ひっかけ方~なにが問題を難しくするか~

 司法書士試験の択一式問題には、様々な罠(以下、「ひっかけ方」)が仕掛けられています。その、ひっかけ方の傾向と対策を説明したいと思います。

第1 事案の複雑化

【傾向】 特に午前科目の民法・会社法に多い。民法では、ある一つの分野(担保責任)の問題に見せかけて、複数の分野(担保責任と無権代理など)の知識で解かなければならない問題も出題される。

【対策】 図を書く。頭だけで考えない。

第2 長文化

【傾向】 (1)特に会社法・商登法で目立つ(2)結論の正否の問題のように見せかけて、理由を聞いている等

【対策】 読み飛ばさないで早く解く。

第3 keyword・論点ずらし

【傾向】

《全科目》 (1)必要的or任意的or断定or無制限or限定、みなすor推定する(「しなければいけない」「できる」「常に」「~に限り」「いつでも」「~があれば」「~がなければ「かつ・及び・並びに・又は・若しくは」)、(2)できるできないの法則(没問対策):「~はできない」の肢はできる場合があるとき×になるという傾向、「~はできる」の肢はできない場合があるが○になる傾向、(3)ある論点の肢が4つで、残りの1つの肢は状況(事実関係)は似ているが全く異なる論点、(4)当事者の混同:譲渡人(譲渡会社)or譲受人(譲受会社)、債権者or債務者or第三債務者or第三者

《不登法、商登法、民訴等(手続法)》 (1)申請or職権or嘱託、(2)取下げor却下、(3)地方裁判所or簡易裁判所、(4)裁判所or裁判所書記官or裁判長or執行官or公証人、(5)~前、~後、~以前、~以後、(6)差し押さえようとするもの≠差し押さえたもの

《民法》 (1)無効or取消し得るor対抗不可、(2) 許可or届出(家族法)

《不登法》 (1)単独申請or共同申請or合同申請、(2)相続人の全員or一部、(3)66条or68条、(4)権利者側は単独で可能だが、義務者側は共同でなければならない、(5)受贈者を含む相続人全員が義務者

[ 登記記録問題特有の引っ掛け方 ]
□同一人物  □権利者・義務者  □申請人・利害関係人  
□相続等  □登記官の職権、嘱託等 
□現に効力を有しない □国又は地方公共団体が権利者

《会社法、商登法》 (1)以上・以下、半数・過半数、議決権数or頭数、定足数、(2)本店又は支店、(3)株主or親会社株主or債権者、(4)定款or登記事項、(5)絶対的or相対的、(6)委員会設置会社における委員は取締役でもあることに関する引掛け(条文知識)

《商登法》 (1)添付書面は××である。(××だけではない。)、(2)添付書類には××と○○が必要である。(△△も必要である。)、(3)○○には△△が必要である。(△△は登記記録から明らかになるから不要)、(4)会社法では必要だが登記手続きでは不要

【対策】 上記、傾向を覚えておき、気をつける。

第4 問題文の複雑な指示

【傾向】

例1:Aという見解と逆の見解を取らないものを選べ
⇒Aという見解と逆の見解を取るものを選べ、 と混同しない
⇒A説(通説)B説(有力説)だけではなく、C説(マイナー説)の存在も考慮しなくてはならない(例1は、A説ではない)

例2:Aという見解を批判するものとして適切でないものは
 ⇒「~と主張する。」「~との批判がある。」

例3:次の表の○×が共に誤っているものの組み合わせは

例4:組合わせ問題なのに正確に五肢を判断しなくてはならない
 ⇒“正しいものを選べ”で、3肢が正しく、組合せで正解を導き出す(H22-9,H16-23)

例5:「A説・B説があるが~という説の理由となるものを選べ」
 ⇒答えで「肢○は、理由でなく帰結である」

【対策】 上記、傾向を覚えておき、気をつける。

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