民法101条(代理行為の瑕疵)
1 新旧対照表
旧<令和2年(2020年)3月31日まで>
(代理行為の瑕疵)
第百一条 意思表示の効力が意思の不存在、詐欺、強迫又はある事情を知っていたこと若しくは知らなかったことにつき過失があったことによって影響を受けるべき場合には、その事実の有無は、代理人について決するものとする。
2 特定の法律行為をすることを委託された場合において、代理人が本人の指図に従ってその行為をしたときは、本人は、自ら知っていた事情について代理人が知らなかったことを主張することができない。本人が過失によって知らなかった事情についても、同様とする。
新<令和2年(2020年)4月1日から>
(代理行為の瑕疵)
第百一条 代理人が相手方に対してした意思表示の効力が意思の不存在、錯誤、詐欺、強迫又はある事情を知っていたこと若しくは知らなかったことにつき過失があったことによって影響を受けるべき場合には、その事実の有無は、代理人について決するものとする。
2 相手方が代理人に対してした意思表示の効力が意思表示を受けた者がある事情を知っていたこと又は知らなかったことにつき過失があったことによって影響を受けるべき場合には、その事実の有無は、代理人について決するものとする。
3 特定の法律行為をすることを委託された代理人がその行為をしたときは、本人は、自ら知っていた事情について代理人が知らなかったことを主張することができない。本人が過失によって知らなかった事情についても、同様とする。
2 改正のポイント
3 解説
(1)「代理人の意思表示の瑕疵」と「代理人に対する意思表示の瑕疵」
改正前民法101条1項の規定は,代理人の意思表示のみに関する規定であるのか,相手方から代理人への意思表示の場合も規定しているのかが不明確であった。そこで改正後民法では,両者の場合を1項・2項に分けて規定した。
(2)「特定の法律行為」の意思表示
判例(大判明治41・6・10 民録14-665)に従い,改正前民法101 条2項から,「代理人が本人の指図に従ってその行為をしたときは」という内容を削除した。