【目次】課税価格及び登録免許税の算出方法
第1 一般的な登録免許税の計算
https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001325692.pdf
第2 (土地の)相続登記の免税
1.土地を相続により取得した者が相続登記をしないで死亡
個人が相続(相続人に対する遺贈も含みます。)により土地の所有権を取得した場合において、当該個人が当該相続による当該土地の所有権の移転の登記を受ける前に死亡したときは、平成30年4月1日から令和7年(2025年)3月31日までの間に当該個人を当該土地の所有権の登記名義人とするために受ける登記については、登録免許税を課さないこととされました。
2.100万円以下の土地を相続により取得したときの登録免許税の免税措置
土地について相続(相続⼈に対する遺贈も含みます。)による所有権の移転の登記(相続登記)又は表題部所有者の相続人が所有権の保存の登記を受ける場合において、不動産の価額(※1)が100万円以下の土地であるときは、平成30年11月15日(※2)から令和7年(2025年)3月31日までの間に受ける当該土地の相続による所有権の移転の登記又は令和3年(2021年)4月1日から令和7年(2025年)3月31日までの間に当該土地の表題部所有者の相続人が受ける所有権の保存の登記については、登録免許税を課さないこととされました。
(※1)不動産の所有権の持分の取得に係るものである場合は、当該不動産全体の価額に持分の割合を乗じて計算した額が不動産の価額となります。
(※2)所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法(平成30年法律第49号)の施行日
第3 地積の変更・更正
1.地積の増加の変更又は更正登記
地積変更前の登記簿の地積が150㎡、地積変更前の登記簿の地積が160㎡、評価証明書上の地積が150㎡、価格が150万円のとき、課税価格は、どのように計算しますか?
課税価格は、150万円÷150㎡×160㎡=160万円と、計算します。
同一の年内に地積変更登記(地積更正登記)が行われている場合に、計算をしなければならないので、注意が必要です。
2.地積の減額の変更又は更正登記
地積変更前の登記簿の地積が150㎡、地積変更前の登記簿の地積が140㎡、評価証明書上の地積が150㎡、価格が150万円のとき、課税価格は、どのように計算しますか?
課税価格は、150万円÷150㎡×140㎡=140万円と、計算します。
同一の年内に地積変更登記(地積更正登記)が行われている場合に、計算をしなければならないので、注意が必要です。
第4 合筆・分筆
1.合筆の登記後の権利の登記
合筆前の登記簿Aの地積が100㎡、合筆前の登記簿Bの地積が200㎡、ABの合筆後の登記簿の地積が300㎡、Aの評価証明書上の価格が100万円、 Bの評価証明書上の価格が200万円 のとき、課税価格は、どのように計算しますか?
課税価格は、100万円+200万円=300万円と、計算します。
同一の年内に合筆の登記が行われている場合に、計算をしなければならないので、注意が必要です。
2.分筆の登記後の権利の登記
分筆前の登記簿の地積200㎡、合筆後の登記簿Aの地積が130㎡、合筆後の登記簿Bの地積が70㎡、分筆前の評価証明書上の価格が200万円 のとき、登記簿Aの課税価格は、どのように計算しますか?
課税価格は、200万円÷200×130=130万円と、計算します。
同一の年内に分筆の登記が行われている場合に、計算をしなければならないので、注意が必要です。
第5 公衆用道路等・墓地・境内・保安林
1.公衆用道路の課税価格
公衆用道路の評価証明書を取得したら0円だったのですが、課税価格は0円ということでよいでしょうか?
公衆用道路の課税価格は、近傍宅地価格の100分の30相当額(公衆用道路の課税価格=近傍宅地価格÷近傍宅地㎡×公衆用道路の面積×30÷100)と計算をします。
2.用悪水路・ため池・堤の課税価格
用悪水路・ため池・堤の評価証明書を取得したら0円だったのですが、課税価格は0円ということでよいでしょうか?
用悪水路・ため池・堤の課税価格は、近接する土地の価格の100分の30相当額(用悪水路・ため池・堤の課税価格=近傍土地の価格÷近傍土地㎡×用悪水路・ため池・堤の面積×30÷100)と計算をします。
3.墓地の登録免許税
墓地の登記の場合には、登録免許税が免除されるとのことですが、何か気をつけないといけないことはありますか?
登記申請書に非課税の根拠条文たる登録免許税法第5条第10号を記載を忘れないようにしましょう。
また、次のような先例もありますので、注意が必要です。
①登録免許税法5条10号(墳墓地に関する登記)の適否は、一応登記簿上の地目によって判断すれば足りるが、現況が火葬場敷地である土地には同号の規定は適用されない(協議 昭和42年7月6日全国登記課長会同協議問題18、同年8月民事月報号外284頁)。
②評価証明書の現況の地目が雑種地であっても、登記簿上の地目が墓地である場合は、登録免許税法5条10号の規定が適用される(登記研究519号189頁)。
③墓地の所有名義人の住所変更登記についても登録免許税法第5条第10号の適用がある(登記研究260号68頁)。
4.境内建物及び境内地の登録免許税
境内建物及び境内地の登記の場合に、何か気をつけないといけないことはありますか?
宗教法人法第3条に規定する「境内建物」「境内地」であり、専ら自己の宗教の用に供されると認められる場合には、登録免許税が非課税となります。
非課税の扱いを受けるためには、当該不動産が、単に名目だけでなく、使用の実態がもっぱらその本来の用に供されていなければなりません。
上記の要件に該当する不動産である旨の当該不動産の所在地の都道府県知事が発行する証明書を、不動産登記申請書に添付することにより、登録免許税の非課税措置を受けることができます。
5.保安林の登録免許税
保安林の登記の場合に、何か気をつけないといけないことはありますか?
都道府県や管轄法務局によって扱いが異なりますが、多くの場合、次のように計算をします。
①該当土地の「近傍山林の評価額」に関する固定資産税評価証明書を取得する。②上記①で取得した近傍山林の評価額を1㎡辺りの評価額に計算し直す。
③上記②で求めた額に、該当する保安林の面積をかける。
※公衆用道路や用悪水路と異なり、30÷100を乗じないことが、ポイントとなります。