目次【相続資格の重複】

解説者「司法書士 中嶋 剛士」のプロフィール

司法書士 中嶋剛士(シホウショシ ナカシマコウジ)
司法書士中嶋剛士

❖「司法書士なかしま事務所」代表司法書士
❖名古屋市の法務大臣認定司法書士
❖依頼は“相続・相続対策”と“借金問題”が中心
❖司法書士実務は2011年から
❖特別研修のチューターを4年経験
❖テレビ出演:2021年3月30日:CBCテレビ[チャント!]
登録番号 愛知 第1924号
簡裁訴訟代理等関係業務 認定番号 第1318043号

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相続資格の重複の概要-わかりやすく詳しく解説

相続登記をしようと戸籍の調査をしてみたら、相続人の中に被相続人に対して二重の相続資格を有している者(例えば、代襲相続人としての資格と養子としての資格を有している場合など)がいましたが、それぞれの資格に基づく相続分を併せて取得することができるのでしょうか?

 身分関係が両立しない場合を除き、それぞれの身分関係に基づく相続資格を肯定するのが相当であると考えられています。

 具体的には、二重の相続資格については、主に、次の3つの分類があります。

相続人の資格の重複の3つの分類

  • 代襲相続人かつ養子】被相続人の孫が同時に養子であり、実親である子が先に死亡しているため、養子としての相続資格と孫としての代襲相続資格を有する場合
  • 【配偶者かつ兄弟姉妹】被相続人の実子と養子が婚姻しており、その一方が死亡したため、配偶者としての相続資格と兄弟姉妹としての相続資格を有する場合
  • 【非嫡出子かつ養子被相続人が非嫡出子を認知した上、養子とした場合

 なお、下記の図のとおり、平成27年までは学説と登記実務(相続登記の実務)が一致していなかったのですが、平成27年に学説と登記実務(相続登記の実務)が一致することになったと考えられています。

図解_相続登記_相続資格の重複
図解_相続登記_相続資格の重複

【「相続人の資格の重複」の問題が生じる理由】
日本では、戦前から現在に至るまで、祖父母が孫を養子にしたり、父母が子の配偶者を養子にしたりする例が少なくありません。しかし、そのような場合には、孫と子、配偶者と兄弟姉妹というように、自然血族関係と法定血族関係が重複し、あるいは配偶者の関係と法定血族関係が重複して発生するようになります。そこで重複身分関係になる当事者について相続関係が発生した場合、それぞれの身分関係に応じた相続資格の取得を認めるべきかどうかという問題が生じます。

第1 代襲相続人かつ養子

1.学説(「代襲相続人かつ養子」の重複)

被相続人の孫が同時に養子であり、実親である子が先に死亡しているため、養子としての相続資格と孫としての代襲相続資格を有する場合、相続人の資格は重複しますか?

学説の多数説では、相続人の資格の重複を認めるか否かを「2つの身分が排斥し合う関係にあるか否か」で判断しています。具体的には、「2つの身分が排斥し合う関係にある」場合には、相続人の資格の重複を認めませんが、「2つの身分が排斥し合う関係にない」場合には、相続人の資格の重複を認めることになります。

つまり、被相続人の孫が同時に養子であり、実親である子が先に死亡しているため、養子としての相続資格と孫としての代襲相続資格を有する場合、「2つの身分が排斥し合う関係にない」ため相続人の資格の重複を認めることになります。

2.「孫かつ養子」の資格の重複【昭和26年9月18日民事甲第1881号民事局長回答】

被相続人の長女の子(孫)が被相続人の養子となっている場合に、長女が被相続人の死亡前に死亡しているときは、相続人の資格は重複しますか?

先例では、「被相続人の長女の子(孫)が被相続人の養子となっている場合に、長女が被相続人の死亡前に死亡しているときは、その子(孫)は、被相続人の養子としての相続分と亡母の代襲相続人としての相続分とを有する(昭和26.9.18民甲第1881号民事局長回答・先例集下1660頁 )」とされています。

【昭和26.9.18民甲第1881号民事局長回答・先例集下1660頁】
(要旨) 被相続人の長女の子(孫)が被相続人の養子となっている場合に、長女が被相続人の死亡前に死亡しているときは、その子(孫)は、被相続人の養子としての相続分と亡母の代襲相続人としての相続分とを有する。

第2 配偶者かつ兄弟姉妹

1.学説(「配偶者かつ兄弟姉妹」の重複)

被相続人の実子と養子が婚姻しており、その一方が死亡したため、配偶者としての相続資格と兄弟姉妹としての相続資格を有する場合、相続人の資格は重複しますか?

