【先例・通達】相続土地国庫帰属手続に関する事務の取扱いについて(令和5年2月8日付法務省民二第 70 号)
令和5年2月8日付法務省民二第 70 号
通達名
相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律の施行に伴う相続土地国庫帰属手続に関する事務の取扱いについて(通達)(令和5年2月8日付法務省民二第 70 号)
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Q&A
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制度開始前に相続した土地でも申請できますか。
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相続土地国庫帰属制度開始前に相続した土地であっても、承認申請することができます。
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相続土地国庫帰属制度の申請はどこの法務局でもできますか。
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申請する土地の所在する法務局の本局で申請することになります。支局・出張所では申請できませんので、ご注意ください。
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法定代理人以外(資格者や親族等)は、申請手続の代理人になれないのですか。
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申請者が任意に選んだ第三者に申請手続の全てを依頼する手続の代理は認められません。
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申請書類の作成を誰かにお願いしたいのですが。
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申請書類の作成業務については、弁護士、司法書士、行政書士に限り、依頼することができます(委任状の添付は不要です。)。なお、申請することができるのは、本人(及びその法定代理人)のみとなりますのでご注意ください。
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境界の測量は必要ですか。
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申請する土地について、事前の測量等は不要です。ただし、土地の所在、所有権の範囲を示した図面を作成していただく必要があります。
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申請する土地の境界点に目印になるようなものがないのですが。
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申請前に該当の土地の境界点にポール、プレート、テープ類などを設置し、境界点を視認できるようにしてください。(森林の場合は、境界点の位置を示す「仮杭等」を設置した上で、当該仮杭等の位置を認識しやすいよう、ポール、プレート、テープ類を設置してください。)それらに基づいて、職員が現地調査等の際に確認を行うことになります。
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袋地の土地の申請はできますか。
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袋地の土地については公道への通行が妨げられているなどの事情がある場合には、「隣接する土地の所有者等との争訟によらなければ管理・処分ができない土地」として、帰属が不承認となることがあります。詳細は、土地の現況について、申請を受付した後、現地調査によって確認します。土地の現況について、心配な点があるときは、事前に法務局にご相談ください。
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申請をした後、何かしなければならないことはありますか。
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審査において不明な点がある場合、職員から問合せをすることがあります。また、必ずではありませんが、現地調査に同行していただく場合もあります。
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農地や森林も申請できますか。
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農地や森林でも申請することができます。なお、申請する土地が農地であっても、本申請前に国庫帰属による所有権移転に係る農地法第3条第1項に基づく農業委員会の許可取得は不要です。
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申請の際に添付した書類は返却してもらうことはできますか。
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法務局における審査完了後に返却することが可能です。添付書類の返却を希望される場合、原本と相違ない旨を記載した謄本を原本と一緒に提出していただく必要があります。ただし、印鑑証明書等については返却することができませんのでご注意ください。
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申請をしてから、結果が出るまでの期間はどのくらいかかりますか。
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標準処理期間は半年から一年程と見込まれています。ただし、積雪等の理由により現地調査の実施が遅れた場合など、標準処理期間を超える場合もあります。
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申請者が虚偽の供述等の不正な手段により、土地の所有権の国庫への帰属承認を受けた場合はどうなりますか。
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法律の規定により承認の取消しをする場合があります。取消しをされた場合であっても負担金は返還されません。また、損害が生じた場合には、損害賠償の責任を負う場合もあります。
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相続土地国庫帰属制度と相続の放棄との違いは何ですか。
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相続の放棄の場合、被相続人の財産に属した権利義務は一切承継されません。財産がどのようなものかについての制限はなく、相続の放棄にあたって経済的負担は求められません。一方、国庫帰属制度では、特定の土地のみを国庫に帰属させることができる反面、土地について法定の要件を満たすことが必要です。また、負担金納付等の金銭的負担が求められます。
私見・まとめ
国家帰属させたい土地は、いわゆる負動産(※「負動産」とは)だと思いますが、負動産については、国家帰属不承認になりそうです。
この「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律」の具体的な使い道としては、「田舎の農地」くらいしかないように思えますが…
「負動産」とは
「負動産」とは、需要が少ないために売却が難しく、固定資産税や管理のための費用など所有者に金銭的な負担がかかってしまう不動産のことをいいます。具体的には、管理されていない山林や農地、崖、公道に通じていない土地などが該当します。これらは持っているだけで「負(マイナス)」の状態になってしまう「不動産」ですので「負動産」と呼ばれています。売却できるような「価値のある不動産」は「負動産」とはいわれません。