【目次】刑務所に収監中の人の相続放棄
相続放棄の準備
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刑務所に収監中の親族に相続放棄をさせたいのですが、どうすればよいですか?
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まず、親族であっても、本人の相続放棄をさせることはできません。たしかに、刑務所に収監中である場合、相続放棄の準備を本人ではできないため、親族の方の手助けが必要になります。しかし、相続放棄自体は、本人の意思で行わなければなりません。
法務省:刑事施設(刑務所・少年刑務所・拘置所)
刑務所(けいむしょ、英語:prison, jail)は、法令に違反し、裁判の結果、刑罰に服することとなった受刑者を収監し就職訓練などの処遇を行う刑事施設です。
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刑務所に収監中の親族が相続放棄をしたいようなのですが、どうすればよいですか?
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刑務所に収監中の人が自分で相続放棄の必要書類を用意することは事実上できませんので、原則としては、親族の人に用意してもらうことになります。もっとも、親族では、本人の書類を収集することが難しいこともあります。その場合には、法律専門家(弁護士・司法書士)に書類の取得を依頼します。
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【専門】在監者の本人確認はどのようにするのですか?
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在監者の本人確認には以下の方法があります。
(1)在監証明書による証明:刑務所長の奥書を得ることで、本人の署名・拇印が本物であることを証明する方法です。
(2)身分証明書の写しによる証明:刑務所に依頼して、在監者の運転免許証やパスポートなどの身分証明書の写しを取得する方法です。
申述書の作成
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【専門】委任契約書はどのように作りますか?
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刑務所に収監中の方の場合、委任契約書に署名・拇印を捺してもらった後に、所長の奥書証明(本人の署名、拇印での押印に相違ない旨の証明)を依頼することになります。
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【専門】送達場所の届出書は作った方がいいですか?
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刑務所に収監中の方の場合、場合によっては、相続放棄申述受理証明書を取得するために、刑務所での手続が必要になることがあります。したがって、基本的には「送達場所の届出書」を作って、親族か法律専門家(弁護士・司法書士)の住所を送達場所にし、相続放棄申述受理通知書を受領した方がよいと思われます。
刑務所内での手続
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申述人の在監証明書は必要ですか?
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刑務所に収監中の方が相続放棄をする場合でも、一般的には、在監証明書は不要です。なぜならば、相続放棄の手続の際には、申述人の住所を証するための住民票の写し(や戸籍の附票)は不要だからです。
【在監証明書(在所証明書)】
在監証明書(現在は「在所証明書」と呼ばれています)は、ある人が刑務所に服役していた事実を証明する証明書のことを指します。この証明書は、免許の更新が必要な場合や、年金の未納などで証明が必要になる場合などに使用されます。
また、相続手続きの際にも重要な役割を果たします。例えば、相続人の中に服役中の人がいる場合、通常の相続手続きよりも複雑な手順を踏む必要があります。服役中の人は印鑑を使用することができず、印鑑証明書も取得することができません。そのため、遺産分割協議書には刑務所の住所ではなく、住民票に記載の住所を自署していただき、実印の代わりに拇印を押捺します。そして、刑務所長の「奥書証明書」をもらいます。奥書証明書とは、「本人が署名し、拇印も本人のものですよ」と証明するもので、印鑑証明書に近い意味合いがあります。このように、在所証明書は服役中の人が相続人にいる場合の相続手続きを進めるために必要となります。
申述書の提出
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家庭裁判所への申述書の提出で気をつけることはありますか?
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法律専門家(弁護士・司法書士)に依頼をしていれば、法律専門家(弁護士・司法書士)が必要書類を提出するので、特段気をつけることはありません。
家庭裁判所での手続
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家庭裁判所での相続放棄の手続の流れはどうなりますか?
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家庭裁判所での相続放棄の手続の流れは下記のとおりになります。
(1)家庭裁判所で審理が開始されます。
(2)審理の方法
①原則:書面照会(回答書)
→裁判所から刑務所への照会書・回答書の送付
→刑務所から裁判所への回答書の送付
②例外:参与員の聴き取り調査・審問
(3)相続放棄申述受理通知書の受領
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照会書の回答書を親族が受取ることはできますか?
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照会書の回答書を親族が受取ることはできません。照会書の回答書については、刑務所に収監中の本人の意思を確認する書面だからです。