分かれ決済の定義と特徴
分かれ決済とは

《質問》不動産売買における「分かれ決済」とは何ですか?

《回答》売主様と買主様が、それぞれ別々の司法書士に依頼して不動産の決済および登記手続きを行う方式のことです。一般的な取引では1人の司法書士が双方の代理人を兼ねることが多いですが、分かれ決済では両者に専属の司法書士がつきます。
「京都方式」や「関西方式」

《質問》不動産会社から「京都方式」や「関西方式」と説明されましたが、同じ意味ですか?

《回答》はい、同じ意味で使われています。分かれ決済は、京都をはじめとする関西地方で古くから根付いている不動産取引の商慣習であるため、このように呼ばれることが多くあります。
「関東方式」

《質問》関東の決済方式とはどのような違いがあるのでしょうか?

《回答》関東では、買主様側が手配した1人の司法書士が、売主様・買主様双方の代理人として手続きを一括して行うケースが一般的です。これに対し分かれ決済(関西方式)では、売主様には売主様側の仲介会社が、買主様には買主様側の仲介会社が、それぞれ別々に司法書士を紹介する文化があります。
「東海方式」

《質問》東海地方の不動産決済は、他地域と比べてどのような特徴がありますか?

《回答》東海地方は、買主様側の司法書士が双方の手続きを一括で行う「関東方式」が基本です。しかし、関西圏の不動産会社が仲介に入る場合や売主自信が関西圏の不動産会社の場合は、売主様・買主様それぞれに司法書士がつく「分かれ決済(関西方式)」が行われることもあります。両方の文化が混ざり合う、地理的な中間エリアならではの特徴です。
分かれ決済における司法書士の役割
売主側の司法書士の役割

《質問》売主側の司法書士はどのような業務を行いますか?

《回答》主に売主様のご本人確認や、物件を間違いなく売却するという意思の確認を行います。また、登記に必要な書類(権利証や印鑑証明書など)を精査し、売主様の権利を守りながら安全に物件を引き渡すためのサポートを行います。
買主側の司法書士の役割

《質問》買主側の司法書士はどのような業務を行いますか?

《回答》買主様のご本人確認や意思確認に加え、決済当日に法務局の登記情報を確認し、新たな差し押さえ等がないかチェック(事前閲覧)します。書類に問題がなければ、買主様や金融機関に代金の支払い(融資実行)をして良いという指示を出し、最終的な登記申請の窓口となります。
代理の方式

《質問》登記申請は、2人の司法書士がどのように進めるのですか?

《回答》実務上は「復代理(ふくだいり)」という申請方式がよくとられます。これは、売主側の司法書士が買主側の司法書士に対して「復代理の委任状」を渡し、最終的な法務局への登記申請書類には買主側の司法書士が代表して記名押印し、提出するという流れです(両者が共同で申請する「共同代理」という方式もあります)。
共同代理と復代理
「共同代理」とは

《質問》登記申請における「共同代理」とはどのような方式ですか?

《回答》売主様側の司法書士と、買主様側の司法書士の「2名の連名」で、法務局へ登記申請を行う方式です。申請書には両者の名前が記載され、法的な責任も両者が共同で負う形になります。
「復代理」とは

《質問》一方、「復代理」とはどのような方式ですか?

《回答》売主様側の司法書士が、自分の持っている「登記申請をする権限」を買主様側の司法書士に委任(パス)する方式です。最終的に法務局へ書類を提出し、窓口となるのは「買主様側の司法書士1名のみ」となります。
共同代理か復代理か

《質問》現在の不動産取引において、どちらの方式が一般的に多いですか?

《回答》圧倒的に「復代理」の方式が主流となっています。後述するシステム上の理由や、手続きのスピードアップを図るため、多くの司法書士が復代理方式を採用しています。
復代理のメリット①オンライン申請

《質問》「復代理」が選ばれる最大の基準(理由)は何ですか?

《回答》現在主流となっている「オンライン申請(インターネット経由での登記申請)」との相性が非常に良いことが最大の基準です。共同代理でオンライン申請をしようとすると、2人の司法書士がそれぞれ専用の電子署名を付与してデータをやり取りしなければならず、手続きが非常に煩雑になってしまうためです。
復代理のメリット②書類の返送

《質問》オンライン申請以外で「復代理」を基準とするメリットはありますか?

《回答》登記完了後の書類(権利証となる登記識別情報など)の受け取り窓口を、買主側の司法書士1人に一本化できる点です。これにより、新しい所有者である買主様へ、より早くスムーズに重要書類を納品することが可能になります。
共同代理を使う場合とは

《質問》では、あえて「共同代理」が選ばれるのはどのような基準・ケースですか?

《回答》①売主の「本人確認書類」の提供をしてもらえない場合又は②売主本人が取引当日に欠席する場合、などです。これらの場合には、買主代理人司法書士が売主の本人確認をできないため、共同代理申請方式を選択することになります。
費用やメリット・デメリットに関する疑問
費用負担の原則

《質問》分かれ決済の場合、司法書士への報酬(費用)は、売主と買主のどちらが負担しますか?

《回答》分かれ決済の場合、「関東方式」「関西方式」「東海方式」と地域によって費用負担が異なります。原則としては、買主様が所有権移転登記に関する大部分の費用を負担します。ただし、売主様も「売渡費用」として、登記原因証明情報の作成報酬や立会報酬の一部を負担するのが一般的です。各自が依頼した専属の司法書士に、それぞれ費用をお支払いいただく形になります。
分かれ決済のメリット

《質問》売主と買主で別々の司法書士を立てるメリットは何ですか?

《回答》最大のメリットは、各当事者の利益がしっかりと守られる点です。双方に専属の専門家がつくことで、利益相反(一方のみに有利な手続きになってしまうこと)を防ぎ、より厳格で安全な取引が実現できます。
分かれ決済のデメリット

《質問》反対に、分かれ決済のデメリットはありますか?

《回答》司法書士同士での事前打ち合わせや書類のやり取りが発生するため、手続きが少し複雑になります。また、専門家を2名手配することになるため、1人の司法書士に依頼する関東方式と比べると、取引全体でかかる手数料の総額がやや割高になる傾向があります。
分かれ決済の司法書士の注意点

《質問》分かれ決済をスムーズに進めるために、私たちが気をつけるべきことはありますか?

