民法102条(代理人の行為能力)

191114民法(債権法)改正

1 新旧対照表

旧<令和2年(2020年)3月31日まで>

(代理人の行為能力)
第百二条 代理人は、行為能力者であることを要しない。

新<令和2年(2020年)4月1日から>

(代理人の行為能力)
第百二条 制限行為能力者が代理人としてした行為は、行為能力の制限によっては取り消すことができない。ただし、制限行為能力者が他の制限行為能力者の法定代理人としてした行為については、この限りでない。

2 改正のポイント

ポイント ①本文は実質改正なし
②制限行為能力者が他の制限行為能力者の法定代理人としてした行為の取消可能性を肯定

3 解説

(1)本文は実質改正なし

 本文は,文言は大きく変更しているものの実質的には改正がない。

(2)制限行為能力者が他の制限行為能力者の法定代理人としてした行為の取消可能性を肯定

 ただし書によって,制限行為能力者が他の制限行為能力者の法定代理人としてした行為の取消可能性を肯定している。なぜならば,①本人の保護という制限行為能力制度の目的が十分に達せられないおそれがあり,②本人が代理人の選任に直接関与するわけではないため代理人が制限行為能力者であることのリスクを本人に引き受けさせる根拠を欠く,からである(中間試案の補足説明37 頁)

(3)非真意表示と狭義の心裡留保を区別して規定せず

 民法102 条ただし書の創設に伴い,法定代理人たる制限行為能力者の保護者にも同意権(保佐につき民法13Ⅰ⑩)・取消権(民法120 括弧)を付与。

関連判例

なし

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