学説の多数説では、相続人の資格の重複を認めるか否かを「2つの身分が排斥し合う関係にあるか否か」で判断しています。具体的には、「2つの身分が排斥し合う関係にある」場合には、相続人の資格の重複を認めませんが、「2つの身分が排斥し合う関係にない」場合には、相続人の資格の重複を認めることになります。

つまり、被相続人の実子と養子が婚姻しており、その一方が死亡したため、配偶者としての相続資格と兄弟姉妹としての相続資格を有する場合、「2つの身分が排斥し合う関係にない」ため相続人の資格の重複を認めることになります。

2.「配偶者かつ兄弟姉妹」の資格の重複【昭和23年8月9日民事甲第2371号民事局長回答】

長女と婚姻した養子が死亡し、その直系卑属及び直系尊属がない場合には、相続人の資格は重複しますか?

平成27年(2015年)以前の先例では、「長女と婚姻した養子が死亡し、その直系卑属及び直系尊属がない場合には、妻たる長女は、配偶者としての相続分のみを取得し、兄弟姉妹としての相続分は取得できない(昭和23.8.9民甲第2371号民事局長回答・先例集上850頁 )」とされていました。

【昭和23.8.9民甲第2371号民事局長回答・先例集上850頁】
(要旨) 長女と婚姻した養子が死亡し、その直系卑属及び直系尊属がない場合には、妻たる長女は、配偶者としての相続分のみを取得し、兄弟姉妹としての相続分は取得できない。

したがって、平成27年(2015年)以前の先例では、長女と婚姻した養子が死亡し、その直系卑属及び直系尊属がない場合には、相続人の資格は重複しないということになっていました。

【昭和23.8.9民甲第2371号民事局長回答の考え方】
平成27年(2015年)以前の先例は、「血族相続人と配偶者相続人との相続資格については、二重の相続資格は認めない」とする見解を採用していました。その理由は、「民法は、相続の資格について、血族相続人と配偶者相続人を区別しているため、配偶者として相続人になった者は、血族としては相続人にはなれない」と考えられたからです。

しかしながら、平成27年9月2日民二第363号民事局民事第二課長通知(民月71巻3号72頁)で、この先例は変更されたとされています。

3.「配偶者かつ兄弟姉妹」の資格の重複【平成27年9月2日民二第363号民事局民事第二課長通知】

平成27年9月2日民二第363号民事局民事第二課長通知(民月71巻3号72頁)とはどのような先例なのですか?

平成27年9月2日民二第363号民事局民事第二課長通知(民月71巻3号72頁)は、「被相続人甲の妻及び妹としての相続人の資格を併用する乙から(甲乙は共に亡養母の養子)、相続を証する情報として、戸籍(除)謄本及び相続放棄申述受理証明書のほか、配偶者として相続放棄をしたことを確認できる相続放棄申述書の謄本及び妹としては相続放棄をしていない旨の上申書を提供された相続登記の申請につき、これを受理して差し支えない」として、「配偶者かつ兄弟姉妹」の資格の重複を認めています。

【平成27.9.2民二第363号民事局民事第二課長通知(民月71巻3号72頁)】
(要旨) 被相続人甲の妻及び妹としての相続人の資格を併用する乙から(甲乙は共に亡養母の養子)、相続を証する情報として、戸籍(除)謄本及び相続放棄申述受理証明書のほか、配偶者として相続放棄をしたことを確認できる相続放棄申述書の謄本及び妹としては相続放棄をしていない旨の上申書を提供された相続登記の申請につき、これを受理して差し支えない。

つまり、平成27年9月2日民二第363号民事局民事第二課長通知は、配偶者相続人と血族相続人(兄弟姉妹)としての相続資格の併有を前提としたものであり(民月71巻3号75頁以下の担当官解説参照)、昭和23年8月9日民事甲第2371号民事局長回答の取り扱いは実質的に変更されたものと考えられます。

第3 非嫡出子かつ養子

1.学説(「非嫡出子かつ養子」の重複)

被相続人が非嫡出子を認知した上、養子とした場合、相続人の資格は重複しますか?

学説の多数説では、相続人の資格の重複を認めるか否かを「2つの身分が排斥し合う関係にあるか否か」で判断しています。具体的には、「2つの身分が排斥し合う関係にある」場合には、相続人の資格の重複を認めませんが、「2つの身分が排斥し合う関係にない」場合には、相続人の資格の重複を認めることになります。

つまり、被相続人が非嫡出子を認知した上、養子とした場合、「2つの身分が排斥し合う関係にある」ため相続人の資格の重複を認められないことになります。

2.「非嫡出子かつ養子」の資格の重複【昭和43年8月5日民甲第2688号民事局長回答】

被相続人の養子が相続放棄をした後、両者の間で死後認知の裁判が確定したときは、相続人の資格は重複しますか?

先例では、「被相続人の養子が相続放棄をした後、両者の間で死後認知の裁判が確定しても、その養子は非嫡出子としての相続権を有しない(昭和43.8.5民甲2688民事局長回答・先例集追Ⅴ12頁)」とされています。

【昭和43.8.5民甲2688民事局長回答・先例集追Ⅴ12頁】
(要旨) 被相続人の養子が相続放棄をした後、両者の間で死後認知の裁判が確定しても、その養子は非嫡出子としての相続権を有しない。

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