【実務】【試験】【第1回】配偶者居住権関係通達〔令和2年3月30日付法務省 民二第324 号〕

目次

 配偶者居住権関係通達〔令和2年3月30日付法務省 民二第324 号〕が出たので,「配偶者居住権の窓口」の更新をしていきます。

 本日は,第1回目となります。

 実務上,これから配偶者居住権は多く使われることになることが予想されるため,実務家である司法書士・税理士・弁護士等の皆さんはもちろんのこと,司法書士試験受験生の皆さんも必見のQ&Aサイトになっています。

配偶者居住権の登記事項など

配偶者居住権の登記事項


配偶者居住権の登記をする場合には,どのようなことを登記しなければならないのでしょうか?
配偶者居住権の登記の登記事項として,不登法第59条各号に掲げるもののほか,①存続期間(改正法による改正後の不登法(以下「改正不登法」という。)第81条の2第1号),②第三者に居住建物(法第1028条第1項に規定する居住建物をいう。)の使用又は収益をさせることを許す旨の定めがあるときは,その定め(改正不登法第81条の2第2号)となります。
不動産登記法81条の2

配偶者居住権の登記の登記事項)
第八十一条の二 配偶者居住権の登記の登記事項は、第五十九条各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。
一 存続期間
二 第三者に居住建物(民法第千二十八条第一項に規定する居住建物をいう。)の使用又は収益をさせることを許す旨の定めがあるときは、その定め

不動産登記法59条

(権利に関する登記の登記事項)
第五十九条 権利に関する登記の登記事項は、次のとおりとする。
一 登記の目的
二 申請の受付の年月日及び受付番号
三 登記原因及びその日付
四 登記に係る権利の権利者の氏名又は名称及び住所並びに登記名義人が二人以上であるときは当該権利の登記名義人ごとの持分
五 登記の目的である権利の消滅に関する定めがあるときは、その定め
六 共有物分割禁止の定め(共有物若しくは所有権以外の財産権について民法(明治二十九年法律第八十九号)第二百五十六条第一項ただし書(同法第二百六十四条において準用する場合を含む。)の規定により分割をしない旨の契約をした場合若しくは同法第九百八条の規定により被相続人遺言で共有物若しくは所有権以外の財産権について分割を禁止した場合における共有物若しくは所有権以外の財産権の分割を禁止する定め又は同法第九百七条第三項の規定により家庭裁判所が遺産である共有物若しくは所有権以外の財産権についてした分割を禁止する審判をいう。第六十五条において同じ。)があるときは、その定め
七 民法第四百二十三条その他の法令の規定により他人に代わって登記を申請した者(以下「代位者」という。)があるときは、当該代位者の氏名又は名称及び住所並びに代位原因
八 第二号に掲げるもののほか、権利の順位を明らかにするために必要な事項として法務省令で定めるもの

配偶者居住権の仮登記は可能か


配偶者居住権も仮登記できるのでしょうか?
配偶者居住権の設定の登記の仮登記が可能であることは,他の権利の場合と同様です(令和2年3月30日民二第324号)。

配偶者居住権を設定できない場合(他人と共有)


亡夫は遺言で夫と夫の姉が共有している建物につき,配偶者居住権を設定してくれたみたいですが,法務局で配偶者居住権を設定できないと言われましたが本当ですか?
居住建物が被相続人と配偶者以外の者との共有である場合には,配偶者居住権は成立しないことから,このような場合における配偶者居住権の設定の登記を申請することができません(令和2年3月30日民二第324号)。

配偶者居住権の前提として相続登記等は必要か


配偶者居住権の設定の登記の申請の前提として,被相続人が所有権の登記名義人である居住建物について,相続や遺贈を原因とする所有権の移転の登記がされている必要がありますか?
配偶者居住権の設定の登記の申請は,居住建物の所有者を登記義務者とし,配偶者居住権を取得した配偶者を登記権利者とする共同申請によることとなるため,配偶者居住権の設定の登記を申請するに当たっては,その前提として,被相続人が所有権の登記名義人である居住建物について,相続や遺贈を原因とする所有権の移転の登記がされている必要があります(令和2年3月30日民二第324号)。

配偶者居住権の申請方式

配偶者居住権の申請方式(単独申請か共同申請か)


配偶者居住権の登記は,建物所有者と配偶者居住権を取得することになった配偶者の共同申請ですか?それとも配偶者居住権を有する人は一人なので単独申請ですか?
配偶者居住権の設定の登記の申請は,居住建物の所有者を登記義務者とし,配偶者居住権を取得した配偶者を登記権利者とする共同申請によることとなります(令和2年3月30日民二第324号)。

配偶者居住権の申請方式(遺言執行者は義務者になるか)


配偶者が遺贈によって配偶者居住権を取得した場合において,遺言執行者があるときは,配偶者居住権の登記の義務者は遺言執行者ですか?それとも,建物所有者ですか?
配偶者が遺贈によって配偶者居住権を取得した場合において,遺言執行者があるときは,当該遺言執行者は,配偶者居住権の設定の登記について,登記義務者の立場から,その資格において当該登記を申請することができるものと解されています(令和2年3月30日民二第324号)。この登記申請には,遺言執行者の資格を証する情報(代理権限証明情報)として,遺言執行者として指定されたことを証する適法な遺言書又は家庭裁判所で選任されたことを証する書面の提供を要します(令和2年3月30日民二第324号)。

配偶者居住権の申請方式(遺産分割の審判を原因とする場合)


遺産分割の審判において,配偶者が配偶者居住権を取得すると定められ,かつ,登記義務者である居住建物の所有者に配偶者居住権の設定の登記手続をすべきことが命ぜられている場合でも,建物所有者と共同申請なのですか?
遺産分割の審判において,配偶者が配偶者居住権を取得すると定められ,かつ,登記義務者である居住建物の所有者に配偶者居住権の設定の登記手続をすべきことが命ぜられている場合(家事事件手続法(平成23年法律第52号)第196条)には,当該審判に基づき,登記権利者である当該配偶者居住権を取得した配偶者が単独で配偶者居住権の設定の登記を申請することができます(令和2年3月30日民二第324号)。これは他の家庭裁判所の審判によるものと同様です。
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