しくなり、銀行の傘下に入ることになりました。実質的なクレサラの時代は終わりました。
第2 最二小判平成16年2月20日
1.「みなし弁済」を認めない判決
前回の話では、「みなし弁済」を認めなかった判決としてロプロ判決(最二小判平成15年7月18日民集57巻7号895頁。)がありましたが、その後は、どうなったのですか?
平成15年のロプロ判決後も、「みなし弁済」を認めない判決は続きました。平成16年には、みなし弁済を事実上認めない判決(最二小判平成16年2月20日(平成14年(受)第912号))が出され、この頃から、クレサラ業界は過払い金の支払いで経営が悪化するようになりました。
みなし弁済を事実上認めない判決とは、どういうことですか?
まず、最二小判平成16年2月20日では、「利息制限法2条は,貸主が利息を天引きした場合には,その利息が制限利率以下の利率によるものであっても,現実の受領額を元本として同法1条1項所定の利率で計算した金額を超える場合には,その超過部分を元本の支払に充てたものとみなす旨を定めている。そして,(旧貸金業)法43条1項の規定が利息制限法1条1項についての特則規定であることは,その文言上から明らかであるけれども,上記の同法2条の規定の趣旨からみて,(旧貸金業)法43条1項の規定は利息制限法2条の特則規定ではないと解するのが相当である。したがって,【要旨1】貸金業者との間の金銭消費貸借上の約定に基づき利息の天引きがされた場合における天引利息については,(旧貸金業)法43条1項の規定の適用はないと解すべきである。」と判示しました。
2.天引きされた利息には、「みなし弁済」は成立しない
みなし弁済を事実上認めない判決とは、どういうことですか?
まず、最二小判平成16年2月20日では、「利息制限法2条は,貸主が利息を天引きした場合には,その利息が制限利率以下の利率によるものであっても,現実の受領額を元本として同法1条1項所定の利率で計算した金額を超える場合には,その超過部分を元本の支払に充てたものとみなす旨を定めている。そして,(旧貸金業)法43条1項の規定が利息制限法1条1項についての特則規定であることは,その文言上から明らかであるけれども,上記の同法2条の規定の趣旨からみて,(旧貸金業)法43条1項の規定は利息制限法2条の特則規定ではないと解するのが相当である。したがって,【要旨1】貸金業者との間の金銭消費貸借上の約定に基づき利息の天引きがされた場合における天引利息については,(旧貸金業)法43条1項の規定の適用はないと解すべきである。」と判示しました。
簡単にいうと、天引きされた利息には、「みなし弁済」は成立しないということです。
3.17条書面には所定の項目が全て記載されていないと、「みなし弁済」は成立しない
次に、最二小判平成16年2月20日では、「(旧貸金業)法43条1項の規定の適用要件として,法17条1項所定の事項を記載した書面(以下「17条書面」という。)をその相手方に交付しなければならないものとされているが,【要旨2】17条書面には,法17条1項所定の事項のすべてが記載されていることを要するものであり,その一部が記載されていないときは,(旧貸金業)法43条1項適用の要件を欠くというべきであって,有効な利息の債務の弁済とみなすことはできない。」と判示しました。
簡単にいうと、17条書面には所定の項目が全て記載されていないと、「みなし弁済」は成立しないということです。
4.18条書面は弁済直後に交付していないと、「みなし弁済」は成立しない
また、最二小判平成16年2月20日では、「17条書面の交付の場合とは異なり,18条書面は弁済の都度,直ちに交付することを義務付けられているのであるから,18条書面の交付は弁済の直後にしなければならないものと解すべきである。【要旨3】前記のとおり,上告人による本件各弁済の日から20日余り経過した後に,被上告人から上告人に送付された本件各取引明細書には,前回の支払についての充当関係が記載されているものがあるが,このような,支払がされてから20日余り経過した後にされた本件各取引明細書の交付をもって,弁済の直後に18条
書面の交付がされたものとみることはできない(なお,前記事実関係によれば,本件において,その支払について法43条1項の規定の適用を肯定するに足りる特段の事情が存するということはできない。)。」と判示しました。
簡単にいうと、18条書面は弁済直後に交付していないと、「みなし弁済」は成立しないということです。
5.要件が厳しすぎて、事実上「みなし弁済」が成立しない
みなし弁済が事実上認められなくなったということは、要件が厳しくて、「みなし弁済」が認められるようなことがないということでしょうか?
はい。そのとおりです。
第3 総量規制等が盛り込まれた貸金業法の改正
平成18年には、総量規制等が盛り込まれた貸金業法の改正(平成18年法律第115号)が行われるようになったようですが、総量規制とは、どのような制度なのですか?
総量規制は、要するに、貸付額の上限を定めるルールです。これは、過剰貸付を制限し、多重債務者を増やさないようにすることが目的です。詳しくは、次のページをご覧ください。
第4 [平成19年]株式会社クレディアが民事再生申立
1.クレディアの民事再生申立の原因
平成19年には、株式会社クレディアが民事再生手続したということですが、これはなぜですか?
2.クレディアの民事再生手続の影響
株式会社クレディアが民事再生手続したとき、お金を借りていた人には、どのような影響があったのですか?
当時は、株式会社クレディア(「クレディア」といいます。)からお金を借りていた人には、クレディアに対し過払い金の返還を求めることができる人が多くいましたが、クレディアが民事再生手続をしたことによって、(満額での)過払い金の返還の請求が法律上できなくなくなってしまいました。
具体的には、クレディアは、①過払い金の40%を一括返済することになり、②30万円までの少額債権(過払い金)については一律一括全額返済する、ということになりました。
つまり、クレディアが民事再生手続した後は、クレディアからお金を借りていた人には、過払い金は法律上存在が認められても、30万円を超える過払い金に関しては、法律上、満額で過払い金を回収することはできなくなったのです。
第5 [平成22年]株式会社武富士が会社更生申立
1.武富士の会社更正申立の原因
平成22年には、株式会社武富士が会社更生手続したということですが、これはなぜですか?
2.武富士の会社更正手続の影響
武富士が会社更生手続したとき、お金を借りていた人には、どのような影響があったのですか?
当時は、武富士からお金を借りていた人には武富士に対し過払い金の返還を求めることができる人が多くいましたが、武富士が会社更生手続をしたことによって、(満額での)過払い金の返還の請求が法律上できなくなくなってしまいました。
そして、具体的には、武富士は、更生計画に基づき、2回(平成24年2月頃からの第1回目と平成28年9月頃からの第2回目)に分けて過払い金の返還をしました。もっとも、過払い金の返還率は、第1回目は3.3%(100万円の過払い金がある場合、33,000円の返還)で、第2回目は0.9368%(100万円の過払い金がある場合、9,368円)でした。
つまり、武富士が会社更生手続した後は、武富士からお金を借りていた人には、過払い金は法律上存在が認められても、ほとんど返金されなくなってしまったのです。