民法105条(法定代理人による復代理人の選任),106条(復代理人の権限)民法93条(心裡留保)

191114民法(債権法)改正

1 新旧対照表

旧<令和2年(2020年)3月31日まで>

(任意代理人による復代理人の選任)
第百四条 委任による代理人は、本人の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、復代理人を選任することができない。

(復代理人を選任した代理人の責任)
第百五条 代理人は、前条の規定により復代理人を選任したときは、その選任及び監督について、本人に対してその責任を負う。
2 代理人は、本人の指名に従って復代理人を選任したときは、前項の責任を負わない。ただし、その代理人が、復代理人が不適任又は不誠実であることを知りながら、その旨を本人に通知し又は復代理人を解任することを怠ったときは、この限りでない。

(法定代理人による復代理人の選任)
第百六条 法定代理人は、自己の責任で復代理人を選任することができる。この場合において、やむを得ない事由があるときは、前条第一項の責任のみを負う。

新<令和2年(2020年)4月1日から>

(任意代理人による復代理人の選任)
第百四条 委任による代理人は、本人の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、復代理人を選任することができない。

(法定代理人による復代理人の選任)
第百五条 法定代理人は、自己の責任で復代理人を選任することができる。この場合において、やむを得ない事由があるときは、本人に対してその選任及び監督についての責任のみを負う。

(復代理人の権限等)
第百六条 復代理人は、その権限内の行為について、本人を代表する。
2 復代理人は、本人及び第三者に対して、その権限の範囲内において、代理人と同一の権利を有し、義務を負う。

2 改正のポイント

ポイント ①任意代理の復代理人の責任の軽減規定の廃止
②法定代理の復代理人の責任の軽減規定は維持

3 解説

(1)任意代理の復代理人の責任の軽減規定の廃止

  任意代理の場合,復代理人を選任できる要件(民法104)が厳格であるため,改正前民法105条では,復代理人の責任を軽減するべく,復代理人の「選任及び監督」についてのみ任意代理人が責任を負う旨を定めていた。しかし,復代理人の行為によって本人に不利益が生じた場合の責任については,復代理人の行為が本人・代理人間の契約にかかる債務不履行に当たるかという問題(いわゆる履行補助者論)として処理すれば足り,特別の規定(復代理人の責任の軽減規定)を置くことは正当化し得ないと(中間試案の補足説明38 頁)の考え方から,改正前民法105 条は削除された。

(2)法定代理の復代理人の責任の軽減規定は維持

 法定代理の場合については,改正前民法106 条の規律を改正後民法105条で維持している。

関連判例

なし

191114民法(債権法)改正