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民法108条(自己契約及び双方代理等)

民法108条(自己契約及び双方代理等)

1 新旧対照表

旧<平成32年(2020年)3月31日まで>

(自己契約及び双方代理)
第百八条 同一の法律行為については、相手方の代理人となり、又は当事者双方の代理人となることはできない。ただし、債務の履行及び本人があらかじめ許諾した行為については、この限りでない。

新<平成32年(2020年)4月1日から>

(自己契約及び双方代理
第百八条 同一の法律行為について、相手方の代理人として、又は当事者双方の代理人としてした行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。ただし、債務の履行及び本人があらかじめ許諾した行為については、この限りでない。
2 前項本文に規定するもののほか、代理人と本人との利益が相反する行為については、代理権を有しない者がした行為とみなす。ただし、本人があらかじめ許諾した行為については、この限りでない。

2 改正のポイント

ポイント ①自己契約・双方代理は無権代理行為になるとの判例(最判昭和47年4月4日)の明文化
①利益相反行為は無権代理行為になるとの判例(大判昭和7年6月6日)の明文化
③自己契約・双方代理・利益相反行為は無権代理の規定が適用されるが,表見代理の規定は適用されない。

3 解説

(1)判例(最判昭和47年4月4日)の明文化

 改正前民法108条は,同条に違反した場合の効果を明記しておらず,その効果が無効なのか,それとも無権代理行為になるのかが明らかではなかった。そこで,判例(最判昭和47・4・4民集26-3-373 頁)に従い,自己契約・双方代理の効果がみなし無権代理であることを明文化をした。

(2)判例(大判昭和7年6月6日)の明文化

 自己契約・双方代理以外の利益相反行為についても,判例(大判昭和7・6・6民集11-1115頁)に従い,自己契約・双方代理と同様みなし無権代理であることを明文化をした。

(3)自己契約・双方代理・利益相反行為は無権代理の規定が適用される

 無権代理とみなされる結果,追認/追認拒絶(113・116),催告(114),相手方の取消権(115),無権代理人の責任(117)に関する規定が,それぞれの要件を充たす限りで適用され得る。

(4)自己契約・双方代理・利益相反行為は表見代理の規定が適用されにくい

 代理人の目的について悪意または過失がある場合であるから,表見代理(110 条)の規定が適用されることは考えられにくい。

(5)第三者保護の規定は明示せず

 第三者の保護にあたっては,民法192 条の適用や民法94 条2項類推適用等を検討することになる(ただし,改正前民法下の判例(最大判昭和43・12・25 民集22-13-3511,前掲最判昭和47・4・4等)を踏まえて,本人が第三者の悪意を主張・立証した場合に限って自己への不帰属を主張することができると理解する立場もある(部会資料66A・22 頁)。)。

民法192条

(即時取得)
第百九十二条 取引行為によって、平穏に、かつ、公然と動産の占有を始めた者は、善意であり、かつ、過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得する。

民法94条

(虚偽表示)
第九十四条 相手方と通じてした虚偽の意思表示は、無効とする。
2 前項の規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。

(6)利益相反行為の判断基準

 利益相反行為か否かの判断基準については,現行法下の判例(最判昭和42・4・18 民集21-3-671 等)に従うならば,行為自体を外形的客観的に考察して判定すべきであって,当該代理行為をなすについての代理人の動機,意図は考慮されないことになる。

関連判例

最判昭和47年4月4日

事件番号 昭和43(オ)813
事件名 約束手形金請求
裁判年月日 昭和47年4月4日
法廷名 最高裁判所第三小法廷
裁判種別 判決
結果 破棄差戻
判例集等巻・号・頁 民集 第26巻3号373頁


判示事項
 一、双方代理により振り出された約束手形と振出完成の時期
 二、民法一〇八条に違反して振り出された約束手形の第三取得者に対する本人の手形上の責任
裁判要旨
 一、約束手形の振出人の代理人と受取人の代表者とが同一人であつて、手形の振出につき双方代理行為が成立するときは、振出行為の完成を留保すべき特段の事情のないかぎり、振出人の代理人として法定の形式に従つて手形の作成をおえた時に振出行為が完成し、その後は受取人の代表者の資格において手形を所持するにいたるものと解すべきである。
 二、民法一〇八条に違反して約束手形が振り出された場合において、右手形が第三者に裏書譲渡されたときは、右第三者に対しては、本人は、その手形が双方代理行為によつて振り出されたものであることについて第三者が悪意であつたことを主張・立証しないかぎり、振出人としての責任を免れない。
参照法条
 民法108条,手形法75条,手形法8条

最判昭和43年12月25日

事件番号 昭和42(オ)1327
事件名 売掛代金請求
裁判年月日 昭和43年12月25日
法廷名 最高裁判所大法廷
裁判種別 判決
結果 破棄自判
判例集等巻・号・頁 民集 第22巻13号3511頁


判示事項 
 一、商法第二六五条にいう取引の意義
 二、商法第二六五条に違反する取引の効力
裁判要旨
 一、商法第二六五条にいう取引には、取締役と会社との間に直接成立すべき利益相反行為のみならず、取締役個人の債務について、その取締役が会社を代表して、債権者に対し債務引受をする等取締役個人の利益となり会社に不利益を与える行為も包含されるものと解すべきである。
 二、会社は、商法第二六五条に違反する取引のうち、取締役と会社との間に直接成立すべき取引については、右取締役に対して、その無効を主張することができるが、取締役が会社を代表して自己のためにした会社以外の第三者との間の取引については、右第三者が取締役会の承認を受けていなかつたことについて悪意であるときにかぎり、その無効を主張することができる。
参照法条
 商法265条

最判昭和42年4月18日

事件番号 昭和40(オ)1499
事件名 請求異議
裁判年月日 昭和42年4月18日
法廷名 最高裁判所第三小法廷
裁判種別 判決
結果 棄却
判例集等巻・号・頁 民集 第21巻3号671頁


判示事項
 親権者が自らおよび子の法定代理人として約束手形を共同で振り出した場合において利益相反関係を生じないとされた事例
裁判要旨
 親権者が子の法定代理人として約束手形を振り出し、自らもその共同振出人となつた場合において、右手形が子を主債務者とし親権者をその連帯保証人とする借受金の支払のために振り出されたものであるときには、子と親権者との間に民法第八二六条所定の利益相反関係は生じない。
参照法条
 民法826条

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